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星人転生–星の能力で自由な?異世界生活–  作者: 尾北ルイ
ソナヤ町
20/21

15話 領都で


星転前回は

フィン「それは俺の肉だぞ!」

エドルド「早い者勝ちだ」

ルコ「焼肉が美味しかったです!」

カーナ「懐かしいなぁ」

アスト「領都の外壁が見えてきました」

ユーミル「スーラ様の紹介がないだと……」


 


「ヴァルジア様。こちらが本日の成果でございます」

 黒いスーツの様な服を着た、碧眼で肌が白く、どこか高貴な雰囲気を醸し出す、金髪の美女が紙を渡しながら、そう報告した。

「うむ。ご苦労」

 美女からの報告を受け、そう返事をしたのは、袖元や襟、所々に金色のラインを入れた赤い服を着た初老の男。

 男の履いている靴やズボンも、かなり高価な物だと予想できる。

 さらに、部屋を見渡すと、天井には大きなランプに、部屋の中には大きなソファ、机の下には高価な魔物の毛皮が敷いてある。


 アストが見れば『趣味わるっ! どこの成金だよ』とでも言いそうである。


「では、さっそく、見に行くとしよう」

 顎下の伸ばした、白毛混じりのヒゲを、右手で撫でながらそう言い、席を立ち、部屋を出ようとする。

「今回は、良いものが入ってるといいなぁ」

 男は、いやらしくニヤリと笑い、そう言って部屋を出て行くのだった。


「くっ……」


 ギリッ


 部屋に残った美女は、男の出て行ったドアを鋭く睨みつけ、歯を食いしばり、握った拳からは、血が出てくるほど強く握られていた。



 ☆



「身分証を提示してください」

 街の門番にそう言われた俺は、商人のギルドカードを提示した。

 他のメンバーは、冒険者のギルドカードを提示する。

 それにしても、ここまでの行列は長かった。

 改造馬車は、列に並んだ時に全員降りて、今は収納にしまっている。

「……アスト……もしかして、ソナヤ町から来られましたか?」

 門番さんが、何かを思い出したかのように、そう聞いてきた。

 もしかして、辺境伯様の指示があったりするのだろうか?

「そうですが……何か?」

「はい。辺境伯様から伝言を預かっております。この街に着いたら、屋敷の方に寄って欲しいとの事です。何でも、各種ポーションを買いたいそうです」

 敬礼の姿勢をとりながら、そう言ってくる門番さん。

 全種類のポーションを?

 誰か、病気か風邪にでもなったのだろうか?

「わかりました。屋敷はどこにありますか?」

 星魔法の地図で分かるが、知っているのも変なので聞いておく。

「すぐに、地図を持ってきます。少々お待ちください」

 そう言って門番さんは、駆け足で行ってしまった。

 数分後、戻ってきた門番さんに地図を渡され、門を通された。


「おー。さすが、領都だけあって、かなり広いな。建物もほとんどが二階建てだ」

 見る限りでは、人もかなり多いようだ。

 迷宮があるからか、俺たちのように、武装した人も多い。

「主様! ここにも、美味しい食べ物ありますかね!?」

 ルコが興奮しながら聞いてきた。

「あるぞ! 露店の数も、飲食店の数も、ソナヤ町より遥かに多いぞ」

「ルコは全部制覇します!」

 ルコはルコなりの楽しみを見つけたようだ。


「カーナちゃんは、久しぶりに戻ってきたと思うけどどう?」

 一応、気にはなっていたから、聞いてみる。

「そうですね……あまり変わってないように思いますが、あのお店はなかったと思います」

 そう言って、店を指差した。


(なんか、カーナちゃん。少し変わったかな?)

