表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/23

17章

「ってか、なんでこんな雨の日に?」

 波留は、志岐先生にぶつくさと文句を言った。

「今日はあの男の残念会だぞ? こっそり準備をしたいと思うのが人情だろう」

 蝙蝠傘を揺らしながら、志岐は趣味の悪い笑みを浮かべた。

 そう。こんな凄まじい雨だというのに、志岐先生から突然の電話。何事かと言えば、賀上の花屋に来い! と一方的に切る。慌てて準備をすると、家の前に待ち構えているという用意周到ぶり。渋渋、波留は志岐先生と一緒に賀上花店へと向かっている、というわけだ。

「ま、良いスけどねえ。硝子も驚かそうと突然訪問ってのは、ちょっと」

「かまわんだろ。あっちは客商売。こっちは客」

 波留はへへへ、と気のない笑みを浮かべた。

「お、そろそろだな」

 すぐそばのアーケードを潜り、角を曲がれば賀上花店がある。しかし、そんな二人の目に飛び込んできたのは、傘をさしながら駆けているゆらの姿だった。いつもどちらかと言えばおっとりしているゆらだが、取り乱した様子で必死に走っている。

 様子を見ておかしい、と思ったので、波留は話しかける。

「ありゃ、どったのゆら」

「硝子ちゃんが、いなくなっちゃったの!」

 切迫した様子は、微塵も冗談を言うような雰囲気ではない。

「……詳しく、話を聞こうか?」

 志岐の目が妖しく輝いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