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第十二話「不穏な空気」

――「...ッあれ、私...」死体を見てしまい気絶していた美子はパトカーの音で目が覚めた。「...あっ!そういえば...」体を起こし目の前にあった死体を薄目で確認すると...やはりそこにはあったのは間違いなく死体だった。そして美子の手にはなんと...「え...包丁!?」美子は気を失っている間に何者かによって凶器である包丁を手に握らされていた。「うそ...これって...やばいんじゃ...」するとそこへ運悪く警察が入ってきた。「大丈夫ですか!って...」入ってきた警察たちは美子の顔を見るなりどこかへ電話をした。「あの...これは...」「重要参考人確認!確保!」そう言った瞬間に目の前にいた警察は美子を捕まえると手錠をかけた。「え...えええ!?」淡々と進む状況に混乱した美子はそのまま抵抗出来ずにパトカーに乗せられた。

パトカーでは二人の刑事に挟まれ話を聞かれた。「どうしてあの場所に...」「電話があって...それで...現場に行ったら死体がありました...」「包丁はどうして持っていたんですか」「死体が苦手で...見た瞬間に気絶してしまって...目が覚めたら包丁を握りしめていました」刑事は調書を取りながら電話で誰かと話しをしていた。美子はもうこの状況にパニックになりかけていた...その時だった。パトカーのドアが開くと「重要参考人に話聞くわ...ちょっと変わって」その声で誰だか一発で分かった。一課の安井刑事だ。「や、安井刑事!」美子がそう呼ぶと慌てて安井は車の中を覗いた。「み、美子ちゃん!?」「まさか古屋さんが重要参考人だなんて...」新堂と安井は二人の刑事と変わるとパトカーに乗った。「何があったんや...美子ちゃん」「それが...私にもよく分からなくて...ッ」下を向いたまま今にも泣きそうな声で答える美子に安井はいつものように優しく聞いた。「...美子ちゃんが重要参考人やなんて...」「私は...誰かに電話で呼び出されたんです...それで...来てみたら既に死体があって...気を失ってしまい、起きたら手に包丁が握らされていたんです...」一つ一つをゆっくり説明すると新堂が口を開いた。「確かに古屋さんは死体が苦手ですよね?そんな人に人殺しなんて出来ます?」「まぁ...確かにな...でも状況証拠だけやと完全に美子ちゃんが犯人になってしもてる...」「そんな...ッ」美子は思わず泣きそうになった。「...多分今は...刑務所に行かされる可能性が大きいな...」安井はそう言うと辛そうな顔をしてパトカーを降りた。「はめられたんですね」新堂はそう言い残すと安井に続いてパトカーを降り、先程の刑事と入れ替わった。


「どうしよう...完全に私...」もうダメだと思い泣きそうになっているとパトカーが再び開いた。今度は誰だと思い、振り向くと「はぁ...まさかとは思ったが...やっぱりか...」走ってきたのか、息を切らした水蓮寺がそこにはいた。「す、水蓮寺さーん...ッ」水蓮寺は刑事と変わるとパトカーに乗った。「だいたい話は読める...お前が死体を見て気を失ってる間に犯人にされたってところだろ...」「そ、そうなんです!でも私...ホントに何も知らなくて...」「ったく...こんな夜に一人で出歩くな...隣に俺がいるんだから俺に言え!」水蓮寺は少しキツめに怒るもすぐに優しい口調になり「...大丈夫だ」そう一言だけ言ってくれた。その言葉だけで何故か美子は不安が軽くなり大丈夫な気がしていた。水蓮寺が何とかしてくれると...。しかしその時だった。パトカーのドアが開き一課の別の刑事が「古屋圭司の遺品が遺体の傍からまた見つかった。これより古屋美子を重要参考人から殺人容疑者として刑務所に連行します」「え...」そう言うと水蓮寺をパトカーから降ろし運転席には一課の別の刑事が乗り込みサイレンを鳴らすとパトカーを走らせたのだった。残された水蓮寺は拳を握りしめると殺人現場へと入っていった。

殺されたのは弁護士の杉浦悟史。自分の事務所を営んでおり、世間では絶対に依頼人の勝利を勝ち取るで有名な弁護士だった。もちろん美子との接点なんて全くなかったようだが...美子は帝東ビルなど初めて行ったと言っていた。ちなみに帝東ビルは影月組が所有するビルの一つだったようだが...何か関係があるのだろうか...。


