第11話「絶望の砦と、希望の光」
【あらすじ】 ステラと大河は、「叡智の図書館」への道中、巨大な砦にたどり着く。その砦は、かつて多くの人々が希望を抱いて集まった場所だったが、今では、夢破れた人々の「絶望」が具現化したモンスターによって占拠されていた。モンスターは、人々の心に絶望を植え付け、抵抗する力を奪っていた。ステラは、モンスター討伐のため、絶望に満ちた砦を、魔法で「希望の光」で満たそうと試みる。
叡智の図書館を目指す道中、ステラと大河は、巨大な砦の廃墟にたどり着いた。その場所は、かつて多くの人々が希望を抱いて集まった場所だったが、今では、誰も近づこうとしない「絶望の砦」と呼ばれていた。
砦に足を踏み入れると、全身を重く圧迫するような「絶望」の感情に満ちた空気に包まれる。
「…この場所、たくさんの絶望を感じる。」
ステラがそう呟くと、大河が警戒するように唸った。この砦に現れたモンスターは、人々の心の絶望を糧に、無限に力を増していくという。
砦の奥へ進むと、ステラと大河は、砦全体を覆うほど巨大な、不定形のモンスターと対峙した。それは、無数の悲鳴や泣き声が混ざり合い、見る者の心を絶望させる醜悪な姿をしていた。 モンスターは、ステラと大河の心に、これまで経験した絶望を再生する幻覚を見せる。 ステラの目の前には、魔法が暴走し、故郷の村人たちが恐怖に怯える姿が映し出された。
「私の力は、みんなを不幸にする…」
「私は、この力を制御できない…」
絶望の幻覚が、彼女の心を蝕んでいく。
その時、大河がステラの絶望に呼応するように、彼女のそばに駆け寄った。彼は、モンスターの絶望の感情を、自身の力で食い止める。
「大河…!」
大河の行動に、ステラは、絶望に打ち勝つために、自身の心を「希望」で満たすことを決意した。 (私はもう、一人じゃない。大河がいる。そして、私の力は、誰かを傷つけるだけじゃない。誰かを救うことができる…!) ステラの掌から、まばゆい光が放たれた。それは、人々の心に希望を灯す、温かい光だった。
ステラの「希望の光」は、砦全体を包み込み、モンスターの絶望を浄化していく。 モンスターは、悲鳴をあげ、体が霧のように薄くなっていく。 ステラは、弱体化したモンスターに、魔法で「光の剣」を具現化し、とどめを刺した。 モンスターは、悲痛な叫びをあげ、光の粒となって消滅した。 絶望に満ちていた砦は、希望の光で満たされ、まるで、何百年も眠っていた建物が、目を覚ましたかのようだった。
依頼は完了し、ステラと大河は、旅を続ける。
「私の魔法…絶望を打ち破る、希望の力を持っていたんだね。」
ステラは、自分の魔法が、誰かを救うだけでなく、彼女自身を救う力でもあると確信した。 二人は、叡智の図書館へ向かう旅の途中で、自身の魔法と、大河との絆の力を再確認した。
遠くの空に、ステラたちを監視しているかのように、一羽の黒い鳥が舞っていた。 その鳥は、魔術師の街でステラを罠にかけようとした、若き魔術師の使い魔だった。
「ほう…絶望を打ち破る希望の力、か。面白い…」
魔術師は、冷酷な笑みを浮かべ、ステラと大河の動向を追っていた。