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第7話・異世界アース前編。

シオンから渡された鍵を使い全体が、ガラス張りの部屋に入った総一郎。


彼は、そこで大きな鏡を見た後、突然違う場所に立って居た。


総一郎視点で話しが進みます。



辺りを見渡したけど何も無い。


人も建物も全く無い。


目に映るのは、草原だけである。


後ろから視線を感じて、僕は振り向くと、そこに小さな生物?が居た。


背中に白い羽を生やして胸の前で、腕を組んで、居る。


体は小さい(多分、1mも無い。)が、天野さんにソックリだ。


銀色の髪に輝く黒い瞳。


不気味な位に、ソックリである。


僕が、ずっと見て居るとその人が言った。


ティアラ

『今回は、アンタが試練を受けるのね…私の名前はティアラ…。この世界のナビゲーターよ…』


そう言うとジッ!と僕の反応を見ている。


ティアラ

『元の世界に帰るには、4匹の魔物を倒して4つの鍵を手に入れて試練の塔に行き試練に、打ち勝てば良い…。ただし…。失敗したらアンタは消滅するわ…』


ティアラは真剣な顔をして言う。


総一郎

『消滅?消滅って、もしかして死ぬって事?』


ティアラ

『ええ…』


っと肯定した。


ティアラ

『アンタは、どうするのかしら?』


そんな事を言ったって、僕の答えは既に決まって居る。


総一郎

『行くよ…。元の世界に帰れる手段があるのなら進むよ』


ティアラ

『なら、案内はしてあげる…。ただし…。私は、戦わないからそのつもりで…』


ティアラは、そう言うと背中の羽を忙しなく動かし後ろも見ずに移動を、始めてしまった。


僕は、慌てて彼女に着いて行く事になった。


彼女は、無言のまま突き進み僕も黙って歩く。


すると彼女は急に、振り返り口を開いた。


ティアラ

『アンタさ…。私が敵じゃないって思って居るみたいだけど、敵だったらどうする?』


っと言い僕の反応を観察して居る様に感じる。


総一郎

『別にどうもしないよ。君が味方でも敵でも信じるって決めたから…』


殆ど即答に近い僕の言葉に彼女は目を丸くした。


次の瞬間、彼女は笑って居た。


何か、変な事言ったのかな?っと、思ったが考えても分からなかった。


漸く、笑いを止めた彼女は言った。


ティアラ

『アンタ…底抜けのお人好しね…』


呆れ半分、驚き半分の顔で言う。


ティアラ

『このまま真っ直ぐ行けば鍵を守護するモンスターが居るわ…。精々死なない様にね…』


そう言うとティアラの姿が消えた。


僕は、ティアラに言われた通り歩き続けると、大きな石像4体の真ん中に全身の体毛が黒い大きな狼が眠って居た。


首の所に銀色の鍵が首輪に付いて居た。


ティアラの、言って居た鍵を、見つけたが、どうしたものか?


普通ならコッソリと近付き鍵を、手に入れた方が楽なのだが…。


でも、ティアラは4匹の魔物を倒して4つの鍵を手に入れろ。


っと言って居たのを思いだし僕は寝て居る魔物に声をかけた。


総一郎

『起きろ!』


そう叫ぶと魔物が、目を覚ました。


僕の存在に気付くと声をかけて来た。


???

『誰だ…俺の眠りを妨げるのは…』


っと、大きな欠伸を何度もして問い掛けて来た。


総一郎

『アンタの持ってる鍵を俺にくれ』


???

『ほう…それは何故だ?』


総一郎

『元の世界に帰る為にはアンタの鍵が、必要なんだよ』


???

『ならば何故、俺を起こしたのだ?寝ている間に取れば良いのに何故?』


奴は明らかに戸惑っている感じだった。


総一郎

『寝ている間に鍵を手に入れるのは簡単だけど、結局の所、アンタと戦う事は避けられない筈だ…なら俺はアンタを倒してその鍵を手に入れる!』


そう言いつつ身構える。


???

『良かろう…。お前の力を見せて見ろ…俺の名はワーウルフ!』


奴は名を、名乗ると全身から闘気が吹き上がる。


僕は、何時もの様に気合を込めて、拳を握り締めて叫ぶ!


