第12話「約束の地と、新たな旅路」
【あらすじ】 ステラと大河は、ついに「叡智の図書館」へとたどり着く。そこは、膨大な知識が眠る場所だったが、同時に、ステラと同じ「心の魔法」を操る者が、過去に存在した証も残されていた。しかし、図書館には、ステラの魔法の力を狙う、追手の魔術師が先に待ち伏せしていた。ステラと大河は、魔術師の罠を打ち破り、図書館の奥にある「心の魔法」の真髄に触れる。そして、魔術師との対峙を通して、彼らの旅が、単なるモンスター討伐ではない、大きな戦いへと発展していくことを知る。
長い旅路の果て、ステラと大河は、ついに伝説の「叡智の図書館」へとたどり着いた。それは、巨大な城のような建物で、人々の歴史や知識が全て収められているかのような、荘厳な雰囲気をまとっていた。図書館の中は、静かで、まるで時間が止まっているかのように感じられた。
ステラは、図書館に眠る「知識」から、彼女と同じ「心の魔法」を操る者が、過去に存在した証を見つける。それは、彼女が孤独な存在ではないことを示唆し、ステラの心に希望の光を灯した。
しかし、図書館の奥へと進むと、第9話でステラを罠にかけた魔術師が待ち伏せていた。
「まさか、君がここまで来るとはな。しかし、私の勝ちだ。」
魔術師は、ステラがこの場所に来ることを予測しており、図書館の知識を利用して、強力な魔法を準備していた。
「君の魔法は、心の状態に大きく左右される。だから、君の心を、何も想像できない虚無で満たしてやろう!」
魔術師の魔法が、ステラの心に流れ込んできた。彼女の心は、徐々に色を失い、何も感じられなくなる。
「…何も…ない…」
魔法の力は失われ、彼女は絶望の淵に立たされた。
その時、大河がステラの心に触れた。大河の体から、温かい力がステラの心に流れ込み、彼女を虚無から引き戻そうとする。
「…大河…!」
ステラは、大河の存在、そしてこれまでの旅で出会った人々の笑顔を思い出した。後悔から解放された依頼主、傲慢さを認めた騎士、嘘を暴かれた少女、そして夢から覚めた家族…
「私の心は、虚無なんかじゃない…!」
ステラは、虚無を打ち破るために、魔法で「絆」を具現化した。
ステラの「絆」の魔法は、温かい光となって、虚無を打ち破り、魔術師の魔法を無効化した。
「まさか…虚無を打ち破る、絆の力だと…!?」
魔術師は、ステラの力の可能性と、大河との絆の力を目の当たりにし、敗北を認めて退散した。
「今日のところは引き下がろう。だが、必ず、その力を手に入れてみせる…!」
魔術師が去った後、ステラは図書館の奥にある、最古の書物を見つけた。 そこには、自身の魔法の起源と、廃人化の危険性を克服する方法の一部が記されていた。 彼女の魔法は、心の状態が安定すれば、無限の力を発揮できる。そして、大河は、彼女の魔法を安定させるための、唯一無二の存在だったのだ。
「大河…ありがとう。」
ステラは、大河の頭を優しく撫でた。
ギルドで依頼完了の報告をするステラと大河。
「私たちの旅の目的は、この図書館にたどり着くことじゃなかったんだね。」
「…」
大河は、彼女の言葉に、静かにうなずいた。 彼らの旅の本当の目的は、彼女自身の力を完全に制御し、そして、力を狙う追手たちと戦うことだと、明確になった。
二人は、新たな目的を胸に、旅を再開した。 遠く、彼らの旅を見つめる影が、二人の旅の始まりを、静かに見守っていた。