第5話・新たなる力を求めて…。
ライオン・ヘッドを倒した総一郎が帰ろうとした時、突然、目の前に現れた一人の女性。
彼女は言った。
『貴方の力は殆ど目覚めて居ない』っと…。
総一郎視点で話しが進みます。
ライオン・ヘッドを倒した僕はその場を去ろうとした時だ…。
突然目の前に光が溢れて僕は眩しさを感じて目を隠した。
光が収まり手を、退けた瞬間、目の前に白い鎧を来た女性が立って居た。
???
『貴方が…。シャドウ・ブレード。いえこう呼ぶべきですね…。井上総一郎さん…』
っと言われて僕は警戒しながら言った。
総一郎
『何でアンタは俺の名前を知って居るんだよ…』
そう言って身構える。
突然、現れてフルネームを呼ばれたら警戒するのは当然である。
しかもその人が知らない人なら尚更だろう…。
???
『そんなに警戒しないで下さい。貴方の父さん。井上修司さんから貴方の名前を聞いたのです…』
っと、慌てた感じで言った彼女に僕は益々不信感を感じた。
大体僕の父さんは10歳の時に亡くなって居るのだから聞ける訳が無い。
???
『貴方が、10歳の時に修司さんが亡くなった事も知って居ます…』
そう言うと彼女は黒い箱を何処からか取り出すと蓋を開けて中身を取り出し僕に見せた物はソウルクリスタルだった。
???
『信じて下さい…。私は貴方の味方です』
真剣な声をして真っ直ぐ僕の目を見て言った。
ちょっとの間、観察したが目を逸らさず、ジッ!っと僕の言葉を待つ彼女に、僕は溜息を吐いて、言った。
総一郎
『信じてやるよ…。っでアンタは何をしに来たんだよ?』
???
『はい…実は先程の戦いを見せて、貰いました…ですが…正直、このままでは、貴方は負けてしまうでしょう…』
っとハッキリ言われ僕は黙ったまま彼女の言葉を聞いた。
???
『ゼノンの幹部どころか私にさえ貴方は負ける…でも…。貴方の力は殆ど目覚めて居ない…』
そこで彼女は一旦、言葉を切ると迷う様なそぶりを見せた。
総一郎
『アンタは一体何が言いたい?』
っと、突っ込むと、彼女は言った。
???
『貴方の力を開放する為の鍵を渡す為に…』
???
『ちょっと!何時まで、待たせるの?早くしてよね!』
突然、声が聞こえたかと思うと目の前に赤い鎧を来た女性が現れた。
???
『レイチェル。何故貴女まで…』
レイチェルと、呼ばれた女性が呆れた様な表情をして言った。
レイチェル
『貴女が遅いから迎えに来たのよ』
っと言うと僕をジロジロ見て居る。
何故、こっちを見て居るんだろ?
???
『まあ、構いませんが、取り敢えず私達と一緒に来て下さい』
っと言うが、早いか僕の手を、取ると引っ張って行く。
すると、彼女は少しずつ体が消えて行く。
ついでに僕の体もだ。
完全に、消えたと思った瞬間、僕の目の前には、信じられない光景があった。
そこは漫画とかアニメとかで出て来る巨大な要塞が聳え立って居た。
呆然として居る僕に彼女は言った。
???
『取り敢えず元の姿に、戻って下さい…』
っと言われた僕は素直に何時もの様にシャドウ・ブレードから…。
総一郎
『封身!』
して元の姿に戻った。
視線を感じて見ると2人共、固まって居る。
総一郎
『どうしたんですか?』
っと聞くと漸くレイチェルが何故か慌てて言う。
レイチェル
『いっ!いや!何でも、無いんだ…。なっなあ!エンジェル』
っと、慌てた感じて言いエンジェルと、呼ばれた女性は無言のまま首を、縦に何度も振って居る。
レイチェルは今、思い出したみたいに言った。
レイチェル
『オレ、用事を思い出したから…』
っと言うが早いか走って何処かに行って、エンジェルが小さく何かを呟いて居たが聞き取れなかった。
エンジェル
『取り敢えず中へ…』
っと言うとエンジェルは歩いて行く。
彼女も、僕も無言で歩き続けて居る。
周りを、見渡すと所々に物々しい兵器や機械が、並びまさに、要塞だなと思った。
そんな事、考えて居るとツギハギだらけの扉が、開き中から青い鎧を身に着けた僕位の男の人が、現れた。
僕を見るなり、その人が言った。
???
