表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

第三話「人違い殺人事件!犯人はピエロ」

「やめてくれ...お前、誰なんだ...!」「お前は俺を侮辱した。罪を償え...」「嫌だ...人違いだ...!やめろぉぉ!!」―――


――今日も三課は平和のようだ。...一人を除いて。「ボス!いつになったら私は水蓮寺さんの相棒から外れれるんですか!」「いやぁ...そんな事言われてもね...他じゃダメなんだよ」美子は相変わらず駒澤に頼み込んでいる。「だって...あの人やっぱり変です!」「まぁ...何を考えているかは分からないけど、刑事としては確かな頭脳を持っていると思うよ?」「確かに...推理は凄かったですけど...性格が酷すぎます!」美子は昨夜のことを全て話した。

「んー...まぁ性格はともあれ、もうしばらくだけ我慢してくれるかな?」「えぇ...そんなぁ...」するとドアが開き、一課の安井と新堂が入ってきた。「おぅ、三課のみなさんご苦労さん。」「失礼しまーす」「あ、安井さん...でしたっけ?」美子が近づくと安井はキラキラした目で美子を見た。「美子ちゃーん、覚えててくれたんか!いやぁ、嬉しいなぁ!そや!連絡先交換せえへんか?」「えっ?あー、はい」安井はすぐに携帯を出した。今どき珍しいガラケーである。昔から付けていたと思われるお守りをぶら下げながら嬉しそうにメールアドレスを教えてきた。美子は内心SNSがよかったと思ったが、仕方なく最近は全く使っていないメール設定を開くと安井のメールアドレスを打ち込み登録をした。

「ほな、連絡待っとるで!」「あ、安井さんメールの文字打つの下手なんでメール送ったら電話で返ってくるので注意してくださいね」と新堂が横から顔を出して言ってきた。美子は苦笑いしつつ返事をすると席に戻ろうとした。すると遅れてやってきた水蓮寺がその様子を見て「おい安井、こいつ...無経験のBカップ女子だから好きになるならもっとマシなやつにしとけ...」そう言うと奥にあるソファに向かった。

「なっ...!なんてこと言うんですか!水蓮寺さん!!」「そやで!水蓮寺!俺は...その...なんや...別に好きやから近づいたとかちゃうからな!」ソファに寝転ぶと水蓮寺はだるそうにこちらを見ると「...そこの女にでもしとけ。」と山口のことを目で指した。「えっ...?わ、私ですか?」戸惑う山口をよそに「だからなぁー!水蓮寺!」「はいはい、安井さん...もう行きますよ」新堂が仕方なく安井を連れて出て行く。残された美子は安井が出て行ったのを確認するとソファで眠りにつこうとする水蓮寺を一度睨むと駒澤の方に目を向け「ボス!」と叫んだ。「!!い、いやぁ...水蓮寺くんもデリカシーがないなぁ...もうちょっと相棒には優しくしてあげないと...」「相棒?俺はそいつを相棒だと思ったことはない...相棒は一人でいい」そう呟くとアイマスクをして眠りについた。

「一人...?水蓮寺さんには相棒がもういるんですか?」「あぁ...実は」駒澤はその先を話そうとしたが電話がかかってきて中断をして電話に出た。「はい、え、また事件ですか?えっ!分かりました...!水蓮寺くん、出番みたいだよ」電話を終えると水蓮寺に向かって言った。水蓮寺は少し眠そうにしつつ起き上がるとすぐに出て行った。「古屋さん、頼むよ...今回だけ...」「はぁ...分かりましたよ、事件のことは気になりますからね...」ため息をつくと水蓮寺の後を追った。


――現場に着くとまたビニールが被せられた遺体があった。鑑識の人がビニールをめくろうとした瞬間、美子はまた見ないといけない...吐いてしまう...と不安に思っていると水蓮寺が美子の視界の前に立ち美子から遺体が見えないようにした。「...え、水蓮寺さん?」「あぁ...わかった...」素早く遺体の確認を終えるとすぐに遺体を運んでもらった。「あの...」「どうせ後で資料で見るだろ...今見なくても別にいい」素っ気なく言い放つとまた鑑識に話を聞きに行った。「水蓮寺さんって...やっぱり...」意外といい人だと美子は思った。