 表情にも迷いがなく、目に熱意がある感じがする。

 もう……大丈夫そうだな。


「領都の冒険者ギルドはこっちだ。盛大に驚けよ。ソナヤ町より遥かにデカイぞ」

 エドルドさんがそんな事を言ってきた。

 どのくらい大きいのか、ちょっと楽しみだ。



 ☆



「おー! 確かに、これは大きいな。他の領都もこれくらいあるんですか?」

 ソナヤ町の冒険者ギルドの倍くらいある。

「いや、ここは迷宮があるから、特に大きく作られているだけだ。迷宮がある所は、大体このくらいの大きさだな。後は、王都だな」

 そう教えてくれたのは、フィンさんだ。

「ここに戻ってくるのは、約半年ぶりかな?」

「ここからソナヤ町に行く護衛依頼で、フィンさん、エドルドさんと出会ったんですよね」

「そういえば、みんな領都の出身なんですか?」

 俺は前から気になっていた事を聞いた。

「エドルドは、領都の出身だ。俺はここから北西に馬車で二日の、ソナヤ町と同じくらいの規模の町出身だ」

「私とお姉ちゃんは、ここから南東にある村の出身です。小麦畑があって、収穫前はキレイなんですよ」

 フィンさんとホミルさんが答えてくれた。

「へ〜。そこにも、いつか行ってみたいですね」

「アストなら歓迎するぜ!」

「ついでに、お店も出してよ」

 フィンさんとグミルさんがそう言ってくる。

「話は後にして、早くギルドに入らないか?」

 エドルドさんが、道でずっと話をしている俺たちに『早く入ろう』と言ったので、『すみません』と言ってから、冒険者ギルドに入った。



 ☆



「久しぶりだな、カエナ。元気だったか?」

「おっす。カエナちゃん」

 知り合いの受付嬢なのか、エドルドさんとフィン さんは、カエナという女性の所に行った。

「エドルドさん! フィンさん! お久しぶりです。半年ぶりくらいですね」

「年が明けて、すぐにソナヤ町の方に行ったからな。向こうではのんびりできて、ちょっとした気分転換になったよ」

「面白い奴にも会えたしな」

 もしかして、しばらくのんびりしたくて、ソナヤ町に来ていたのか?

 ランクBの冒険者だと、色々とあるのだろうか?

「面白い人ですか?」

 カエナさんがフィンさんに聞く。


「どうもこんにちは。アストと言います。フィンさんの言う面白い奴です。よろしくお願いします」

 なぜかユーミルが笑いを堪えている気がする。

 俺が自分で面白い奴と言ったのが、ツボに入ったのか?

「カエナです。よろしくお願いします」

 カエナさんは御辞儀をして、丁寧に挨拶をしてくれた。

「エドルドさん達の、依頼達成の連絡と、この手紙をギルドマスターに、ソナヤ町のギルドマスター、オーリンさんからです」

 依頼の紙にサインをして、カエナさんに手紙を渡す。

「ディナールさんにですか? わかりました。少々お待ちください」

 カエナさんは手紙を持って奥の方に向かって行った。

 そういえば、ここのギルドマスターはどんな人だろうか?

「エドルドさん。ここのギルドマスターって、どんな方何ですか? カーナちゃんも知ってるよね?」

 俺はエドルドさんとカーナちゃんの二人に聞いた。


「女性なのに、男前な性格で、とても熱い人です。そして、美人さんです」

 そう答えたのはカーナちゃんだった。

「自分の年齢は、いつも二十だと言い張るババアだ。種族が魔族でな。ちなみに、俺に火魔法を教えてくれた、師匠的存在でもある」

 続いて答えたのはエドルドさん。

 というか、エドルドさんの師匠なの?

 という事は、師弟対決か。

 一体、エドルドさんは何回挑んでいるんだろうか?


「ババアだなんて、随分な言い草ね。また負けに来たんでしょう? エドちゃん」

 不意にそんな声が聞こえた。

 この人が、領都の冒険者ギルドマスターで、エドルドさんの師匠。

 真っ赤な髪に、真っ赤な瞳、肌の色は少し赤い。

 そして、服は露出の多い物を着ている。


「今回は勝つさ」

 そう言って睨むエドルドさん。

「ふふっ。とりあえず、奥の部屋に行きましょう」

 ディナールさんは、俺とエドルドさんとカーナちゃんを指名してきた。

 後の人は、ギルドの食堂で待っていてもらう。


「まずは座ってちょうだい」

 ギルドマスターの部屋に案内された俺達は、長椅子に腰を下ろした。

「手紙は読ませてもらったわ。内容は、主にあなたの事と、カーナちゃんの事に関して書かれていたわ。立派になったわね。カーナちゃん」

 そう言って、俺とカーナちゃんを見てきた。

「はい! あの時は、ありがとうございます!」

「いいのよ。それと、あなたの……というよりあなた達の事なんだけど、早めにランクを上げさせてくれって書いてあったの、でも、あまり贔屓はできないから、ランクアップ試験の代わりに、私から依頼をするわね」

