表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
更紗の脈理  作者: VIKASH


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/60

21

 



 運び屋は便利だ。金さえ払えば、南まで物資を運んでくれる。

 ちなみに一日も帰っていないが、ソサエティの連中が元気でやっているといい。


 さて、仕事の時間だ。出かけるとしよう。


 空を飛び、人々を救う。

 誰かが私のことを“ヒーロー”と呼んだ。

 ――何を言う、殺戮者のくせに。


 助けているんじゃない。

 命乞いをさせたいだけだ。

 さあ、面を上げろ。


 ショウタイムだ。


「何者だ」


 喋るわけにはいかない。

 音声から身元を割り出される。

 なぜ南の指導者が東の人々を救っているのか――疑問は残るが、話は後だ。

 まずは、芥を片付ける。


「チェンジ」


 なるほど、こう使うのか。

 相手は何者だ。教えてくれ、星の民よ。


『歩である』


 量産型か。

 面白い。


 何か企みがあるのか?

 ……でなければ、「何者だ」だと?

 ふざけた真似をしてくれる。


 私を誰だと思っている。

 私こそが――サラサだ。


「なんだ、そのふざけた声は」


 芥が何か言っているな。

 声は変更しておいた。

 これなら正体は割れまい。

 ……実は酒男の声にしておいたんだが、どこへ行った?


 完全に行方をくらましたか。

 いや、逃げた――と言うべきだな。

 性根の腐ったやつだ。


「と金」


 なんだ――?


 顔面に、力強い一撃を正面から食らった。


 ……視界が歪む。顔のパーツがいかれてる。

 しまった、運び屋はまだか。


 腹、腕、脚――

 順に損傷を受けた。


 たまったもんじゃない。

 こっちは上物を使ってるんだ。

 量産型と一緒にしないでほしいな。


 ――ああ、もう聞こえないか。

 一撃で十分だ。


「玉」


 相手が吹っ飛ぶのが見えた。

 お、ホームランか。

 いや、ハットトリック?

 ……いや、一人だけだ。しかも損傷がひどい。

 オウンゴールだな。


「奪おうぜ」


 子供の声か。

 最近は、子供の間で機械化パーツを改造するのが流行っているらしい。

 無法地帯だ、仕方ない。


 さっきのも子供だったか。

 ……くれてやる。

 もってけ、泥棒。

 私みたいな嘘つきにはなるなよ。


「あざっす」


 まだ損傷はひどい。顔もぐしゃぐしゃだ。

 どうやら脳だけは機械化できないらしい。

 それも当然か。星の民以外は解明できていないのだから。



『黙せよ』


『……わかった。録音を停止する』






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