第36話・戦士として…幼なじみとして…。
はい。本当に久しぶりの更新です。
もう一つの作品も出来れば読んで頂けると嬉しいです。
最終話まで後、少し。
もう少しだけこの小説にお付き合い下さる様に、お願いします。
総一郎視点。
えっ?今、晶さんと何をしてるのかって?
何か勘違いしてませんかね?
俺は晶さんの背後から、彼女を抱きしめてるだけでした!
正直、此処までするつもりは無かった。
でも…正直、一之瀬さんに対して苛立ちが少しはあった。
だから…俺は決心した。
それに晶さんと俺は釣り合わない…。
確かに一之瀬さんの言う通りだ。
晶さんは、美人だし運動神経も良いし頭も良い。
スタイルだって抜群だし俺みたいな人殺しにも、分け隔て無く優しくしてくれる人だ。
彼女と釣り合う人なんてそう居ないだろう…。
だから…彼女が俺を嫌いだと言ったら俺は直ぐに彼女を手放すつもりだ。
俺みたいな奴と付き合っていれば、何時か、必ず彼女は傷付く。
晶
『総一郎君…これで本当に良かったの?』
総一郎
『ええ…正直、晶さんを名字で呼ぶのは辛いですから…』
晶
『そう…』
俺の言葉を聞いた晶さんは、耳まで真っ赤にしてしまった。
晶
『………総一郎君…』
抱きしめた俺の両腕を、優しく包み込む様に触れ言った。
晶
『一之瀬さんや他の人が何て言っても気にしないで…私は貴方が好きで…貴方も私が好き…なら、何の問題も無い…』
晶
『貴方が無理矢理、私に言い寄ってるだけなら、話は違う…でもそうじゃないでしょう?』
総一郎
『確かに…』
晶さんの言葉に、苦笑しつつ彼女の言葉に、再び救われる。
晶
『大体…。一之瀬さんや他の人は総一郎君の事を何も知らない…ううん…違う…何も知らないんじゃなくて、知ろうとさえして居ない…』
晶
『でも…私やゼクロスの皆やマスターは、知ってる…貴方が命懸けで皆を護り抜かんとしてる事をね…』
総一郎
『晶さん…』
晶
『私は貴方が…貴方が、好き…』
彼女は、そっと腕から、抜け出て俺の目を、見ながら言った。
総一郎
『っ!晶さん!』
俺は堪らなくなって晶さんを抱きしめ彼女を貪る様にキスをする。
彼女は驚いたのだろう…一瞬、驚いた様な表情を浮かべたものの俺を突き飛ばす様な真似はせず、俺を受け入れた。
彼女の全てが愛おしい。
唇から感じる柔らかさも彼女の温もりや、身体の柔らかさ…彼女の匂い…彼女の唾液すら俺に取っては、甘い毒であり一度触れたら味わったら忘れる事など出来ない。
彼女は、まるで麻薬その物だ…理性を簡単に破壊する強力な麻薬だ。
まずいな…彼女に依存しかけてるな俺は…。
頭の冷静な部分が、そう考える。
しかし…分かって居ながらも、俺は自分を止める事が出来ない…。
理性で抑えられる恋は、本当の恋では無い。
何時か何処かで、聞いたフレーズが頭を過ぎる。
俺も晶さんも此処が外である事も忘れて夢中で、キスをして交わす。
その後、漸く落ち着いて晶さんを家に送り届けた俺は自分の家には帰らずお気に入りの場所に向かった。
その場所は誰も来ない…何故なら此処は俺の家に代々伝わってる場所だからだ。
父さんが言うには人払いの結界?が張ってるらしいが良く分からない。
俺は自分の身体の調子を知る為、ポケットから、ソウルクリスタルを取り出す。
左手にソウルクリスタルを装着し意識を集中させエネルギーをチャージ。
総一郎
『はぁぁぁぁぁぁぁっ!転身!』
キーワードを、叫びシャドウブレードに転身。
シャドウブレード
『ふむ…身体に違和感は無し…エネルギー残量・99%か…』
それにしても…。一之瀬さんには参ったな…。
このままでは俺や晶さんだけじゃなく全員に迷惑が掛かる…。
何か良い案は無いか?
一之瀬さんは俺が、シャドウブレードである事は 分かってる。
唯、どうやったら俺が、シャドウブレードに転身してるか?は、分かって無い…。
シャドウブレード
『んっ?待てよ…』
ブレードに転身する為には、ソウルクリスタルが必要だ。
ならば…あいつにソウルクリスタルを渡して転身して貰えば!
