15話 領都で
星転前回は
フィン「それは俺の肉だぞ!」
エドルド「早い者勝ちだ」
ルコ「焼肉が美味しかったです!」
カーナ「懐かしいなぁ」
アスト「領都の外壁が見えてきました」
ユーミル「スーラ様の紹介がないだと……」
「ヴァルジア様。こちらが本日の成果でございます」
黒いスーツの様な服を着た、碧眼で肌が白く、どこか高貴な雰囲気を醸し出す、金髪の美女が紙を渡しながら、そう報告した。
「うむ。ご苦労」
美女からの報告を受け、そう返事をしたのは、袖元や襟、所々に金色のラインを入れた赤い服を着た初老の男。
男の履いている靴やズボンも、かなり高価な物だと予想できる。
さらに、部屋を見渡すと、天井には大きなランプに、部屋の中には大きなソファ、机の下には高価な魔物の毛皮が敷いてある。
アストが見れば『趣味わるっ! どこの成金だよ』とでも言いそうである。
「では、さっそく、見に行くとしよう」
顎下の伸ばした、白毛混じりのヒゲを、右手で撫でながらそう言い、席を立ち、部屋を出ようとする。
「今回は、良いものが入ってるといいなぁ」
男は、いやらしくニヤリと笑い、そう言って部屋を出て行くのだった。
「くっ……」
ギリッ
部屋に残った美女は、男の出て行ったドアを鋭く睨みつけ、歯を食いしばり、握った拳からは、血が出てくるほど強く握られていた。
☆
「身分証を提示してください」
街の門番にそう言われた俺は、商人のギルドカードを提示した。
他のメンバーは、冒険者のギルドカードを提示する。
それにしても、ここまでの行列は長かった。
改造馬車は、列に並んだ時に全員降りて、今は収納にしまっている。
「……アスト……もしかして、ソナヤ町から来られましたか?」
門番さんが、何かを思い出したかのように、そう聞いてきた。
もしかして、辺境伯様の指示があったりするのだろうか?
「そうですが……何か?」
「はい。辺境伯様から伝言を預かっております。この街に着いたら、屋敷の方に寄って欲しいとの事です。何でも、各種ポーションを買いたいそうです」
敬礼の姿勢をとりながら、そう言ってくる門番さん。
全種類のポーションを?
誰か、病気か風邪にでもなったのだろうか?
「わかりました。屋敷はどこにありますか?」
星魔法の地図で分かるが、知っているのも変なので聞いておく。
「すぐに、地図を持ってきます。少々お待ちください」
そう言って門番さんは、駆け足で行ってしまった。
数分後、戻ってきた門番さんに地図を渡され、門を通された。
「おー。さすが、領都だけあって、かなり広いな。建物もほとんどが二階建てだ」
見る限りでは、人もかなり多いようだ。
迷宮があるからか、俺たちのように、武装した人も多い。
「主様! ここにも、美味しい食べ物ありますかね!?」
ルコが興奮しながら聞いてきた。
「あるぞ! 露店の数も、飲食店の数も、ソナヤ町より遥かに多いぞ」
「ルコは全部制覇します!」
ルコはルコなりの楽しみを見つけたようだ。
「カーナちゃんは、久しぶりに戻ってきたと思うけどどう?」
一応、気にはなっていたから、聞いてみる。
「そうですね……あまり変わってないように思いますが、あのお店はなかったと思います」
そう言って、店を指差した。
(なんか、カーナちゃん。少し変わったかな?)