そして取調べの期間の間、刑務所に入れられることになった美子は手錠をかけられ歩いている。そこへ電話で知らされ、駆けつけた三課のみんながやってくる。「美子ちゃん!」「...あ、皆さん...」「絶対に...必ずお前の無実は証明してやるからな」「待っててくださいね...少しだけ」「寝ずに捜査してやるからな!」「古屋さん...大丈夫」みんなそれぞれに声をかけてくれて美子はもう泣きそうになった。「皆さん...ッ待ってますね...!」そう言うと美子は刑事によって刑務所へ入れられた。「...私が動けないから...みんなが何とかしてくれるはず!信じてる...」美子は座ると手錠をかけられていた手首を見つめた。


そして三課のみんなは本当に寝る間も惜しんで朝になるまで事件捜査を始めたのだった。小島は知識が豊富である科捜研に頼み込んで参加をし、死体を調べるところから証拠を見つけ出す捜査に入った。山口は交流の多さを活かしてもう一度刑事仲間や横浜警察のみんなに話を聞き、たくさんの情報を聞き出す捜査に向かった。崎沼は自慢の体力と根性を活かして現場付近を走り回ると目撃情報やその他の情報をかき集める捜査をした。柚斗はパソコンやネットが得意なため、いつかのネット殺人事件の時のようにネットを使って目撃情報や怪しい人物と思われる人のアカウントに入り込み、情報を集めるのだった。そして駒澤はというと...いつもなら絶対に行かないであろう...警察の上層部に掛け合い、一課と三課の情報共有および三課の事件捜査許可を取りに行った。これまでとは違い、とても成長した三課のみんな自分の特技を活かしながら捜査を進めるのだった。これは全て...仲間である美子を助けるためだ。


そして水蓮寺はというと...殺人現場に来ていた。「...状況証拠だけ見ると確実に古屋が疑われる状況だった...」「まぁそれに追加で美子ちゃんのお父さんの遺品がまた出てきてしもたからな...」水蓮寺は安井、新堂と共に行動していたのだ。「誰かから電話がかかってきてここに来たって言ってたな...」「その誰かさえ分かれば...って水蓮寺?」水蓮寺はそう言うと事務所に置いてある電話を触った。「お前また勝手に...ッ」「この電話からじゃなさそうだな...通話履歴にあいつの携帯番号はない...」電話の受話器を置くと今度は机の引き出しを開けた。「だから勝手に...ッ」「これなんだ...?」水蓮寺が引き出しの中から出したのはビルの借用書だった。「このビルの借用書やろ...普通とちゃうか?」安井も借用書を見るとそう言った。「この金額はちょっとおかしくないか?」見ると借用書に書かれていたビルの金額は【1000万】だった。「このビルの貸出金額にしては随分高いな...」「だが杉浦はここを五年も借りていた...」借用書を眺めながら推理をし始める水蓮寺。「五年も月1000万やとさすがに大変とちゃうか?」「有名な弁護士だったんだろ?それくらい余裕だったんじゃないのか?」安井と水蓮寺がその話をしていると「いや、そうでもなかったっぽいですよ...?」新堂はそう言うと戸棚から借金の借用書を見せた。「借金...?」水蓮寺と安井は新堂の持っていた借用書を見た。【杉浦悟史は影月組より5000万のお金を借りることをここに記します。】と書かれていた。「影月組!?」「横浜で最も有名なヤクザ組やないか...こいつら金貸しまでしとったんかいな...」「影月組は俺に任せろ...」そう言うと水蓮寺は現場から出ていった。「え...まさかほんとに?」「ん?何がや?」残された二人のこの会話は水蓮寺にはもう聞こえていなかった。


そして朝になると、刑務所では...「はぁ...まさか刑事になって刑務所に入るなんて思ってもなかったよ...」トレイの上に乱暴に乗せられた朝食を食べながら美子はため息をつくのだった。「でも私は...待ってることしか出来ない...」すると刑事がやってきた。「取り調べの時間だ...出ろ」そう言うと檻を開けた。

