表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
更紗の脈理  作者: VIKASH


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/58

34

 



 人工知能のフリードリヒは、そう設計されている。

 我々の問いには、必ず答えねばならない存在なのだ。


 その名は、哲学者ニーチェに由来する。

 人工知能でありながら、感情を持つ。

 普段は「永遠の睡眠」と呼ばれるスリープモードに没入している。


 我々、機械化された人間もまた、定期的にメンテナンスを行う。

 体内ではナノロボットが稼働し、自己修復を繰り返す。

 この状態を俗に「ノンレム」と呼ぶ。

 そして「レム」状態では、有機体と同等の深い睡眠――いわゆるディープスリープを得ることができる。


 いまでは、「チョコレイトバー・ナノテク味」が、単なる栄養補給だけでなく、

 メンテナンス機能まで兼ね備えるようになった。

 このチョコレイトバーのナノテクにも、もちろん人工知能が搭載されている。

 目に見えないほど微細な構造で、

 その食感はもはや本物のチョコを凌駕していると言われる。


 不思議なものだ。

 機械を食べているのか、チョコレイトを食べているのか――自分でもわからなくなる。

 フレイバーも豊富になった。

 ウエハースのような軽い食感、クランチの歯ごたえ、あるいはガトーショコラの濃厚さまで。

 その多様さは、進化の証だ。


 そういえば、三年前に食べたチョコレイトバー・ナノテク味は、海賊版だったらしい。

 ベンゼルが渡してくれたそれは、彗國製だった。

 日本帝國製の私の機械化した身体とは互換性がなく、融合に失敗した。

 なんとも皮肉な話だ。


 東西南北の四國のほかにも、世界にはまだ見ぬ國が存在する。

 私の力は、まだ衰えてはいない。


 この三年間、皆がそれぞれに力を蓄えてきた。

「石の上にも三年」とはよく言ったものだ。

 待つこと――それもまた、時に必要な試練なのだと、かつて姉が教えてくれた。


 そして今、我々USAはその名を改め、

『USZ〝ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジパング〟』

 すなわち「日本合衆帝國」となった。


 四つの国を統合し、二十五の州を擁する新国家。

 世界の均衡を変える新たな秩序として、立ち上がったのだ。


 そこに名を連ねるのは、

 私――サラサ。

 そして、ベンゼル。

 エリザヴエッタ・ペトロヴァ。

 ルドルフ・ヴァレンシュタイン。


 この四名が、「世界新基準」として新たな舞台に立つ。


「――ゆくぞ」


 舞台は電脳世界。

 我々は、星の民の居場所を探し求め、

 静かに、しかし確かな足取りで歩き出した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