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おねだり

初めての投稿作となります。

誤字、脱字の報告は歓迎です。



「おばーちゃん、UFOって本当?」

「ウソだよね! 全部ニセモノでしょ?」


 日曜日の午後、わたしの家に遊びに来ていた幼い孫たちが、まどろんでいたわたしを起こしました。


「UFO見たって人、いっぱいいるじゃん」

「お兄ちゃんだまされてるんだよ! あれはCGっていうんだよ?」


 どうやら二人は、昨夜のテレビの影響で、不思議なお話に夢中のようね。


 この兄妹は本当に似ているわ。


「お父さんはいるかもって言ってたよ?」

「お母さんはいないって言ってたもん!」


 妹の方は、母親に似ているわね。


「見たいー! UFO見たいよー!」

「お兄ちゃん、連れていかれちゃったらどうするの!?」


 妹が震えながら張り合うと、兄がそれは予想していなかったと言うように口をぱくぱくとさせてます。


「だっ! 大丈夫だよ! 天使がいるし! 兄ちゃんは妹を守るぎむがあるから!」


 あら、面白い方向にはなしが進んでいるわね。


「でもお兄ちゃん、小学校いっちゃうでしょ?」

「あ……でもお前だって幼稚園いくだろ?」

「いく!!」


 お話の内容も、ころころとかわっていくのね。


「おばーちゃん、お兄ちゃんにUFOはいないって言って?」


 あら、戻ったわね。


「そんなことないってば! おばーちゃん、おばーちゃんはいると思う?」

「そうねぇ。おばあちゃんとしては、かわいい孫たちが連れていかれちゃうと困るわねぇ」


 二人は一瞬同じようにキョトンとすると、それぞれの表情に戻っていきます。


「お兄ちゃん、おばーちゃんを困らせたらダメ!」

「おばーちゃん! はっきり言ってよ!」


 あら。納得はしないわね。


「そう? もしかしたら、本当にいるのかもしれないし、ウソかもしれない。分からないわねぇ」


 この瞬間、妹が勝ち誇ったように満面の笑みをこぼし、兄はしゅんとしぼんでしまいました。


「でも、本当にいると思っているなら、いつか会えるように、心のなかで信じていれば良いのよ」

「心のなかで……?」

「そうよ。心の中でなら、何を考えようと自由だもの。だれにも邪魔はできないわ。天使のように、信じていても、良いのよ」


 そう言うと、二人はそろって笑顔を見せてくれました。


「ねぇおばーちゃん? 天使のおはなしして?」

「わたしもききたい!」

「あら、もう何度もお話ししてるけれど? また聞きたいの?」


 二人そろって、こくこくとうなずきます。兄が窓のほうを向くと、妹も窓を見ます。


 通りすがりのノラネコが、こちらを不思議そうに見つめていました。


「じゃあ、お話ししましょうね」


 わたしがいうと、ふたりはその場で体育座りで待ちます。


「あれはわたしがまだ、二人と同じくらい小さかったころ───」



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