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タマになった私

瑤と叔父ちゃん、そして子タマーズ

作者: 伊勢


あらすじにあった通り、タマの息子・瑤視点のお話です。



楽しんでいただけると幸いです。

よろしくお願いします!


僕は小鬼である。

正確には鬼と人の半妖である。


名前はある。

瑤である。

母の名前が猫のようなタマという名前の故、

よく子タマとも呼ばれるが揺である。


しかし、何故母の名前はタマなのか…

本人は嬉しそうに笑うだけで教えてくれない。ただ、隣のいる父は決まって目を逸らし少し照れくさそうな顔をする。


揺には双子の弟妹が出来た。


妹は碧ちゃん。

黒くて綺麗な髪はショートに。目はタレ目で、左の目元には涙ボクロがあってとても可愛らしい。

弟は圭くん。

黒い髪は雀のしっぽができるくらいには長めで、まるで女の子みたいに可愛い顔つきだけど目はつり目。碧ちゃんとは逆に右の目元に涙ボクロがある。


2人とも双子ということでとっても良く似ている。

僕の可愛い弟妹である。


実は僕も含め、皆『たま』と読める。

父の母への溺愛ぶりが伺える名前だと最近になって気付いた


教えてくれたのは母の兄、僕の叔父にあたる人だ。


この人も勿論ただの人間だ。

因みに、叔父ちゃんは普通の名前だった。


叔父ちゃんは父と同じ、隠り世の八柱である九尾のばばゲフンゲフン…玉藻おねーちゃんの夫である。


何故あんな狐ば…玉藻おねーちゃんと結婚してしまったのか心底不思議だ。


叔父ちゃんはとっても優しい。


僕が産まれる前、母は何年も行方知れずだったらしい。

まぁ、それは現世から隠り世に父に連れてこられていたからなのだけど…


誰もが探索を諦めて、誰もが母の死を信じていたのに。

叔父ちゃんだけは母が生きていると信じてたった1人でずっとずっと探していたらしい。


僕はそんな家族思いの叔父ちゃんは大好きだ。


とっても優しくて暖かい。

一緒にいると凄く楽しくて、嬉しくなるから。


でも…


こう言ってはなんだけれど、

叔父ちゃんはちょっと趣味が悪いと思う。


なんであんな狐ロリババァに捕まってしまったのか…

心底不思議でたまらない。


こんなこと、誰にも言えないけれど…

言ったら最後、僕は狐ババアに殺される。


ブルブル…恐ろしや。


だから、ずっと僕の心の中にしまい込んでいる疑問。


でも、その理由が最近漸く分かったんだ!


叔父ちゃんはロリコンなんだって!


ロリコンがなんなのか、よく分からないけれど

要はツルペタのちっちゃい子が好きってことらしい。


狐ババアは何故かよく小さい子の姿になってる。

本当はもっと年寄りでしわくちゃバーさんでもおかしくないのに。


あーゆーの、若作りって言うんでしょう?

でもそれが叔父ちゃんの為なんだったら納得がいくかなって


なるほどなぁ。

叔父ちゃんはロリコンなのか…


優しくて大好きな叔父ちゃんの意外な側面を見つけてしまって…ちょっと後悔したことは秘密。


でも叔父ちゃんが好きなことは変わりないから!

僕は叔父ちゃんがロリコンの変態でも受け入れるからね!


でも、念の為。

僕の弟妹には近づかないように注意しておこうと思う。


ほら、だって…ねぇ?


叔父ちゃんのことは信じてるけど、大事な弟妹に何かあったら…僕は叔父ちゃんを、父に売っちゃうかもしれない。


こう言ってはなんだけど、父はとても強い。

そりゃ、八柱の一角を担うほどだもの!超強い!

叔父ちゃんなんか瞬殺だ!


でも、それは流石に可哀想かな?

