闇の中の絶望
平日の真っ昼間地下鉄に乗っている乗客は僅かだった。
電車が地下500メートル以上ある国内で一番深い所に造られた駅に到着した時、凄まじい揺れが電車と電車に乗っている乗客乗員を襲う。
駅から伸びる2本のトンネルと地上に向かう階段やエスカレーターは土砂で埋まり、地下鉄の乗客乗員と駅で電車を待っていた僅かな人達が構内に閉じ込められた。
地震発生から4週間後。
地下鉄の駅を塞いでいた土砂の1部が取り除かれる。
地下鉄の駅を土砂で埋めた原因である地震のあとも繰り返し起こる余震の為、救出作業も刻刻と進まず4週間も掛かってしまったのだ。
救助隊員が真っ暗な駅の構内に呼びかける。
「誰かいますかー!」
地震発生から4週間も経過しており、閉じ込められた人達の安否は絶望的。
救助隊員が呼びかけてから数分、真っ暗な駅の奥から数人の者が駆け出してきて救助隊員たちに襲いかかる。
それは待てども待てども救助隊が現れず、スマホの電池が切れた後は真っ暗な闇のなかに閉じ込められ、空腹と絶望から狂い食料を求めて互いに殺し合い、文字通り弱肉強食の世界を生き残った狂人たちだった。