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更紗の脈理  作者: VIKASH


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33/60

33

 



「そこまでよ」


『DIVE』の強制解除。ペティの仕業だった。


 何をしてくれる――そう思ったが、ルドルフ・ヴァレンシュタインは、どうやら味方らしい。


 ありえない。

 どういうことだ。

 そんなはずがない。


 私が無造作に言葉を並べても、誰も耳を貸そうとはしなかった。

 いや、こういう時、「相手にされない」と言うほうが正しいのかもしれない。


 ――だから言っただろう。

 その言葉の意味が、今なら少しわかる気がした。

 ルドルフの言葉とも辻褄が合う。

 彼は、ただの戦闘狂ではなかった。

 私とは違うのだ。

 改めて、自分の愚かさを思い知る。


 敵の味方は敵?

 いや、彼は――味方だった。


 そんな展開、微塵も想定していなかった。

 自分にできることなら、相手にもできるはず。

 ……ところで、ルドルフの能力は何なのだろう?


 彼の特異能力は、私のものに似ていた。

 自動翻訳と電動切り替えによる会話――そう見せかけてはいたが、実のところ私は何も理解していなかった。


 うむ、悩ましい。

 電脳化は確かに便利だ。

 だが、二十世紀以前の偉人たちは、誰もが可能性を信じ、幼少期から自らの才能を育ててきた。


 その均衡を覆した「ある男」の登場――

 だが、それを語るのは今ではない。


 私も機械化した。

 姉のようになれるのだろうか。

 彼女のように、強き心と果敢な精神を持てるのだろうか。

 もしなれるなら、そうありたい。

 だが、私は所詮、見様見真似の二番煎じなのかもしれない。


 電脳を通して過去の動きを模倣する――

 しかし、特異能力だけは再現できない。

 彼女はいったい、どうやっていたのだろう。


 不思議で仕方がなかった。


 さて――ヘリに乗り込むか。

 今やヘリも自動操縦の時代だ。

 人工知能、新世界基準。


 世界は変わった。

 私は、その光景を眼下に収め、監獄に別れを告げる。


 ベンゼル。

 エリザヴェッタ・ペトロヴァ。

 ルドルフ・ヴァレンシュタイン。


 そして私たちは、『U.S.A.(United Shadows Assembly)』――

 “影の統合議会”という名のチームを結成した。


 二番煎じにならなければいいが……。


 あれから三年。

 紀元三九九三年。


 ソサエティは壊滅。

 日本帝國は縮小。

 世界各国の動きが不穏に揺れている。


 私はまだ、動けずにいた。

 世の流れの速さが、恐ろしい。


 夜が苦手だ。

 今は小さな小屋で、四人で暮らしている。


 終末の世界で、機械に頼らぬ生活――

 理想的ではないか。


 ある音楽を聴き、心を打たれた。

 確か、あれは……思い出せない。


 戻って、ニューロフォンで聴こう。


 私はニューロウェア・インターフェースを起動する。


 《お戻りですか》

『フリードリヒ、接続してくれ』

 《かしこまりました》








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