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第28話・戦闘開始!

すみません…お待たせしました。

私と総一郎君は悪の秘密結社の気配を察知し現場へ急行する事になった。


『シャドウ…。大丈夫なの?』


総一郎

『ああ…大丈夫だ…それよりも…嫌な予感が…。急ごう!シオン!』


私は総一郎君にピッタリ並走しながら何だか不思議な感覚に捕われる。


何だか昔から、この人とこうやって並んで走って居た様な…。


これだけ、走り回っても息一つ乱れない…。


きっと…。このソウル・クリスタルの御蔭なのだろう…。


んっ!


ドカアアアアアアアン!


総一郎

『ちっ!嫌な予感が当たりやがった…』


大きな爆発音と共に総一郎君は、忌ま忌ましげに舌打ち。


煙と埃が収まった瞬間、現れたのは灰色のコートで全身を隠した人が立っていた…。


クリムゾンヘッド

『ふっ…久しいな…シャドウブレード…』


ポツリとしかし…何処か嬉しそうな声音で、その人は総一郎君だけを真っ直ぐ見つめて居る。


この人…少し前に総一郎君に決闘を申し込んだ人だ…。


確か名前は…。


総一郎

『クリムゾン・ヘッド…何となくアンタに会える様な気がしてた…』


総一郎君は苦笑した様に呟く。


クリムゾンヘッド

『ああ…私もだ…んっ?今日は女連れか?』


漸く私に、気付いたその人は、こちらに目を向け一瞬だけ鋭く睨んで来たのを見て私は、直感的に感じた…。


この人は女の人だと…。そして…この人も総一郎君の事が好きなのだと…多分…総一郎君も、この人も気付いて居ないと、思うけど…。


クリムゾンヘッド

『貴様は、誰だ?始めて見るが?』


何故か身構えながら言う彼女に私は名乗る。


『私の名はシオン・ブレード…』


クリムゾンヘッド

『シオンブレード?前は男だった筈だが?』


戸惑う彼女に、私は首を傾げる。


エンジェル

『ふぅ〜やっと追い付いたわ…』


レイチェル

『たくっ!早過ぎるぜ!二人共!』


レイス

『大丈夫ですか?』


ライト

『二人共…早過ぎだ…』


クリムゾンヘッド

『ふん…ゼクロス・メンバー勢揃いか…だが!』


っ!何!この威圧感…。


爆発的なプレッシャーを身体から放つクリムゾンヘッドに総一郎君と、私以外は、身動き一つ取れない。


クリムゾンヘッド

『貴様らごとき…敵では無い!』


更に膨れ上がる殺意と、闘志に圧される事も無く総一郎君が…。


総一郎

『クリムゾン・ヘッド…お前の相手は…』


総一郎君の言葉を、私は遮る。


『貴女の相手は私…』


総一郎

『っ!おい!シオン!』


焦る総一郎君に私は微かに苦笑しつつ言った。


『シャドウ…私は貴方を信頼している…だから…貴方も、私を信じて欲しい…』


総一郎

『くっ…分かった…皆…これは、シオンとクリムゾンヘッドとの一騎打ちだ…手は出すな…』


総一郎君は一瞬、躊躇いでも…はっきりと皆に、告げた。


クリムゾンヘッド

『ほう?良いのか?仲間が死んでも?6対1なら確実に勝てるものを…』


クリムゾンヘッドの言葉に総一郎君は、はっきり言った。


総一郎

『確かにな…だが…ヒーローに、一対多数の戦いは無い…例え怪人が何人向かって来ようとな…。それが…俺達、ヒーローの誇りだ…』


その言葉に、私だけじゃ無く全員絶句する。


クリムゾンヘッド

『ふっ…あっはははは!成る程…。やはり貴様はくくく!他の英雄とは…次元が違うな…その誇り高さも、魂の強さも…。そして実力もな…』


クリムゾン・ヘッドは、笑いながら、更に言葉を続けた。


クリムゾンヘッド

『ふっ…では、シオンよ貴様の力…どれ程か見せて貰おうか!』


『良いわ…。見せてあげる…』


私が、身構えると同時に素早く間合いを詰められる。


普通なら驚くけど、今の私は、自分でも驚く程…冷静そのものだ。


クリムゾンヘッドは素早く右の正拳突き。


それを、私は考える前に勝手に体が動き右手で、捌き左の拳を、敵の腹に打ち込む。


ドゴン!


クリムゾンヘッド

『ぐっ!舐めるな!』


私は敵の左の回し蹴りを防御。


ガキン!ガリガリガリ!


