7話 実験?
剣での戦闘シーンを初めて書きました。
読みやすくできてるといいです。
約二時間程商売をして、残りが土だけになったので終了して、冒険者ギルドに行くことにした。
カーナちゃん達も今日は売れたらしい。
「カーナちゃん、俺達はもう行くとするよ。また夕方に会おう。ディアナさんによろしく」
「はい。今日売れたのは、アストさん達が私達の方にもお客さんを案内してくれたおかげです。ありがとうございました」
「どういたしまして」
「それで、明日も来ますか?」
「そうだなぁ。今日は固定客になってくれそうな人達もいたから、明日も来ようかな。そしたら、今度は一緒にやろう。詳しいことは夕方に話すから」
「はい。よろしくお願いします」
棚とお金を収納にしまい、カーナちゃん達に挨拶して冒険者ギルドに行く。
「ルコ、朝は混んでいて、絡んでくる冒険者がいるかもしれないから入る前に変化を使って、透明化してくれ。受付に並んでからは解除していいから」
「はい! わかりました! 面白い依頼があるといいですね!」
冒険者ギルドに入り、依頼ボードを見に行く。
やっぱり朝は冒険者が多いな。
客で来た冒険者もいるな。
EとDランクの依頼を見る。
これにしよう。
「ルコ、今日はこれにする。前より少し奥に行くけど、俺達なら大丈夫だから」
「了解です! 今日狩るのは、オークとポイズンスネーク、ビックラビットですね」
「念のため、解毒ポーションは持っているけどポイズンスネークには気をつけてな」
「はい! なるべく一撃で仕留めます!」
少し受付が空くのを待って、ビーナさんの所に行く。
「おはようございます。ビーナさん。この依頼をお願いします」
「はい。お預かりします」
ビーナさんに依頼を受理してもらう。
冒険者ギルドを出て、町の門をくぐった。
今日はモルクさんじゃないみたいだ。
また少し歩き、ルコと供に森に転移する。
地図と変化を使い、依頼の魔物を見つる。
俺は空変で、重力を操作したり、酸素と魔素を取り除いたり、ルコは変化を使って透明化し、雷を纏わせた蹴りで、それぞれ依頼の魔物を仕留めていった。
他にも、薬草を採取したり、木を切ったり、食材を採取したりした。
昼食は森の中で、朝買った物を食べた。
夕方、転移で町の近くまで戻り、門をくぐって町に入り、ギルドに依頼の報告をし、教会に向かう。
「すみませーん。アストです」
教会に入り、挨拶をするとディアナさんが出てきた。
「アストさん。こんにちは、カーナちゃんから聞きました。何でも協力して欲しい事があるとか? 畑はこちらです」
教会に入り、ディアナさんに畑に案内してもらう。野菜や、薬草などが植えてある。
とりあえず、半分でいいか。
「畑の半分を使わせてもらっていいですか? とりあえず、銀貨十枚渡しますね。俺の植えた野菜と薬草がちゃんと育ったら、もう半分も整備させてください」
「そんな、こんな大金は受け取れないです。それに、朝もアストさんのおかげで商品が売れたと聞きました。これ以上優遇してもらうのは……」
やはり、ディアナさんは受け取るのを遠慮した。
しかし、こちらとしても実験なので、受け取ってもらわないと困る。
もしも失敗してしまったら、畑がダメになる事はないが、せっかく植えた野菜や薬草が無駄になってしまう。
「気にしないでください。これは、俺がやりたくてやっているんです。実験も兼ねていて、もしかすると失敗して、今より酷くなるかもしれないので。それに俺は商人です。この後、契約書も書いてもらおうと思っています。どうしても受け取れないと言うのなら寄付金として渡します」
「そう言う事なら、わかりました。喜んでお受け取りします」
何とかお金を受け取ってもらい、契約書にサインをしてもらう。
「ありがとうございます。では、さっそく作業の方に取り掛かりますね」
もうすぐ日が完全に沈むので急いで取り掛かる。
畑の半分の野菜と薬草を収納に入れ、生産で土を作り、畑の土と混ぜる。
種を蒔き、水をやる。
今回は、どんな所でも育ちやすいと言われている、トマトとじゃがいもにした。
季節はあってるかわからないが、俺の魔力から作られた種なので、おそらく季節に関係なく作物は育つだろう。
「ふぅー。ディアナさん終わりましたよ」
畑の整備が終わり、振り向いて、ディアナさんに声をかけると――
わー! パチパチパチ。
「「「「お兄ちゃんすごーい!」」」」
一連の作業を見ていたのか、薄暗くなった畑で、子供達が拍手をしていた。
「数日間、様子を見てください。それと、お水はこれをあげてください」
五百ミリリットルのペットボトル型の石の容器を、いくつかディアナさんに渡す。
井戸水でもいいのだけれど、生産で作った水をあげた場合の結果を知りたい。
「わかりました。ありがとうございます」
「こちらこそよろしくお願いします。それと、カーナちゃん」