『俺と勝負しろ!』
っと、言われたが最初は僕じゃないよな。
っと思いエンジェルを、見て居るが…。
???
『お前に言ってるんだ!井上総一郎!』
っと言われ僕は首を傾げながら言った。
総一郎
『何で君と戦わなきゃならないんだ?僕は君の事知らないんだけど…』
っと言うがその人は苛立つ様に言った。
???
『いいから!早く転身しろ!』
っと言われても困る。
途方にくれる僕に、見兼ねたエンジェルが口を、挟む。
エンジェル
『ライト…。彼が困って居るわ』
っと口を挾んだがライトと呼ばれたその人は興奮した様に口を荒げる。
ライト
『エンジェル。アンタには関係ない!』
っと、言い僕を睨み付けて来る。
どうやら戦わないと許してくれそうに無いな…。
そう判断した僕は言った
総一郎
『戦うにしても、こんな所じゃ無理だろ…』
そう言って周りを見渡すが、こんな所で戦ったら他の人に迷惑がかかる。
それに何事かと人が集まって居る。
ライト
『じゃあ、ついて来い』
そう言うと、背を向けて歩き出した。
総一郎
『そう言う事だから…。ちょっとだけ、待ってて下さい』
そう言うと僕はライトを追いかけて行く。
すると彼女も何故かついて来た。
ライト
『別に、ついて来ても、構わないがアンタは手を出すなよ…』
そう言われたエンジェルは言った。
エンジェル
『善処します…』
っと呟く様に言った。
一体何処まで行くのか?っと疑問に思う程歩いて行く。
中は、まるで巨大な迷路の様な感じだ。
至る所に、十字路があり更に全体が同じ色だから迷いそうだな。
ライトは巨大な扉の前に立つと手を当てた。
するとギギギギ!っと軋む音が、してゆっくりと扉が開いた。
すると中は、とても広々として居る。
エンジェル
『此所は、我々の鍛練場で皆は、此所で修行をします…』
っとエンジェルは呟く様に言った。
ライトは、鍛練場の真ん中に立つと振り返り構える。
僕は拳を握り気合を込めて言う。
総一郎
『転身』
叫ぶと全身が輝き僕は、シャドウブレードに変身した。
ライト
『行くぞ!』
そう叫ぶとライトは凄いスピードで襲いかかる。
目の前から居なくなった次の瞬間、ライトは僕の後ろに居た。
背後からの、攻撃を躱して手首を掴む。
総一郎
『アンタのスピードは、凄いけど、組み付かれたら、スピードも半減するだろ?』
ライト
『ちっ!こんな程度!』
そう言って、押し返そうとするが、僕は急に力を抜き後ろに倒れた。
倒れた反動で蹴りを叩き込みライトを空中に吹っ飛ばし追いかける。
総一郎
『空中なら、スピードは俺と互角だろ…互角なら俺はアンタに勝てる!』
僕の読みが、正しければこの人はスピードに特化してる分、力や装甲は、僕より劣る筈だ。
空中で激しい攻防戦をしながら、誰かに見られて居る感じがした。
でも…。今は考えて居る余裕は無い。
今は、目の前の敵をどう攻撃するか?だ…。
考える事は、それだけで良い筈だ。
地面に激しく激突し地面が大きく陥没。
地面に激突した衝撃で、一瞬意識が飛んだが直ぐに、覚醒し僕はライトに襲いかかる。
スピードで引っ掻き回されない様に組み付いた。
ライト
『それで、勝ったつもりかよ?シャドウ・ブレード!』
ライトは凄いスピードで走り始め遠心力を使って僕を振りほどきスピードの乗った重い前蹴りを、繰り出した。
何とか、十字受けと後ろに飛んでダメージを軽減させたが壁に激突した。
ライトはトドメとばかりに、突進して来たが僕はライトの動きに合わせて前蹴りを繰り出し吹き飛ばした。
ライトは、空中で回転して方向転換して僕に襲いかかったが、横に飛んで躱した。
だがライトは止まらずに矢継ぎ早に攻撃を繰り出し攻め続ける。
ライトのスピードに慣れて来たのだろうか?
