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次々と無数の斬撃が降り注ぐ。
今しがたの男と、人間の胴体を持つ四本脚の馬──それらに私は囲まれていた。再生を拒んでいるのか。もし再生を拒むのだとしたら、貴様は何者だ? 馬にも人間にも似たその姿は、本当に忌まわしい。
DIVEの実際の融合率を上げる。たとえば融合率を上げれば機動力が増し、現実離れした動きが可能になる。あの銀か金かの男も、きっと融合率を上げていたに違いない。
私はただ、それを真似しただけだ。針の穴を通すように刀をかわす。相手の表情がわずかに歪むのが見えた。
そうか、悔しいのだな。わかる、気持ちはわかる。まさか顔面に三発も蹴りが入るとは思うまい。
私は飛んだ。綺麗なバック宙で刀を躱す。
「なに」と囁く声が聞こえる。ここは舞台ではない、戦場だ。あの酒の男は何をしている? 何もしてこない。ならば、こちらが動こう。
馬男に三発の蹴りを叩き込む。男が唸るのがわかる。
はは、そういうことか。馬よ、ついてこれるか?
速度が上がれば、天井すら歩ける。馬はついて来られない。私は含み笑いを漏らし、腹を押さえつつ酒の男に手を翳した。
『玉』
決まった。そう思った。だが酒の男は、DIVEの融合率が高い私より速かった──それに、驚かされたのだ。
素晴らしい。殺戮者として血が滾る。ああ、ゾクゾクするぞ。もっと私を楽しませろ。あの体で突進でもされたら、ただでは済むまい。しかも、刀の太刀筋──どれも見事だ。
『刀』
刀を形成する。もう一本欲しい。左手と右の腰に予備として付け加えた。これで十分だろう。
あの酒男と馬男はどうするつもりか。どちらかが東の指導者に違いない──生け捕りにする、そう確信して私は刀身を向け、馬男とやり合った。
面白い、なぜ鞘を使う? 相手にならないと言いたいのか。だが相手は鞘で刀を受け止めている。目的は何だ、何を企んでいるのか。
すると相手は逆手で鞘を思い切り押しのけてきた。私がよろめいたところへ、馬の二本足が前蹴りを浴びせる。
DIVEの融合率が高ければ身体能力も上がる。しかし同時に、痛みも現実のように感じるのだ。
さあ、どうする。




