第37話・激突!ゼノンブレードVSシャドウブレード!
長らくお待たせ致しました。色々ありましたが、漸く更新です。
もしお待ちしていた方がいらっしゃったらお待たせ致しました。
総一郎視点。
翌日から晶さんと、手を繋いで登校し何故か田中や河野先輩に冷やかされ一之瀬さんに、謝られたので、取り敢えずその事に関しては、もう気にしてない事を告げ話は終わった。
体育祭では晶さんも俺も余り活躍はせず程々に、留めておいた。
ブレードなので身体能力が高過ぎる位に高いから手加減しないとオリンピックで金メダル位楽勝で取れるからね。
冬となりクリスマスイヴ前日、悪の秘密結社ゼノンの首領、風間聖児が、遂に人間達に宣戦布告。
更に24時間後、核弾頭ミサイルを世界中にばらまくと、云う宣言に最初は相手にしなかった世界もゼノンの怪人達や戦闘員達の出現に大パニックに陥る事に…。
そして…現時刻朝の10時。
核弾頭ミサイル発射まで後、23時間…。
漸く悪の秘密結社ゼノンの本部を突き止め俺は、一人でゼノン本部へと足を進める。
いや。正確に言えば俺一人しか本部に、行かせる事が出来なかったが正しいんだが…。
ゼクロスの皆は外に出て居る怪人達や戦闘員達を相手に大立ち回り。
時間は刻一刻と無情に過ぎ去る。
幸いな事に、ゼノン本部には怪人や戦闘員の姿は無い。
どうやら大悟さんの読み通り殆どの戦力を、外に集中しているみたいだ。
俺は転身はせずにエネルギーの消耗を、抑えつつ奥へ奥へと進んで行く。
大きな扉を発見し俺は、両手を使って扉を押し開ける。
???
『ようこそ…シャドウブレードよ』
広い部屋の奥に玉座が、ありそこに座っている男が一人居た。
総一郎
『あんたが風間聖児…』
聖児
『ああ。私が、悪の秘密結社・ゼノン首領…風間聖児だ…』
総一郎
『何故だ…あんたはゼクロスのゼノンブレードだった筈だ…なのに何故、あんたは人々を苦しめる様な真似を!』
俺の問いに聖児は言った
聖児
『くっくっくっ…確かに私はゼクロスのゼノンブレードだった。だがな、私は気付いてしまったんだよ。人は醜く汚い救い様の無い存在だと!』
総一郎
『一体あんたに何があったんだ?何故、そこまで人間に、憎しみを抱くんだ?』
聖児
『ふっ…君は人間をどう思う?』
突然の質問に意味が分からず俺は首を傾げる。
総一郎
『人間をどう思うか?だと?』
聖児
『人間は、平気で他人を裏切り傷付け人を殺す…世界平和など掲げている癖に世界には戦争が無くならない…何故か?それは他人の物を欲するが、故の事…我々人間は地球にとって害悪だ…』
総一郎
『成る程…確かにあんたの言葉には、一理ある。だが自殺したいなら自分一人でしろよ…他の奴を巻き込むな…』
聖児
『自殺?違うな…これは浄化さ…』
総一郎
『あんたに何があったのかは知らない…良いからさっさとミサイル発射を止めろ…』
聖児
『断る…』
総一郎
『良いからさっさとミサイル発射を止めろ!』
聖児
『くどい!ミサイル発射を止めたくば、力ずくで来い!』
総一郎
『いい加減にしとけよ?貴様の駄々に付き合うつもりは無い!』
聖児
『何故君は必死にミサイル発射を、食い止め様とする?世界を救う英雄にでも成りたいのか?』
総一郎
『英雄に成りたい?違うな!俺も、あんたも唯の人殺しだろうが…他の奴らが、どうなろうが正直どうでも良い…』
聖児
『ほう…では君は自分の為に戦うのかね?』
総一郎
『当たり前だろ?誰だって自分は大事だ。俺は、自分と自分と同じ位大事な人達を守る為にブレードになったんだ…』
聖児
『………』
総一郎
『貴様が何を思い何を感じたかは知らん。だが、俺の大事な人達を傷付けようとする奴は許さん。ぶちのめすだけだ…』
聖児
『ふっ…身の程を知れ!若造が!』
総一郎&聖児
『転身!』
俺と聖児は同時に転身し身構えた。
第3者視点。
総一郎と聖児はお互いにブレードに、転身しジリジリと間合いを詰める。
お互いに分かっていた。かつて無い最強の敵であると…。
それ故に二人は直ぐさま突撃を掛ける様な無謀な真似はしない。否、出来なかった。
無闇に突撃をすればカウンターを喰らうのは火を見るより明らか。
ピタリッ!