表情にも迷いがなく、目に熱意がある感じがする。
もう……大丈夫そうだな。
「領都の冒険者ギルドはこっちだ。盛大に驚けよ。ソナヤ町より遥かにデカイぞ」
エドルドさんがそんな事を言ってきた。
どのくらい大きいのか、ちょっと楽しみだ。
☆
「おー! 確かに、これは大きいな。他の領都もこれくらいあるんですか?」
ソナヤ町の冒険者ギルドの倍くらいある。
「いや、ここは迷宮があるから、特に大きく作られているだけだ。迷宮がある所は、大体このくらいの大きさだな。後は、王都だな」
そう教えてくれたのは、フィンさんだ。
「ここに戻ってくるのは、約半年ぶりかな?」
「ここからソナヤ町に行く護衛依頼で、フィンさん、エドルドさんと出会ったんですよね」
「そういえば、みんな領都の出身なんですか?」
俺は前から気になっていた事を聞いた。
「エドルドは、領都の出身だ。俺はここから北西に馬車で二日の、ソナヤ町と同じくらいの規模の町出身だ」
「私とお姉ちゃんは、ここから南東にある村の出身です。小麦畑があって、収穫前はキレイなんですよ」
フィンさんとホミルさんが答えてくれた。
「へ〜。そこにも、いつか行ってみたいですね」
「アストなら歓迎するぜ!」
「ついでに、お店も出してよ」
フィンさんとグミルさんがそう言ってくる。
「話は後にして、早くギルドに入らないか?」
エドルドさんが、道でずっと話をしている俺たちに『早く入ろう』と言ったので、『すみません』と言ってから、冒険者ギルドに入った。
☆
「久しぶりだな、カエナ。元気だったか?」
「おっす。カエナちゃん」
知り合いの受付嬢なのか、エドルドさんとフィン さんは、カエナという女性の所に行った。
「エドルドさん! フィンさん! お久しぶりです。半年ぶりくらいですね」
「年が明けて、すぐにソナヤ町の方に行ったからな。向こうではのんびりできて、ちょっとした気分転換になったよ」
「面白い奴にも会えたしな」
もしかして、しばらくのんびりしたくて、ソナヤ町に来ていたのか?
ランクBの冒険者だと、色々とあるのだろうか?
「面白い人ですか?」
カエナさんがフィンさんに聞く。
「どうもこんにちは。アストと言います。フィンさんの言う面白い奴です。よろしくお願いします」
なぜかユーミルが笑いを堪えている気がする。
俺が自分で面白い奴と言ったのが、ツボに入ったのか?
「カエナです。よろしくお願いします」
カエナさんは御辞儀をして、丁寧に挨拶をしてくれた。
「エドルドさん達の、依頼達成の連絡と、この手紙をギルドマスターに、ソナヤ町のギルドマスター、オーリンさんからです」
依頼の紙にサインをして、カエナさんに手紙を渡す。
「ディナールさんにですか? わかりました。少々お待ちください」
カエナさんは手紙を持って奥の方に向かって行った。
そういえば、ここのギルドマスターはどんな人だろうか?
「エドルドさん。ここのギルドマスターって、どんな方何ですか? カーナちゃんも知ってるよね?」
俺はエドルドさんとカーナちゃんの二人に聞いた。
「女性なのに、男前な性格で、とても熱い人です。そして、美人さんです」
そう答えたのはカーナちゃんだった。
「自分の年齢は、いつも二十だと言い張るババアだ。種族が魔族でな。ちなみに、俺に火魔法を教えてくれた、師匠的存在でもある」
続いて答えたのはエドルドさん。
というか、エドルドさんの師匠なの?
という事は、師弟対決か。
一体、エドルドさんは何回挑んでいるんだろうか?
「ババアだなんて、随分な言い草ね。また負けに来たんでしょう? エドちゃん」
不意にそんな声が聞こえた。
この人が、領都の冒険者ギルドマスターで、エドルドさんの師匠。
真っ赤な髪に、真っ赤な瞳、肌の色は少し赤い。
そして、服は露出の多い物を着ている。
「今回は勝つさ」
そう言って睨むエドルドさん。
「ふふっ。とりあえず、奥の部屋に行きましょう」
ディナールさんは、俺とエドルドさんとカーナちゃんを指名してきた。
後の人は、ギルドの食堂で待っていてもらう。
「まずは座ってちょうだい」
ギルドマスターの部屋に案内された俺達は、長椅子に腰を下ろした。
「手紙は読ませてもらったわ。内容は、主にあなたの事と、カーナちゃんの事に関して書かれていたわ。立派になったわね。カーナちゃん」
そう言って、俺とカーナちゃんを見てきた。
「はい! あの時は、ありがとうございます!」
「いいのよ。それと、あなたの……というよりあなた達の事なんだけど、早めにランクを上げさせてくれって書いてあったの、でも、あまり贔屓はできないから、ランクアップ試験の代わりに、私から依頼をするわね」
ギルドマスターからの直接の依頼か……。
面倒なのがきそうだな。
「ここ最近、迷宮で冒険者の行方が分からなくなっている事件が起きているの。もちろん、迷宮だから冒険者が行方不明になるのは当たり前なんだけど。なんだか、前より増えている気がしてね。迷宮で何が起こっているのか、調査して欲しいの。成果によっては、Cランクにあげてもいいわ」
ディナールさんはそんな事を言ってきた。
この人はどこまで予想がついているのだろうか?
