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異世界酒場の自由すぎる日々  作者: 秋津 幻
二、女に台と書いて初めと書く
9/12

小っちゃい子は最高だぜ!

詰将棋の本があったので読んでいる。

なぜか将棋盤もあったのでそれで実際に動かしながら解く。

「暇ですねえ」

「この春雨サラダうまいな。さすがユリーカちゃんだぜ」

「ほとんど春雨ですけどね」

さっき買ってきた春雨でサラダを作った。19:1の割合で春雨:きゅうりなのだけど。

意外とこれが気に言ったご様子でおいしく食べてもらえている。

それはいいのだが……

「人こなさすぎじゃないですかね?」

「いつもはこんなもんだ」

今までが異常だったのか。毎日ああ言う感じに宴会をしている感じだと思ったが。

昨日に至ってはクエストをちょっと受けにきたと言う感じの冒険者しか来なかったし。常連さんもこなかったという……私に気を取られていた分色々と仕事を片付けているらしい。なんか申し訳ないなあ。

カランコロン。酒場の扉が開いた。

「いらっしゃいませー。あ、オズの魔法使いさん」

「そんな話ありましたけどね?……オズバルドですよ」

「こんばんわなのー」

オズの魔法使いがこの世界にあったと言う真実を今知ったがそれはともかくロリとロリコンが来店してきた。今日もリゼちゃんはかわいい。

「それでゴッドバードさん、今日はなんのようで?」

「僕は神でも鳥でもないよ!?ただ酒を飲みに来ただけで……店主さんいつもの」

「いつものねー了解。ほれいつもの」

「あーこれこれ。このしゅわしゅわしてて……炭酸水じゃないですか!?」

「リゼちゃんお菓子いるー?」

「わーい」

「ナイスノリツッコミ」

切れのあるツッコミ。さすがと言うべきか。

この酒場に来る常連さんのほとんどはこのノリツッコミスキルを会得していると言う。確かにみんなやりそうではある。

「冗談ですよ。はいいつもの」

「あーどうもありがとう……やっぱりハニーはかわいいなあ」

一見すると普通の人に見えるのだが……やはりロリコンである。

確かにこのリゼちゃんのかわいさに心ときめくのは分からなくはないがそれにしても完全なる犯罪ではないのか……そう私は声を大にして言いたい。

「ゆりーかおねーちゃんーあそぼうー?」

「ああもうかわいいなあ!」

ああロリコンになる。かわいいかわいい超可愛い。

「それで店主さん、あの噂聞きました?勇者とかいう……」

「ああ流星に乗ってきたと言う?魔物を統べている魔王とやらを倒すとか……」

「流星ってそれ私じゃないですかー」

なんてことだ。時が来たら私はそいつらといるかもわからない魔王を倒しに行かなければならんのか。あー面倒だ。少なくとも師匠並には強くなってから単身乗り込んでいくのが私の夢だ。今やることではない。

ちなみに師匠とは昼に教えてもらっている。夜はここ最近忙しいから酒場にはこれないと言っていたが。

「まー流星にのってきたって言うのは本当なんじゃね?ユリーカちゃんが行きたいって言うんだったら止めないけど……」

「誰が行きますかそんなもん」

絶対にごめんだ。何度でも言う。少なくともあと三年はここで下積みをしたい所なのだし。

「で、魔王っているんですか?そんないることもわからないもの、存在するかわからないですし。ファンタジーやメルヘンじゃないんだし」

「魔王?あー俺の知り合いだわ」

「……は?」

おいおいジョークはやめてくれよ。店主に娘どころか妻がいるだけでも衝撃なのに魔王が知り合いとか……」

「実は俺もこの酒場の常連だった時期があったんだけど……あいつもここの常連でねえ。急に『魔物を統べて来るわ』とか言って知能のある魔物が多くする場所に乗り込んでいって……その後の話は聞いてないけど魔王の噂が出始めたのもそのあたりだし……おそらく統べてるんだろうな」

……本当か。

「でも魔王を倒して何になるって言うんですかねえ。別に知能の高い魔物が組織的に襲ってきてるわけじゃないんだし……」

「それがですね、噂の出所がアイっていう人族しかいない場所で……魔物は全て死ねっていうそういう思想を持ってまして……」

「……」

ただのカルト組織って言わないそれ?