それに、僕は叔父ちゃんが大好きだから父に言う前に僕の

秘伝の頭突きで許してあげよう!

僕の頭突き、父でも痛いって言ってたから凄く痛いんだよ?

覚悟しといてね!



※小鬼の頑丈な角が腹にぶっ刺さります。





「だからね、叔父ちゃんは大好きだろうけどあんまり近づかないようにね」


「「はーい!」」


「って、おいぃ!!!」


「あ、叔父ちゃん!」


「瑤!何を教えてんだ?!お前…ことと次第によっては大人のガチ泣きを見ることになるけどいいのか…?」


「?僕は子タマーズに叔父ちゃんはロリコンだからあんまり近づいちゃダメだよって教えてただけだよ?」


「おい待てちょっと待て、色々聞きたいんだが…その前に、叔父ちゃんはロリコンではありませーん!!!」


「えぇ?!!」


「そんなに驚くなよ!マジで泣くぞ」


「だって、皆叔父ちゃんはロリコンだって言ってたよ?」


「は?ちょ、それ言ってたヤツの名前全員教えて」


「えっと、まず玉藻おねーちゃんと」


「おいぃ!あいつかよ!!そうかなとは思ってたけど!あいつ、どれだけ俺をロリコンにしたいんだよ!!!」


「あと、タマちゃんと」


「妹よ!お前もか!!」


「父と」


「え…嘘だろ?あ、貴方だけは味方だと思っていたのにっ!」


「湊とその部下の人達とー」


「おい…俺のロリコン説はどこまで拡がってしまっているの…?え?皆それ信じてるの??泣くよ?マジで泣くよ?」


「あと、おじいちゃんとおばあちゃんも言ってた!」


「親父ぃ!お袋もぉ!!なんなの?息子をロリコンにして楽しいかかよ?!あの人達はァ!!!もぉぉぉぉぉ!!!」


「ねぇ、叔父ちゃん」


「なんだよ!」


「叔父ちゃんがロリコンじゃないならさ、なんで玉藻おねーちゃんと結婚したの?」


「え」


「ロリコンだから結婚したんじゃないの?」


「瑤。いえ、瑤さん。よく聞いて下さい」


叔父ちゃんは、僕の両肩を掴むとすごく真剣な顔をした。

これが俗に言う、男の目ってやつかな?


