第16話「復讐の魔術師と、憎悪の傀儡」
【あらすじ】 三人が次に訪れたのは、かつてルナが住んでいた街。しかし、街は、ルナの魔法の暴走で傷つけられた人々が、彼女への「憎悪」を募らせ、不穏な空気に満ちていた。そこに、ルナの力を狙う魔術師が現れる。彼は、人々の憎悪を操り、ルナの過去を具現化した「憎悪の傀儡」を作り出す。ステラと大河は、モンスターと化した魔術師と、ルナの心の闇と向き合うことになる。
ルナの故郷である街は、不穏な空気に満ちていた。人々の視線は、ステラたちに向かって、憎悪と警戒を露わにしている。ルナは、故郷の人々の視線に怯え、心を閉ざしてしまった。
「…やっぱり、私…ここにはいられない。」
ルナがそう呟くと、そこに、ルナを追っていた魔術師が現れた。彼は、ルナの魔法の暴走で、大切な人を失った過去を持つ、復讐を誓う魔術師だった。
「ルナ…お前がここにいると聞いてな…!お前がこの街に与えた苦しみ、償ってもらうぞ!」
魔術師は、人々の憎悪を操り、ルナの過去の出来事を具現化した「憎悪の傀儡」を作り出した。
傀儡は、ルナが魔法を暴走させて、街を破壊する光景を再現し、ルナの心に恐怖と後悔を植え付けようとする。
「やめて…!見ないで…!」
ルナは、その光景から目を背け、魔法が暴走し始める。ステラは、ルナの暴走を止めようと、彼女の心に触れる。しかし、ルナの心は、憎悪と後悔で満たされており、ステラの魔法でも、それを浄化することができない。大河もまた、ルナを助けようとするが、傀儡の攻撃に阻まれ、ルナのそばに近づくことができない。
「ルナ!目を覚まして!」
ステラは叫んだ。そして、ルナの心に深く入り込み、彼女の魔法の暴走の真の原因を知る。それは、彼女の力の暴走で、大切な人を傷つけてしまったという「後悔」だけでなく、その人を救えなかった「無力感」からくるものだった。
「ルナ…無力感に、負けないで!希望を…希望を想像して!」
ステラの言葉に、ルナは、自分の弱さと向き合う決意をした。
(私は…無力じゃない!大切な人を守れなかった過去に…もう、負けない!)
ルナは、自らの意思で「希望」を具現化した。
ルナの掌から放たれた光は、彼女の心の闇を払い除け、憎悪の傀儡を浄化する。
「まさか…自らの意思で、希望を具現化するとは…!」
復讐の魔術師は、ルナの力の可能性に驚き、退散していった。街の人々は、ルナがモンスターを浄化したことで、彼女を許し、受け入れた。
「…ありがとう。もう、怖くない。私たちは、あなたのことを、忘れていなかったから…。」
ルナは、故郷の人々に別れを告げ、自分の力を完全に制御するために、ステラと大河との旅を続けることを決意した。
「ステラさん、大河…ありがとう。もう、怖くないよ。自分の力と、向き合っていくから。」
ルナの目に、強い決意の光が宿っていた。
三人の旅は、憎悪を乗り越え、新たな絆を築きながら、続いていく。