「この辺りの国とは仲悪いよな。普通に人型の魔物とか住んでるし」

「へーそうなんだ」

人型の魔物か。そんなもの町で見かけたことはないけれど……いるにはいるんだろう。

「他人事みたいに言ってますけどね。レオナルド君とか竜族と人間のハーフですよ?炎とか吐けますよ?」

「お前の師匠、リシェちゃんもも妖精族だしな」

「へー……うぇえ!?本当に!?」

「ちなみにわたしはえいきゅうにしょうじょのすがたでいることをきょうせいされたこびとぞくのまつえいなのです」

「嘘だからね?ただ僕がその可愛さに見惚れて拾っただけだからね?」

リゼちゃんお茶目だなあ。かわいいかわいい。

いやーそれにしてもさすが異世界。魔物族が違和感なく町で過ごしているとは……うん?

「レオナルド君ドラゴンぶっ殺してませんでした?」

「竜とドラゴンは別物なんですよ……ドラゴンが進化したのが竜です。だからと言って竜がドラゴンを殺さないとでも?人が町を襲う猿を殺さないとでも?」

ああそういう話か。おそらく竜族がドラゴンに化けられるとかそんなこともないんだろう……ファンタジーやメルヘンじゃないんだし。

知能の高くて二足歩行なのが竜。進化前がドラゴンってか。

師匠が妖精族なあたりも聞いてみるか。


***


「リゼちゃん、何か食べたいものとかある?」

「とりゅふ!」

可愛い声でありえない言葉を吐く。

「ないから!」

店主がそう叫ぶが、リゼちゃんのその言葉にオズバルドさんは反応する。

「よしよしハニートリュフが欲しいんだねわかったよ!今すぐ最高級のものを取りに行ってくるから」

「ストップ。おいロリコン、せめて買ってやるくらいにしろ。おいやめろ」

買うとかじゃなくて取りに言ってくるあたりロリコンでありリゼちゃんのことを相当に愛していることがひしひしと伝わってくる。

「リゼちゃん、どれだけこの人が甘やかしていようが我慢すると言う事を覚えなさい。将来セフレやキャバ嬢やヒモみたいに人に甘えて暮らすような人間になるから」

「せふれにきゃばじょうにひもってなにー?」

「金のためにその身を汚した人だよ」

「お前もやめろ。小さい子にそんなことを教えるな」

店主からのストップが入る。調子に乗りすぎました。てへっ。

「えーじゃあふぉあぐらでいいよ」

「対して変わってないからね!キャビアとかいうんじゃないよ!?」

「ごめんユリーカちゃん、キャビアあるわ」

ずこー!?あるんかい!

「ちょっと店主さん!?なんでこんな貧乏酒場にそんなものがあるんですか!?」

「この酒場は絶賛黒字経営だよ。お歳暮代わりに貰ったものが……ほれ」

店主さんが店の奥から何かを出してくる。

缶から少し高級そうな入れ物にそれを入れる。

それは、まごうことなき偽物であった。

入ってる缶がすっげえ安っぽいあたりが特に。

「わーおいしそう」

私は急いで店主さんにかけより耳打ちをする。

「これ絶対偽物ですよね?なんでそんな安っぽい缶に入ってるんです?」

「魚の卵全体のことをキャビアって言うらしいぜ」

「なら大丈夫ですね」

ロシアでは魚の卵全般をイクラと言うらしい。まあ偽物も本物も大して変わらないだろう。どうせ食べるのは子供だし。

「じゃあハニー!食べよう!」

「……これいろがちがう」

一瞬で見抜かれた。

リゼちゃんが一口なめる。もうアウトですね。

「にせものじゃんこれ!どーいうこと!」

ああ怒ってるリゼちゃんもかわいいなあ!でもなんか構え始めたよ!

「わたしおこったよ!なんでうそつくの!」

「……店主さん。さすがの僕でもハニーを怒らせたら怒りますよ?」

この人はこの人でやばいよやばいよ!ガチで怒ってるよ!

リゼちゃんの手からキュイイインとか音がしてる。それは光属性だとか飛属性とかそんなチャチなもんじゃないもっと恐ろしいものの片鱗である。

よし。逃げよう。

「じゃ、あとは任せました!」

店主を押してドアから逃げ出す私。

「ちょっとまってええええ!すいませんジョークです後生ですからあ!」

「序!」

オズバルドさんは力を溜めているようだ。

物体(存在)最小単位(真価)放出(還元)し、今放たれよ……」

リゼちゃんが漢字を使っている気がするのは気のせいに違いない。

私は後ろを振り向かずに暗い町を走り続ける……私は何もしてないもん。黙ってただけだもん。

「破!」

破壊(爆発)!」

オズバルドさんとリゼちゃんの声と同時に後ろから爆発音が聞こえた。私は絶対に振り返らない。

爆発オチは定番ですね。

へー○ルハウスを呼んでおくべきか?

まったく幼女は最高だぜ!

なんかもう爆発オチしか思いつかなかった。

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