くっ!腕が痺れる程の、強烈な蹴り…。


踏ん張ったけど、コンクリートで、出来た地面を刳る。


初めての実戦で、それも初めての殺しあい…。


なのに私は冷静そのものだ…。


不安が無い訳じゃない…恐怖が無い訳でもない…だけど…。


『憧れている人の前で!好きな人が見てる前で!ぶざまな姿は、見せられない!』


私の思いに反応しソウルクリスタルが反応する。


その瞬間、何故か戦い方が理解出来た。


まるで…。昔から知って居るかの様に…。


身体が覚えている?良く分からない…。


勝手に身体が動く…。


先程、総一郎君が戦って居たのを見て見よう見真似でクリムゾン・ヘッドと戦う。


総一郎君の戦い方は独特だ…。


直線的な動きをするかと思えば相手の死角に入り込んだり動きが単調じゃない…。


かなり多彩な動きに加えフェイントを混ぜた攻撃をして反撃やカウンターをさせない。


確か…こうして…こう!


右正拳突きから左ボディブロー、右ハイキック。


ガキン!ガギン!ガッキン!


クリムゾンヘッド

『くっ…』


やっぱり総一郎君みたいには無理か…。


簡単に攻撃を防がれる。


クリムゾンヘッドの攻撃を受け止め避けながら、どうするべきか?思考し始めた。


此処から総一郎視点に、変わります。


凄いな…初めて転身してクリムゾン・ヘッドと、互角…。いや、晶さんが僅かだが押している。


両者共に決定的な攻撃は未だに喰らっていない…んっ?


俺は微かな大気の震えを感じた…。


誰か…こちらに向かって居る。


それも…多数の生き物の気配だ…。


総一郎

『どうやら…俺達にお客さんの様だな…皆!』


そう言うと、皆は無言で頷き散開し向かって来る奴を迎え撃つ。


総一郎

『シオン!死ぬなよ…』


そう言い俺は、1番強い気配を放つ誰かに向かって走り出す。


本当は、不安で胸が押し潰されそうだったが俺は晶さんを信じる…。


晶さんが俺を信じてくれた様に俺も信じる…。


ただ…それだけだ…。


走りながら、敵の気配を探り黒い狼みたいな怪人を発見。


ダークウルフ

『貴様がシャドウ・ブレードか…。俺様の名前はダークウルフだ!はっ!随分と、貧弱そうな身体だな?貴様如きに引き分けたクリムゾンヘッドもたいした事は無いな…』


安っぽい挑発だ…程度が知れるな…。


俺はダークウルフと名乗った怪人に聞こえる様に溜息を吐いて言った。


総一郎

『ふぅ〜随分とよく喋る犬だな…。お前みたいな雑魚犬と遊んでる暇は、無いんだがな?』


ふっ…諸君、挑発とはねこうするのだよ?


って、誰に言ってんだろうね?俺は…。


ダークウルフ

『貴様!この俺様をぅ!犬呼ばわりするな!』


はっ!何とも簡単に挑発に引っ掛かりやがった…


総一郎

『見た目と同様に、阿呆だな…お前は?』


更に怒りと言う名の火にガソリンを注ぐ言葉を、投げ掛け奴は完全に冷静さを失った…。


見た目通り獣の様に突進して来る阿呆に俺は躊躇い無く渾身の左ストレートを叩き込む!


バキ!ヒュゥゥゥゥン!ドゴォォォン!


ダークウルフ

『ギャウ!』


建物に、ぶつかり悲鳴を上げるダークウルフ。


総一郎

『おいおい…どうした?こんな貧弱な奴の拳が、効いたのかい?』


俺は、肩を竦め左手首をクイクイと動かして挑発しまくる。


俺は、追い撃ちを掛けるべきか悩んだが止めた。


追い撃ちを、掛けるのに合わせてカウンターを、狙う奴も居るからな…。


俺は自分の力を過大評価しないし敵の力を、過少評価しない。


敵の戦闘能力が、未知数ならば冷静に対処せねばならない…。


昔、その所為で大怪我を負ったからな…。


手痛い教訓だったが…。これも勉強だな…。


ダークウルフ

『ぐっ…貴様!』


直ぐさま起き上がり俺に突進するダークウルフ。


総一郎

『おや?どうしたんだ?口から、血が出てるぜ?こんな貧弱そうな奴の、攻撃で血が、出るなんてお前の方が貧弱なんじゃないのか?』


俺の問いにダークウルフが叫ぶ。


ダークウルフ

『黙れ!ちょっと油断…何!』


途中から、驚愕した声を出すダークウルフ。


まあ…。瞬時に、目の前から消えて奴の死角に、移動したからな…。


俺は無言で右のハイキックを繰り出す。


ダークウルフは、何とか振り向いて、両手で防御したが甘い…。


総一郎

『腹が、がら空き…』


ドゴン!ドカガガガガ!バキ!


