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更紗の脈理  作者: VIKASH


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24

 



 ほう。これが西か。大帝国たるその地には、誰も足を踏み入れようとしない。


 阿呆だと思われるだろう。私は戦闘機に仁王立ちし、いままさに領空へと突入したのだから。


 向こう側の戦闘機が群れをなしてこちらへ向かってくる。


 面白い。


 たった一人に対して八機だと?


 皮肉なほどに興味深い。


 相手は私だ。


「来い」


 言い捨てると、弾丸が瞬時に私を襲った。


 快い感触だ。


 弾をも弾く肉体というのは。


 あれから二週間か。


 日本帝國は領土を拡大している。


 表面上は政治は良好に見える。


 だがそれは氷山の一角にすぎない。


 その奥底でどんな犯罪が行われているか、今の私には知る由もない。


 これはもはや戦いではない。


 戦争だ。


 勝ち取ってみせる。


「飛車」


 私は真上へ跳び、戦闘機同士の衝突をかわした。


 西の五機はV字を描き、編隊を組んでいる。


 まずい、と直感した。


 空を弾丸のように飛びながら、朝日が眩しく刺す。


 姉よ、これを見せてやりたい。


 さて、西の民たちだ。


 どうしてやろうか。


 尋問するか?


 ふふ、悪くない考えだ。


「おい、指導者はどこにいる?」

「ひ、ひええ」


 ほう、よほど怯えているようだな。


 パラシュートを持っているようだ。


 私は“角”の怪力で、その降下者のパラシュートを意図的に作動させ、操縦士を助けてやった。


 まだ四機残っている。


 さて、次はどうするか。


 簡単だ。約束は守る。危害は加えぬ。


 遊覧飛行でもしてやろうか、とな。


 ふふ、やってやるさ。


 思わず笑みが零れる。


 私は操縦士たちの脳内へ「DIVE」した。


 こ、これは……?


 DIVE阻止か。


 西は相当に技術が進んでいるらしい。


 何も見えない――どういう策だ?


 まさか視界を遮っているのか。


 電脳化における工夫だろう。


 記憶を司る海馬へ、手動で電極を差し込み「DIVE」を解除する。


 あるいは「DIVE」を阻止する。


 そんな可能性があるとは思っていたが、ここ数年の技術か?


 動くオーパーツが存在するとは思わなかった。


 仕方ない、やってやる。


「香車」


 操縦席のキャノピーを裂こうとしたが、開かない。面倒だ。


 駄目か。


 ならば不足はあるまい。


 私は左腰の鞘に手をやり、刀を抜いた。


 これは変形する刀、『日ノ刀・怪』だ。


 殺すつもりはない。約束だ。


 だがエンジン系統、そして主翼は斬っている。


「ゆく」






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