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ヒキコモリなのにアイドル  作者: ゆりや
まずは挨拶から
5/19

彼らと玲の関係

(グループリーダー視点)


 今日はとある音楽番組の撮影に来ていた。SHOTAとSAKUとREIで『MOONLIGHT(ムーンライト)』。事務所もなんていうキザな名前をグループ名につけてくれたんだと思う。名前は実名からそのままローマ字にしただけなので反応できるのだが、未だにグループ名だけは名乗りたくない。なんだよ『MOONLIGHT』って。そりゃなREIみたいなクールでこの世の整ったパーツ全部合わせた、もうこちらが傅きたくなあるような王様みたいなやつには合ってるのかもしれないけどな。ちょっと人より高校時代にモテたからって勘違いしてFAF(ファフ)プロダクションに入っちまった俺なんか、そんな柄じゃねーよ。顔合わせの時にもう落ち込んでアイドル名乗るの辞めたくなったよ。ちらりとREIをみると、先に雑誌の撮影があったのか、髪型までしっかり決まっている。

 しっかし、MOONLIGHTが結成されて半年になるが、いまだにグループ二人の事はよく分からない。

 グループの結成は半年前だったが、デビューからガツガツプロモーションをかけていく他のアイドルとは違って、MOONLIGHTはデビュー時もホームページを作成するだけで積極的な広報はしてこなかった。そのため、初期はグループとしての活動はなく、個々に声がかかった仕事に呼ばれたり、ダンスレッスンやボイトレをしたりと、あまり集まる機会が無かった。


 そんなMOONLIGHTだが、デビュー半年でやっとファーストSingleを売り出すことになった。そのダンスレッスンやボイスレッスンで初めて顔合わせをしたのだから、MOONLIGHTの関係はまだ1ヶ月にも満たない。

 ただ一ヶ月で分かったこともある。雑誌で見ていたREIは初めは寡黙なキャラ作りだと思っていたが、楽屋でも無言、車内でも無言、社長の前でも無言となると、リアルに寡黙なんだなと思う。SAKUは栗色の猫っ毛と身長の低さで可愛い感じで、たまにトークで噛むのは何なんだろうと思っていたら、一生懸命トークを頑張ってる天然なのだと知った。いやREIがしゃべらないから必然的に俺とSAKUが話さなくちゃいけないんだけなんだけどな。女子達の「可愛い~」って声が羨ましいぜ。俺もトーク頑張ってるんだけどな。


 おっと。スタッフがMOONLIGHTを呼ぶ声が聞こえる。さて曲の前振りに行きますか。


司会者「さて、今夜の一曲目は『MOONLIGHT』で『空の彼方』です」

司会者「どうです、緊張していますか?」

SHOTA「はい、俺達の初めてのSingleなんで緊張しています。こんな音楽番組に出させていただくのも初めてで」

司会者「『MOONLIGHT』は今まで個々の活動を頑張っていらしたみたいですが、自己紹介と共にどんなことをしていたのか教えてもらってもいいですか?」

SHOTA「はい!MOONLIGHTリーダーのSHOTAです。主にFAFのバックダンサーやバックコーラスなど先輩のお手伝いをしていました。あとはバラエティ番組にちょくちょく。あ、いや、うるさいのだけが取り柄なんで」

SAKU「SAKUです。ラジオとか呼ばれることが多かったです。」

REI「REIです。主に雑誌やCMなどに出させていただいていました。」

司会者「REIさんの清涼飲料水のCMは一躍MOONLIGHTの名前を世間に知らしめましたよね。駅前の巨大ポスターが剥がされるなどの事件がおきたとか。あんな大きいものどうやって持って帰ったんでしょうね。」

REI「さあ?」

SHOTA「いやいや、FAFの中も大騒ぎですよ。」

SAKU「ですね。あれで僕らもREIの凄さを知りました。それまでみかけたことすらなかったですからね。CMではじめましてでしたね。」

司会者「ふふふ、そうだったんですね。では聴いていただきましょう『MOONLIGHT』1stSingle(ファーストシングル)にてオリコン週間ランキング1位に輝きました『空の彼方』です」


 さあ?ってなんだよ。もっとまともな切り返しあっただろ。REIに無口に加え天然の可能性も見出したSHOTAであった。ってかそしたらこのグループ俺以外天然かよ。


(風神玲視点)

 『空の彼方』はアイドルの1stSingleにふさわしい王道爽やかポップスだ。ダンスも歌も未経験の俺でもこなせるように、それほど難易度の高くはない歌とダンスとなっている。それでも、心地良いハーモニーが繰り出されるのは、この3人の相性が抜群だからか。REIの響く低い声とSAKUの透き通る高い声をSHOTAのどちらともない真っ直ぐな声でまとめあげている。中野さんに勝手にアイドルデビューさせられ、勝手にグループを組まされた時には、何故だと思ったが、こういった戦略があったからなのか。いまだに彼女は分からない。


 それにしても今日は昨日に比べて早く帰る事が出来た。あきらいるかな。


**********************

システム>レイさんが入室しました

あきら>お、レイ

レイ>よっ

あきら>今日は早いんだな

あきら>どうだ、仕事の調子は?

レイ>ぼちぼち

あきら>はは、だがもう半年だろ

あきら>仲いい奴くらい出来ただろ

レイ>うーん

レイ>あんまし

あきら>おやおや

あきら>レイお前まさか同僚の名前すら覚えてないんじゃないだろうな

レイ>?

レイ>知らないけど

あきら>おいおい。いいか、名前はコミュニケーションの第一歩だ

あきら>明日聞いてこいよ

レイ>うーん

あきら>絶対だぜ

**********************


 あきらと話していてそういえば、グループのメンバーの名前を知らなかったなと思い出す。心の中では『リーダー』と『猫』って勝手に読んでたんだけどな。まあ、知らなくても問題ないかと考えなおして寝ることにした。しばらくは『リーダー』と『猫』で問題無いだろう。

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