ライトの攻撃を躱しやすくなった気がする。
躱しながら攻撃をするが殆ど躱されて思う様にはダメージを、与えられない。
景色が凄いスピードで、流れまるで電車に乗って居るみたいだ。
ライトはドンドンスピードを、上げて行くが今は難無く付いて行ける。
ライト
『俺の早さに、適応して居るのか!コイツは!』
適応?何を言ってんだ?コイツ…。
そう、思いながらも攻撃の手を緩めない。
エンジェル
『凄い…。ライトのスピードを超え始めてる…』
っとエンジェルが呟く様に言ったが僕は気付かずライトを追いかける。
戦いは互角の勝負になったが…。このままでは、永遠に決着が着きそうにない。
僕は、動きながら左手に意識を集中して、エネルギーを溜め始める。
僕の異変に気付いたライトも必殺技を放つ為に、エネルギーをチャージし始める。
必殺技を放つ為には…。ソウルクリスタルのエネルギーを使用する。
ソウル・クリスタルの、エネルギー量は個人差もあるが『転身』して居るだけで少しずつ消費して居る。
エネルギーが切れてしまうと強制的に『転身』が解けてしまうのだ。
『転身』が解けると普通の人間に戻るので戦闘中に、そんな事態になると即座に死に繋がる。
必殺技を放つには、クリスタルのエネルギーを、半分以上は、確実に使用する。
本当は動かない方がエネルギーが溜まるのは早いが溜めて居る間は無防備になりやすい。
お互い相手の出方を見ながらチャンスを伺い絶えず攻撃を繰り出す。
先に必殺技を放ったのはライトだった。
ライト
『食らえ!ミラージュ・ストライク!』
そう叫ぶとライトの体がボヤけて更に5体に分身した。
ライト
『これで、終わりだ!』
そう言うと、5人が一度に襲いかかって来た。
僕はライトの分身の一人を攻撃したが、すり抜けてしまった。
次の瞬間、目の前の分身が消えて背後から殺気を感じ右に飛んだ。
見えない衝撃波をギリギリ躱した僕は動きの止まったライトに、突進して必殺技を繰り出そうとしたが、当たる瞬間に止めた。
ライト
『何故、止める…』
そう聞いてくるライトに僕は封身して問う。
総一郎
『じゃあ…逆に聞くけど何故手加減したんだ?』
そう言うとライトは驚いた顔をした。
悔しいが最初から、あのスピードで向かって来られたら負けて居た筈だ。
まるで僕に合わせる様に徐々にスピードを上げて居た様に感じて居た。
総一郎
『アンタは、俺を試そうとしたんだろう?それにさっきから、そこでコソコソと俺を見てるアンタも出て来いよ』
???
『流石は修司の息子だ…上手く気配を隠したつもりだったんだがね…』
おどけた感じの声が、後ろから、聞こえて振り向くと少なく見ても、30過ぎのオジさんが立って居た。
エンジェル
『貴方ですね…。ライトに、総一郎を戦わせたのは…。何故ですか?』
っと、エンジェルが呆れ半分驚き半分の顔で呟いた。
???
『勿論、彼の今の実力を見たかったのもあるが、別にそれだけでは無いよそれなりに理由がある…だからそんなに睨まないで欲しいな…。』
っと、ちょっと困った顔をして呟いた。
エンジェル
『別に睨んで居ません…シオン。取りあえず私達はこれで失礼します』
そう言うと、エンジェルは消えて…。
ライト
『またな。総一郎』
っとだけ言い残すと姿が消えた。
シオン
『取りあえず、立ち話しも何だし私の部屋に来てくれないかな』
っと笑ったシオンの顔はまるで父さんみたいだなっと思った。
総一郎
『分かった』
っと言うと、シオンと、呼ばれた人は嬉しそうに笑う。
シオン
『私に着いて来たまえ。総一郎君…』
そう言うとシオンは振り向かず歩いて行く。
総一郎
『何で…。貴方は、僕の名前を知って居るんですか?』
っと疑問に思って居た事を聞く。
シオン
『それは、後で説明するよ…』
っと言うだけで、シオンは穏やかな微笑みを浮かべるだけだ…。
少しの間、無言で歩き続け大きな銀色の扉が見えて来た。
扉の前に、シオンが立つとギギギギ!っと、軋む音がして扉が開いた。
中は普通の部屋を少しだけ大きくした感じだ。
部屋の真ん中に、客人様の木のテーブルとイス。
ちょっと奥の方に、目を向けると、本棚に小説やら雑誌やらが綺麗に整頓されて居る。
シオン
『取りあえず、座ってくれ。総一郎君…』
そう言うとシオンは木で出来たイスに、座り僕に座る様に促す。
僕はイスに座り此所から試練が始まろうとは思いもしなかった…。