総一郎

『転身!』


ワーウルフ

『ほう…。凄まじいエネルギーを感じる…。それが、お前の力か…』


そう言いつつもその巨体からは想像すら出来ない程の速度で襲いかかって来る。


僕は、真正面から力比べをする。


ギシギシギシ!っと悲鳴を上げる体を、無視して更に力を込める。


ワーウルフ

『ほう…。俺と力比べで互角…。いや、お前の力の方が上か!』


そう言いつつ僕の首に、噛み付こうとしたので、狼の腹を、蹴り上げるとワーウルフは空中で回転して地面に着地して…。


ワーウルフ

『グオオオオオオオ!』っと吠え立てる。


僕は下っ腹に力を込めて耐える。


ワーウルフ

『俺の声を聞いて、驚かない奴は、お前が初めてだぞ!』


ワーウルフは感嘆の声をあげた。


益々、ワーウルフの全身から闘気が発散して行くのを感じる。


ワーウルフは、ジリジリと間合いを詰める。


僕は、構えたまま動かずにワーウルフの動きを、油断無く見る。


喉が、カラカラに乾いていく。


激しい雄叫びを上げながらワーウルフは僕に飛び掛かって来た。


前足の爪と牙を、器用に使い攻めて来る。


爪を躱せば躱した方向に牙を食い込ませようとするのだ。


僕は必死に躱しつつ反撃の機会を伺う。


だけど、爪と牙の連続攻撃を、躱すのが精一杯で反撃出来ない。


だが、ジックリ観察すると攻撃するタイミングが同じなのに気付いた。


そう言えば、連続攻撃は強力だがタイミングが、同じになり易いから、出来れば連続攻撃をする時は、相手に読まれない様に何パターンか、用意しろ。


父さんの言葉が、脳裏を過ぎった。


ワーウルフの爪を躱して噛み付こうとする瞬間にしゃがみ起き上がる反動を利用して右アッパー。


ボクシングのガゼルパンチだ。


背が低く軽量の僕は全身を使った攻撃じゃないと効果が薄い。


棒立ちになったワーウルフに、止めの一撃を打ち込む寸前に止めた。


ワーウルフは完全に失神し地面に倒れ込む。


総一郎

『ゴメン…』


っと、気を失って聞こえてなさそうだけど、謝り僕はワーウルフの首輪に付いてある鍵を取る。


ティアラ

『へぇ…あのワーウルフを手玉に取るなんて…』


突然、ティアラが目の前に、現れて驚いた顔を、見せたが直ぐに無表情に戻った。


僕が『封身』すると…。


ティアラ

『何故、一々、元の姿に戻るの?』


そう言われ僕は本当の事を言う気には、なれず…


総一郎

『エネルギーの、節約だよ…』


っと、尤もらしい説明をしてしまった。


『ソウル・クリスタル』は、自分の能力を千倍に高められるが、リスクが大きい。


常人は、潜在能力の30%しか使えない。


それは筋肉や骨…。更に神経を保護する為に脳が制御して居る為だ。


ソウル・クリスタルの力を使えば潜在能力を百%以上引き出せる。


普段は使用されて居ない筋肉や神経を使う為に、最悪の場合『寿命』が、縮んでしまう事もある。


実は、父さんも度重なる戦いとクリスタルにより全身の骨がボロボロだった。


そうならない様に、体を鍛え込み力の反動を少しでも、和らげなければ、ならない。


何か得る為には、何かを犠牲にしなくては、ならない。


僕は一ヵ月に一回は必ず健康診断を受ける。


そうする事で自分の体を知っていれば対処が出来るのである。


まだ免疫力が、少し低下する程度で医者が言うには十分な、栄養と睡眠さえ取れば、免疫力が、元に戻るらしい。


まあ、それは置いといて僕はティアラの案内で、鍵を守護するドラゴンに会いに行く事になった。


歩いて行くと2日は掛かるらしい。


道中、ティアラと色々な事を話した。


自分の事、住んで居る世界の事、友達の事不思議と楽しかった。


ドラゴンの居場所に近付くに、つれて辺りが暑くなり熱気が、充満してる様だ。


ティアラ

『此所から先は、アンタ一人で行きなさい』


それだけ言うとティアラは、目の前から姿を消した。


歩きながら僕は二日も転身してないのは、初めてだと思った。


殆ど、毎日の様にゼノンの怪人達と、戦って居たから体が、絶えず重かったのに今は信じられない位に体が軽い。


休息の大切さを身を持って知った感じだ。


辺りは岩場で地面は所々裂けており裂けた所から溶岩が染み出している。


何時、溶岩が吹き出すか分からないが、気にしない。


突然地面が激しく揺れて僕の、近くの裂け目から溶岩が吹き出した。


僕は慌てず、冷静に横に避け地震が来たら周りを警戒した方が良さそうだと考えた。


流石にそろそろ熱中症になりそうなので転身する事にした。


目の前に山の様な生き物が無言で、こちらを見ているのに気付いた。


僕の千倍近くはデカそうな生き物だ。


全身が、燃える様な真紅でただ、そこに居るだけで強烈な威圧感と、存在感がある。


完全にRPGに出て来るドラゴンその物である。


???