2メートルの距離まで、近付いた時、両者は止まった。
この距離から後一歩踏み込めば自分の間合い。
しかし…それは相手にも言える事だった。
今まであらゆる修羅場を潜り抜けて来た両者だからこそ動けない。
迂闊に動けば隙を生む。
一瞬の隙が致命傷を受ける事に成り兼ねない程、両者の力は、絶大であり両者の力は拮抗していたのだった。
だが…総一郎は内心焦っていた。
何故なら24時間後に、核弾頭ミサイルが世界中に発射されるのだ。
刻一刻と核弾頭ミサイルが発射される時間が迫っている。
だが、迂闊に動けば隙となり致命傷を受ければ、負ける。
自分が負けると云う事は人間が滅亡する事にも、繋がる。
負けられないと云う重圧が、総一郎の両肩に重く重く…のし掛かる。
一方、聖児に焦りは全くない。
死は覚悟しているし総一郎が攻めあぐねる事は、寧ろ聖児には、願ったり叶ったりであった。
井上総一郎。井上修司の息子であると同時に自身が相手にして来たどんな敵よりも強敵である事は聖児は知っていた。
知っているが故に彼は、内心笑う。
この男が焦るまで待てば良い。私はそれを待てば良いだけなのだから…。
総一郎
『(まずいな…明らかに奴は待ちの体制だ。このままでは時間切れで人類は殆ど死滅してしまう。いや焦るな。奴は、俺の焦りを待ち隙を突くつもりなのは見え見えだ…。此処は…先手を取る!)はぁ!』
総一郎は牽制の左拳を、聖児の身体に、目掛けて繰り出す。
聖児
『(なっ!早い!)ちぃぃぃっ!』
聖児は総一郎の突きを、避けられないと、瞬時に判断し慌てて防御の体制を取る。
ガキンッ!ガリガリッ!
聖児
『ぐっ!(馬鹿な!何なんだ?この重い一撃は!腕の骨が、砕けそうだ!マズイ!一撃で主導権を握られた!)』
総一郎
『(んっ!奴の体制が、崩れた。どうやら奴の想像以上の攻撃だったか?ならば…勝機だ!)はぁぁっ!』
ドンッ!
地面を刔りながら後退し更に体制が崩れた聖児を見た総一郎は瞬時にそれを勝機と判断。
ソウルクリスタルに一瞬だけエネルギーを、送り身体能力を上昇させ聖児に襲い掛かる!
聖児
『くっ!(馬鹿な!早いいや!早過ぎる!この男一体何処まで進化し進歩するんだ!)』
総一郎
『何だ…防戦一方かよ?対した事無いな?』
怒涛の連続攻撃を繰り出しながら総一郎は聖児を挑発する。
聖児
『ちぃ!私を舐めるな!死ね!』
総一郎の連続攻撃を受け避け右足で蹴りを放つ!
しかし…聖児は気付かない。総一郎が自分を挑発する事で大技を繰り出して来るのを待っていた事を!
ガシッ!
聖児
『何っ!』
右足での蹴りを片手で、掴まれ一瞬唖然。
それは総一郎を相手に、するのは最悪の一手。
総一郎
『隙だらけだ!』
グンッ!ドカンッ!
聖児
『ぐはぁ!』
総一郎は、片手で聖児の身体を持ち上げ勢い良く地面に叩き付け更に左足で聖児の腹へ追い撃ちを掛ける!
ドンッ!
聖児
『ぐうっ!』
更に総一郎は、サッカーボールを蹴る様に聖児の腹に渾身の蹴りを入れて聖児は悲鳴を上げる事も出来ず吹き飛び壁にブチ当たる!
聖児
『がはぁ!馬鹿な…何だ何なんだ!その強さは!一体貴様に何が…』
踞る聖児に総一郎は油断無く構えながら言った。
総一郎
『俺は強くない…俺を、強いと、思うのは貴様が弱くなっただけだ…』
聖児
『なん…だと…』
総一郎
『貴様は強い。その身体能力も技術も経験も全て俺を凌駕している…』
総一郎は聖児よりも確実に身体能力や技術、経験など劣っている。
では何故此処まで聖児を圧倒出来るのか?
