第34話・暴走!
本当にすみません。やっと完成しましたので投下します。
晶視点。
シャドウブレード
『グゥ!グォォォッ!』
総一郎君は獣じみた叫びを上げ建物を、手当たり次第破壊している。
でも…私には分かる…。
今の彼を、突き動かして居るのは怒りでは無く…恐怖だと云う事を…。
だから…私が止める。
ううん…少し違う。
私が彼を受け止める。
シオンブレード
『シャドウ…』
シャドウブレード
『っ!』
私の声に振り向く総一郎君。
シャドウブレード
『ガルルッ!グォォォォォォッ!』
殺気を発しながら、私に向かって、突進して来る彼に私は身構える事なく唯…立つだけ…。
深雪
『ちょ!ちょっと!貴女死ぬ気!』
レイスブレード
『シオン…貴女は…』
シオンブレード
『………』
私は総一郎君を、信じている。
一之瀬さんと違って私はね…。
シャドウブレード
『グォォォォォォッ!』
突きを、繰り出して来る総一郎君に、私は避ける気も防御するつもりも、無かった…。
ガキンッ!ギリギリッ!
レイスブレード
『っ!』
深雪
『嘘…』
二人の茫然自失の声に、私は内心嘲笑う。
シャドウブレード
『ガッ!ギィ!グォォォォォォッ!』
だって総一郎君は、私の身体に拳が当たる前に、左腕で拳を止めてくれたから…。
シオンブレード
『シャドウ…』
私は躊躇う事無く総一郎君を抱きしめる。
シャドウブレード
『ガッ!』
ビクンッ!っと身体を、震わせた次の瞬間!
パァァァッ!ガシャン!
総一郎君の身体が、光り輝きノーマルウォームに戻った。
シャドウブレード
『………っ!えっ?なっ何でシオンが…って俺は確かクリムゾンヘッドの攻撃を受けて…』
シオンブレード
『大丈夫…クリムゾン・ヘッドは逃げたわ…』
シャドウブレード
『又か…今日こそ決着を付けるつもり…ぐあっ!身体が…』
全く…幾ら貴方でも無茶し過ぎだわ…。
シオンブレード
『シャドウ…無理はしないで…貴方はクリムゾンヘッドのソードスラッシュを、まともに喰らったんだから…』
シャドウブレード
『シオン…いや…。別に俺は平気…』
シオンブレード
『シャドウ?』
シャドウブレード
『っ!はい…。今は無理しません…』
総一郎君の言葉に私は、内心呆れつつ言った。
シオンブレード
『はぁ…出来れば何時も無理はしないで欲しいんだけど…』
私は総一郎君を抱きしめたまま言った。
シャドウブレード
『すまない…それは例え君でも約束出来ない…』
すまなそうに言う総一郎君に私は苦笑。
シオンブレード
『全く…』
シャドウブレード
『なぁ…シオン?』
シオンブレード
『何?』
シャドウブレード
『離し…』
シオンブレード
『嫌…』
私は、総一郎君の言葉を一刀両断。
シャドウブレード
『ええっと…おもっきり見られてるんだが…』
シオンブレード
『見せ付けてるの…』
シャドウブレード
『いや…何で見せ付けてるんだ?』
シオンブレード
『………』
私は総一郎君の言葉を、無視して無言で抱きしめる力を少し強くした。
シャドウブレード
『どうした?何故、不安そうな気配を発してる?何かあったのか?』
その問いに少しだけ私は頷いた。
シャドウブレード
『俺は…俺は君を置いて死んだりしない…勿論、どんな危機が起きようと君は俺が必ず護る…』
シオンブレード
『っ!』
シャドウブレード
『だから…。不安になる必要は無い…』
そう言うと、総一郎君は私を包み込む様に、抱きしめてくれた。
シオンブレード
『うん…』
総一郎君の言葉に内心、嬉しくて、飛び跳ねたい衝動を何とか堪える。
シャドウブレード
『取り敢えず…そろそろ戻らないと…』
ファンファンファン!