俺はカーナちゃんに向いて話しかける。
「はい。何ですか?」
「明日も朝は来るんだろう?パンと干し肉はできるだけ多めに用意してほしい」
明日は水が多めに売れるかもしれない。こっちは食料を用意できないのでカーナちゃん達に任せる。
「わかりました。頑張ります!」
「ディアナさん。それでは、そろそろ帰ります。カーナちゃんまた明日ね」
「はい。また明日」
ディアナさんと子供達に挨拶をして別れる。
「ルコ、お腹が空いたな。宿に戻ってご飯食べるか。それと酒の飲み過ぎには注意だ」
「はい! 飲み過ぎずにいっぱい食べます!」
この後、宿に戻り、ご飯を食べ、部屋に戻り明日の準備をして寝る。
今日も寝るのは遅くなりそうだ。
☆sideエドルド
今日の予定は朝に露店通りに行って買い物をしたあと、冒険者ギルドの依頼を受ける。
仲間と露店通りに行き、並んでいる露店を見ていく。
しばらく歩いていると、よく見知った奴が1人の娘と一緒に露店を開いていた。
商品は、土と石とネックレスだ。
声をかける。
「よう。アスト。お前商人もやっていたのか。売れてるのか? 後、隣の娘は仲間か?」
「おはようございます。エドルドさん。フィンさん。グミルさん。ホミルさん。えぇ。ルコと言います。俺の仲間で嫁です」
嫁か。
フィンが何か言いそうだな。
「ルコです! 主様の番です。よろしくお願いします」
「何!? 嫁だと! お前どこでこんな可愛い子引っかけたんだよ。今度俺におごれ!」
「フィンさん。先越されたからって見苦しいっすよ」
グミルがフィンの言動を注意する。
「それで、ここでは何を売っているんですか?」
ホミルが何を売っているか聞いた。
俺も気になる。
棚はほとんど商品がないし、置いてあるのは土と石とネックレス。
「鉱石、食物の種、ポーション、水があったのですが売れてしまって、今日はここにある物で終わりです。魔法の付与してある石とネックレスです」
ほう。
魔法の付与か。
少し気になるな。
「どんな効果があるんだ?」
「石の方は、強い衝撃、投げつけたりすると、爆発したり、光を放ったりですね。ネックレスの方は魔力の回復が少し早くなります」
そんなアイテム――石――は、聞いたことがない。
ダンジョンで魔法のオーブや巻物、アクセサリーは稀に出ることがあるが。
「それ、本当なのか?」
フィンも同じことを思ったらしい。
「もちろん、嘘の商売をしたら、違約金に加えて商人ギルドのカードを没収されてしまいます」
「それもそうか。で、いくらだ?」
フィンが値段を聞く。
「石が大銅貨一枚、ネックレスが銀貨五枚です」
石は使ってみんとわからんが、ネックレスは安いな。
倍でも売れる。
「ふむ。なら爆発する石と、光る石を四つずつ。ネックレスを一つくれ」
「はい。全部で銀貨九枚になります。あっ、それとこれどうぞ、一人お一つお守りとして持っていてください」
そう言われて、見た目の丸い石を渡された。
「これはどんな効果があるんだ?」
「秘密です。持っているだけでいいですよ。もしも、壊れたら教えてください」
「わかった」
「ありがとうございます。またのお越しを」
お金を渡し、商品を受け取る。
「おう。アストも頑張れよ」
「はい。皆さんもお気をつけて」
アスト達と別れ、冒険者ギルドに向かう。
「このネックレスは、ホミルがつけろ。それと、石は全員一つずつだ」
ネックレスをホミルに石を全員に一つずつ渡す。
「わかりました。最後にもらった石はどんな効果なんでしょう?」
「わからんが壊れたら効果があるみたいだ。まぁ、効果のない商品を客に売らないだろう」
嘘の商売をするとペナルティーがあるみたいだしな。
「それよりも、あのルコって子、可愛かったよな」
「フィンさんも娼館に行くのをやめればモテますよ」
グミルとフィンが話しをする。
「アストだって、娼館くらい行ってるだろう」
そんな話をしていると冒険者ギルドに着いた。
依頼を受注しギルドを出て、町を出る。
今日は、森の中腹~奥で魔力草の採取とゴブリンジェネラルの討伐。
最奥には行かない。
あそこはランクA、Bのモンスターが出る。
今のメンバーじゃあ少々きつい。
森に着きゴブリンジェネラルを探す。
しばらくするとフィンが巣を見つけたらしく、呼びにきた。
「キングになる前で良かったぜ」
「全部で百くらいか、じゃあ、前みたいにホミルの魔法で奇襲したあと。フィンは残ったゴブリンを、グミルはホミルの魔力が回復するまで守れ、俺は、ジェネラルとやる」
「「「了解」」」
ホミルの火魔法で攻撃、残り半分くらい。
フィンは、速さと正確さで、生き残ったゴブリンを確実にしとめていく。
グミルは、ホミルに攻撃してくるゴブリンを倒す。
俺は、ジェネラルと対峙する。
武器は同じ大剣、身長百八十と同じくらい。
お互い右から左に剣を振る。
ガキン! キンッ! ガッ!