取調室に行くとパソコンを開いた刑事が既に待機していた。椅子に座ると向かいに座った刑事が話を始めた。「君、刑事なんだってね...びっくりしたよ...まぁ刑事が殺人事件を起こすなんてありえないことではないけどね」「だから...起こしてないんですって...」すると刑事は現場にあった証拠品を出してきた。美子の父の遺品だ。先日の事件現場にあった万年筆ではなく、今度は美子の父親が生前使っていた腕時計だった。この腕時計は美子も見たことがあった。「これは古屋さんの父親の腕時計だよね?」「はい...そうですね...」「これが被害者の近くに落ちていた、そして君は包丁を握りしめて被害者の近くにいた...これで犯人じゃないと言えるのかな?」刑事は少し問い詰めるようにして言った。「...知りませんよ、気を失っている間に...」すると刑事が机を大きく叩いた。「それは何度も聞いた!いつまでも否認できると思うなよ?」「...ッ!」美子はこの時、忘れていた小さい頃の記憶を思い出し始めた。―――

『おにいちゃん、おとうさんは?』『しばらく...仕事で帰って来れないみたいだ...』まだ四歳だった私は一時期全く帰ってこなくなった父を子供ながらに不思議に思っていた。あの時...兄は仕事で帰ってこないって言っていたが...本当は...警察署にいたんじゃ...。私は小さい頃の記憶を全て忘れていたため、父が刑事をしていたのは生まれる前だと思っていた...。だが今ので思い出した...父は私が小学校に上がるまで刑事だったんだ...。―――

「...そうか...そうだったんだ!」ガタッと音を立てて立ち上がると驚いた刑事が美子を見上げた。「な、なんだ...」「あ、いえ...」この話はまだしないでおこうと思い、美子は大人しく椅子に座り直した。

そして、今日の取り調べが終わると...また刑務所の監獄の中に入れられた。「...このことを水蓮寺さんに教えないと...でもこのままじゃ...ッ言えない...」小さい頃の記憶を忘れていた美子はきっともっと他に大事なことを忘れている気がしていた。


そして水蓮寺は影月組に来ていた。「水蓮寺はーん...何度も訪ねてきてどないしたんですか?」「昨日、殺された弁護士の杉浦悟史に5000万を貸していた...そうだろ?」「あぁ、貸してましたけど?それがなんですか?我々が殺したとでも言うんですか?」水蓮寺は影月組の組長である影月昴と話をしていた。もちろん組の子分たちが見守る中で...「勘違いしてもらっちゃ困りますな...我々はヤクザですけどそう簡単に人殺したりしません」優しくもドスの効いた低い声で話す影月は顔色一つ変えずに水蓮寺を見た。「そうだな...ま、話を聞きたかっただけだ」「あぁ、それと...そいつ、杉浦の借金は匿名で肩代わりしてくれた親切なやつがおったからもう関係ないですよ」そう言うと借用書を見せた。そこにはちゃんと【返済完了】とハンコが大きく押されていた。「匿名ね...そいつも視野に入れておくか...」そして水蓮寺は影月組の事務所をあとにした。外に出ると水蓮寺はタバコに火をつけ...「匿名で借金を肩代わりしたやつ...か...やっぱりあいつなのか...」そう呟くと水蓮寺はどこかへ歩き出した。

その頃、三課ではメンバーが集まっていた。「とりあえず集めた情報を出し合いましょう」小島はホワイトボードに書き出した。「あぁ、俺はネットを使って目撃情報を集めたんだが...その時間はどうも人通りが少なくて全くなし...」首を横に振ると肩をガクッと落とした。「そっか...崎沼さんは?」崎沼の方を見ると資料を出してきた。「これはあの帝東ビルの付近の監視カメラの映像をピックアップしてきたんだが、映っていたのは犬の散歩をしていた人と老夫婦だけだな...怪しい人物はいなかった」そう言うと資料をくしゃっと丸めた。「...山口さんは?」「私は刑事仲間や色んな人に話を聞いたんだけど...古屋さんのお父さんが刑事をしていた頃の人物はいなくて...情報が掴めなかった...」そこまで言うと入口から声が聞こえた。「一人だけいるだろ...古屋のお父さんが刑事だった頃にここにいた人物が...」入口を見ると水蓮寺が立っていた。「水蓮寺さん!」「調べたが...栗田は当時まだ現役の新人刑事だったそうだ...」そう言いながらホワイトボードに昔の栗田警視総監の写真を貼った。「知らなかった...そうなんだ...」「栗田に話を聞けば何か分かるんじゃないか?」「あれ水蓮寺さんが行かないんですか?」「俺は他に調べることがある...そっちは任せた」それだけ言うとまた三課を出ていってしまった。「じゃあ...滝野くんと山口さんに行ってもらおうかな?栗田警視総監のところには」小島がそう指示すると「ええ...なんか緊張すんだよな、あの人」「そりゃあ警視総監だもの...」少しためらいながらも二人は警視総監の元へ向かった。