叔父ちゃんのこんなに真剣でカッコイイ顔初めて見た…。


「俺は、ロリコンではありません」


でも、内容はカッコよくないね。


「そうなの?」


「そうなんです。誰がなんと言おうと、俺はロリコンではありません。あれは、玉藻が俺で遊ぶために言いふらしてるただの虚言です。まやかしです。真に受けてはいけません」


「そっか…なら、玉藻おねーちゃんのどこがいいの?」


「え」


「ロリじゃない玉藻おねーちゃんが好きなの?」


「そ、そりゃ勿論」


「本当に?」


「当たり前だろ!俺は玉藻が好きで結婚したんだ!ちゃ、ちゃんとその、あ、愛してる…し、だからその…」


「「ヒューヒュー!」」


「おい、ツインズそれはやめろ!!てか、お前らいつからそこにっ…!」


「「え?はじめから」」


「なん、だと…?!」


「「おじちゃん、おめめ大丈夫?」」


「大丈夫だわ!!」


「「ロリコンなのに?」」


「ロリコン関係ねぇ!!てか、俺はロリコンじゃないっつの!!なんなの?甥っ子達にまでロリコン呼ばわりされる俺って何なの??ねぇ?あ、涙が…」


「叔父ちゃん大丈夫?どこか痛いの?」


「うん…叔父ちゃん、心が痛い」


胸を抑えて縮みこんでしまった叔父ちゃんの背中を僕達、子タマーズは元気だして!と背中を撫でる。


「おや、どうしたのかえ?」


「ば…玉藻おねーちゃん」


「瑤君、お主今何を言おうと「叔父ちゃんがね」聞いとる?」


「皆からロリコン呼ばわりされてるの知って泣いちゃったの」


「おや、今更かえ?」


「今更ってなんだよ!俺は今も昔も!この先も!一生ロリコンじゃねぇーからァ!!」


「ふむ、来世はロリコンということか」


「なんでだよ?!!」


「お兄ちゃん何騒いでるの?」


「お前らァ!!玉藻もタマも一緒になって俺をロリコンにした手上げて楽しいかこんにゃろう!!」


「「うん」」


「泣くぞ、おい」


「既に泣いてんじゃん」


「黙れ。誰のせいだと思ってんだ」


「「勿論、私達でしょ?」」


「ねぇねぇ、自覚があるのが1番厄介だって知ってた?

なんなの?お前らは俺をいじめて楽しいかもしれないけど、俺はすごく凄ーく心が痛いんですよ?わかってる?いや、わかってやってるんだよね??マジでたちが悪ぃよ君ら…


本当にやめてくださいお願いしますこの通りです」


叔父ちゃんは、流れるように凄く綺麗に土下座した。


これが、大人の潔さってやつ?

ちょっとカッコ悪い…けど、凄く男らしい背中だと思った。


「うわ、土下座したよ…」


「子供達の前でみっともないぞぃ」


「ロリコン呼ばわりされてんだ、それこそ今更だよ…」


「そんなに思い詰めるでない…妾はロリコンでもお主のことが好きぞ」


「玉藻…俺はロリコンじゃない」


「おっと、それはすまん」


「全然悪いと思ってないだろ」


「うん」


ニコーッ!


玉藻おねーちゃんはそれはそれは嬉しそうに笑った。

それを見た叔父ちゃんは遂には顔を両手で覆って泣き出してしまう。


ちょっと、やり過ぎじゃない?やっぱりあのバ…狐は苦手だ。


「嫁さんがとことん俺を虐めてくる…辛い」


「そんなお主も愛いぞ」


「嬉しくない」


「仕方ないの。ほら、妾の胸を貸してやろう。思う存分なくが良い」


「お前のせいで泣いてるんだけど…」


「遠慮するでない、ほれほれ」


「遠慮じゃない。てか、今ここでお前に抱きついたら完全にロリコン認定されるから絶対に嫌だ」


「チッ、バレたか」


「お前ね、さすがの俺もそろそろ怒るぞ?」


「怒っちゃいやんっ!」


いい歳こいたババアがキモイことしてるなー。

口には出さないけど、取り敢えず弟妹の頭を胸に押し付けるようにして抱きしめて見えないようにガードした。


あれは見てはいけません。目が腐っちゃうからね。


「…はぁ、もう…なんか凄い疲れる」


「あ、夫婦漫才終わった?」


「漫才違うわ」


「え?」


「え?って何。え?って。てか、聞きたかったんだけどさ…子タマーズって何?」


「知らないの?私の子供達の事だよ」


「いや、ネーミング!なんでそんな何とか戦隊ナニーズ!みたいな呼び方してんの?分かりやすいけどさぁあ!

まぁ、面白いからいいと思うけど」


「「「子タマーズ見・参!!」」」


叔父ちゃんの前に飛び出しポーズをとる。

右が碧、左が圭、真ん中が僕。


そして後ろにさり気なく母と玉藻おねーちゃん。


「なんか始まったよ…てか、なぜお前らも行く??」


「母・タマちゃんと!」


「はい!」ピシッと手を挙げて返事をするタマちゃん。


「返事すんのかよ」


「父・蘇芳!」


「蘇芳は仕事じゃ、代わりに妾が返事をしよう…はい!」

同じく手を挙げて返事をする玉藻おねーちゃん。


「無理やり混ざるんじゃありません」


「二人の子供達とは我らのこと!」


「そりゃそうだ…」


「第一子にして長男!瑤!」


「第二子にしてちょーじょ!碧ちゃん!」


「第三子にしてじにゃん!圭くん!」


「噛んでる噛んでる」


「「かわゆ…」」


「後ろ、気持ちはわかるが悶えるんじゃねぇ」


もだえる?よくわかんないけど、まぁいいや!


