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ヒグマ伯爵

静まり返った食卓で、花梨が立てるカチャカチャという音だけが響いていた。


「伯爵さ、どうして私にあんなことさせたの?」

肉を頬張りながら花梨は聞いた。


「…ぐっ…うむ…」


ポケットに入っていたライターに花梨が気付き、伯爵が何に使うものか聞いた。

着火具だというので、異世界の文明に驚き、それからー


ーグノーシス伯爵は会議室でライターで火をつけるように花梨を唆した。


「あのさ、もしかして私の容姿が変わりすぎて引いてます?」


沈黙が重くのしかかる中、しばらくしてグノーシス伯爵は口を開いた。

「いや、儂もな、こんな姿じゃろ。ヒグマと陰口を言われておる」

「一緒にしないで。女の子に対して失礼ですけど」

「う…すまない…」


再び沈黙が支配した。


堪らなくなった伯爵は、給仕にシャンパンを持ってくるよう言った。


程なくして給仕がシャンパンをグラスに注いだので、伯爵は一気に飲み干す。

嘆息して伯爵は言った。

「…本当にすまなかった…!!儂はな…カリン…」

「もう良いです。この世界は誰のことも信用できないと分かったんで。ごちそうさま」


席を立つ花梨を伯爵が止めた。

「ま、待ってくれ、カリン!その…」

「あと私はね、レアが好きなんです。肉焼きすぎ。料理長に言っといて」


花梨なりに、このまま伯爵の世話になりたい意志を暗に言ったのだが、ついにグノーシス伯爵には真意が伝わらなかった。


花梨に当てられた部屋は、グノーシス伯爵が侍女長にそれは丁重に扱うように指示し、急揃えだが年頃の女性が好みそうなものでコーディネートした。

花梨は、そこから少なからず愛情を受け取れたのだ。


(クマのオッサン、私を娘みたいに思ってくれてんのかな。まだ会ってから全然日も経ってないんだけど)


花梨はグノーシス伯爵に今まで出会ったどの男性とも違うものを感じていた。


(クマさん、やっぱりクマって呼ばれてんだ。ウケる)


ソファに深く腰掛け、ライターを手にした。


(そういえば、クマさんって家族とかいないのかな)


侍女にそれとなく聞いたが、はぐらかされてしまった。

幸い、屋敷には沢山の人達が働いているので、男性の家で暮らしていると言う感覚はなかった。


(クマさんは悪い人じゃない)


でも、嘘をつかれたのだ。

聖女の証を示すよう、ライターを灯すようにと。


『なに、後から覚醒すれば良いことだ。儂はな、絶対にカリンが聖女だと思うんだ』


(結局、火をつけて大事になったし。まあ、ユーナの絶望的な顔が見られて内心スカッとしたけど)


(クマさん、何がしたかったんだろう)

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