お姫様との出会い?
その名前を聞いたのはいつもの様にあきらとチャットで他愛もない話をしていた時であった。
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あきら>おおおおおお。レイいまTV見てるか!!
あきら>咲良姫のおっぱいやべぇ
レイ>誰だそれ?
あきら>お前いま話題の姫さん知らないのかよ
あきら>1チャンみろよ
あきら>出てるぜ
レイ>TVつける
レイ>ちょっと待って
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咲良?
初めて聞く名だ。あきらは芸能界の情報にも詳しく、芸能人の自分よりも芸能人の動向をよく知っていた。自分からはあまり興味も無く、知りたくもないとと思っていた芸能界の話だが、なぜかあきらが注目していると知りたくなるのは不思議だ。
俺は机の上にあるリモコンを手にとって、電源をつけた。1チャンネルをつけてみる。
テレビの中ではザワザワと芸能人たちが騒いでいた。バラエティ番組のようだ。お笑い芸人、マルチタレント、俳優、アイドルとオールジャンルの人がいる。
おっ、SHOTAもいるみたいだ。さすがMOONLIGHTのお笑い担当、バラエティの世界で呼ばれ頑張っているみたいだ。
どうやら3組に分けての、早押しクイズをしているようだ。
赤組、白組、青組の3組の対抗戦。
SHOTAは白組のラスト回答者のようだ。回答席までは、あと3人の出演者がいる。出番はもう少し先のようだ。
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レイ>つけた
あきら>姫さんはいま、クイズに答えようとしてるやつだよ
あきら>なっかなかバカで答えられてねーの
レイ>ふーん
レイ>どの色?
あきら>赤だよ
あきら>まあ注目するのはあの胸だ。まあ顔もだけどな
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あきらが言っていた赤組の回答者を見る。確かに赤組の回答席には胸元を大きく開け、強調させたシンプルなドレスを着ている女の人が映っていた。先程から何回か簡単なサービス問題を出されているようだが、全く分かる気配がないようだ。これはなかなか順番が回ってこない後ろの回答者が可哀想である。
そうこうしているうちに白組がSHOTAの順番まできたようだ。SHOTAは最後の回答者。と言うことはこれでSHOTAが答えられたら、このゲームは白組の勝ちである。
MC「幕末の志士「新撰組」の旗に記された漢字1文字は何?」
ピンポン!
早押し機を押したのは白組であった。
SHOTA「誠」
SHOTAがクイズに正解した事によって、SHOTAが組みしていた白組の勝利に終わったみたいだ。
クイズ後にMCが各参加者にそれぞれ感想を求めているようだ。
当然、白組を押しとどめることができず長らくチームの回答席を占領していた、彼女にもその順番は回ってきた。
MC「咲良さんはなかなか回答席を離れることができませんでしたね。難しかったですか?」
咲良「難しかった~。もう咲良無理~。」
本来ならこういった場面で、周りのチームメイトへの謝罪の一言などを言って場の空気を和ませるべきなのではあろうが、彼女は疲れた事を隠しもせず、まるで自分は何も悪くないような振る舞いだ。周りも苦笑いをして「お疲れ様~」なんて言っている。
咲良「SHOTAさん一発で正解とかかっこいい~♡咲良頭いい人好き~」
SHOTA「あはは、ありがとう」
空気を読めていない咲良の感想の一言にSHOTAも苦笑している。人が良いSHOTAはこんな所でも苦労をしているようだ。
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あきら>見ての通りだ
あきら>無知なお嬢様って感じだろ
あきら>だから姫なんてあだ名がついたんだ
レイ>ふーん
レイ>それなのに人気があるの?この子
あきら>まあ、グラビアやらせたら一流だからな
あきら>喋らせなければいいってことよ
あきら>あとは今回みたいな、キャラをネタで拾ってもらえて済みそうなバラエティとかな
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なるほど。ただこのSHOTAへの絡み方を見ていると、自分は絶対に話したく無いと思ってしまう。
しかしグラビアのしごとをしているなら、雑誌などで組まされた可能性も合ったわけだが、彼女のことは記憶に残っていない。これからも組まされることが無ければいいがと思ってしまうことは仕方がないことであろう。
しかし、玲の思いとは裏腹に彼女とのファーストコンタクトはすぐそばまで差し掛かっていた。