「いくつか質問いいですか?」
「いいわよ」
「ディナールさんは、どこまで予想がついていますか?」
「迷宮だから分からないけど、知性のある魔物か、そうじゃなかったら人による犯行としか。でも、私は人による犯行だと思ってるの」
ディナールさんは人によるものだと思っているようだ。
「不自然な点とか、なかったですか?」
「あるわよ。それも、かなり不自然な事が……」
「それは、どんな事ですか?」
「ギルドカードよ」
「ギルドカード、ですか?」
「えぇ。行方が分からなくなった冒険者の武器や防具、持ち物は見つからなくて、ギルドカードのみよく通る、わかりやすい場所に落ちているの。ねぇ、不思議でしょう?」
知性のある魔物か、人による犯行。
「確かに不思議ですね。今の話を聞くと、落ちているというよりは、置いてある、と言った感じですかね」
「これは、私が直接見つけたからわかった事だけどね。ほら、冒険者からの報告では通路に落ちていた。としか言われないでしょ?」
ディナールさんは不思議に思って、自分で確かめに行ったのか。
「報告してくる冒険者は、いつも同じ人でしたか?」
「同じ時もあれば、違う時もある。でも、報告をした冒険者も、数名いなくなっているわ。ギルドカードだけを残してね」
本当に不思議な出来事だ。
「人による犯行の場合、それは、冒険者という職業を知らない人間。大方、ギルドカードだけあれば、死亡確認できるとでも思っているんでしょう」
「私も、その意見に賛成よ」
「他の冒険者の人には、依頼をしなかったんですか?」
他にも冒険者はたくさんいる。
それも、Bランクの冒険者がいるはずだ。
別に俺達でなくてもいいはずだが……。
「実は、Bランク冒険者も、一人だけ行方不明になっているのよ。だから私一人で調べていたんだけどね。あなた達なら問題はないでしょう? 魔族の私よりも魔力量が多いみたいだしね」
「わかりました。この依頼引き受けます」
「そう、ありがとう。それで……」
ディナールさんは、エドルドさんに目を向けた。
「少しは強くなったみたいね」
「当然だ」
「私に憧れて冒険者になった。あの頃の可愛いかったあなたは、どこに行っちゃったのかしら?」
「別に、あんたに憧れて冒険者になった訳じゃない。冒険者になってから、たまたま目標になったのが、あんただったんだ」
へぇ〜。
エドルドさんの目標ってディナールさんだったんだ。
「その坊やに鍛えられたのかしら?」
「特に鍛えられてはないが、驚かされてばかりだな」
なんだか、二人の間に火花が飛んでいるような気がする。
「三日後、三日後の昼に、ランクアップ試験を行いましょう。エドルド」
威圧なのか、少しだけ殺気を放つディナールさん。
俺はカーナちゃんに被害が行かないようにする。
「望むところだ」
静かに、それでもはっきりと返事をするエドルドさん。
是非とも、受かって欲しいものだ。
軽い挨拶して冒険者ギルドを出た俺達は、『炎の剣』の皆は宿に、俺達『星の集い』は領主の屋敷に向かった。
☆
「ありがとう! アスト君。本当にありがとう!」
領主の屋敷に着いた俺達は、応接室に案内され、俺は辺境伯様にとても、とても感謝されていた。
それは数十分前の事――
「こちらの部屋でお待ちください」
侍女に案内された部屋で、ソファーに座り辺境伯様が来るまで待っていた。
「主様! 大きなお家でしたね!」
「私、貴族さまの家って初めて入りました」
ルコとカーナちゃんは大きな家に少し興奮しているようだ。
ユーミルはそうでもないらしい。
ちょっとした話をしていると、足音が近づいてきた。
「数日ぶりだね、アスト君。門番から話は聞いていると思うが、君の商会のポーションを、定期的に売って欲しい」
辺境伯様、確か、バイエスさんだったか?