鑑識に話を聞くと驚くべきことがわかった。遺体の見つかった殺人現場の近くの監視カメラには犯人らしき人物が映っていたそうだが...その姿はなんと...「え、ピエロ...ですが?」「ふざけたやつだな...」「ピエロってあのピエロですか?サーカスとかにいる」「はい、しかも監視カメラにアピールまでしているんです...自分が犯人だと...連続殺人犯かどうかは今のところ分かりません」話を聞き終えると水蓮寺はすぐにどこかへ歩き出した。「そうですか...わかりました」美子は鑑識に伝えると水蓮寺の後を追った。


「水蓮寺さん、何かわかったんですか?」「いや、さっぱりだな...ピエロが犯人なんて変わったことするやつもいるんだな」「私、ピエロって何か苦手です。怖くないですか?」「は?どこがだ?お前ほんと雑魚だな...」また嫌な笑みを浮かべた。美子はさっきの優しさはどこに行ったの?と心の中で思うのだった。

「まずは被害者の家族に話を聞きに行くぞ」「は、はい!」被害者はごく普通の会社員の谷次郎さん。殺害された夜は仕事終わりに公園を通って帰っていたところを殺害されたそうだ。


「うちの旦那は人に恨まれるような人間ではありません...」「帰りに襲われたということですので、無差別という可能性も...」「まぁピエロだからな...愉快犯という可能性もあるだろう...」

バンッ

水蓮寺がそう話すと被害者の奥さんは持ってきていたカップを乱暴に置いた。「ッ!!?」「愉快犯...?なにが愉快ですか...うちの旦那は殺されたんですよ!?ピエロなんてふざけた犯人...早く捕まえてください!無差別だなんて...どうしてうちの旦那だけ...ッ!!」「お、奥さん...落ち着いてください...」美子は奥さんの体を支えてなだめる。水蓮寺は立ち上がると奥さんの前に向かう。「水蓮寺さん...」美子は何を言うのかと心配していると...「わかりました。必ず旦那さんの無念を果たす為にもふざけた犯人を必ず捕まえます。失礼します。」そう言うと水蓮寺は出て行った...水蓮寺の態度に驚いていた美子も一礼すると水蓮寺の後を追って出て行く。


無言で歩く水蓮寺の後ろを歩く美子は被害者の奥さんに対しての水蓮寺の態度が当時の兄を思い出させた。「そういえば...水蓮寺さんってどことなくお兄ちゃんに似ています...」美子の言葉には全く反応せず前を歩く。「うちの兄、すごい優秀な刑事だったんですよ?もちろん兄としても優秀でした。幼い頃に両親を亡くしていて兄とは二人暮らしでした。それでも兄は私が寂しい思いをしないように...色々してくれました。でも...五年前に事故で亡くなったんです...それで...ッ」「おい」兄のことを話していた美子は前が見えていなかったのか、水蓮寺が止まっていたことに気づかず背中にぶつかった。「あ、す、すいません!」「あれ見てみろ...」水蓮寺の背中から顔を出して指さす方を見ると街中で風船を配るピエロがいた。「え...こんな街中にピエロですか!?」「あれは後ろの店のリニューアルのイベントだろ...」確かにパチンコらしき後ろのお店は[本日リニューアルオープン]という文字が大きく出ていた。よく見るとピエロの配っている風船にもお店の名前が書かれていた。

「小さい頃から気になっていたんですけど、あのピエロの衣装ってどこで売ってるんですかね?」ふと美子が言った言葉に水蓮寺はハッとし、風船を配っていたピエロに近づいた。「えっ...水蓮寺さん!?」後を追うと水蓮寺はピエロに話しかけた。


「あの、すいません...」「はいはい、何でしょうか?」「警察ですが、少し話を聞かせてもらえませんか?」警察手帳を出すとピエロの人は少し驚いた様子だったがすぐに中に案内された。