その頃水蓮寺は...二つの殺人事件の現場に向かっていた。「...一つ目の現場と二つ目の現場の距離が遠すぎる...」地図を照らし合わせながら考えていた。一つ目の殺人事件が起きたデザイナーの火島達夫の住んでいたマンションは横浜の中でも港に近いマンションだった。そして二つ目の殺人事件が起きた杉浦悟史の事務所がある帝東ビルは東京寄りの横浜中華街の辺りだった。同じ横浜でも随分と離れた場所...しかも被害者に共通点などない殺人事件だった。あるのは美子の父親の遺品が遺体の傍に落ちていたということだけだった。「おかしい...こんなにも共通点のない連続殺人があるなんて...まるで古屋をおとしいれようと...」すると水蓮寺は何かを思い出したのか美子のいる刑務所へと向かった。

そして三課に残されていた小島と崎沼は机に広げられた資料を片付けていた。「...ん?」すると資料を整理していた崎沼が何かに気づいた。「これは...」「どうしたの?」「この写真!やっぱり...」崎沼は小島に一枚の写真を見せた。「え、これって...」小島は写真を受け取るとパソコンを開いた。「これ、拡大して修正するから...ちょっと待ってて!」そう言うと器用にパソコンを操作し写真の拡大と修正を始めた。

その頃、警視総監室の前に来ていた山口と柚斗は...ためらっていた。「緊張すんだけど...なんて言えばいいんだ?」「だから...古屋さんのお父さんのことを聞くのよ!何か分かるはず...!」「よし...行くぞ!」一度息を飲むと柚斗は警視総監室のドアをノックした。


刑務所に来ていた水蓮寺は美子と面会をした。「水蓮寺さん...!」「大丈夫か...?」「あ、はい...一応...」水蓮寺は座るともう一度資料を出した。「火島達夫と杉浦悟史は...お前とは全く接点はないんだよな?父親とも...」そう聞くと美子は思い出したことを話した。「あの...その事なんですが...私、小さい頃の記憶を忘れていたみたいで...今朝思い出したんです!」「え...」「四歳の頃...父は一時期全く帰ってこないことがありました。私は忘れていたんですが...私が小学校に上がるまで父は刑事をしていたんです!」そう言うと水蓮寺は何かが分かったような顔をした。「なるほどな...その四歳の頃の帰ってこなかったってやつの原因は...多分これだろ...」水蓮寺は資料ファイルから事件の記録が書かれた紙を出した。そこには...【一課の古屋圭司をヤクザ組との繋がりがあり、そして事件の情報横領の罪で一時拘束。】と書かれていた。「情報横領...?父がそんなことするわけ...ッ」「あぁ、だから一週間で拘束は解かれている。多分無実だということが分かったんだろ...だがこの時の真犯人はまだ掴まっていない...つまり...」「その真犯人が...今回の犯人でもあるってことですか...?」水蓮寺と美子は顔を合わせた。「まだ決まったわけじゃないが...とにかくもう少しだけ待ってろ、すぐに出してやるから...」それだけ言うと水蓮寺は出て行った。「水蓮寺さん...ッ」美子もまた監獄へと戻った。すると突然刑事がやって来て「...釈放だ」と檻を開けた。「え...釈放?」不思議に思いながらも刑務所を出ると小島と崎沼が待っていた。「美子ちゃん!」「あ、アズミン?崎沼さん?」「俺が見つけてきた監視カメラの映像に映っていたんだよ!今回の犯人らしき人物が!」「ホントですか!?」崎沼はその写真を見せると美子は喜んだ。「今、一課がこの写真を元に真犯人を探しているところよ!」「...これで私も動ける...よかった!ありがとうございます!」美子は二人にお礼を言うと一度家に戻った。