シャドウブレード
『俺の考えが正しければこれで一之瀬さんに詰問されずに済む!封身!』
俺は、元の姿に戻りゼクロス本部に向かった。
意気揚々とゼクロス本部に、向かった俺だったがいきなり出鼻を挫かれる事になる。
大悟
『残念だが、君のソウルクリスタルでブレードに転身しても君と同じ色、同じ形には、ならないんだよ…』
総一郎
『どっどう云う事なんですか?』
驚愕する俺に大悟さんは苦笑しながらもハッキリと言った。
大悟
『それは、ソウルクリスタル自身に問題があるんだ…ソウルクリスタルは誰でも使用出来るんだが人それぞれで自らが描く英雄像のイメージが全くと言って良い程、違うんだ…』
大悟
『だから…君が転身したシャドウブレードと私や光太郎君が転身したシャドウブレードは違うんだよ…』
総一郎
『成る程…』
大悟さんの説明に内心、がっくりしたが、直ぐに気持ちを切り替える事にした。
大悟
『しかし…何故いきなりそんな話しを?』
総一郎
『実は一之瀬深雪と云う幼なじみが、居まして…その人にシャドウブレードでは無いかと疑われてまして…』
大悟
『成る程…それで…って一之瀬深雪?もしかして一之瀬財閥の次期社長と噂されてたり?』
総一郎
『ええ…。一之瀬さんは確かに一之瀬財閥の一人娘です…』
大悟
『それは拙いね…確か…一之瀬財閥にはスーパーコンピューターマザーが合った筈…』
総一郎
『スーパーコンピューターマザー?随分大袈裟な名前ですね?』
大悟
『基本的なスペックは、従来のコンピューターの約千倍、情報処理能力、演算能力も高くまた自ら考える人工知能も、持つ世界最高のマシン。それが、スーパーコンピューターマザー』
総一郎
『それだけ凄い能力ならスーパーが付いても可笑しくは無いですね…』
大悟
『ああ…因みに、それを開発したのは君の大切な人である天野さんの両親なんだ…』
総一郎
『えっ…マジですか?』
大悟さんの言葉に固まる俺に大悟さんは笑う。
大悟
『はははっ!勿論本当だとも!元々彼女の両親は科学者だからね…最初は気付かなかったが後で、天野さんの両親が、あの二人だと本人から聞かされていたからね〜』
総一郎
『世間は広いようで狭いみたいですね…』
大悟
『そうだね。一之瀬さんだったかな?君が、気に病む事は無いんだよ?』
総一郎
『?』
突然、そんな事を言われ首を傾げる僕に大悟さんは言った。
大悟
『確かに彼女が君の幼なじみである事は事実だ。しかし…幼なじみだからと云って全てを話さねばならない訳じゃない…』
総一郎
『………』
確かに言う必要は無い。
大悟
『多分、君は彼女がゼノンに目を付けられない様に、する為に色々と試行錯誤を繰り返して居るんだと思う…』
総一郎
『そうですね…』
大悟
『私的には君がシャドウブレードである事は言わない方が、良いと思う…彼女は唯の一般人…』
総一郎
『………』
大悟
『彼女では君を繋ぎ止める事は無理だ…それに、見た感じでは彼女はシャドウブレードの時の君に恐怖感を抱いている…』
その言葉に僕は思い出した。サンダーリキッドの時やダークウルフを倒した時に一之瀬さんは怪人よりも僕を恐れていた。
大悟
『多分…君が人を殺して居ると云う事実を知ったら軽蔑はしても尊敬する事は無い…』
その言葉に僕は反論出来ず僕自身、そうなると、さえも思う。
大悟
『総一郎君…君がどんな選択をしようと自由だ。他人に何を言われようと最終的に決めるのは君自身なのだから…』
大悟さんの言葉に俺は、決意した。
一之瀬さんには俺がシャドウブレードである事も人殺しである事も言わないと…。
総一郎
『そうですね…すみません。こんな時間に…』
大悟
『はははっ!気にしなくて、構わないよ…相談に乗るから何時でも来たら良い…』
総一郎
『大悟さん…ありがとうございます』
俺は、頭を下げゼクロス本部から自宅へと戻ったのだった。
すみません。次回予告は致しません。色々と考えた結果、次回予告をすると、かなりのネタバレになってしまうので…。
それではまた!