ダークウルフの腹にエグリ込む様にボディブローを打ち込み更に連続で、腹を殴る。


悲鳴も上げられずダークウルフの体が、くの字に曲がり奴の下がってきた顎に頭突き。


意識を集中して必殺技のエネルギーをソウルクリスタルに、チャージしながら回転して、右の裏拳から左のガゼルパンチで完全に、棒立ちのダークウルフに容赦無く必殺技発動!


総一郎

『これでも喰らえ!スターライト・ブレイク!』


ドッカァァァァン!


ふっ…手応えあり!


ダークウルフ

『ば…馬鹿な…何故だ…俺様は貴様のデータで、作られた…筈…』


苦痛に歪むダークウルフに俺は呆れた…。


総一郎

『確かに…。お前は俺のデータを基に作られたのかも知れない…だがな…それは、過去の俺に過ぎない…』


ダークウルフ

『どっ…どう言う事だ…貴様は…』


総一郎

『俺は…常に成長し進化する…。昨日より今日…今日より明日とな…何時までも同じだと決め付けたのが、お前の敗因だ…ダークウルフ…』


ダークウルフ

『馬鹿な…。そんな事があると言うのか…馬鹿な馬鹿なぁぁぁ!』


ダークウルフは、爆発し俺は彼の冥福を心の中で祈った…。


そして…その場所から、離れようとしたのだが…


深雪

『ちょっとぉ!あんた!待ちなさいよ!』


一之瀬さんの声が聞こえ俺は振り返らず言った。


総一郎

『又…。アンタか…』


深雪

『はあはあはあ…あんた一体何者なのよ…』


総一郎

『俺が何者であろうと、アンタに、何の関係が、あるんだ?』


深雪

『っ!』


総一郎

『俺は、アンタと違って忙しいんだよ…』


そう言って俺は、一之瀬さんに、背を向けたまま歩き出す。


此処から深雪視点に変わります。


総一郎かも知れないその人に私は叫ぶ!


深雪

『待ちなさい!あんた!総一郎でしょ!』


その言葉に彼は振り向き言った。


総一郎

『総一郎?誰だ?お前の恋人の名前か?』


白々しい!アンタは総一郎でしょ!知ってるんだから!


あんたのお父さんがシャドウブレードだった事をね!


深雪

『あんたは、井上総一郎でしょ!』


総一郎

『何故、そう言い切れるんだ?』


首を傾げる仕草に総一郎が重なる…。


総一郎

『仮に俺があんたの言う通り井上総一郎だったとして何になる?』


深雪

『えっ?』


総一郎

『ふぅ〜。だから…仮に俺が井上総一郎だと認めたとして…。お前に何の関係がある?』


それは…。


言い淀む私に、はっきり彼は言った。


総一郎

『俺が死のうが生きようが…お前には関係無い…俺に関わるな…詮索するな…冗談抜きで死ぬ事になるぞ?』


その異様な威圧感に体が震えだした。


その事に気付いたのだろうか?


こいつは直ぐに威圧感を消すと私に言った。


総一郎

『お前が何を考えているのか知らん…だが、人は何年か生きていれば人には知られたくない過去や傷がある…』


『なっ…』


総一郎

『知らない方が、お前の為でもある…ただ…それだけだ…じゃあな…』


そう言うとアイツは走り去った。


深雪

『ちょっと!待ちなさいよ!コラ!』


アイツの背に、向かって怒鳴ったけどアイツは、無視して消えて行った。


あいつの言葉が胸に突き刺さって私は、何も言えなかった…。


確かに私には関係無いのかも知れない…。


だからって…。死のうが生きようが、関係無いと言う事無いじゃない…。


何か泣きそう…どうして私は…泣きそうなんだろう?


関係無いと言われて悲しかったから?


本当に、私は何がしたかったのだろう?


総一郎かも知れないシャドウブレードが黒い犬の怪物と戦っているのを、見て居ても立っても居られなかった…。


何の躊躇いも無く怪物を的確な攻撃で倒す総一郎に恐怖を感じる。


普段の総一郎と、さっきの総一郎。


殆ど別人に近い…どっちが本当の総一郎なの?


普段、見ているアンタはありのままの…アンタなの?


それとも普段、見せてるアンタは演技なの?


ねぇ…総一郎…アンタは何者なのよ?


去って行った総一郎に、私は溜息を吐いた。



次回予告!の前に、ちょっとした事をします…。それでは又…。

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