第1話 翻訳
その赤ん坊は一言で言えば奇妙であった
姿形は普通の赤ん坊だが、まず泣かない、少なくとも泣いたところを私は見たことがない赤ん坊は泣くものだと誰でも知っているはずだ
さらにその視線である、誰かを観察しているような目でこちらを見ていることが多く、とても赤ん坊の視線ではなかった
―――スキエ公記序章 母親の証言より
さて、ようやくこの世に生を受けたわけだが、音が日本とは全く違うな
都会の雑踏のうるささなど全くなく、ほとんど無音で時折吹く風の音が外の景色ののどかさを想像させる
こういう感じも悪くはない…が、俺は研究がしたいのだ
まず習得しなければならないのはここの言語であろう
はっきり言ってなに言っているのかさっぱりだ 少なくとも日本語や英語ではない
(なぁミーナ、周りの人たちがなに言ってるのかさっぱりわからないのになんでお前とは会話できるんだ?)
『それはですね。私はフォルトゥム様の力でヘルパーとは自動的に翻訳されて会話できるようにしてるんですの。』
(確かに会話できなかったらヘルプを使うこともできないよなぁ加護ってすごいんだな)
『あなたも加護を受けてるじゃないですのよ。』
(つまり俺の喋る言葉も自動で翻訳されてるのか?)
『そうですわね。』
(じゃあなんで俺は相手の言ってることがわからないんだ?)
『普通の人間には加護がついていないからですわね。忘れたんですの?あなたは特別なんですのよ?』
(じゃあ俺はどうやって相手の言ってることを理解すればいいんだ?言葉を勉強するしか無いのか?)
『魔法でも翻訳できますわよ。というか、この世界の人間は皆この魔法を覚えておりますわ。それのおかげでこの世界のどの人とも会話できるんですのよ。』
(つまり、この加護の力での翻訳はお前と話す時専用みたいなものか?)
『あながち間違いではないですわね。』
(翻訳の魔法は今の俺でも使えるのか?)
『念話できる魔力がありますから可能ですわね。』
(翻訳より念話のほうが魔力を使うのか?個人同士での念話のほうが魔力を使わなそうなんだが…)
『魔法の神と言葉の神がその方が便利だからそうしたみたいですわね。』
(確かに頻度は会話のほうが上だしな…じゃあ早速翻訳の魔法を教えてくれよ)
『教えなくても私がかけますの。最初に使えば死ぬまで使えますので、本来は親に魔法をかけてもらうはずですが、忘れてるみたいですのね。』
(使ってくれるのか、それはありがたいな)
『どうせ使うのはお前の魔力ですし。』
(…後でやり方だけ聞かせてくれよ、今の目標はあらゆる魔法のコンプリートだからな)
『了解ですの。《翻訳》…これで大丈夫ですの。』
(これで大丈夫なのか?何の変化も無いんだが)
『翻訳だけなのに変化があるわけ無いですの。』
(いや、魔力を使ったら倦怠感とか疲れが出るとかないのか?)
『魔力が空に近くなるとそういうこともありますが、お前自分の魔力どれだけあるかしらないんですの?』
(どうやって知るんだよ)
『ステータス確認で見れますの、特別サービスで読めるようにしてありますの。』
(お、ありがたい、どれどれ)
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スキエ♂ 0歳3ヶ月
ステータス:平民の子 フォルトゥムの加護
レベル:1
HP:5
MP:500
体力:2
筋力:1
魔力:300
知能:300
使用可能魔法:なし
使用可能特技:念話Lv1
使用可能固有魔法:なし
使用可能固有特技:ヘルプ参照
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翻訳は魔法から消しました(誰でも使える項目なので)
訓練しないと手に入らない魔法、特技のみ表示されるようにします




