約束を取り付けた
今日は朝からMOONLIGHT3人揃っての打ち合わせだ。
今度旅番組を特番で行うらしく、その打ち合わせということであった。
まだ関係者は来ていないようで、控え室で思い思い休息をとっていた。
「そういや、REI。涼と連絡とったか?あいつ、REIと連絡とれねぇ。連絡先聞くの忘れたとか言って嘆いてたぞ」
SHOTAがふと呟いた。
涼?だれだっけそれは。
「ああ、そういえば勝負とか言ってましたよね」
ああ、勝負。ってことはあいつだな。三心涼FAF所属のアイドルチームであり、MOONLIGHTより先輩チームであるチームKのメンバーの一人だ。
昨日撮影で会った時に勝負を申し込まれ、面白いと思いながらもそのまま放置していた。
そういえば、昨日撮影で会ったってことは勝負を指定されたのは今日ということか。
今は午前11時。確か13時に駅裏と言っていたか。
ここから撮影を終わらせることは出来るだろうか。とりあえず
それよりもどこの駅裏に行けばいいのやら。
「メールしてみる」
そう言い、携帯を開いた。メールなんて自分から打つのは久しぶりだ。大抵はマネージャーからの連絡やリーダーからのスケジュール変更の連絡でしか利用していない。
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TO:三心涼
SUB:勝負
MAIN:どこ?
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これで大丈夫だろう。場所が分かれば行けるだろうし。
すると送って3分も立たないうちに返信があった。
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FROM:三心涼
SUB:REIか?
MAIN:
ってめー。
まずは名乗れよ!!
迷惑メールかと思って消しちまうとこだったじゃねーか。
お前今どこにいる?
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ここの場所を聞いているのだろうか。なら素直に答えてみる。
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TO:三心涼
SUB:
MAIN:フディテレビ内
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チャットと違ってメールはめんどくさいなと思いながら、顔を上げる。
するとまた数分で返信が返ってきた。
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FROM:三心涼
SUB:件名打てよ!
MAIN:
ならフディテレビ近くの喫茶フラワーで待ち合わせだ。
いいな13時だぞ!!
決して駅裏なんか行くなよ!
よく考えたらお前目立つんだからな。
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おっと。場所は変更にしたようだ。
確かに考え見ても、まずどこの駅裏かわからない上にお互いアイドルである。そんな目立つところで待ち合わせをして、見つからない訳がない。
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TO:三心涼
SUB:了解
MAIN:
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さてこれで大丈夫だろう。喫茶フラワーの場所はフディテレビの目の前といってもいい場所に立地しており、一見目立つ喫茶店なのだが、立地からか芸能人御用達となっており完全個室で使い勝手の良い喫茶店となっている。
マスターも気さくで、俺もフディテレビ近くでの仕事帰りなどにたまにコーヒーを飲みに訪れる。
あそこなら、三心と待ち合わせしても大丈夫だろう。
「おや、メール終わりましたか?」
SAKUが携帯を置いたタイミングを見計らって話しかけてきた。さすが空気の読める男である。
「ああ」
そうすると、立ち上がり、パンパンと手を叩いた。
「もうすぐ今回のディレクターとプロデューサーが来られるみたいですよ。そういえばスポンサーの方も今回見に来られる可能性もあるみたいですね。気合をいれで準備をしましょう」
「おい、リーダーは俺だぞ」
リーダーもSAKUに言われ立ち上がったようだ。SAKUはリーダーの小言にも何食わぬ顔だ。「はいはい」っといって受け流している。
さて、俺も昼前にはこの仕事を終わらせたい。気合を入れて臨もうと準備を始めた。