表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星人転生–星の能力で自由な?異世界生活–  作者: 尾北ルイ
ソナヤ町
15/21

12話 来客?

前回は

精霊達「「「ありがとうございます。」」」

アスト「仕事?だからな。」

エドルド「ハァ、ハァ、俺の勝ちだ!」

フィン 「ちくしょー!」

グミル「バイクはいいなー。」

ホミル「自転車くらいがいいです。」

ユーミル「スーラ様の事は⁉︎」

 


 翌朝、朝食を食べた後、シーナさんと町長のウィムアさんと奥さんが来た。

「おはようございます。シーナさん。ウィムアさんと奥さん」

「おはようございます。今日は開店の日ですがどうですか?」

 シーナさんが調子を聞いてくる。

「準備はもうできていますよ。あとは、シーナさんと町長の奥さんに覚えてもらいたい事があります」

「おはようございます。町長の妻のアウサです。このお店が開店するのを楽しみに待っていました。これからこのお店が、この町の発展に繋がるのを、期待していますよ」

 アウサさんは、笑顔でそう言ってきた。

 本当に楽しみにしてくれてたみたいだ。

「それはもう。期待しまくってください」

「それで、覚えてもらいたい事、とはなんですか?」

「こちらです」

 お店に案内して、ウォーターサーバーの使い方を覚えてもらい、今日は水を買いに来た人にこの魔道具の説明をしてもらう。

「店舗設立の話をしてから、数日で店が完成することも驚きじゃが。こんな物まであるとはのぅ」

 ウィムアさんが驚いた表情でそんな事を言った。

 そういえば、何でウィムアさんもいるんだろう?

 一緒に手伝ってくれるのかな?

「そういえば、ウィムアさんはなぜここに?」

「おぉ。そうじゃった。実は、私がここに来たのも、今日から数日、この町を治める貴族が視察で来るのだ。変な人ではないので、安心してくれ。それと前に聞いた土地の事を話に来たのだが、とりあえず、ここらいったいは預けてもいい。料金はまた今度話そう」

 土地の事は、正直に言って助かる。


 貴族という事は……

「ありがとうございます。この町を治める貴族って、ユーガット辺境伯様ですか?」

「そうだ。この商会の事も、おいしい水を売っている店、として紹介するつもりだった。今日の夕方頃到着する予定だから、明日の昼過ぎに、この店に案内するよ。住人にも知らせるからそこまで混まないはずだ」

 最終の準備をしていると、時間が近づきお店の外に、お客さんが増えてきた。

 ウィムアさんは帰っていった。

 時間までに早めの昼食をすませる。

 開店すると、すごい数の人ですぐに店の中が満員になった。

 水はルコ、シーナさん、アウサさんに対応してもらっている。

 俺とユーミルとサリアさん、ウガンさんで、接客と会計をしている。


 ティリアちゃんには、隣の教会に、ディアナさんにカーナちゃんの貸し出し許可を、貰いに行ってもらっている。

 途中でカーナちゃんが加わって、商品を補充してもらったり、万引きしようとして、店を出た所で麻痺して倒れている人を、町の警備の人に渡してもらったりと活躍してもらった。


 ちなみに、会計は楽をしようと思って、魔法を付与したレジを置いてある。

 カゴに入った商品をカゴごとトンネル型の置物に通すと、隣に置いてある石板に金額が表示されるという魔法のレジだ。

 しかも、カゴごと持って帰っていい、というサービスも付けている。

 何を買ったか分かるようにレシートも出る事にした。

 夕方になると少し落ち着いた。

 おそらく、領主様が町に来たのだろう。

 冒険者の人達と、商人の人達はちらほら来ている。


 奴隷商人のラオラスさんも来た。

「こんにちは。ラオラスさん。うちの商品はどうですか?」

「おや、アストさんですか。さすが、クォーゼルの姉さんが一目置くだけはあります。ここら辺では、手に入らない物ばかりで、それに、水がおいしいというのは良いと思います。領都の方にも店を出して欲しいですね。人の確保ならあっしに任せてくださいね」

