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ヒキコモリなのにアイドル  作者: ゆりや
まずは挨拶から
6/19

だんだん知名度が上がってきたみたいだ

 1stSingleが発売されてから1ヶ月はあらゆる音楽番組に呼ばれ、歌を披露することとなった。発売当初、発売1週間のみ告知として深夜の音楽番組のみ出演だったので、予想を大きくハズレ大反響であったと言っていいだろう。週間オリコンランキング1位を1ヶ月独占した男性アイドルはジャヘーズ事務所所属でないアイドルでは存在しなかったらしく、MOONLIGHTを男性アイドルといったジャンルで確立するための足がかりとなった。今まで男性アイドルと言ったらジャヘーズ出身といったイメージが世の中にあったようで必然的にMOONLIGHTを生み出したFAF(ファッフ)の名も男性アイドル所属ということを世の中に広がっていった。FAF(ファッフ)にもいままで男性アイドルとして活躍しているグループがいたのだがなかなか陽の目をみなかったのか、MOONLIGHTの歌番組進出をきっかけにバーター|(抱き合わせでの出演)に何度か登場し、徐々にではあるが人気が高まってきているようではある。1stSingleからバーターをねじ込んでくるあたりは、FAF(ファッフ)もさすが大手の事務所である。来たチャンスは骨の髄まで喰らい尽くす。


 ここまでの反響を呼び出した原因は、彼らが半年間の個人活動で積み上げてきた人気と、アイドルでありながら、口パクではなく生歌を毎回披露してたことであっただろう。各音楽番組に追加で呼ばれた要因となっているようだ。生歌でそれなりのクオリティーで歌い上げる男性アイドルは音楽番組の観覧タイプでの収録の盛り上げにぴったりであると、4週連続でMOONLIGHTを起用した音楽番組『おんがっく』のプロデューサに褒められた。単純に俺らの人気と実力が認められての起用かと思っていただけに、ライブ盛り上げ重視の起用であったことは残念ではあったが、まだ1stSingleこれから見返す機会はあるだろうと気分を切り替えた。


 MOONLIGHT3人で顔を合わせる機会もこの1ヶ月多く。他のメンバーSHOTAとSAKUと顔を合わせても緊張感はなくなってきていた。三人の会話のテンポも、一ヶ月音楽番組を駆けまわったおかげか、曲の前フリ、インタビューなどでの役割が自然と決まり、安心感のあるトークを行えるようになってきたと思う。主にMOONLIGHTに話しかけられた時に最初に答えるのがSHOTA。そして、SHOTAから話を拾いもっと深く説明したり、分かりやすく教えたり、たまにボケるのがSAKU。そして俺はSHOTAに会話を振られるか、MCに振られるまでは常に前を見続けている。たまに振られた時に回答の短い短文を使い分けていた。最初はMCも、もう少し会話をしようと試みていたのだが、何回か音楽番組に出演していくうちにREIは無口でクールであるとのキャラが浸透してしまったのか、その返答で満足してもらえるようになった。


 本人の知らぬとこでは、どこの局のMCもREIのファンになり、「普段の無口なREIが歌の時に胸がしびれる甘い声を聴かせるので、歌声を聞いて以来、思い出してまともに話せなくなった」とはネットでの酷評だ。ギャップ萌えというものであろうか。無口なREIでも今のところ音楽番組関係者からそのことを咎められる事は無かった。


 緊張感はなくなったが、SHOTAとSAKUの二人とREIとの関係といったらあまり進展は無かった。相変わらずSHOTAとSAKUの事は心の中で『リーダー』『猫』と決めつけ、心の中でだが呼んでいるし、二人のフルネームも知らない。あきらに言われ、聞こうかとも思ったが、どうせ聞いても忘れてしまうかと思い、保留にしている。





 そして今日はおんがっくの連続出演5週目の収録を迎えていた。おんがっくは一般の参加者を巻き込むライブ形式での収録を行なっている。時間帯はライブ気分を味わってもらうためと多くのライブ開始時間に合わせて19時から。コストがかかりすぎるために音楽枠を減らされている近年に、ゴールデンのこの時間に枠をとり続け、アーティストを毎回5組以上を起用するおんがっくは今のTVを代表する音楽番組といってもいいだろう。おんがっくのプロデューサに盛り上げ担当とはいえ、気に入られたのはMOONLIGHTの認知度を上げさせ持続させている理由のひとつであった。







MC「はい、今週もこのかたをお呼びしています。MOONLIGHTの皆さんです。」

「こんにちわー」

SHOTA「いやぁ、こんな呼んでもらっていいんですかね。ほかのアーティストに怒られそうだ」

SAKU「こら、よけいなこと言わないで」

MC「あっはは。いいんじゃないですか?今のランキング1位独占曲を歌ってもらわない訳にもいかないですしね」

SHOTA「あ、じゃあお言葉に甘えて」

SAKU「こら、調子にのらないの!」

MC「2人は仲がいいですねぇ。漫才を見ているようです。それに反してREIさんはクールですね。」

REI「最近けっこうそう言われますね」

SHOTA「REIはなんて言うか、狼って感じだな」


 MCはSHOTAがREIを動物に例え出したあたりから動物の話になっていった。


SAKU「じゃあSHOTAはサルかな」

SHOTA「なんでだよ」

SAKU「なんか、うるさいし」

SHOTA「えええええ、やだやだ」

MC「あれ?でも、なんかサルっぽいですね」

SHOTA「まじか、じゃあSAKUは何だろ」

SAKU「うーん?なんだろ」


 SAKUといったらもう


REI「猫だろ」


 俺が声を発した瞬間一斉にMCを含めた3人が振り返った。


SHOTA「REIが自ら会話に入った!!」

SAKU「こら、クララが立ったみたいに驚かないの!でも猫ですか。そんな風に思っていたなんて初めて聞きましたよ」

SHOTA「こいつはそんな可愛い動物じゃないだろ!もっと腹が黒ぃ…」

SAKU「ん?なんかいいましたかSHOTA」

SHOTA「いやぁ…REI!じゃあ俺はなんだよ!!」

SAKU「だからサル」

SHOTA「お前に聞いてないよ。REIに聞いてんの」


 SHOTAか。SHOTAはリーダーだよな。動物のリーダ-と言ったら


REI「ライオン」


SHOTA「おお!お前は分かってるなぁ」

SAKU「ライオン?どこが?」

SHOTA「お前の猫より分かるだろ!リーダーの威厳がにじみ出てんだよ」

SAKU「へぇ」

MC「ふふふ。なんかMOONLIGHTはこれから絆が強くなっていく予感がプンプンするグループですね」


 別にそんな威厳とかを思って考えんじゃなくてリーダーっていうイメージだけで言ったのだが、まあいいかな。本人も嬉しそうだし。







 この会話はTV用の曲間に入れるMCだったのだが、長すぎてライブの間に挟めず音楽番組ではカットされた。しかし、プロデューサーが面白いからということで編集してFAFのスタッフに売り渡したらしい。その日のうちにFAFの公式HPにその様子がアップされた。

 そして、MOONLIGHTのファンの間ではSHOTAはライオン、SAKUは猫、REIはオオカミといったアニマルキャラが定着し。ライオン、猫、オオカミのイラストキャラクターがファンクラブのトップページにを飾るのは2日後のことであった。



**********************

システム>レイさんが入室しました

レイ>おす

あきら>お、狩りいこうぜ

レイ>おー

**********************


 あきらとは最近は通信しながらモンハンを行なっていた。いやぁ、最近の通信技術って遠くはなれていてもラグ無しで動くからすごい。

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