警視総監室のドアをノックしたが誰もいないのか返事がなかった。「いないのかな...警視総監...」「んー...捜査?いや、今はいないのか」山口と柚斗は首をかしげながら顔を見合せた。「とりあえず、一度三課に戻りましょうか」「そうですね、いないことも伝えないといけないですし」そう言うと二人は三課に戻るのだった。


家に戻った美子は机に置いてあった兄の手帳を開く。「お兄ちゃん...頑張るからね!」呟くと手帳をポケットにしまった。すると...手帳から切れ端が出てきた。「あれ...切れてたのかな...」そう思い紙切れを拾うと滲んでいて文字が見えなかった。「んー...何か書いてあるんだろうけど...見えない...そうだ!」何かを思いつくと美子は紙切れをポケットにしまい家を出た。

三課に行くと柚斗と山口がいた。「古屋さん!」「古屋、出て来れたんだってな!」「うん、崎沼さんのおかけで...真犯人が分かったみたい!みんな、ありがとう」そう話すと美子は小島の元へ行った。「アズミン!これ...直したりできます?」そう言って先程のメモの切れ端を見せた。「随分古い紙ね...滲んでる文字を直せばいいのね?」「はい!できますか?」「んー、知り合いの人に頼むから...少しだけ時間はかかるかも...でも、できなくはないよ」その言葉を聞いて美子は笑顔になった。「やった!ありがとうございます!」頭を下げると小島は誰かに電話をし、作業に取り掛かった。一安心した美子は三課を出ていった。

「さてと...私も捜査をしようかな!一課には負けてらんないもん!」気合いを入れると美子は歩き出した。「そうだ!水蓮寺さんにも電話しておかないと!」携帯を取り出すと水蓮寺に電話をかけた。《...もしもし》ワンコールで水蓮寺は出た。「あ、水蓮寺さん!私...釈放されました!崎沼さんの監視カメラのおかけで無実が証明されました!」《...そうか、あんまりウロウロするなよ》電話だからか...いつもよりテンションの低い声だった。「ウロウロって...捜査するんですからウロウロしますよ!」《気をつけろよ、古屋》それだけ言うと電話を切られた。「...気をつけろって...なんで?」少し疑問に思いながらも捜査に向かうことにした。


その頃、一課の安井と新堂たちは真犯人である男を追いかけていた。古いアパートの一室を訪ねた。ドアを叩くとフードを被った男が出てきた。「警察や、ちょっと話...」そこまで言うと男はドアを閉めて逃げた。「ちょ、おい!」安井と新堂はドアを開け部屋に入った。ベランダから逃げたのか男の姿がなかった。「新堂!まわれ!」そう叫ぶと安井と新堂は走り出した。アパートの向かいに行くと逃げている男を見つけ出す。「待て!お前...美子ちゃんに罪なすり付けといて逃げれると思うなよ!」「安井さん!こっちです!」新堂は近道をすると男の前に立った。「ッちくしょ...!」「もう逃げられへんで?美子ちゃんに罪なすり付けて自分だけ逃げるなんてな...」二人は男を追い詰めると取り押さえ手錠をかけた。「さぁ、たっぷり話聞かせてもらうで?なんで美子ちゃんに罪をなすり付けたか...」「安井さん...それ言うの三回目です...」「だって腹立つんやもん!」安井はそう言いながら男をパトカーに乗せると警察署へ向かった。

男を取調室へ入れると新堂はパソコンを開き、安井は男の前に座った。「名前は...」「...筒井伸二」「単刀直入に聞く、火島達夫と杉浦悟史を殺したんはお前か?」安井がそう尋ねると筒井は「そうだよ、俺が殺した。ゲームだよゲーム...」そう言うとニヤリと笑ったのだった。


「...あいつは釈放された。もう、俺は分かってるんだ...あんたが真犯人ってこと...どうする?俺のこともここで殺すか?あいつの両親や涼のことを殺したみたいに...」美子との電話を切った水蓮寺は...ある人と話をしていた。

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