 ラオラスさんも、抜け目がないな。

「では、その時はお願いします」

「へい。任せてください。少し値引きもしますので」

 ラオラスさんが帰ると、今度は炎の剣の皆が来た。


「お疲れのようだな」

 エドルドさんから労いの言葉をもらう。

「はい。予想よりも込みました」

「へぇ~珍しい物があるんだなここら辺じゃあ見ない物だな」

 フィンさんは、店内にある商品を見てそう言う。

「まぁ、手に入れる機会があったので、それよりも皆さんは、今日は何をしていたんですか?」

 俺の質問に答えたのは、グミルさんだった。

「今日は、普通に依頼を受けていたよ」

「特にこれと言って、変なことも起きませんでしたよ」

 ホミルさんもそう続けた。

 炎の剣の皆は、少しだけ話をして帰っていった。


 今ならお客さんもいないから、今日はもう終わりにしよう。

 三人に集まってもらう。

「皆さんありがとうございます。今日は、ここで終わりにしようと思います。アウサさんとシーナさん、ありがとうございました。カーナちゃんもありがとう」

 三人に給金を渡す。

「今日は忙しかったけど楽しかったわ。今度はお客として来るわね」

 アウサさんは常連さんになってくれそうだ。

「私も、お客として来ようと思います。後、明日の事でギルドマスターから話があると思います。ちょっと忙しくなりますが、がんばってください」

 シーナさんは、開店する前や客の減った時に、商品について色々と聞いてきたからな。

「こんなにもらっていいんですか? ありがとうございます」

 カーナちゃんは予想外の給金に驚いていた。

 三人が帰ったので、店を閉める。


「皆もお疲れ様。今日はゆっくり休んでくれ」

「お疲れ様です。主様、お腹がすきました」

 俺も腹が減ったな。

 皆もお腹はペコペコだろう。

「私は、風呂に入っていいか?」

 ユーミルはお湯にゆっくり浸かりたいみたいだ。

「じゃあ、私は夕食の準備をしますね」

「ティリアはお手伝いする」

 サリアさん、疲れているのに、ありがとうございます。

「俺は、作業場で明日の分を作っておくよ」

 ウガンさんも、疲れていると思うんだが、全く顔に出さない所はすごいな。

 うん。

 従業員が足りないな。

 早めになんとかしよう。

 みんなで夕食を食べ、部屋に行き早めに寝る。

 ルコとユーミルも今日は疲れたみたいだ。

 明日も忙しいだろうな。



 ☆



 翌日、朝起きて、朝食を食べ、八時に店を開く。

 この時間は冒険者の方が多い。

 午前中は水を買って行く住民の方で混雑する。

 昨日よりは混まなかった。

 やっぱり、数日間露店を開かなかったから、あれだけ混んだのだろうか?

 昼過ぎになると、店の前に馬車が止まり、町長とクォーゼルさん、そして、数人の侍女と騎士、領主のユーガット辺境伯様が現れた。

「ここが、あの水を売っている商会か」

「私の所の受付嬢と、町長さんの奥さんの話では、ここら辺では手に入らない、珍しい物や調味料なども手頃な値段で売っていて、味付けの種類が増えて、料理が美味しくなったそうですよ」

「ほう。確かに今日頂いた昼食は、貴族のパーティーなどで、食べた味付けと似ていたな。良い店ならぜひ、領都にも出して欲しいものだ」

「ここの店主は凄腕で人格も特に問題はないです。この建物も、数日で建ててしまったくらいです」

「この建物を数日でか。ぜひこの国で仕えて欲しいものだが……」

「本人は旅をしたいそうなので、少し難しいかと」

「そうか。しかし、あの帝国や、人を人とも思わぬあの国にいられるよりは、よかったと思うとしよう」

 そんな会話をしながら店に入って来た。

「いらっしゃいませ。この店の店主の、アストと言います。お目にかかれて光栄です。ユーガット辺境伯様」

 貴族への挨拶は、よく分からないが、こんな感じでいいかな?

