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ヒキコモリなのにアイドル  作者: ゆりや
まずは挨拶から
2/19

ひきこもりがアイドル!?

初めて書く小説です。誤字脱字ありましたら連絡ください。広い心でまったり読んでください。

 机の上の時計は23時を指している。今日は友だちと約束をしていた。約束の時間は20時。とっくに過ぎていた。さすがにもう待ってはいないだろう。しかし、疲れた体は自然とパソコンに向かっており、ブラウザ上のお気に入りから、いつものチャットルームへとページを進めた。


鍵付きフリーチャットの3番。そこが待ち合わせの場所だ。


**********************

システム>レイさんが入室しました

あきら>お、レイじゃん。今日来れたんだ

レイ>ごめん

レイ>遅れた(T_T)

あきら>また今日は遅いじゃんくるの

レイ>仕事が長引いてね

あきら>なになに、ちゃんと仕事続いてるんだ

レイ>なんとかね

あきら>そうかそうか、頑張ってるんだな

**********************


 どうやら待っていてくれたみたいだ。彼、あきらと出会ったのは本当に偶然であった。

 芸能界の仕事にも慣れ、仕事後に時間が取れ始めたある日、何もすることがなくなり、なんとなく、チャットと打ち込んで最初に出たページにアクセスしたら、彼と出会った。彼は話題を振るのが上手く、それほど趣味が多くない俺にも会話を楽しませることが出来る人物であった。それまで、友だちと呼べる人がなかなかできない自分にとって、現在における唯一の友人とも呼べる存在である。大切にしたい。

 彼には自分がひきこもりであったことを打ち明けていた。今、アイドルをしていることまでは言っていないが、社会人として仕事を始めたことを伝えた時は大いに喜んでくれた。


**********************

あきら>っでもわりーな

あきら>今日あんまいられない

レイ>ほんとごめん

あきら>いやいやいいよぜんぜん

あきら>レイの生存確認出来てよかったわ

あきら>またな

レイ>また

システム>あきらさんが退出しました

システム>レイさんが退出しました

**********************


 あきらの退出を待って、俺もブラウザを閉じた。いつも他愛もないことを話しているのだが、今日はなかなかの不完全燃焼だ。もっと話したい欲求にかられつつも、いかに自分があきらに依存しているかを思い知らされる。今までの会話でかろうじて、あきらが男で20代くらいで社会人なのだろうという想定はついているが、それ以外の何も知らない。あきらがめんどくさいと思い、明日以降チャットにログインしなかったらそれで終ってしまう関係なのだ。

 ぼんやりと考えていると、目の端に携帯の光が映った。先ほど別れたばかりのマネージャーからみたいだ。そういえば、明日の予定を後から電話するといっていたか。


「あ、レイか。今いいか?」

「はい」

「明日なんだけど、6時にTOTOKOスタジオな。5時半に迎えに行く」

「わかりました」

「じゃあな。くれぐれも風邪引くんじゃないぞ。お前はグループ1番の稼ぎ頭だからな」

 深夜なのに豪快な笑い声を立て、電話を切られた。


 グループでの仕事の時はリーダーがマネージャーと連絡を取り回してくれる、マネージャーからの直接の電話ということはピンでの仕事というわけだ。しかも、TOTOKOスタジオとなると、写真撮影であろうか。写真撮影は自分のする仕事の中でまだマシだ。話さなくてもポーズと視線さえ意識しておけばいつの間にか終わっている。

 明日一日も長くなることを覚悟しながら、ベットに入り目を閉じた。



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