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テストの結果がわかるまでゆっくり過ごすことにしてたが、帰宅してすぐに月城さんに連行された。何か用があるらしいが、よくわからない事を言っている。何かあったのかな?と思いながら通された会議室で待っていると小物の主任が入ってきた。
「急いで来てもらって済まないが、これに見覚えはないか?」そうテーブルに置いたのは、何年か前に販売したシュシュだ。
「見覚えはありますね。何年か前に作った作品ですよ。確か、作品表にも乗せていたはずですけど。何か問題でも?」何でそんなものが出てきたのか良くわからない。その返答に頷きあっている大人たち。
「問題と言う問題ではないが、これがうちに持ち込まれたんだ。確か作品表で見たことのあるようなものだったので、確認をとって見ようと思ってな」
「そうですか。出来れば、大切にして欲しいと作者は勝手に思うんですが。今回の人は、大切にしてくれてないみたいですね」しょんぼりしていると。仕方がないさ。と言いながら慰めてくれる月城さん。
「では、持ち込んだものは出禁にしてもらうように指定しておく」担当さんが言って終わりだと思ったが、立ち去る様子がない。他にも用事があるのかな?と首をかしげていると「さて、本題だが。この前提出してもらった人形はどれが販売可能か聞きたい」と縫いぐるみについて聞かれた。販売と言われてもロバートたちは売ることはできないが、似たような人形は作れる。
「執事とかはそのまま売ることはちょっと私的にいやなので、服などは同じだけど顔が違う子なら販売可能です。うさぎさんはそのままの形で販売しても問題ないです。」
うーむと悩み「どんな感じに変わるんだ?」と聞かれた。小物担当なのに縫いぐるみも担当するのか?疑問に思いながら月城さんの手元にある作品表を貸してもらう。何ページかめくった後に目的の人形を見つける。そのページを見せながら「この子なら、販売でも大丈夫ですよ。提出した子達は渡す人が決まっているんです。諦めてください。他は自己満足で手元にあると落ち着くんで作っているので・・・」少し申し訳ないが断らせていただく。
「そうか」と残念そうに言いながら提出していた執事・メイド・護衛が入った紙袋を渡してくれる。「仕方がないが、この縫いぐるみを試しに1体作ってもらっていいか?」と言われたので期限を聞いてから了承する。小物担当が帰った後に紙袋から月城に渡す人形を取り出す。
「月城さん。これあなたにあげたいと思っているですが、迷惑ではないですか?」と夏バージョンの執事を渡す。執事服で剣を佩いている物だ。
「私にですか?」と聞き返されたので頷き肯定する。ゆっくり人形を受け取ってくれる月城さん。ゆっくり見まわしてから「これは、私ですね」とふんわり笑ってくれるが、強面の笑顔は需要は少ないと思います。まあ、慣れているから問題ないけど。後、いい大人が縫いぐるみを抱いているのってシュールだな。渡した張本人ですが・・・
「ほかのメンバーにもあるけど、忙しいよね?」と聞くと「確か大変だと言っていたような」との答えが返ってきたので、今度にしておきましょう。「隼人君には来週会うからその時で良いし。葛城さんたちは明日にでも渡して置けばいいよね」確認すると「大丈夫だと思う」と肯定してもらったので今度会ったときにっといって、帰宅する
話が変わるが、そろそろ盆です。どんなに家を離れたといってもご先祖様をないがしろにできないのが日本人と言うことで、盆の準備のために墓の草刈をするため、山の中腹にある共同墓地にお邪魔します。限界集落なので、墓参りされずに朽ち果てているものもありますが、うちは毎年来ているので比較的きれいな方。油断すると草が生い茂り大変なので、盆前に何度か草むしりをしないといけない。先に墓石を洗ってから線香を備える。「草むしりに来ました」と報告してから開始する。周りの知り合いの墓も一緒に草むしりしていると6時の鐘が鳴る。夕暮れ時が遅くなっているので気付かなかったが、そんな時間になったんだと草をゴミの収集はに積んでおく。草刈鎌と水入れを持って家に帰ると珍しく早く帰ってきていた聖夜さんが出迎えてくれる。