数回、剣同士をぶつけ合う。
グサッ!
ゴブリンジェネラルの左腕に短剣が刺さった。
どうやらフィンのゴブリン殲滅が終わったみたいだ。
ジェネラルは、後ろにジャンプをして俺達と距離を取る。
そして、走りながら剣を上にあげる。
そのまま、俺に向かって、声をあげながら振り下ろしてくる。
「グガァァァァ!!」
俺は、攻撃を左にかわして、剣に炎を纏わせて、右下から左上に全力で振る。
「ふん!!」
「ヴァァァァ!!」
ジェネラルの左下から右の脇下にかけて斬る。
ゴブリンを全て倒し終わったのか、グミルとホミルがこちらに向かってきている。
「ガァァァ!!」
その時、ジェネラルが最後の力を振り絞ったのか、倒れたまま剣を投げつけた。
ホミルに向かって。
とっさの事で、俺もフィンも動けない。
剣はそのまま、グミルの隣を通りすぎ、ホミルにぶつかった。
ドカン! パキッ
「きゃあ!」
ホミルは衝撃で後ろに転んだ。
何だ?
今、何が起こった?
普通なら刺さったはずだ。
とりあえず――
「おい! ホミル無事か! グミル、ホミルはどうなってる」
「大丈夫。気を失ってるだけ見たい。ごめんね。ホミル」
「それよりも、今何が起こった? 俺は、ホミルに剣が刺さっちまう所を想像したんだが」
「フィン。俺もだ。とりあえず、しばらく休憩しよう」
しばらく休憩していると、ホミルが起きた。
「うぅ。私、生きてる」
「よかった。ホミル体調はどう?」
「大丈夫だよ。お姉ちゃん」
「ホミル、ポーションを飲んでおけ、あと何があったのか教えてくれ」
ホミルにポーションを飲ませる。
「あの時、剣が飛んできて、私死んだと思ったんです。そういえば、パキッて音が」
そう言って、ホミルがローブの中を探ると、出てきたのはアストにもらった、二つに割れた丸い石だった。
まさか、これは!
フィンも俺と同じ事を思っただろう。
「グミル、ホミル、この事は他言するなよ。それと、ホミルは変わりに俺のを持っておけ」
「二人で納得してないで、私らにも教えてよ」
グミルは俺とフィンが何か知っていると確信しているようだ。
「たぶん、それは、命を肩代わりしてくれるアイテムだ」
「それって、ダンジョンで出る、白金貨十枚以上するっていう? こんな石が?」
「まだ、予測だがな。俺が明日アストに聞きにいく。売り出す予定なら絶対にやめろとも言っておく」
「わかったよ。でもホミルが無事でよかったよ」
「あとは、魔力草を採取して帰ろう」
フィンの言葉に皆頷き、魔力草を探す。
少し開けた場所に出た。
木を見る限りでは最近出てきた木みたいだ。
薬草や魔力草、消毒草もあった。
どれも質が言いな。
この木も、回りと比べるとまだ小さいが良い木だ。
「そろそろ、終わりにして帰るか」
帰る時に、爆発する石と光る石を使ってみた。
全員の袋がいっぱいになったので帰ることにした。
日が沈むまでに町に戻り、ギルドに報告する。
魔力草を納品したさい、どこで採ったか聞かれた。薬草と消毒草も納品した。
この町の錬金術師と値段の相談をするから、お金は明日渡すと言われた。
ギルドを出て、宿で飯を食べ、ベッドに寝転ぶ。
フィンとの二人部屋だ。
今日は、娼館には行かないらしい。
「今日は娼館に行かないのか?」
「あぁ、俺も明日アストの所に行く」
「いや、俺だけで行くから、お前はあの姉妹の面倒を見ていてくれ。お前が着いてくると、グミルも行くと言いそうだからな。というか、早めに言ってやれ、気づいてるだろ?」
「なんというか、冒険が終わっちまうみたいで、いやなんだよな」
「普段はよく女に目移りするくせに、こんな時だけ弱気だな。そう言うわけで、明日は俺だけで行く」
「どういうわけか、全くわからないが、そっちは任せたぞ。こっちは宿で飯食って待ってる」
「そうしてくれ。それじゃ寝るわ」
少し話をして、目をつぶる。
なかなか眠れなかったが、気づくと眠っていた。
読んでくれてありがとうございます。
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