『此所に来たと言う事は鍵が欲しいのだな…』


突然、話しかけられ僕は驚いた。


幸いこちらの表情は見えないので、驚いた事には気付かないだろう。


僕は無言で首を縦に振り身構える。


???

『では…お前の力を見せて見ろ!』


それだけ言うとドラゴンは地響きを起こしながら飛び上がる。


凄まじい突風が巻き起こり辛うじて踏み止どまり僕は空中を見る。


赤い強大な竜が空を飛翔している。


その体からは想像も出来ない程に早い。


ドラゴンは太い首を後ろに逸らし僕は嫌な予感がして直ぐに、その場から移動した。


次の瞬間、凄まじい火炎を吐きだした。


触れれば、簡単に消し炭同然になりそうな感じだ


僕は炎の的に、ならない様に動き回る。


相手は空を飛んでるが、僕は、飛べないし何より地中から何時、マグマが飛び出して来るか予測が付かない。


こちらの分はかなり悪いのだが泣き言を言ってる暇も無い。


絶えず、凄まじい火炎を吐きながら、追いかけて来るドラゴンに、防戦を強いられて居る。


このままでは、マグマか火炎の餌食になる。


火炎攻撃を、避けながら僕は考えを巡らした。


取り敢えずあの翼を一定時間使えなくしたい。


その為には二つの選択をする事になる。


一つ目はドラゴンに向かってジャンプする。


しかし…。冷静に考えれば、この選択肢は、分が悪い。


相手は空中では素早いし火炎攻撃の的に、なりそうだ。


もう一つの選択は、スターライトランスを使って足止めをした後、スターライト・ブレイクを叩き込む事。


でも、これにも問題点が残っている。


今まで、僕は必殺技を、二回も連続で放った事が無い。


スターライト・ランスを空中で、爆発させて更にドラゴンの所まで、ジャンプ。


そこで、スターライト・ブレイクを叩き込む。


言うのは簡単だけどエネルギーを、チャージする時間が少な過ぎる。


必殺技はエネルギーを大量に、消耗するからジャンプ中に強制的に転身が解ける可能性も、決して少なくはない。


でも…。ドラゴンに通用する技は、恐らく必殺技しかない。


そこで、僕は閃いた。


ランスの長所は連射性能が良く任意で爆発させられる事。


短所は威力が低い。


武器で、言うとマシンガンみたいな物だ。


ブレイクの、長所は威力が高く技を放つ迄は体にシールドの様な物を纏う事。


短所はモーションが大きく急激な方向転換が出来ずリーチが短い事。


武器で言うとロケット・ランチャーかな?


走り回りながらエネルギーを限界ギリギリまで、チャージして火炎攻撃をギリギリで躱しランスのエネルギーを最小にして打ち込みながらドラゴンに向かって飛び上がる。


???

『バカめ!死ね!』


ドラゴンは、そう叫んで凄まじい火炎を吐き出した。


しかし…ランスのお陰で火炎攻撃を直に受けずに済んだ。


ランスのエネルギーを、最小にしておいたお陰で殆どエネルギーを、消費していない。


しかも爆風で、ドラゴンからは僕の姿が視認出来ない。


チャンスは今しかない!


渾身の力を込めて必殺技を発動!


総一郎

『スターライト・ブレイク!』


ドラゴンの、胸板に強烈な一撃を打ち込み強大な尻尾を両手で、持ち力ずくで、地面に、向けて投げ飛ばし投げた反動を利用して、地面に急降下。


重力+脚力+自分の体重+落下速度を力に変えて蹴りを叩き込む。


その衝撃は、地面を大きく陥没させてドラゴンは声を上げる事さえ無く、ピクリとも動かない。


でも呼吸はしているので死んでは居ないらしい。


???

『お前の力…。確かに見せて、貰ったぞ…。私の負けだ…。受け取れ…』


ドラゴンは突然、目を開きそう言うと目の前に銀色の鍵が、光の中から現れ僕は鍵を受け取る。


???

『これからお前には沢山の試練が待って居るだろう…。だが憶する事は無い…。お前ならば、どんな試練が来ようとも打ち勝てる筈だ…』


そう言うと、ドラゴンは飛び去って行った。


僕は鍵を握り締め足早にその場を後にした。


暑い岩場から、離れた僕の目の前に、ティアラが現れた。


ティアラ

『正直驚いたわ…。あのドラゴンを倒すなんて』


総一郎

『勝たなきゃ元の世界に戻れないからね…。僕も必死なんだよ』


僕は元の姿に戻った。


ティアラ

『鍵は後二つ…』


その後、ティアラは何か呟いて居たが、聞こえなかった。


元の世界に帰る為、僕は決意を新たにした。



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