「どこに行ってたんだ?」と心配そうに聞かれたが、そんなに遅くないよ?基本的に引きこもりの私がいなかったから気になったのかな?と思いながら
「過保護だな。墓の草むしりに行ってきたんだよ」と説明すると納得している。
「そろそろ盆だな。俺も盆は休みをとれるようにしないと」と言っている。「そうだよ。ちゃんと家の墓参りしないといけないでしょ?私も、こっちの墓参りをした後に墓地公園に行くつもりだし」
「お前は、本当うにひいばあちゃん宅を継ぐみたいだよな」
「みたいじゃなくて、継ぐ気満々なんだけど・・・」と言いながら一緒に夕飯を用意して夕飯をいただいていると「お邪魔します」と一条さんたちが遊びに来た。
「予定していたか?」と聞かれたのでしてないと首を振ると用があったのか?と言いながら対応してくれる聖夜さん。ご飯の時席を立つことはあまり良しとしない聖夜さんは、ご飯時の来客が嫌いだ。
「ハル。なんか貰いに来たと言っているが、わかるか?」そう聞かれてから納得した。口に入れていたご飯を飲み込んでから「今いく」と紙袋を持って玄関に。
玄関では、メイドさんたちが総勢7名プラス1がいる。皆さん仕事終わりで直接来たみたいだ。
「ご飯食べた?すぐじゃなくてもいいのに」と伝えると「月城が自慢してうざいんです。それにハルさんが作った人形っというのも興味ありますし」と言っている。この人数が玄関にいるとちょっとな。
「上がっていく?」「いえ。夕飯のお邪魔でしょうし」ことわっられたので、一人づつ手渡していく人形たち。手に持っているものが違うのは昔得意としていたものを持たせたためだ。フライパンを持っている子。ハンカチを持っている子。刺繍セットを持っている子など。メイド長のマリアはあの時いつもつけていたピアスを付けている。
「ありがとうございます。とっても嬉しいです」とギュッと抱きしめている美人。やっぱり美人に縫いぐるみが似合うなーと見ながら「私こそ、自己満足で作った人形を喜んでもらえるなんて嬉しいですよ」と笑顔で見送る。
「あの人形たちは、贈与しないと思っていたが」とご飯に戻っていた聖夜さん
「そのつもりだよ。今渡したのはモデル料みたいなもんだよ。他のパージョンは私だけの楽しみで取って置くんだ。たまに出して飾ったり、抱きしめたり、そばに置いたりすると落ち着くの」
「ふーん。大切なんだな」そう言いながら下膳している
「結構大切だよ。人間と人形どちらをとるかと言われたら生きてる方を優先するけど、どうでもいいような人間だったら人形を優先するくらいだね」説明しながらお茶をすする。
「そういえば、個展ってどうなったの?」と以前から気になっていたことを聞いてみると
「頓挫させた」と渋い顔。本当に担当の人が嫌いなんだ。と思っていると「あの担当。作品を勝手に転売しようとしていたんだよ。販売する気がないものとかを出せ出せ。うるさいと思ったら」とため息をついている。オーダーメイドの銀細工師。最近は少ないからうま味があるのかと思われたみたいだ。
「残念な人だったね。でも、なんでわかったの?」ちょっとしか接していないがぼろを出しそうな人ではないように見えたが。
「割柏が教えてくれたんだ。そうじゃなかったら解らなかった」ため息をついている。
「いい友達を得たね」割柏達って友達いるとは思うけど、ちゃんと友達作れるんだ。と嬉しくなる。私が、知らない皆の一面とか聞いてみたいと思っていると
「その代り、面倒なものを作らされた。友達割びりだと言って銀を持ってきたが、どこであんな量を買ったのやら」と心配しつつ作ったものの大変さを力説してくる。友達っていいなーと聖夜さんを見て思うが、作ろうとは思わないのが私。かなり面倒なんだもん。人との交流とか。慣れている人ならいいけど、そうじゃ無いなら疲れるだけだし。慣れている人でも、たまに面倒だと思ってしまう私は何かを欠損しているんだろうと思う。まあ、人に迷惑をかけていないので、そのままの予定だけど。