 まぁ、少しばかり無礼があっても、怒る人ではないはずだ。

「ふむ。私はバイエス・ユーガットだ。この町の人々のために、あの水を売ってくれてありがとう。とても美味しかったよ。王族の者でもなかなか飲めないだろう。領都でも、是非売ってもらいたい」

 辺境伯の爵位を持つ人が絶賛するなら、どこに行ってもこの水は売れるな。

「ありがとうございます。場所と人が確保できれば、領都の方でも店を出させて頂きます」

「うむ。楽しみにしている。少し店の中を見させてもらうぞ」

「ご案内しますよ。サリアさん、侍女の人達に商品の説明などをしてください」

 サリアさんには、侍女の人達を案内してもらう。

「かしこまりました。サリアといいます。何かあればお申し付けください」

 サリアさんは、侍女の人達と調理器具の方に行った。

 バイエスさんが、どこから見たいかわからないので聞いてみる。

「どこの棚から見られますか?」

「そうだな。この店は、調味料はどのくらい売っているのだ?」

 調味料が気になるのか。

 昨日から売っているが、この店で水を除いて、一番人気の商品かもしれない。

「調味料はこちらですね。塩に胡椒、砂糖。にんにくや生姜、唐辛子を砕いて乾燥させた物。醤油という大豆で作ったソース。味噌、トマトソース、野菜から作ったソース。植物油、お酢。今はこんなところです。開店して二日ですが、主婦や料理人からは、どれも人気がありますよ。お酒も、他よりも美味しくできてると思います。味見もどうぞ。後ろの騎士様も」

 そう言って、醤油やトマトソースなどを出す。

 ちなみに、マヨネーズは卵が必要なので作れなかった。

 この町にも卵はあるのだが、何となく、マヨネーズを作る為に使う気になれない。

 餌には困らないので、落ち着いたら鶏を買って育てる予定だ。

 サリアさんの方を見ると調理器具の使い方を説明しているようだ。


「こちらは何ですか?」

「それはピーラーといって野菜の皮を剥く器具です。試してみてください」

 そう言って、人参を渡していた。

「これは、料理が楽になりそうですね」

「こっちの物も使えますか?」

「はい。そちらは野菜を擦ってください」

 盛り上がっているようだ。


「ほう。うまいな。塩と胡椒とにんにく、生姜、唐辛子は聞いた事があるが、他はないな。砂糖も売っているのか、全て一つずつ買って行こう。……酒もうまい! 今まで飲んだ物の中で一番だ。それにしても、この容器も見事なものだな。こんなに良いガラスなどあまり見ないぞ」

 容器も注目された。

 これは予想してなかったな。

「ここに書いてある値段は容器込みの値段なんです。容器を持ってきてくれれば、値段を安くして中身だけ入れさせていただいています」

「なるほど。考えているな。あっちの棚は何だ?」

「では今度はあちらを説明しますね」

 この後は、店の中を一通り案内した。

 調味料、お酒、石鹸、下着、ポーション、調理器具。

 掃除道具、魔法石、鉱物、水、小麦粉、片栗粉、紙。

 今のところは、これらの物を売っている。

 お米は売っていない。

 定員の人数が多くなったら、最初はおにぎりから売り出そうと思っている。

「今日は良い買い物ができたよ。家の料理人や妻が喜ぶと思う。領都にも店を出したら教えてくれ。必ず買いに行く」

「はい。ありがとうございました」

 馬車に乗って、辺境伯様御一行は、おそらく町長の家に帰って行った。

 クォーゼルさんには、瞬時に購入額とお金が出る魔道具は何だと問い詰められたが、適当にはぐらかしておいた。


「ふぅ。何とか終わったな。サリアさんもありがとうございます」

「いえ、でも緊張しました」

「しばらく、奥で休んでいてください」

「ありがとうござます。なら夕食の仕込みをやっていますね」

 ほんと、いつもありがとうございます。

「今日の夕食は何ですか?」

 ルコは夕食が楽しみなのか、そんな質問をした。

「ルコさん。今日はアストさんに教えてもらった。天ぷらというのを揚げ物用鍋の試験も兼ねてやってみたいと思います。フライドポテトというのもやってみますね」

「初めて食べる料理です! 楽しみです!」

 そう言えば、そんな料理教えたな。


 夕食までは、皆で店番をしながら、旅の話をした。

「最初は領都ユーガットに行くぞ。面倒な商会があるが、迷宮もあるからな。迷宮は初めてだから、どんなものかみてみたい」

「ルコも迷宮に行ってみたいです」

「それで、いつ出発するのだ? ここを出る前にやっておきたい事があるのだが」

「俺もやっておきたい事があるからな。あと、領都には誰と一緒に行くかだが。ルコとユーミルは確定してる、あと個人的にカーナちゃんを連れて行きたい。炎の剣の皆を護衛として連れて行くかどうするか迷ってるんだよな」