 ギルドマスターからの直接の依頼か……。

 面倒なのがきそうだな。

「ここ最近、迷宮で冒険者の行方が分からなくなっている事件が起きているの。もちろん、迷宮だから冒険者が行方不明になるのは当たり前なんだけど。なんだか、前より増えている気がしてね。迷宮で何が起こっているのか、調査して欲しいの。成果によっては、Cランクにあげてもいいわ」

 ディナールさんはそんな事を言ってきた。

 この人はどこまで予想がついているのだろうか?

「いくつか質問いいですか?」

「いいわよ」

「ディナールさんは、どこまで予想がついていますか?」

「迷宮だから分からないけど、知性のある魔物か、そうじゃなかったら人による犯行としか。でも、私は人による犯行だと思ってるの」

 ディナールさんは人によるものだと思っているようだ。

「不自然な点とか、なかったですか?」

「あるわよ。それも、かなり不自然な事が……」

「それは、どんな事ですか?」

「ギルドカードよ」

「ギルドカード、ですか?」

「えぇ。行方が分からなくなった冒険者の武器や防具、持ち物は見つからなくて、ギルドカードのみよく通る、わかりやすい場所に落ちているの。ねぇ、不思議でしょう?」

 知性のある魔物か、人による犯行。

「確かに不思議ですね。今の話を聞くと、落ちているというよりは、置いてある、と言った感じですかね」

「これは、私が直接見つけたからわかった事だけどね。ほら、冒険者からの報告では通路に落ちていた。としか言われないでしょ?」

 ディナールさんは不思議に思って、自分で確かめに行ったのか。

「報告してくる冒険者は、いつも同じ人でしたか?」

「同じ時もあれば、違う時もある。でも、報告をした冒険者も、数名いなくなっているわ。ギルドカードだけを残してね」

 本当に不思議な出来事だ。

「人による犯行の場合、それは、冒険者という職業を知らない人間。大方、ギルドカードだけあれば、死亡確認できるとでも思っているんでしょう」

「私も、その意見に賛成よ」

「他の冒険者の人には、依頼をしなかったんですか?」

 他にも冒険者はたくさんいる。

 それも、Bランクの冒険者がいるはずだ。

 別に俺達でなくてもいいはずだが……。

「実は、Bランク冒険者も、一人だけ行方不明になっているのよ。だから私一人で調べていたんだけどね。あなた達なら問題はないでしょう? 魔族の私よりも魔力量が多いみたいだしね」

