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心の声が聞こえてきます!

後日、療養が明ける日に登城せよとお達しがあった。


朝からリノーアが張り切って数人の侍女と湯に浸からせてくれ、オイルだのなんだのを塗ったくられた。


「ユーナ様は磨けば光るんです!お肌もピッカピカだしぃ、髪の毛だってサラサラだしぃ」


オイルマッサージをして、メイクもヘアスタイルもリノーア指揮の元、仕上げてくれた。

(何となく切らずにいたけど、髪、伸ばしててよかったかも?)


「ドレスはこれです!」


(絶対着ないやつぅ…私はネイビーとか茶とかが良いのに)


リノーアが選んだのは真紅のドレスだった。


キビキビと着付けられ、がっくりした私に全身鏡を見るよう促される。


「ユーナ様、お肌が白いし髪は綺麗な黒髪だし。絶対似合うんですよ」


視線を上げると、知らない私がいた。


「わあ、すっごぉーい!!リノーアって天才なの!?」

「いえいえ、元が良いんですよ。ご自分を褒めて差し上げたらいいのに」

「…そうね、ありがとう。とっても綺麗」


なぜか涙がこぼれた。この世界に来てから初めてこんなに心が動かされて、感謝の気持ちでいっぱいだった。

(花梨に散々言われたけど、自分に自分でブレーキをかけていたのも事実よね)


「ああ、ごめんなさいメイクが…」

慌ててハンカチで目頭を押さえた。


((全くユーナ様ってきっと年上なのに、可愛いところもあるんだよね。時々年下みたいに感じるわ))


「…え?」

「?どうかなさいました?」

「あ、いえ、なんでもないの」


(こわいこわいこわい、なになになに)


「あ、そうそう頂いた薔薇のお返しに何か差し上げた方がいいかと思って刺繍をしてみたんだけど変じゃないか見てくれる?」

真っ白なハンカチにエリオル王子のイニシャルを飾り文字で刺繍したのだ。

一日中ベッドの上にいたのでものすごく捗ってしまった。

「え!?ユーナ様ったらすごい!」


((愛する人にこんなに素敵な刺繍を貰ったら殿方は堪らないと思うわ!))

(やっぱり!やっぱりなんか聞こえる!!!)


「変じゃなくて良かったわ…あ、そうそうリノーアにも」

そう言ってリノーアにはイニシャルと猫の刺繍のハンカチを渡した。

「え、私にも…?これは、なんです?猫?」


((猫…なんというか、なんとも言えない愛らしさを感じる…胸の奥に花が咲いた様だわ…なんなのかしらこれ…))


「ユーナ様…胸の奥が苦しい…この小さな刺繍を抱きしめたいのですがっ!!」

「リノーア…それをキュンというのよ…」

「キュン…わたくし…この猫がなんとも愛らしくて死んでしまいそうですぅ…」

(ふふふ…この世界に萌えの概念があって良かったわ。どの調度品もリアルなものばかり。こういうイラストめいたものは、どの世界線でもウケると踏んだわ)


ザワザワ

   ザワザワ

  ザワザワ


((羨ましい))

((私にもくれないかな))

((どうしてリノーアだけ?))


「…あ…」

他の侍女達は忙しなく片付けをしているけど、時々視線を感じて…


(間違いない、これは…心の声だわ…)


「…急拵えでしたので、皆さんの分も張り切って刺繍させて下さいね!モチーフのリクエストがあればぜひ仰っ…」

「犬!犬がいいです!」

「わ、私はミケの猫が良いです!」

「えっと!!私、私は…食べるのが好きなので…その…」

口々に飛び交う声と熱を帯びた視線。

「…皆さんに何かお返しできて嬉しいです。食べるのがお好きなら、サンドイッチの刺繍なんてどうですか?」


((サンドイッチ))

((ありね…))

((ありだわ…))


朝の慌しいひと時は楽しい時間と共に私を一つの確信へと誘った。

私は何かの能力が覚醒したのだと。


「さて、そろそろ朝食の時間でございますから、今日はご主人様とお召し上がりくださいませ」


リノーアにそう言われて、部屋を出たが、慣れないヒールと裾の長いドレスに苦戦した。

(これは、この世界で生きていくには特訓が必要だわ。登城までにリノーアに少しでもマシになる様教えて貰わなきゃ…)

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