第15話「見えない糸と、心の檻」
【あらすじ】 三人が次に訪れたのは、人々の心が、強い「嫉妬」に満ちた街だった。ギルドの依頼は、街の支配者である富豪の心を蝕む「嫉妬の怪物」の討伐。この怪物は、富豪の心を「嫉妬の檻」に閉じ込め、彼を操っていた。ステラは、いつものように魔法でモンスターと戦おうとするが、ルナは、ステラの魔法が通用しないことに気づく。ルナの魔法は、心の「繋がり」を具現化する力を持つことが判明し、彼女の魔法で、富豪の心を解放しようと試みる。
ステラ、大河、そしてルナの三人は、貧富の差が激しい、大きな都市にたどり着いた。街全体が、富裕層に対する強い「嫉妬」の感情に満ちており、不穏な空気が漂っている。
ギルドの依頼は、街の支配者である富豪の心を蝕む「嫉妬の怪物」の討伐だった。
「富豪様は、見えない檻に閉じ込められ、苦しんでいらっしゃる。どうか、彼を救ってほしい。」
富豪の執事が、そう言って、深々と頭を下げた。
三人は、富豪の屋敷へと向かった。屋敷の奥にある書斎で、富豪は、見えない「嫉妬の檻」の中に閉じ込められ、苦しんでいる。
「う…あああ…!」
富豪の体から発せられる「嫉妬」が、ステラの心に流れ込んできた。それは、街の人々の感情と富豪自身の感情が混ざり合い、強烈な力を放っていた。 ステラは、魔法で「嫉妬の檻」を破壊しようと試みる。しかし、富豪の心から発せられる「嫉妬」が、ステラの魔法を弾いてしまう。
「だめだ…心が強すぎる…」
ステラが苦しんでいると、ルナは、富豪の心と、モンスターの間に、見えない糸のような「繋がり」があることに気づいた。
「ステラさん…!この人と、モンスターの間には、見えない糸で繋がってる…!」
ルナは、ステラにそう告げると、自分の魔法を使い始めた。 彼女の魔法は、ステラのように物理的なものを具現化するのではなく、心の「繋がり」を具現化する力を持っていた。 ルナが魔法を使うと、富豪の心から、細く、透明な糸が具現化され、空中に漂う。その糸は、街の人々の心から伸びる糸と絡み合い、一つの大きな塊となっていた。
「見つけた…!」
ルナは、富豪の心とモンスターを繋ぐ糸をたどり、モンスターの居場所を突き止めた。 モンスターは、街の人々の嫉妬の感情を吸収して、巨大な姿へと成長していた。
「大河、行くよ!」 ルナがモンスターの場所を指し示すと、大河は、一気にモンスターに駆け寄った。 ステラは、モンスターに物理攻撃を仕掛ける。大河もまた、ステラをサポートする。 しかし、モンスターは、人々の嫉妬を吸収して、巨大な姿へと成長している。
「ルナ!糸を断ち切って!」
ステラが叫ぶと、ルナは、富豪の心とモンスターを繋ぐ糸を、魔法で断ち切った。
糸が断ち切られたことで、モンスターは力を失い、弱体化していく。 ステラは、その隙に、モンスターに魔法で「満足」を具現化し、とどめを刺した。 モンスターは、悲鳴をあげ、消滅した。
依頼は完了し、富豪は「嫉妬の檻」から解放される。彼は、ステラと大河、そしてルナに深く頭を下げ、感謝を述べた。
「…おかげで、私は、自分の嫉妬と向き合うことができた。ありがとう…」
ギルドで報酬を受け取るステラと大河。
「私の魔法…誰かを救うことができる力だったんだ…!」
ルナは、自分の魔法が、誰かを救うことができる力だと知り、自信を取り戻した。 ステラは、ルナの魔法が、心の「繋がり」を具現化するという、自身の魔法とは異なる性質を持つことを知った。
「私たちの魔法は、違うけど…きっと、お互いを助け合える。」
ステラの言葉に、ルナは、笑顔でうなずいた。
二人は、ルナの新たな可能性を見出し、これからの旅が、より複雑なものになることを予感する。 三人の旅は、新たな局面を迎えていた。