表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第四話 異世界の実感

「起きてすぐあんなことがあったから流していたけれど、本当に知らない世界に来ちまったんだよな」


これが夢ではなかったことに対して大きなため息をつく。

とりあえず状況を整理したいところだ。

まず、ここは異世界なのだろう、魔道具など明らかに現実には無いものがあることによって確信した。

元の世界に居たときは異世界系などのジャンルの本は好きでたまに読んでいた

まあ自分がそれを体験するとは思っても見なかったけど。

だが、それは一番驚くべき事では無いな、問題はこのコッペパンだ、さっき大部分をちぎったがもう完全に再生している。これも「最強武器」とかいうやつだからか?

っていうかこのコッペパンめっちゃ強かったりするのでは?

最強武器として召喚されて、王国側が100リュサを出してでも手に入れたがるんだ、まあ本体じゃない方を渡したんだけど・・・

本体じゃない方?

あれ?本体じゃない方を渡したって結構やばくないか?

もし、本体ではないことがバレたら間違いなく、国近衛兵隊とか名乗ってたやつはコッペパンをまた取りに来るだろう。

それまでにこの国から逃げなければ。近場の国を把握するために地図でも買いに行こうか

そうして俺は本屋のようなところに行った。


「地図は売っていますか?」


本屋(?)に居たいかにもって感じのおじいさんに聞いてみた。

「そんな高価なもん売ってるわけないだろう!難癖でもつけに来たんか!」


地図が売っているか聞いただけなのにそんな言い方はないだろう。


「いえ、なにぶん田舎者なもんで。何か癪に触るようなことを言ったのであれば申し訳ない」


一応誤っておいた。


「なんだ、そういうことか。いいか、地図ってもんは高いから王都くらいでしか売っとらんのや」


「ここって王都じゃないんですか?」


俺を召喚した場所だしお城もでかいからここが王都だと思っていたが…


「キロトルは結構栄えてはいるが王都ほどじゃあないわ」


ここってキロトルって場所だったのか。


「王都にはどうやって行くんですか?」


「ここの店を出てすぐの門から南に進んでいけば王都につくさ。道ができてるからそこに沿っていけばいいんだ」


ありがたい。一刻も早くこの町から逃げたいからな。

ふと疑問が浮かぶ。


「王都にもお城ってあるんですか?」


「あるぞ。キロトル城の数倍はでかいな」


あの城よりでかいってなると相当だぞ。ただでさえトーキョーディ●ニーランドの●ンデレラ城以上あるのに。なんちゃらマウスもびっくりだぞ。

話だけ聞いて何も買わないで出ていくのも悪いしな、少し何か買うとするか、ふと店舗を見渡すと服や肩にかけるバッグのようなものなど色々なものが置いてあった。

外から見たら沢山本があって本屋に見えたけど雑貨屋的な場所だったのか

それなら服を買わせてもらうか、実は会社に行く途中に召喚されたせいで、今はスーツ姿だったのだ。この世界にはスーツがないのか、通行人に変な目で見られた。


「おじさん、これと、これと、これ何リュサで買えますか?」


白いシャツと、赤の羽織、黒いズボンを指さした。


「それなら全部で9リュサで買えるぞ」


まあ今は100リュサあるし買うとするか。おじさんに服を渡し、リュサを通貨(リュサ)(リア)から支払う。その後、店の端にあった試着室で服を着替えた、片手にはコッペパンがあるから少し着るのに苦戦した。

お、意外と丈夫そうな服だ、素材は糸で作られているようだった、この世界に蚕とかいるのか?分からないことばかりだ

今はこの世界についての知識が欲しい。

この店には本が置いてあった、そこから見繕って買うとしよう。

試着室から出て、本を漁っているとふと、ある単語が目に入る。


[魔物]


手にとってみる。

表紙には[キロトル周辺生息魔物図鑑]と書いてあった。


「おじさん!この世界には魔物がいるのか?」


「そりゃいるに決まってるだろ、田舎は魔物も出ないんか?」


まあ異世界でかつ武器もあるなら、いてもおかしくはないと思ってはいたが。

安全のため、とりあえずこの本は買うことに決めた。

あとは、食べ物についての本とかが欲しい、コッペパンは腹には溜まるが、味がしないからな。

今後はしっかりしたものが食べたい。

まあ、この世界の食べ物が美味しいと決まったわけではないけど。

そんなことを考えながら探していると。


「お、あった」


[キロトル周辺採取可能食物図鑑]


題名的にさっきの魔物図鑑の著者と同じだろう。

とりあえずこの2冊を買うことにした。


「2冊で30リュサだ」


「さ、30リュサ?!」


ありえない値段に驚く、だって本2冊だぞ

服を買っても9リュサなのに。


「なんでそんな驚いてんだ?まさか田舎は印刷が簡単にできたりすんのか?」


「まあ、出来るけど」


「どうなってんだ最近の田舎は、もはや王都越えてるじゃねえか」


そうか、この世界は印刷が十分に出来ないから地図や本が高いのか。


「そういえばおまえさん、王都に行くんだよな?」


「はい。王都に興味がありまして。」


てきとうにつなげておく。


「行くとしたら2日後にしとけ、ここから王都まで3日かかるが、明後日は年に一度の新月だから魔物が大量に出るぞ」


そういう忠告を受けた。


「じゃあ2日後にします。ご忠告感謝します。」

そうお礼を言ってその場を後にした。


「この世界の物価がわからないと困るな。市場にでも行こうかな」


市場につき物価を調べることにした。どうやら1リュサは日本円にして1000円くらいらしい。

ってことは100リュサって10万円?つまり俺は伝説の武器を10万円で売ったってこと?


「オゥマイガッシュ!!」


やってしまった!伝説の武器が10万⁉この世界の相場を知らなかったとはいえ1000万円くらいにしてもよかったんじゃないか!?

クッソ騙された。別にあいつらがだましたわけじゃないけどさ。教えてくれたっていいじゃないか。ちきしょう

落ち着け俺。一回整理しよう。結局あいつらに渡したのは、伝説武器でもないただのコッペパンだ。それで10万円だ。圧倒的にこっちが得してるはずだ。うん。そうに違いない。

他に分かったのは、リュサだけがこの世界の金の単位じゃないってことだ。

一番小さい金の単位が “カタン”で1カタンが日本で言う10円。10カタンが100円で100カタンが1リュサ。つまり1000円。っていうことらしい。リンゴが1個15カタンだったから大体あってるはずだ。

1円の単位はないっぽい。


「なんとなくこの世界の金の仕組みがわかってきたぞ。」


俺は市場で食料を買った。そして明後日の王都に向けての旅の準備をしておいた。

宿屋についてからご飯を食べてベッドに飛び込んだ。


「今日は今日で疲れたな。」そうつぶやいた後、俺は眠気に身をゆだね、眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