事務室のようなところに通されるとピエロの人はピエロのマスクを取った。

「...あの、和哉のことですよね...」「はい?」こちら側から話を切り出そうと思ったらピエロの彼から口を開いた。しかしその彼が言った和哉という人物を美子も水蓮寺も知らない。

「和哉...とは?」「え、種島和哉が殺人したんじゃないんですか?」彼は少し驚いたように水蓮寺を見た。「種島和哉とは、誰ですか?」「この近くで殺人事件が起きたって聞いて...絶対に和哉だと思ったんです...アイツ、事件の前の日に言ってましたから...」「なにをですか?」水蓮寺は身を乗り出して聞く。「...店長を絶対に殺してやるって...」「「えっ...!?」」美子と水蓮寺は驚いて顔を見合わせた。「和哉、ここで働いてるんですけど...店長からいつもいびられて、しかも残業ばかり...それなのに給料が合わない。そんなことをされてきていたんです...」「そうだったんですか...」「それで限界がきたみたいで...殺してやるって...」そこで美子はあることに気づいた。「あれ、でも被害者は普通の会社員だって言ってましたよね?」水蓮寺を見ると何やら考えていた。「あの、ちなみにその店長さんは今は?」「あぁ、来てないんですよ...昨日から...だから和哉が殺したんだと思って...俺、和哉とは友達ですけど庇うようなことしたくないんで...」そう言うと彼は種島和哉の住んでいる家の住所を教えてくれた。


水蓮寺と美子は教えて貰った住所へ行くと、立派な家があった。インターホンを押すと中から三十代くらいの女性がでてきた。「種島和哉さんに会わせてほしいんですが、今居ますか?」「和哉さんですか?今は出かけております」「少し中でお話聞かせてもらったもいいですか?」そう言いながら警察手帳を見せると女性は中に入れてくれた。


中に入ると奥からもう一人別の女性が現れた。「その人たちは誰?」「警察の方だそうです」「...そう、私があとはやりますから」先程の女性はお辞儀をすると出て行った。「あの人はお手伝いさんです。うち、共働きなので家のことは全てあの人に任せているんです」お茶を入れながらそう話す。「種島和哉さんはお子さんですか?」「ええ、そうですが」お茶を持ってくるとそっとテーブルに置いた。

「昨夜、息子さんは家にいましたか?」「さぁ、昨日は私も主人も朝まで仕事でしたので...家にいたかどうかなんて分かりません」「え、でもお手伝いさんから帰ってなかったら聞きませんか?」「和哉は昔から夜遊びをよくしていましたから...家に帰ってこないなんてよくあることでした。だから昨日の夜も知りません...もういいですか?仕事が残っているので...」そう言って部屋を出ようとした。すると美子が「あの!失礼ですが...なんのお仕事をされているんですか?」「ファッションデザイナーです。部屋にこもりっぱなしで仕事をしていますので...主人はIT企業で働いています」全て伝えると部屋に戻ってしまった。残された美子と水蓮寺は帰ることにした。


「あんなにお金持ちな家なのにどうしてバイトをしていたんでしょうか?お金には困らなさそうですけど...」「色々あるだろ...お金持ちだからといって息子にまでお金を渡すかどうかは別だ」水蓮寺は何かを考えながら歩く。すると急に立ち止まり「お前は先に捜査会議に出ていてくれ...俺は後から行く。ちゃんと聞いておけ」「え、どこに行くんですか!?水蓮寺さん!?」美子の問いには耳も貸さずに走っていってしまう。仕方なく一人で捜査会議に出ることにした。