それは…。
総一郎
『唯一俺が貴様に勝っている物…それは昔の貴様と、今の俺にあって今の貴様に無い物だ…』
それは己の全てを賭けてでも守りたいと思う人や物だ。
大切な人や物を守りたいと思う心は時として人の精神に無限の力を与える事がある。
自らの精神力を力に変換出来るソウルクリスタルだからこそ…総一郎は、聖児を圧倒出来るのである。
聖児
『馬鹿な…そんな筈は…私が負けると言うのか?自分勝手な人間共を守る男に…』
総一郎
『何故あんたはそこまで人間を憎む?』
聖児
『ふんっ冥土の土産に、教えてやろう…ゼクロスのメンバーには悪の秘密結社と闘い続けた事が、原因で病院に入院した女が居た…』
総一郎
『………』
聖児
『名前は遠藤光…俺にとって、彼女は掛け替えの無いたった一人の女性だった…だが!彼女は俺の目の前で人間共に刺されて殺されたのだ!俺は!俺はその時誓った!人間共を全て抹殺すると!』
その言葉に納得しながらも聖児の言葉に矛盾点を見出だした総一郎は彼に問い掛ける。
総一郎
『なぁ…あんたに、一つ聞いても良いか?』
真剣な雰囲気を出し問う総一郎に聖児は内心首を傾げながら体力を回復させる為、総一郎と会話をする事にした。
聖児
『何だね?』
総一郎
『愛する人が殺された時戦闘員と「怪人」は居たのか?』
突然の質問に意味が分からず戸惑う聖児。
聖児
『どう云う意味だ?』
総一郎
『あんたの話には矛盾が幾つも存在する。一つは先ず遠藤光が何故抵抗される事無く人間に殺されたか?だ…』
聖児
『何を馬鹿な…彼女は、身体を悪くして動けなかったんだぞ?どう抵抗するんだ?』
総一郎
『はぁ…抵抗出来なくても他のゼクロスメンバーに連絡を入れれる筈だしあんたは遠藤光さんが、悪の秘密結社と闘ってたと言ったな?なら自分に向かって来る敵意や殺意だって分かる筈だ…』
総一郎の言葉に聖児は、確かに矛盾を感じた。
聖児
『それは…』
総一郎
『矛盾点その2!何で、わざわざ身体能力が低い人間に遠藤さんを襲わせるんだ?俺が、悪の秘密結社なら戦闘員をいや…怪人を送る…その方が、確実に殺せる』
総一郎の当たり前な発言に彼は何も言えず唯沈黙を返す。
聖児
『………』
総一郎
『だって遠藤さんはブレードだったんだろ?人よりは身体能力や生命力は高い筈だからな…』
総一郎は更に矛盾点を、上げていく。
総一郎
『あんたの口ぶりからすると間に合わなかった…それは戦闘員や怪人が、邪魔をしたからだろう?でも…』
総一郎
『わざわざ足止めして、戦闘員や怪人を、減らすリスクを負うよりどうせ死ぬなら目標の遠藤さんを殺した方が余程現実性がある…』
総一郎
『なのにわざわざ戦闘員や怪人達をあんたの足止めに命じ人間に遠藤さんをあんたの目の前で殺させる…まるで、あんたが人間を憎む様にする為の大根芝居みたいだぜ?』
聖児
『………』
総一郎の言葉に矛盾点や否定する要素が、一つも無く何も言えない聖児。
総一郎
『更に矛盾点のその3!本当にあんたが見た遠藤光さんは本人だったのかと云う事だ…』
聖児
『何を馬鹿な!私が光をあいつを見間違える筈が無い!』
総一郎の言葉に激昂する聖児。しかし、次の総一郎の言葉に愕然とする。
総一郎
『そうかな?怪人や戦闘員を作れるのなら普通の人間を作る位…簡単なんじゃないのか?』
聖児
『なっ!』
総一郎
『ましてや遠藤さんは、ブレードだった。ならば写真位は在っても可笑しくは無い…人間を拉致し顔を整形し洗脳する位、簡単だろう?事実怪人や戦闘員は、洗脳されているし外科手術されてるからな…』
総一郎
『それにな…目の前で、好きな人が刺されたら、冷静な判断なんか誰にも出来ない。俺でも冷静さを、失って泣き喚き怒り狂う自信がある…』
総一郎は聖児の気持ちが痛い程、理解出来た。
愛する人を失う。その気持ちは絶望以外の文字が見当たらない。
父と母を失った時、総一郎は悲し過ぎて涙さえ出なかった。
愛する人を失う事、それは心が凍てつく様な感覚だ。
自分には亮子と修二が、居て彼達によって総一郎の両親を失い凍てついた心を癒し暖めてくれたのだ。
だが、聖児はたった一人で此処まで歩んで来た。
その事に総一郎は気付いていた。
だからこそ…総一郎は、思う。負けられないと!
総一郎
『俺は、負けられない!あんたの為にも…そしてあんたを思う人達の為にも!』
聖児
『黙れ!黙れ!黙れ!』
聖児は叫びソウルクリスタルにエネルギーを注ぎ込む。
それを見た総一郎は覚悟を決める。
例え大悟さんや亜依さんに怨まれようとも、この男だけは殺してでも止めてみせると…。
この悲しいまでに深い愛を持った男の名が心が、汚れてしまわぬ様に…。
総一郎
『俺は馬鹿だからあんたにどう言ったらあんたが思い止まるか分からん…更に言えば仮にあんたに思い止まる言葉を思い付いてもそれが、あんたに届くとは思えん…だからだから!あんたの望み通り力ずくで止める!』
総一郎の決意に、ソウルクリスタルが呼応し総一郎の身体に力が、漲って行く。
総一郎
『はぁぁぁぁっ!』
聖児
『うぉぉぉぉっ!』
再び両者は激突する。
お互いの譲れぬ思いを、貫き通す為に…。
そろそろこの物語も終わりに近付いています。
なので次回予告は無しでいきます。
後、本編は、終了してもアフターストーリーや、IFルートも書くつもりです。
それでは、また!