第12話 旅立ち
さて、学校までは貴族なら馬車を使うみたいだが、俺は平民だ 徒歩で行かなくちゃならないから2ヶ月前に出発することにした
幸い住む場所は学校に寮があるみたいだからそこに世話になるつもりだが、生活費を稼がなきゃならないからギルドにも登録しに行かないと行けないし、正直1ヶ月前乗りじゃ間に合わないかもしれないがなんとかなるだろう
8歳から家の外に出れるようになってからは主に移動手段に魔法は使えないかと考えていた
まず考えたのは抵抗のように魔力を体に纏い、魔力で体の力を強くすることはできないだろうかだ
早速イメージでしてみると案外早くできた
呪文名は活性らしく、効果は作動中の身体能力が5倍になるというものだ
これで飛ばせば早く着くだろう…しかし問題点があった
MPの消費が多すぎるのだ
抵抗はLv9でのMP消費が1日で12なのだが、活性は1分に20消費してしまう
Lvが上がれば変わるかもと思ってLv9にしたが、それでも1分にMP10の消費だ
というわけで、燃費が悪すぎるため不採用になった
次は風魔法はどうだろうかと考えた
後ろから追い風を吹かせて足取りを軽くさせるのだ
こちらは燃費はいいものの、効果が微々たるものだった
速く走れるようになったりしたものの、荷物を持ったとたんにあまり軽さを感じなくなったのだ
と、考えていた案が使えないと知りどうしようかと悩んでいたところで、一つ閃いた
テレポート、ワープはできないのだろうかと
結論から言うと、テレポート、ワープともに使えた
テレポートは目視の範囲で移動することができる魔法だ
そしてワープは今まで行ったことがある場所に移動できる魔法だ
この魔法の優れている点は移動距離にかかわらず消費MPが一定なところだ
つまりテレポートで行けるところまで行き、ワープで家に戻りまた次の日に王都まで進んでいくというのを繰り返していた
その結果王都まで1周間で到着したのである さらにワープも使えるので、いつでも王都に行けることになった
そして、旅立ちの日――両親と師匠が見送りに来ていた
「スキエ、気をつけていくんだぞ。」
「さびしくなっちゃうわね~。」
「スキエが帰ってくるのは1年後だったな…その頃にはお前の弟か妹に会えるかもしれないな、母さん。」
「もう~、子どもの前でなに言ってるのよ~。」
と母様は恥ずかしながら言うが、まんざらでもなさそうである
「その時は知らせをいただけるとうれしいです。」
「もちろんだ。お、そうだこれを渡しておかなくてはな。」
と父様は巾着袋を渡してくる 中身を確認すると金貨と銀貨がいくつか入っていた
「その中には100万マロ入っている。入学費70万マロに王都までの道中で使うであろう分と、到着してから1ヶ月の食費なので慎重に使うように。
「分かりました。無駄な使い方はしないことをお誓いいたします。」
ちなみにこの国で使われる貨幣はマロ貨幣が使用されており、
1マロ:銅貨
100マロ:大銅貨
10000マロ:銀貨
100000マロ:大銀貨
500000マロ:金貨
1000000マロ:大金貨
となっている
「では、父様、母様、行ってまいります。」
「じゃあね~ちゃんと来年帰ってくるのよ~?」
「しっかり勉強してこい。」
「ホッホ、目立たんようにの~」
そして、3人の姿が見えなくなるとワープを唱えた
そして到着したのは王都マンザリーブから10kmほど離れた場所にある森の中だ
泉があったのでそこを登録地点にしている。
しかもメインの通りからは大きく外れているため、誰かに見られる心配は殆ど無いはずであった…
そう、今日ワープで到着するまでは…