――「情報は以上です。これまで通り通り魔の犯行として捜査を進めます。」「解散!」何とか捜査会議を乗りきると、結局最後まで戻ってこなかった水蓮寺を探しに行った。「どこで何してるんだか...全く水蓮寺さんはいつもいつも勝手なんですから...」ブツブツ言いながら歩いていると前のビルから水蓮寺と女性が出てきた。「え...!?」ビルを見るとラブホテルだった。「す、水蓮寺さん...!?」その声に気づきこちらを振り返る水蓮寺。すると軽くキスをすると女性と別れ、こちらにやってきた。「き、キス!?ちょっと水蓮寺さん!!」「悪い、待たせたな。捜査会議はどうだった?何かわかったことあったか?」何事も無かったかのように聞いてくる水蓮寺に美子は動揺を隠せないでいた。「い、いや...あの!今の誰ですか!?ってか...仕事中に何やってるんですか!!」「何って仕事だ。いいから情報教えろ」顔色ひとつ変えずに言うと水蓮寺はコートのポケットに手を入れ歩き出した。美子もその後に続くがまだ動揺を隠せなかった。


「なるほど...通り魔が犯人として捜査されてるってことだな」「はい、そうみたいです」捜査会議でのことを一通り話すと水蓮寺はニヤリとした。美子は知っていた、この顔は悪いことを考えている顔だと...。

「お前、ちょっとさっきのパチンコ店に行ってこい。店長がやってくるまで絶対に戻ってくるな」「はい...えっ!そんな...ずっと店長が来なかったらどうするんですか!?」「大丈夫だ...絶対に来る」何故か自信ありげな水蓮寺をよそに不安な表情になる美子であった。


パチンコ店の向かいの喫茶店に入り、ずっとパチンコ店を見つめる。入口が一つなため客だけではなく店員の出入りも同じだった。「はぁ...来なかったらどうするんだよ...何であんなに自信ありげな顔だったんだろ...ってかさっきの女の人...彼女かな?キスしてたし...彼女だよね...?」そう、美子は水蓮寺と一緒にラブホテルから出てきた女の人のことが気になっていた。ヤキモチとかそういうのではなくやはり別世界の人なんだと思った。

喫茶店に入って三十分も経たないうちに店長がお店に入って行くのが見えた。「あれ!?店長さんいる!生きてる!」美子は念の為にパチンコ店に入り、先程種島和哉のことを教えてくれた男性に確かめに行った。「さ、さっき入っていったのって...店長さんですよね?」「...はい、俺も驚いてます...」「ありがとうございます!では、失礼します!」そう言うと美子はパチンコ店を出て行った。


署に帰ると水蓮寺は何やら別のことをしていた。「す、水蓮寺さん!いましたよ!店長さん...生きてました!」「知ってる...そんなこと」「へっ!?」あまりにも早い返答にマヌケな声を出してしまった。水蓮寺は何かをポケットに入れると「行くぞ」と帰ってきたばかりの美子を連れて出て行く。「え!またですかぁ!?」せっかく必死に走ってきたのに休む暇もなく出て行く美子。二人が去っていった三課では...「仲良しだねぇ...」と呑気にお茶を飲む駒澤の声だけが残った。


水蓮寺はもう一度パチンコ店へ行くと店長を呼んだ。「はい、なんでしょうか?」「警察ですが...少しお話...いや、協力いいでしょうか?」警察手帳を見せながらそれを言うと店長は嫌そうな顔をして「それは任意ですよね?お断りします」「いいんですか...?断るとこのお店のこと...色々と捜査するだけですが」美子は水蓮寺の後ろで見ていることしか出来なかった。


「なっ...なんのことでしょう?さっぱり分かりません。とにかくお帰りください」「労働基準法...とかに引っかかっているだけでも大変なことになりますよね?このお店はどうなんでしょうか...」少し大きめの声で言うと店長は慌てて水蓮寺を止めようとした「や、やめてくれってば!迷惑だ...ッ」「では、協力してくれますね?犯罪者を捕まえるための協力ですから、株は上がるでしょう」「...わかりましたよ」そう言うと店長はバイトの子に任せて店をあとにした。