「わかりました。この依頼引き受けます」

「そう、ありがとう。それで……」

 ディナールさんは、エドルドさんに目を向けた。

「少しは強くなったみたいね」

「当然だ」

「私に憧れて冒険者になった。あの頃の可愛いかったあなたは、どこに行っちゃったのかしら?」

「別に、あんたに憧れて冒険者になった訳じゃない。冒険者になってから、たまたま目標になったのが、あんただったんだ」

 へぇ〜。

 エドルドさんの目標ってディナールさんだったんだ。

「その坊やに鍛えられたのかしら?」

「特に鍛えられてはないが、驚かされてばかりだな」

 なんだか、二人の間に火花が飛んでいるような気がする。

「三日後、三日後の昼に、ランクアップ試験を行いましょう。エドルド」

 威圧なのか、少しだけ殺気を放つディナールさん。

 俺はカーナちゃんに被害が行かないようにする。

「望むところだ」

 静かに、それでもはっきりと返事をするエドルドさん。

 是非とも、受かって欲しいものだ。

 軽い挨拶して冒険者ギルドを出た俺達は、『炎の剣』の皆は宿に、俺達『星の集い』は領主の屋敷に向かった。



 ☆



「ありがとう! アスト君。本当にありがとう!」

 領主の屋敷に着いた俺達は、応接室に案内され、俺は辺境伯様にとても、とても感謝されていた。


 それは数十分前の事――


「こちらの部屋でお待ちください」

 侍女に案内された部屋で、ソファーに座り辺境伯様が来るまで待っていた。

「主様! 大きなお家でしたね!」

「私、貴族さまの家って初めて入りました」

 ルコとカーナちゃんは大きな家に少し興奮しているようだ。

 ユーミルはそうでもないらしい。

 ちょっとした話をしていると、足音が近づいてきた。

「数日ぶりだね、アスト君。門番から話は聞いていると思うが、君の商会のポーションを、定期的に売って欲しい」

 辺境伯様、確か、バイエスさんだったか?

 バイエスさんは女性を一人連れてきた。

 そしてドアを開け、椅子に座るとそう言ってきた。

「こちらとしては儲けが出るので構いませんが、量にもよります」

「一週間に一本ずつでいい。ライフポーションとマナポーション、解毒ポーションを、なるべく効果の高いものを頼みたい。この前、ソナヤ町で買った物は五十パーセントだと、うちの鑑定士が言っていたから、あの値段で、これほど効果のあるポーションが、定期的に手に入るならこちらは有難い」

 鑑定士という職業があるのか。

 各ギルドにもいるんだろうな。

 週に一本って、誰か病気なのだろうか、と考えていると、バイエスさんの隣に座っている女性が立った。


「初めてまして、アスト様。私、バイエス・ユーガットが娘、エルナ・ユーガットと申します。以後お見知り置きを」

 そう言って、スカートをつまみお辞儀をした。

 エルナさんの見た目は、十代後半で銀色の長髪、肌は白く、胸はルコより少し大きいくらいだ。


「アストと言います。こちらこそよろしくお願いします」

 俺も立ってお辞儀をして挨拶する。

「実は私、生まれながらに、体を病に侵されているのです。成長と共に改善されるはずだったのですが、治らなかったのです」

「失礼ですが、どのようなご病気ですか?」

「無意識に魔力を放出してしまうのです。おそらく、今も放出していると思います。なので、私はあまり長い外出はできず、魔法も使えず、他の病にもかかりやすいのです」

 鑑定をさせてもらったが、確かに、そういう病気らしい。

 それで定期的にポーションを飲んでいるのか。

「そういう理由でな。どうか、定期的にポーションを売ってくれないだろうか」

 バイエスさんがそう言ってきた。

 どうしようか、バイエスさんは良い人だ。

 貴族としての仕事も真っ当にしている。

 この人とは確かな信頼が欲しい。

「そうですね。その前に、エルナさん。こちらのポーションを飲んでくれませんか? バイエスさん。もしも、エルナさんの病気が治ったら一つお願いがあるのですが」

「お願いだと?」

「はい。我が商会の後ろ盾になってくれませんか? 辺境伯様が後ろ盾ならば、変にちょっかいをかけてくる者もいないでしょうから。それと、もしもこのポーションを飲んでエルナさんの病気が治らなかった場合は、定期的に売るポーションは無料とさせていただきます」

