冷や水はいらない
俺を殴れ殴ってみろと
クソ野郎が叫んでくれれば楽ですよ
カァっと切れて拳を振り上げ
戸惑うことなく振り下ろし
そして雨でも降ればスカッとしますよ
けれども殴れるほどのクズはいない
早々そんな人には出会わない
いやでもいるかもしれないけれど
そんなクズに僕は気付かず生きている
つまりは殴る資格もないわけよ
大事な人がいたとして
その人のことを思い返したとして
そして大事なことに気が付いたとして
そんでまだ間に合うとか思ったりして
雨の中を走り出したりしたいんですよ
けれども大事な人は特にいない
思い返したとしても気付かない
気付いたとしても諦める
間に合うかもとか思っていても走らない
現実に降る雨はただただ冷たいわけよ
本当は怒りでも、愛情でも、何でも良くて
感情に溺れれば身体なんてどうでもいい、と
すべてを衝動に任せてみたい
土砂降りの中で慟哭するように、映画みたいな、
でも多分、風邪ひきそうとか、考えちゃうんですよ