「全く...なんなんだこの刑事は...」「すみません...私にもよく分からないんです...謎だらけで...」苦笑いをする美子をよそに水蓮寺は悪気もなしに歩いた。そして連れてこられたのは...種島和哉の家だった。「水蓮寺さん、ここって...」「あぁ、店長には協力してもらう...」ニヤリと笑うとインターホンを押した。出てきたのはもちろんお手伝いの女性だった。その女性は店長の姿を見るなり驚いた表情になった。「ど、どうかしましたか?大丈夫ですか!?」「な、なんで...ッどうして...ッ!!」驚いた表情に続きどこか怯えた声になっていた。「種島和哉くんのバイト先の店長さんですよ、お手伝いのあなたは会ったことも話を聞いたこともないですよね?」「...え、そ、それは...はい...」「奥さんも和哉くんが働いているなんてことは知らなかったはず...何も知らないって言ってましたからね」確かに奥さんはあの時...何も知らないと言っていた。まるで自分の息子のことなんて考えていないようだった。「では、どうしてこの人を見た時...驚いたんですか?」水蓮寺は追い詰める。「あ...ほら、その...知り合いに似ていたからです...」お手伝いさんはそう言うが水蓮寺は表情を変えずにポケットから何かを取り出した。「これ、あなたが落としたものですよね」取り出したのはピエロの鼻だった。監視カメラに映っていたピエロの鼻であった...。「そ、それは...ッ私のものなんかじゃ...ッ」「落としたのを見たんですよね...あなたがこの家から出ていく時に...。勝手ながら鑑定をしたところ、微量ですが被害者の血がついていました」顔を青ざめながらお手伝いさんは崩れ落ちた。「...あの子のためだった...あの子は...和哉さんは...ホントにいい子だったのに...それなのに...奥様も旦那様も見向きもせず...おまけに店長にも不満を持って...」お手伝いさんは、和哉がバイトをしていることを知っていた。そこで心配になったお手伝いさんはパチンコ店を覗いてみた。すると和哉が友達に不満を言っているところを聞いてしまう。そして殺してやると言っていることも...。和哉が人殺しなんかしたらまた両親からの期待がなくなってしまうと思ったお手伝いさんは自分がやろうと思った。そしてパチンコ店から出てきた店長の後をつけた。が、公園に入ったところで店長はトイレによった...それを見ていないお手伝いさんは最初からベンチに座っていた被害者の谷さんを店長だと思い込み、殺害した。


「本当に...すみませんでした...」「まさか人違いだったとは...」泣き崩れるお手伝いの女性をパトカーに乗せると水蓮寺と美子はそのまま家路についた。

その後、種島和哉家族にお手伝いさんのことを伝えると和哉はお手伝いの女性に会いに行くと決め、両親も息子に対して心を改めた。


「そういえば水蓮寺さん」「なんだ...」「あのピエロの鼻、いつ拾ったんですか?」帰る途中、美子は水蓮寺に聞いた。「あれ、偽物だ。ピエロの鼻だけ落とすバカがどこにいるんだ...」「えっ!じゃああれは...嘘だったんですか!?」「嘘くらいつかないと...あの人は落ちなかった」そんなやり方でいいのだろうか...と思う美子であったが犯人は確かに自供したし、よかったのかと納得する。

家の近くにつくと美子は水蓮寺に聞きたかったことを思い出した。「あ!そういえば...聞くの忘れてました!仕事中にホテルから出てきた女性は誰だったんですか!?」「まだ気にしているのか...はぁ...あいつは昔から俺の捜査の手伝いをしてる女だ。警察が踏み込めないところを調べてくれている」「なるほど...って、でもキスしてたじゃないですか!!」「キス?あぁ、あんなのお礼みたいなものだろう...」「キスがお礼って...変だ...」頭が混乱する美子は頭を抱えていた。すると水蓮寺は部屋の鍵を開けると「...今日はお前のおかけで分かった。助かった...」「えっ...!?」「次も頼むぞ、古屋」そう言うと家に入っていった。「は、はい...ッ!」美子は家に入ると冷蔵庫から水の入ったペットボトルを出し、ゴクリゴクリと半分まで飲むと大きく深呼吸をして椅子に座った。「さっき...古屋って...初めて名前呼ばれた...よね?今までお前とかだったのに...これって、少しは認められたってこと...だよね?ね?お兄ちゃん...!」と机に飾ってある写真を見た。そこには高校生の頃亡くなった兄の写真があった...。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