「それくらい構わない。エルナ、このポーションを飲んでくれ」

「はい。お父様」

 俺はバイエスさんにポーションを渡しす。

 そして、エルナさんはバイエスさんからポーションを受け取り全て飲みきった。

「これは!?」

「あぁ」

 ポーションを飲み終わると、エルナさんの体が光を纏って、十秒ほどで収まった。

 鑑定をすると病気の項目は消えていた。

 無事に完治したようだ。

「エルナさん体調はどうですか?」

「凄く良いです。今までにないくらい、体も凄く軽くなりました」

 驚いたような、嬉しそう表情でそう言った。

「それは良かったです。念のため、鑑定士の方に見てもらってください」

 俺がそう言うと、エルナさんとバイエスさんはどう言う意味? という感じで、目を向けてきた。

「医者じゃなくてか?」

 そう言ったのはバイエスさん。

 もしかして……俺は一つの結論にたどり着いた。


 鑑定士の鑑定スキルは、人物鑑定ができない。


「申し訳ありません。俺の間違えでした。念の為、お医者様に診てもらってください」

「はい! ありがとうございます! アスト様」

 エルナさんは、今日一番の大きい声で、嬉しそうにお礼を言ってきた。



 ☆



 バイエス辺境伯様にお礼を言われた俺達は、一先ずエドルドさん達の行った宿に向かう事にした。

 バイエスさんは俺達の商会の後ろ盾になってくれると言って、契約書まで書いてくれた。


 それよりも――


「付けられているな」

 ユーミルがそう言ってきた。

「やっぱり、気のせいじゃなかったか」

「でも主様、狙いは何でしょう?」

 ルコが質問してきた。

「ルコにユーミルにカーナちゃんだろう。皆、容姿が優れているから、奴隷として売りたいんだろう」

 予想だがそう答える。

「どうするんですか? このメンバーなら負ける気は全くしないんですが、やっぱり撃退ですか?」

 今度はカーナちゃんが聞いてきた。

 何となく、戦闘したいです発言に聞こえるのは、気のせいだろうか。

「おそらく、今回は、向こうは仕掛けてくるつもりはないだろう。今は、ただの品定め、だろうな」

「それなら、向こうから仕掛けてきた時に撃退すれば良いのですね! 主様!」

「うん。そうだね。そうしようか」

 俺はルコの言葉に頷きながら返事をした。



 ☆



「アスト、明日からは何か用事があるか?」

 エドルドさんがそんな事を聞いてきた。

 今は皆で、宿で夕食を食べている。

「明日は商人ギルドに行こうと思っています。あとは、ここの街での店舗の確保ですかね。土地でもいいですけど」

 まぁ、そんなに時間はかからないと思う。

 クォーゼルさんの手紙って、きっと俺の事に関してだろうから、店舗もすぐに用意されると思う。

「そうか、時間ができたら試験に備えて、少し相手をしてもらいたいんだが、いいか?」

「俺なんかでいいんですか?」

「寧ろ、お前じゃないとできない事を、やって貰おうと思っている」

 エドルドさんは、ランクアップ試験を何回か受けている。

 俺じゃないとできない事か……。

「わかりました。時間が空いている時は、特訓に付き合います」

「よろしく頼む」

「それと、皆さん少しいいですか。実は、変な人達に付けられていて、今は何もしてきませんが、何か仕掛けてきたら撃退します。Bランクの冒険者に仕掛けるとは思いませんが、もしもの時は、よろしくお願いします」

 俺は炎の剣の皆に注意をしておくように言った。

「そいつらは、ご愁傷様だな。運のない事で……」

 フィンさんの一言でこの話は終わりになった。

 そして、夕食を食べ終えた俺達は解散し、それぞれの部屋に入り領都一日目は終了した。



 ☆



「ほう。魔族の女に、緑髪の美女か。それは良い金になりそうだ。そいつらは冒険者か?」

 ヴァルジア商会の商会主、ヴァルジアは報告を聞くなり嬉しそうな笑みを浮かべ、報告者にそう言った。

「まだ詳しい事は分かりません。これから詳細を詳しく調べます。現時点でわかっている事は、『炎の剣』で有名な、エドルドやフィンと知り合いという事、あとは十二歳くらいの少女が、腰に帯剣をしていた事です。これらを踏まえますと、商人という線が濃厚かと思われます」

 報告者は、自分の見た事と予想を交えて話した。

「そうか。商人ならば、またあの手を使えばいい。しかし、今度は失敗しない様にしないとな。あのラオラスとかいう奴隷商人には、上手いことやられたからな。もっと情報が欲しい。そいつらの事を、もっと詳しく調べろ」

 ヴァルジアはそう言って、報告者を下がらせた。

「さてと、向こうの方はどうなったかな?」

 ヴァルジアは、気味の悪い笑みを浮かべながら、他の報告者からの報告を待つのだった。


 ヴァルジアは気がつかない……。

 自分の首を……自分で締めている事に……。




次回の星転は

ラオラス「お久しぶりでございやす」

アスト「はい。お久しぶりです」

ディナール「始めましょう。エドルド」

エドルド「ふぅー。よろしく頼む」

ヴァルジア「後ろ盾が領主とは忌々しい商会だ」

???(これはチャンスかもしれない)


読んでくださりありがとうございます。

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