バイエスさんは女性を一人連れてきた。
そしてドアを開け、椅子に座るとそう言ってきた。
「こちらとしては儲けが出るので構いませんが、量にもよります」
「一週間に一本ずつでいい。ライフポーションとマナポーション、解毒ポーションを、なるべく効果の高いものを頼みたい。この前、ソナヤ町で買った物は五十パーセントだと、うちの鑑定士が言っていたから、あの値段で、これほど効果のあるポーションが、定期的に手に入るならこちらは有難い」
鑑定士という職業があるのか。
各ギルドにもいるんだろうな。
週に一本って、誰か病気なのだろうか、と考えていると、バイエスさんの隣に座っている女性が立った。
「初めてまして、アスト様。私、バイエス・ユーガットが娘、エルナ・ユーガットと申します。以後お見知り置きを」
そう言って、スカートをつまみお辞儀をした。
エルナさんの見た目は、十代後半で銀色の長髪、肌は白く、胸はルコより少し大きいくらいだ。
「アストと言います。こちらこそよろしくお願いします」
俺も立ってお辞儀をして挨拶する。
「実は私、生まれながらに、体を病に侵されているのです。成長と共に改善されるはずだったのですが、治らなかったのです」
「失礼ですが、どのようなご病気ですか?」
「無意識に魔力を放出してしまうのです。おそらく、今も放出していると思います。なので、私はあまり長い外出はできず、魔法も使えず、他の病にもかかりやすいのです」
鑑定をさせてもらったが、確かに、そういう病気らしい。
それで定期的にポーションを飲んでいるのか。
「そういう理由でな。どうか、定期的にポーションを売ってくれないだろうか」
バイエスさんがそう言ってきた。
どうしようか、バイエスさんは良い人だ。
貴族としての仕事も真っ当にしている。
この人とは確かな信頼が欲しい。
「そうですね。その前に、エルナさん。こちらのポーションを飲んでくれませんか? バイエスさん。もしも、エルナさんの病気が治ったら一つお願いがあるのですが」
「お願いだと?」
「はい。我が商会の後ろ盾になってくれませんか? 辺境伯様が後ろ盾ならば、変にちょっかいをかけてくる者もいないでしょうから。それと、もしもこのポーションを飲んでエルナさんの病気が治らなかった場合は、定期的に売るポーションは無料とさせていただきます」
「それくらい構わない。エルナ、このポーションを飲んでくれ」
「はい。お父様」
俺はバイエスさんにポーションを渡しす。
そして、エルナさんはバイエスさんからポーションを受け取り全て飲みきった。
「これは!?」
「あぁ」
ポーションを飲み終わると、エルナさんの体が光を纏って、十秒ほどで収まった。
鑑定をすると病気の項目は消えていた。
無事に完治したようだ。
「エルナさん体調はどうですか?」
「凄く良いです。今までにないくらい、体も凄く軽くなりました」
驚いたような、嬉しそう表情でそう言った。
「それは良かったです。念のため、鑑定士の方に見てもらってください」
俺がそう言うと、エルナさんとバイエスさんはどう言う意味? という感じで、目を向けてきた。
「医者じゃなくてか?」
そう言ったのはバイエスさん。
もしかして……俺は一つの結論にたどり着いた。
鑑定士の鑑定スキルは、人物鑑定ができない。
「申し訳ありません。俺の間違えでした。念の為、お医者様に診てもらってください」
「はい! ありがとうございます! アスト様」
エルナさんは、今日一番の大きい声で、嬉しそうにお礼を言ってきた。
☆
バイエス辺境伯様にお礼を言われた俺達は、一先ずエドルドさん達の行った宿に向かう事にした。