レイスブレード
『っ!この音は…シャドウ!シオン!』
シオンブレード
『はぁ…空気を読まない奴らね…まぁ…良いわ…行きましょう?』
シャドウブレード
『ああ…』
深雪
『ちょ!ちょっと、待ちなさいよ!総一郎!』
シャドウブレード
『だから…俺は…』
シオンブレード
『シャドウは先に行ってて…』
シャドウブレード
『シオン?』
シオンブレード
『あの女に少し話があるの…貴方は、先に行ってて…』
シャドウブレード
『分かった…』
総一郎君と黒崎さんが、去ったのを、確認し私は一之瀬さんに視線を向ける。
深雪
『っ!何よ?話って?』
シオンブレード
『貴女は何故、シャドウを、総一郎とか呼んでるの?』
深雪
『あいつは井上総一郎でしょ!なのに…何で…』
シオンブレード
『本当に、馬鹿なのね…貴女…』
深雪
『なっ!あんたねぇ!』
シオンブレード
『仮に、彼が井上総一郎だとして…それを人に、話したら、どうなるか?貴女は、考えた事があるの?』
深雪
『えっ?』
シオンブレード
『考えた事…無いでしょう?だから、貴女は馬鹿なの…』
深雪
『っ!』
シオンブレード
『彼の正体だけじゃないわ…私やレイスもそう…下手な詮索は、死を招く事に繋がる…貴女も実感してる筈よね…』
深雪
『それは…』
シオンブレード
『貴女の言う通りだったとして…井上総一郎は、貴女の知り合いなのでしょう…』
深雪
『そうよ…私と総一郎は幼なじみだもの…』
シオンブレード
『なら…その人の邪魔になる様な事をしちゃ駄目じゃないの?』
深雪
『………』
シオンブレード
『まぁ…死にたいなら、勝手にすれば?私は彼と違って貴女や他の人が、どうなろうと、どうでも良いもの…』
深雪
『っ!貴女は、人の為に戦ってないの?』
一之瀬さんの言葉に私はハッキリ告げる。
シオンブレード
『あのね…私は聖人君子じゃないの…彼が死なないなら貴女や他の人が、犠牲になっても構わないわ…』
深雪
『っ!』
シオンブレード
『私は、私が大切に思う人達を護るだけ…。赤の他人が、どうなろうと、痛くも痒くも無いわ…』
私は、ハッキリと一之瀬さんに言った。
この言葉は私の本心。
総一郎君が居ない世界に私は居たく無い。
彼が死んだなら私も後を追って死ぬ。
シオンブレード
『全く…貴女は、本当にどうしようも無い馬鹿な女ね…怒りを通り越して憐れみすら感じるわ…』
深雪
『なっ!』
シオンブレード
『彼が、貴女を庇わなければ貴女は確実に死んでたのよ?そんな事も分からないの?だとしたら…貴女は人として、どうかしてる…』
深雪
『それは…』
シオンブレード
『なのに…貴女は、彼の正体を知ろうとしてる…それは、彼だけじゃなく彼の家族や友人が危険に曝されてしまう可能性が生まれる事になる…』
シオンブレード
『もし…そうなったら、彼は悲しむ…彼は、人が傷付く位なら自分が傷付いた方が良いと思ってる人だから…』
シオンブレード
『話はそれだけ…じゃあね…』
私は警察が来る前に去るべく歩き出す。
深雪
『ちょ!ちょっと!待ちなさいよ!言うだけ言って逃げる気!』
一之瀬さんの言葉に私は溜息を吐く。
シオンブレード
『はぁ…貴女は本当に…考え無しね…』
私は、素早く建物に向かって跳躍し言った。
シオンブレード
『悪いけど…貴女みたいな馬鹿な女と、会話するのは面倒…出来れば二度と会いたく無いわ…』
私は、そう言いソウル・クリスタルにエネルギーをチャージ。
キュンキュンキュン!
シオンブレード
『じゃあね…』
私は、ゲートを造り中に入りゼクロス本部へ移動した。
此処から深雪視点に変わります。
深雪
『ちょ!コラァ!言い逃げなんて卑怯者ぉ!』
シオンブレードと名乗る女の人に叫んだものの…返答は、返って来なかった。
香澄
『うっ…ううん…此処はっ!お嬢様!』
深雪
『香澄さん!良かった!無事なのね!』
私は香澄さんの元気そうな姿に安心した。
香澄
『すみません…お嬢様を守りきれず…』
頭を下げる香澄さんに、私は慌てる。
深雪
『気にしないで!香澄さん!あんな化け物が相手じゃ幾ら貴女が強くても勝てる相手じゃない…』
香澄
『確かに私の力では無理ですね…』
深雪
『香澄さん…早く行きましょう?警察の人に質問されても面倒だし…』
香澄
『そうですね…』
私と、香澄さんは素早くその場を後にした。
次回予告!晶の御蔭で、暴走状態から抜け出した総一郎。
ゼクロス本部からの帰り道…総一郎と晶に掛かって来た一本の電話により二人は、ある決断をする事となる!
本当にお待たせ致しました。
唯でさえ遅い執筆速度が更に遅く…もし一人でもこの小説を読んで下さる方が、いらっしゃるなら幸いです。
それでは、また!