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第三話 取引

次の日

俺はドンドンと扉をたたく音で飛び起きた。


「なっ、なんだ⁉」


恐る恐る扉を開けるとそこには武器を持った兵士が5人いた。


「われは国近衛兵隊2番隊の隊長マリア=テスラである。」


一番先頭にいた金髪の女騎士はそう名乗った。


「昨日は城から追い出しておいて今更なんの用だよ」


「お前の右手に持っているその武器が伝説武器だと判明した、それをこちらに渡せ!」


「伝説武器?俺が持ってるのはただのコッペパンだぞ」


いや、手から離れなくて再生するのはただのコッペパンとは言えないか。


「コッペパン、やはりか、完全に書物と一致している」


「だからって渡せないんだよ!手から離れないんだ」


「冗談はよせ、こちらは今すぐにでもお前を殺して強奪する準備はできている」

コッペパンを渡すのはべつに問題はない、しかしコッペパンは手から離れない、このまま渡さなくて殺されるのも困る、何とか渡す方法がないかと頭を回転させた。だが思いつきそうにない。

とりあえず今は考える時間が欲しい。


「そ、そうだ取引をしないか?」


「取引だと?」


「ああ、こっちはコッペパンを渡す、それと引き換えにコインを100枚ほどくれないか?」


「コイン?リュサのことか、少しこちらで相談させてくれ」


すると、マリアと名乗った兵士は後ろの兵士とひそひそと話し始めた。


「よし、100リュサでその取引を飲もう。それ以上は出せん。」


「取引成立だな」

やばい!何にも方法が思いつかない

(離れろ離れろ離れろ)俺は思いっきりコッペパンを引っ張った


「と、取れた」


と、思ったが違った、コッペパンの小さくなった切れ端がまだ右手の中に少し残っていた。

だがこれは好機だ、俺は右手をポケットの中に入れ、少しずつ再生していくコッペパンを隠す、そしてすぐにちぎった大きいほうのコッペパンを差し出した。大きいほうのコッペパンは再生する様子がない。本体はちぎった側では無く、ちぎられた側なのか。


「そこまで簡単に差し出すとはな」


「こっちは最強武器だとか全くよくわからないんだよ、ならまだリュサをもらっておいたほうがいいだろ」


まあコッペパンが離れなかっただけなんだけど……

そのあとすぐに俺はマリアからリュサを貰う。あれ?5リュサの重さよりも軽い、しかも貰った黒い袋は小さく、よく見ると変な文字が書かれていて、中を見てみると空っぽだった。


「おい、1リュサも入ってないじゃないか」


「もしかして(アーティ)道具(ファクト)を知らないのか?」


マリアは不思議そうにこちらを見つめていた。


「あーてぃふぁくと?」


「その様子だと本当に知らないようだな、(アーティ)道具(ファクト)っていうのは簡単に言えば道具に魔道文字を埋め込んだものだ、ちなみにそれは通貨(リュサ)(リア)この世界の通貨のみを質量と体積を無視して収納することが出来るんだ」


現実世界でいうところの財布ってところか、まあそれより明らかに便利そうだけど。

それに、魔道文字ってなんだ?聞いてみるか。

と、思ったが天は俺に時間をくれないようだ。コッペパンがポケットに入らないぐらいの大きさに再生してきていた。


「それじゃあ俺はここでおいとまさせてもらうよ」


マリアを含む5人の兵士を通り過ぎ、俺はその場を立ち去った。

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