第14話「三人の誓いと、新たな旅」
【あらすじ】 ステラ、大河、ルナの三人は、追手から逃れるために、人里離れた森の中を旅していた。ルナは、ステラと同じ「想像の具現化」の魔法を使うが、彼女の魔法は、ステラのようには安定していない。ステラは、ルナに魔法の使い方を教え、彼女の心を安定させる手助けをする。大河は、二人の間に立ち、彼らの心を癒す役割を果たす。三人は、それぞれの目的を共有し、力を合わせて追手と戦い、自身の力を制御することを誓う。
「叡智の図書館」での一件以来、ステラ、大河、ルナの三人は、追手から逃れるために、人里離れた森の中を旅していた。ルナは、ステラと同じ魔法を持つことに、喜びと同時に、不安を感じていた。
「ねえ、ステラさん。私の魔法、あなたみたいに上手く使えないの。」
ルナは、そう言って、手のひらに光を灯そうとするが、すぐに消えてしまう。
「魔法は、心が安定していないと、上手く使えないから。」
ステラは、ルナに優しく語りかけた。
「私も、最初はそうだった。心を落ち着かせて、想像することに集中するの。」
ルナは、ステラの言葉に従い、再び光を具現化しようと試みた。しかし、彼女の心に巣食う「恐怖」と「後悔」が、魔法の安定を妨げる。
「…だめだ。やっぱり、怖い。また、あの時みたいに、暴走しちゃったら…」
ルナの目に、涙が浮かんだ。彼女は、自分の力の暴走で、大切な人を傷つけてしまった過去を思い出していた。
その時、大河がルナにそっと寄り添い、彼女の頭に鼻先をつけた。大河の体から、温かい力が流れ込み、ルナの心に安らぎを与える。
「…温かい…」
ルナは、驚いたように大河を見つめた。
「大河は、心を癒す力を持っているの。私が魔法を使いすぎた時も、いつも助けてくれるのよ。」
ステラの言葉に、ルナは、もう一度、魔法を試してみることにした。 今度は、心が穏やかになり、彼女の掌に、小さな光の玉が具現化された。
夜、三人は焚火を囲み、それぞれの旅の目的を語り合った。
「私は、自分の力を制御して、故郷に帰りたい。そして、もう二度と、大切な人を傷つけたくないの。」 ルナが、震える声で言った。
「私は、自分の力を完全に制御して、追手から逃げ続ける日々を終わらせたい。そして…いつか、故郷に帰りたい。」
ステラは、ルナの言葉に、自分の思いを重ね合わせた。 大河は、二人の言葉を聞き、静かにうなずいた。彼は、二人の故郷への帰路を、命をかけて守り抜くことを、心の中で誓っていた。
夜が明け、三人は再び旅を始める。 ルナは、ステラという、同じ目的を持つ仲間を得たことで、魔法の練習を続ける。
「大丈夫。一人じゃない。みんなで、一緒に帰ろう。」
ステラの言葉に、ルナは笑顔でうなずいた。 彼らの旅の目的が明確になったことで、三人の表情には、これまでの不安はなく、強い決意が宿っていた。 三人の新たな旅が、ここから本格的に始まる。