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更紗の脈理  作者: VIKASH


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 ――ドッドッドッ。


 鉛――いや、厳密には鉛とは呼べないかもしれない――が、連続して射出されていく。

 私の腕から放たれるのは、鋼鉄製のマカダミア弾。無数の弾丸が空間を裂き、敵を押し潰していった。


 チョコレイトバー・ミックスナッツ味。

 撃っても楽しい。食べても美味しい。

 抹茶味もなかなかだったが、あれはすでに効果が切れている。


 だが今は違う。アップグレードによって暗視機能が追加された。

 視界を切り替え、周囲を確認する――しかし、白い忍者の姿は見えない。


 どこに潜んでいる?


 ――こちら、ベンゼル・クライストン。


 初めて聞くフルネームだが、今はそんなことに構っていられない。


 ――どうした?


 ――奇襲を受けている。展開してもいいか?


 ――何の話だ?


 ――見ていてくれ。すぐにわかる。


 理解する間もなく、右方向から轟音が響いた。

 空気が爆ぜ、衝撃波が押し寄せる。鼓膜が破裂しそうなほどの圧力。


 敵はたじろいだ。その一瞬を、私は逃さなかった。


 ――名を名乗れ。


 ――アストロ。


 男の声? どういうことだ。

 ……まあ、私も中身は男だったな。別に不思議じゃない。


 しかし、相手はそれ以上何もしてこない。

 この隙に拘束しておこう。


 アストロの腕を取り、羽交い締めにして帯状のテープで固定する。

 これならば逃げられまい。念のため、特異能力を妨害する電波も発しておく。


 以前、「もしものときに」と渡されたヘッドホン型の装置があった。

 それを頭に装着させると、特異能力を封じることができるらしい。

 正式名称は知らない。……まあ、“電波ホン”とでも呼んでおこう。


 これでいい。

 動けない。

 使えない。

 何もできない。


 三拍子、完璧だ。


 さて、口を割らせるか……と思ったが、どうやら筆談のほうが早そうだ。

 外国語を話していたが、こちらの言葉が通じるか試してみよう。


 パネルに「どこの出身だ?」と書き、電子ペンを握らせる。

 アストロは静かに何かを書き始めた。


 どうやら、この国の文字が読めるようだ。

 パネルに浮かび上がった文字――「たすけて」。


 ……助けて?

 何を助けろというのだ。

 襲ってきたのはお前の方だろう?


 そう言いかけたその瞬間、アストロの足元に黒い穴が開いた。


 まだいるな。

 白い忍者――いったいどんな能力を持っている?


 ――ルドルフ。位置情報を転送した。挟み撃ちにする。


 ――イン・オルドヌング(問題なし)。






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