表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
更紗の脈理  作者: VIKASH


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/58

18

 



 流れに身を任せればよかったのだ。

 抗う必要などどこにもない。そのまま「玉」を放った。おそらく「玉」は特異能力ではなく、「DIVE」特有のコマンド──技だと相手は考えているだろう。相手の心の内は読めなくとも、私の心は私が一番よく知っている。


 前撃の勢いそのままに私は突っ込んだ。酒男めがけて「玉」を投じる。すると「DIVE」から酒男の姿が消えた。残るは馬男だけだ。貴様ひとりになるな、相手をしてやる。


 さあ、来い。どう出る?


『哉』


 ん? 何だ今の声は──これは堪えられん。どんな筋力だ。刀の振りが速すぎる。


 一、二、三。左、右、上。しまった、考えている間に遅い。前蹴りが腹に入る。


 痛い。融合率が高いからだろう。下げるか。しかし下げれば身体能力も落ちる。三段蹴りは強力だ。少しは相手も怯んだに違いない。ならば、姉のような殺戮者の真髄を見せよう。私にしかできないことを、私だからできることを、やってみせるのだ。


 さあ、もう一度だ。馬男、来い。


 四本脚で走るその姿を、私は視認していた。


『うぐっ』


 何だこれは。何もしていないぞ。現実世界だ。現実で酒男が攻撃を仕掛けているに違いない。迂闊だった──これが狙いか。どうする? 両方を相手にするなど不可能だ。


 そうか、わかった。「男」だな──しかし「哉」とは何だ、わけがわからん。教えてもらうまでやめられん。


 来た。

 一、二、三。右? 振りかぶって右? また右だと? なぜだ、からかっているのか? 不手際にもほどがある。左が丸裸だ。


「わからないのか。左に何がある哉」


 どういうことだ。張り上げたい衝動を抑え、私は冷静を装う。冷静に勝るものはない。ようやく喋ったかと思えば「左」と言う──ええい、叩き切ってやる。


 まさか、相互作用か。左……そういうことだったのか。この男こそ、東の指導者に違いない。南が殺戮者なら、東は──


「いつからだ」


「先刻からである哉」


 面白い。殺戮者を楽しませてくれる。私は強制的にDIVEを解除した。現実世界で、機械化した体に問題が発生したのだ。


 参った。何もできないとはこのことか。酒男が私の首を掴み持ち上げる。憎い、苦しい。


 その位置は、「左」だった。


「連れてけ」


「へい」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