#14
ロビーにて両親に嘘をでっち上げている二人を見ながら頑張っているけど、理由が微妙な感じで必死さが空回りしている感が否めない。と言うか、私が制御なんて能力はない。そんな珍しい力は、血で継がれていくものだから突然変異とかない限り一般家庭の血しか流れていない私達家族には絶対にそう、絶対にない。
何でそんな嘘を必死についているのかな?あとチラチラ見るのは仕方がないとして、目に浮かんでいるのが、憎しみなのはどうしてでしょうか?
私は貴方達に何もしてないよ?‘何もしてない’がダメだったかしら?ロバートもマークスも危ない感じはしていなかった。いつも気にかけていたけどね。私の気配を感じて微笑んでいる事はあったみたいだけどね~。と思い出していたらお母さんが「どうしたの」と聞いてくる。何が?と聞くと淡く微笑んでいるからと答えてくる。「そんな顔をしていた?いや、懐かしいなと思ってさ。前に座っている人達は違うけど、似た感じがするから」「別人なのか?」とお父さんが聞いてきた。小声で話したつもりなんですが…。
「別人だよ。私が大切な人の気配を間違える事なんてあり得ない。全員に何らかの形で、私を渡しているんだから」
そう。現世に来るときに忘れたくないと言う彼らに新しい人生を歩んで欲しくてでも、その気持ちは嬉しくて思い出す切っ掛けを渡している。それぞれ違う条件で。
その為、離れていようが死んでない限り間違えない。
「似た感じがしているから兄弟とかなんじゃないの?ということで」と立ち上がりその場を離れようとしたら「待て」と怒鳴られた。いやね?助けて貰ったのは感謝しているから今までの茶番を付き合ってあげたんだからかえって良いでしょ?疲れたし。
「何様のつもりだ!!お前みたいのが!!」
「ふさわしくない?よく言われるけど、不相応とかは本人が決めることだから“他人”にとやかく言われる筋合いないのでは?それが例え兄弟とかでもさ。そう思いませんか?」と目を見て言えばたじろぐ偽者さん達。
「そもそも、私を憎しみで見ないんですよあの人達は。愛しいとか可愛いとか手の掛かる妹を見るような目で見てくると思うんですよ。たまに、残念な子供を見るような感じがひしひしと伝わって来るときさえあったんですから」と笑いなから伝える
ねえ?と言う感じで、愛しい家人の気配をする方をみると「そうでしたね」と答えてくる。
現れたのは二十歳前後の男性二人。多分ロバートとマークスだろう。マリアは来なかったのかな?と不思議に思っていたら「マリアは、新しい家の準備で忙しくて駆けつけられなかったんですよ。お嬢さまお久しぶりですね。無理してないですか?」と聞いてきた青年が顔色をチェックし始める。
「無理してない」と答えていても信用していない様で両親に確認している。
もう1人の青年は冷たい視線で偽者を見ている。
「ダメだったダメだったと思っていましたが、本当に使えませんね。お嬢さまが相応しくない?なんでそう思うんですか?お嬢さまの事なんて何一つ知らないのに。まあ、クズに教えてあげる義理なんてないのですがね」と黒執事になっています。
ちょっとこのモードのロバートには近づくのは遠慮したいのですが、無視して放置すると拗ねるから質が悪いので、さっさと回収するに限ります。
そーと近づき服の裾をツンツンして意識を私に向かわせます。
どうしました?と笑顔で聞いてくるので「名前知らない。何て呼べば良いの?ロバートは違うでしょ?あなたを生んでくれた人からの大切な贈り物教えて?」と聞く。ロバートが私を思い出す切っ掛けは絶望。家族に対しての絶望を切っ掛けにした。絶対と言えないが、確率が低いものにしたのだが…
何に絶望したのかな?「私の名前は、橘 太智といいます。太智とお呼び下さい」と懇願された。
「太智。帰ろ。皆待っているよ?」と手を握り引っ張って両親の所へつれていく。
偽者からは「あいつが笑顔だと!!」と声が聞こえたが知らんがな。太智は昔から私には色んな感情を向けてくれるけど?私や仲間以外はどうでも良い人でなしだけどね?
両親に「太智。私の大切な人達の1人だよ。困ったら太智に相談すると大抵解決するんだ」と教えると執事ですから当然です。と嬉しそうにしている。マークスを呼び手を握り「私の主治医だった」と自己紹介を促すと井伊 光洋と言います。光洋と呼んでくださいね」とお願いされた。
主治医・執事?と困った顔をしているお母さん。納得しているお父さん「そうだな。あり得るな」と呟いていますが何が?
疑問が浮かんでいるが、体が眠いと叫んでいるため。そのまま帰ります。
え?お姉ちゃん達と車はどうして?そんなのおじいちゃんを呼んで家に送って貰いましたよ。