「タマちゃんと蘇芳の愛と涙と、えっと絆?の結晶!

その名も…」


「何故、疑問形。セリフ覚えてないんじゃん…」


「「「子タマーズ!!」」」


ババーン!!

…あ、圭くんコケた。


「えー、と…うん。とりあえず可愛かったぞ!!」


「妾が?」


「いやいや、何故そこで出張るよ。子タマーズだろ」


「そ、そんな!妾は可愛くないって言うの?!はっ!まさか…浮気?」


「なんでだよ!俺には玉藻がいるのに浮気なんてするわけないだろ!ばか!」


「「ヒューヒュー!」」


「おい!ツインズそれやめろ!」


「妾照れちゃう」


「勝手に照れてろ」


「玉藻ちゃん愛されてんねー」


「タマちゃんもじゃろ」


「もちのもんよ!」


「ヒューヒュー!」


「あ、蘇芳おかえり!」


タマちゃんは真っ先に父の腕の中に飛び込んで行った。

その後を双子が追う。


父は2人の為にタマちゃんを抱き抱える方と逆の腕を広げた。


「「あ。みなとー!」」


しかし、双子は後ろで両手を広げて待つ湊の所へ飛び込んで行った。


「…おい、湊ちょっとツラ貸せ」


「なんでだよ?!!お前より先に双子が俺のとこきたからか?!理不尽だ!いやぁ!!誰か助けてぇ!!」


「「みなと、バイバーイ!」」


「双子ちゃーん!バイバイしないでぇ!!」


「バイバーイ!」


「タマもそれやめてぇ!!」


湊の叫びも虚しく、父と湊はどこかへ姿を消した。

僕と叔父ちゃんはその後ろ姿を見てそっと手を合わせた。


「…湊さん、貴方の犠牲は無駄にはしません」


チーン…


「湊生きてるよ?」


「さてと!お菓子持ってきたから皆で食べようぜ!」


「「「やったー!」」」


「私お茶入れてくるー」


「お?じゃあ、妾手伝ってくる」


「子タマーズは席座ろうか」


「「「はーい!」」」




今日もくだらない言葉の応酬を繰り返す。


いつもは叔父ちゃんが母と玉藻おねーちゃんに弄られてるのを僕ら子タマーズと父がお菓子を片手に見守る。

湊は隣でお茶を入れて、一緒に傍観の構えが最近の定番だけれど、今日は違うようだ。


でも、偶にはこんな日もあっていいかもしれない。


今日も皆笑ってる。

つられて僕も笑う。


いつの間にか、叔父ちゃん腕の中には従妹の小夜の姿がある。今までどこに居たのか…いつもおやつ時になるとスっと姿を現す神出鬼没の小夜は大好きな叔父ちゃんの娘だ。

両親とは違いとても物静かな小夜も嬉しそうに笑ってた。


暫くして帰ってきた父と湊も一緒に皆でお菓子を摘む。


こんな何気ない日常が僕は大好きだ。



瑤「小夜、どこ行ってたの?」

小夜「?…私、ずっといたよ?」

瑤「え?いた?どこに?」

小夜「…皆の背後に。ずっとずっと前から」

瑤「なんだ、あれは小夜だったのか」

小夜「うん」

叔父ちゃん「まて、なんだその言い方…超怖いからやめてぇ!!」

瑤「あ、ほら…今も叔父ちゃんの後ろに…」


叔父ちゃん「い、いやぁぁぁ!!」


叔父ちゃんの後ろにいた二人⬇


玉藻「相変わらず怖がりじゃのう」

タマ「お兄ちゃんだからねぇ」



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