バイエスさんは俺達の商会の後ろ盾になってくれると言って、契約書まで書いてくれた。
それよりも――
「付けられているな」
ユーミルがそう言ってきた。
「やっぱり、気のせいじゃなかったか」
「でも主様、狙いは何でしょう?」
ルコが質問してきた。
「ルコにユーミルにカーナちゃんだろう。皆、容姿が優れているから、奴隷として売りたいんだろう」
予想だがそう答える。
「どうするんですか? このメンバーなら負ける気は全くしないんですが、やっぱり撃退ですか?」
今度はカーナちゃんが聞いてきた。
何となく、戦闘したいです発言に聞こえるのは、気のせいだろうか。
「おそらく、今回は、向こうは仕掛けてくるつもりはないだろう。今は、ただの品定め、だろうな」
「それなら、向こうから仕掛けてきた時に撃退すれば良いのですね! 主様!」
「うん。そうだね。そうしようか」
俺はルコの言葉に頷きながら返事をした。
☆
「アスト、明日からは何か用事があるか?」
エドルドさんがそんな事を聞いてきた。
今は皆で、宿で夕食を食べている。
「明日は商人ギルドに行こうと思っています。あとは、ここの街での店舗の確保ですかね。土地でもいいですけど」
まぁ、そんなに時間はかからないと思う。
クォーゼルさんの手紙って、きっと俺の事に関してだろうから、店舗もすぐに用意されると思う。
「そうか、時間ができたら試験に備えて、少し相手をしてもらいたいんだが、いいか?」
「俺なんかでいいんですか?」
「寧ろ、お前じゃないとできない事を、やって貰おうと思っている」
エドルドさんは、ランクアップ試験を何回か受けている。
俺じゃないとできない事か……。
「わかりました。時間が空いている時は、特訓に付き合います」
「よろしく頼む」
「それと、皆さん少しいいですか。実は、変な人達に付けられていて、今は何もしてきませんが、何か仕掛けてきたら撃退します。Bランクの冒険者に仕掛けるとは思いませんが、もしもの時は、よろしくお願いします」
俺は炎の剣の皆に注意をしておくように言った。
「そいつらは、ご愁傷様だな。運のない事で……」
フィンさんの一言でこの話は終わりになった。
そして、夕食を食べ終えた俺達は解散し、それぞれの部屋に入り領都一日目は終了した。
☆
「ほう。魔族の女に、緑髪の美女か。それは良い金になりそうだ。そいつらは冒険者か?」
ヴァルジア商会の商会主、ヴァルジアは報告を聞くなり嬉しそうな笑みを浮かべ、報告者にそう言った。
「まだ詳しい事は分かりません。これから詳細を詳しく調べます。現時点でわかっている事は、『炎の剣』で有名な、エドルドやフィンと知り合いという事、あとは十二歳くらいの少女が、腰に帯剣をしていた事です。これらを踏まえますと、商人という線が濃厚かと思われます」
報告者は、自分の見た事と予想を交えて話した。
「そうか。商人ならば、またあの手を使えばいい。しかし、今度は失敗しない様にしないとな。あのラオラスとかいう奴隷商人には、上手いことやられたからな。もっと情報が欲しい。そいつらの事を、もっと詳しく調べろ」
ヴァルジアはそう言って、報告者を下がらせた。
「さてと、向こうの方はどうなったかな?」
ヴァルジアは、気味の悪い笑みを浮かべながら、他の報告者からの報告を待つのだった。
ヴァルジアは気がつかない……。
自分の首を……自分で締めている事に……。
次回の星転は
ラオラス「お久しぶりでございやす」
アスト「はい。お久しぶりです」
ディナール「始めましょう。エドルド」
エドルド「ふぅー。よろしく頼む」
ヴァルジア「後ろ盾が領主とは忌々しい商会だ」
???(これはチャンスかもしれない)
読んでくださりありがとうございます。