#17
いつの間にか寝ていたのか、気づいたら夜になっていた。
居間に行くと当たり前のようにお母さんと料理をしている井伊。それを興味津々で見ている他の家族と言う図ができていたが、気にせず椅子に座ると「お早うございます。よく眠られていたみたいで」と顔色を確認しつつ水を持ってきてくれた。その水を飲みながらぼーとしていると他の家族たちも椅子に座り始めた。
「皆揃ったね。じゃ説明してくれないかな?」とお父さん。
何をっていうかこの状況を説明しないとダメなんですね。わかりました。
「まず、井伊は椅子に座ること。立たれていると落ち着かないから」と着席を命じる。
「さて、この人は井伊と言う。私のストーカーの一人。明日辺りにあと5人位くる。家には既に5人ほど行っているらしい。近所に生活と仕事場を移動させているみたいだ。この人たちの目的は、私と共に居ることらしい」と言うと頷き嬉しそうな顔をしている。
「で、さっきの橘さんが私に仕事の依頼をしてきたので、他にも何人か来る。それは私が責任を持って保護するから問題ない。この依頼は1ヶ月くらいでおわらせる。あと、家を立て替えるから。今のでは、手狭になる。建築費?心配していいよ。一括で払えるくらい稼いでるし、聖夜さんが生活するなら一部払わせるから。と説明すると微妙な顔の両親。この年で一戸建てが買える貯蓄があるのがなのか、いつも以上に動いているからなのか。どっちもと言う可能性も有るが。
「春佳はそれで良いのか?いきなり来た人たちを信用して」と心配している。何が心配なのだろうか。一番安心できるメンツなんだが。
「前と変わらずハルヨシさまと言う名前なんですね。漢字はどう書くのですか?」と聞いてくるため春に人偏に土二つで春佳だよと教えてあげる。お姉ちゃんや蓮花はびっくりしているがなんで?
「春佳は、そんな顔も出来るんだ。私初めてみた」と言っているがどんな顔しているんだ私は。
「お嬢さまはいつも微笑ながら過ごされていないのですか?そう言えば、病院でも軽く眉間にシワがよっていましたね?屋敷にいた時と同じような顔をされていましたし。ここは安らげる場所ではないのですか?」と聞いてくる。別にそんなことはないのだが…
「生まれた家だけど今は離れて暮らしているの。母さんの家にね。私にとっては“故郷”だからね。あそこが一番安心出来るんだ」と説明しておく。
「成る程。だから樋村たちはあんな辺鄙所に住居を構えたのですね」と納得している。辺鄙で悪かったな。なにもないところが良いだろがと言っていると「春って何者?」といわれた。何者って…
「一般人だよ。ちょっと2回ぐらい死んだ人格をそのまま受け継いで生きているだけだよ?はじめは介護。2回目は採取人で、今。小物作りは趣味の範疇だし。この人は2回の家族の一員だよ」と説明するとあれが趣味の範疇だとは言わないと呆れている。言うと思ったと言う顔の井伊。
「ブランド化したものはそういわないと思うぞ」とお父さんが言う
「別に私がブランド化した訳じゃない。モチーフの作り方を教えただけ。あとは職人さんの努力だと思うよ。私のは作り貯めて年に2回しかうりに出していないし。国の方には数入れてない。守りと癒ししか使えない使い捨てのお守りだよ?その道の人が作ったものより効果ないし。一応とか簡易とかが付くしね」と笑っているとダメだ、この子はという雰囲気が流れているが、何が?
「僭越ながら、春佳様のお作りになった対国ようは、一応・簡易と認識しているのはお嬢さまだけですよ」と井伊が教えてくれる。でも、津波とか原爆は防げないよ?と思っていると
「普通の守りは、銃撃戦を数ヶ月守るのはないです。出来て1発の銃弾を防ぐぐらいですよ」と説明してくれる。そんな軽いので橘達を守れないでしょ。と流通しているものの脆さを驚いているとだろうと思いましたって顔をしている。
「だからびっくりしてたんだ東西南北は。もうちょい吹っ掛ければよかったかしら?過ぎた事は仕方がない。次の納期に話してみよう」と一人納得していると「自分の作った物の価値が今でもよくわかっていない見たいですね。本当にロバートとセバスには頑張って貰わないと」と言っている。昔から交渉ごとは苦手だから執事達に任せっきりだからね~と笑っているとうちの子は…とビックリしすぎて疲れはてている親がいた。
ダメかしら?
その後、ご飯を食べて寝る時間になったがどうしてもと聞かない井伊と一緒に寝ることになった。
夜半過ぎなぜか息苦しく感じ目を覚ますと井伊が大丈夫ですよ。と言いながら治療をしてくれる。息苦しさが無くなりそのまま眠りにつく事ができた。