第9話「追手の罠と、裏切りの魔術師」
【あらすじ】 ステラと大河が次に訪れたのは、魔術師たちが集う街。ギルドで、彼らは「街を混乱させる、心を操るモンスターの討伐」という依頼を受ける。しかし、これは、ステラをおびき寄せるための罠だった。依頼主は、ステラと同じ「心の魔法」を研究する、狡猾な魔術師。彼は、人々の恐怖心を操ってモンスターを生み出し、ステラを陥れようと企む。ステラは、モンスターと戦いながら、追手である魔術師と、彼が仕掛けた罠を打ち破る必要がある。
次にステラと大河が訪れたのは、魔法の光が街全体を包み込む、魔術師の街だった。街の通りには、様々な魔法の道具を扱う店が並び、人々は魔法を日常的に使っていた。だが、その光の裏側で、人々は些細なことで互いを疑い、不穏な空気が街を覆っていた。
ギルドの依頼は、「街を混乱させる、心を操るモンスターの討伐」。依頼主は、この街で名声を得ている、若く才能ある魔術師だった。
「この街に現れたモンスターは、人々の心に恐怖を植え付け、互いを疑心暗鬼にさせている。君のような若者が、このような依頼を…?」
魔術師は、ステラの魔法の噂を聞きつけ、彼女をおびき寄せるために、この依頼を出したのだ。彼の心から発せられる感情は、信頼ではなく、探求心と、そして狡猾な罠の気配だった。
ステラと大河が依頼の現場へ向かうと、モンスターは、人々の恐怖を具現化した「幻覚」を見せて、二人を惑わした。目の前には、故郷の村人たちが、恐怖に満ちた目で彼女を罵る幻覚が現れる。
「お前のような魔女は、いらない…!」
幻覚に、ステラの心が揺らぎかける。
「これは…自然に生まれたものじゃない…!」
ステラは、モンスターの感情が、どこか人為的に作られたものであることに気づいた。
「素晴らしい! やはり君の魔法は、心の状態に大きく左右されるようだ!」
その時、依頼主の魔術師が姿を現した。彼は、ステラの魔法を分析し、その特性を理解しようとしていたのだ。
「私の魔法は、人々の心を操り、恐怖を生み出すことができる。私が君の心に恐怖を植え付ければ、君は、何も具現化できなくなる!」
魔術師は、人々の恐怖心を操り、ステラの心に強い恐怖を植え付けようとした。 ステラは、過去の経験から、心が不安定になると魔法が使えなくなることを知っていた。彼女の顔色は、みるみるうちに蒼白になり、魔法を具現化できないまま、その場に立ち尽くした。
「ステラ!」
絶体絶命のピンチに、大河が立ち向かう。彼は、魔術師の魔法で具現化された幻覚を、自身の力で打ち破り、魔術師に攻撃を仕掛けた。 大河の行動を見て、ステラは、恐怖に打ち勝つために、自身の心を「勇気」で満たした。
(怖い…でも、私はもう、一人じゃない!)
大河がそばにいる。その事実が、彼女の心に勇気の光を灯した。
「心の力よ…勇気を具現化せよ!」
ステラの掌に、勇気の光が集まり、剣の形を成した。
ステラの「勇気の剣」は、恐怖を打ち破り、モンスターを浄化していく。モンスターは悲鳴をあげ、消滅した。 魔術師は、ステラの魔法が、彼の想像を遥かに超えるものだと知り、退散していった。
「まさか…恐怖を上回る勇気を具現化するとは…! だが、必ず、その力を手に入れてみせる…!」
ギルドで報酬を受け取るステラと大河。
「私の魔法の特性が…もう、知られてる…」
ステラは、自身の魔法を狙う追手が、一人ではないことを知った。彼らは、彼女の力を研究し、その弱点を探っている。
「大河…もっと、気をつけないと。」
大河は、警戒するように唸った。 二人の旅は、ただのモンスター討伐ではなく、命をかけた逃亡の旅へと、さらなる局面を迎えていた。