「カーナというのは、隣の教会にいる、昨日手伝いに来た人族にしては、魔力量が多いあの娘か」

 魔力感知というスキルがあり、レベルが高くなると相手の魔力量がなんとなくわかるのだ。

「あぁ。何だ。鑑定使わなかったのか? カーナちゃん人族じゃなくてハーフエルフだぞ」

「気に入らない奴や戦闘時には遠慮なく使っていいと言われたがそれ以外はあまり使ってないぞ。ハーフエルフとは珍しいな。まぁ、親は冒険者同士だろうが」

 ユーミルって、俺の事が嫌いなのにこういう事は守るんだよな。

「気になったから調べさせてもらったけど、この町に来たのも、偶然じゃないんだ。母親はエルフで、カーナちゃんが十歳の時に、病で亡くなっている。父親は冒険者で、母親の病を治すために、迷宮でエリクサーを探しに行ってそのまま帰ってこなかった。そして、その父親は、この町の町長、ウィムアさんの次男坊だ。成人して冒険者になると言って、ウィムアさんの反対を押し切って、家を出て行ったらしい」

 ルコは少し暗い顔をしている。

 ユーミルはあまり気にならないようだ。

「その父親は実力者だったのか?」

「ランクはBランクだ。母親はAに近いBランクだったが、カーナちゃんがお腹にいるとわかってからは、あまり冒険者として活動はしていなかったらしい。カーナちゃんの父親は、『俺が迷宮から戻らなくて母親も死んでしまったら、娘をこの町に送ってくれ』と領都のギルドマスターに頼んでいたそうだ。ディアナさんの事や、自分の父親の事も話していたらしい。ハーフエルフは珍しいから、領都で誘拐されて違法奴隷にしたくなかったんだろう。この町の冒険者ギルドのマスター、オーリンさんは、カーナちゃんの事を知っていたみたいだけど、ウィムアさんに、カーナちゃんの父親の話をしたら、『そんな奴は知らん』と言われたから、孫がいるというのを話してないみたいだ」

「あの町長、以外に面倒な者だな。もう随分と前の話だろうに」

「それで、主様はなぜカーナちゃんを連れて行きたいんですか?」

「本人は、十五歳になったら冒険者になるつもりらしいけど、両親がいなくなってからは、戦闘訓練も魔法の練習も、あまりしていないんだ。それに、優しくて面倒見の良い子だから、孤児院の子達のために無理をすることは目に見えている。それなら、旅の仲間にして修行しながら、色々と勉強すればいいと思ってな」


 そして、カーナちゃんはおそらく、自殺願望がある。

 親に会いたいという、本人も自覚しているようで、していない願望が……。


「そう言う事ならルコは賛成です! 体術は私が教えていいですよね!」

「私も異論はないが、何か教える事は特にないぞ」

「じゃあ、決まりだな。炎の剣の皆はどうするか聞いてみるか」

 色々と話をしていると、夕食の時間になったので、店を閉めて二階へ向かう。

 揚げ物のいい匂いがしてきた。

 テーブルの上を見ると、フライドポテトや野菜の天ぷら、鶏肉の天ぷらなどがあった。

 ティリアちゃんは、フライドポテトをつまみ食いしていた。


 ルコも便乗して食べようと手を伸ばしたが――


「ルコ。まずは手を洗ってこい」

「はいです〜」

「あっ! ティリア! つまみ食いしちゃダメでしょう!」

 ぶんぶんぶんぶん

 勢いよく首を横に振るが、誰が見ても口が膨らんでいるのがわかる。

「なら、あなたの分だけ少し減らしますね」

「ふめんなしゃい。ほうしましぇん」

 どうやら、量を減らされたくないらしく、すぐに謝った。

「おぉ。いい匂いだな。腹が減ったぞ」

「主様!手を洗ったので食べていいですか!?」

「もう少し待ってくれ」

 俺も手を洗い、配膳などの手伝いをする。

「よし。食べるか。いただきます」

「「「「「いただきま〜す」」」」」

 星人の家は今日も平和でした。



読んでくださりありがとうございます。


次回の星転は

カーナ「私は冒険者になる!」

アスト・ルコ「「一緒に行こう。」」

ユーミル「何でこうなるんだー!」

カーナ「お母さん、お父さん、ありがとう。」


次回は17日です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