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第21話・夏休み編その13。

前回の後書きにて、次回予告でシリアスな話しにする予定でしたが今回はラブコメ風な感じで行きます(笑)

全く…酷い目に遭った…ゲンナリしつつも顔には出さない。


出したら、一之瀬さんや河野先輩が煩いし…。


まさか、田中や山村さん香澄さんまで一緒になって質問責めされるとは…やれやれだ…。


しかし…さっきから体中が痛い…。


先程よりは大分マシだが何だか骨がギシギシいってやがる。


ビリ!っと変な音がしてスーツの右肩が、破けてしまいギョッ!として、慌てて左手で隠したんだけど左手を動かした瞬間またもやビリ!っと音がして左肩の部分が破けてしまった。


僕は慌てて左肩を右手で隠した。


此処から香澄視点に変わります。


ビリ!っと変な音がして目を向けると、井上君の右肩が破けおり一瞬だが彼の右肩には、黒紫色の傷が見えた。


その傷痕は、まるで蚯蚓ミミズが肩に乗っかっている様な、不自然な傷痕だった。


更に左肩にも鋭い刃物か何かで斬られた様な傷痕を見た私は彼には、何かあると感じた。


総一郎

『ごめん…一之瀬さん…何か、破けちゃったんだけど…どうしよう?』


両肩を隠しながら彼が、深雪お嬢様に問う。


深雪

『全く…何やってるんだか…まあ、心配しなくても私が、ちゃんと解決してあげるから…感謝しなさいよ?』


深雪お嬢様は呆れた様なでも、何処か嬉しそうな表情で言う。


総一郎

『ありがとう…取り敢えず着替えて来ますね…』


彼は、そう言うと素早く走り去る。


あの傷痕は虐待では付かない傷痕だ。


私は、ふと海岸で、見た黒い鎧を着けた人を思い出した。


背格好だけでは無く身に纏う雰囲気、そして…。何よりも少し前に、彼の体から発せられたオーラが余りにも似過ぎている…。


その事に気付き私は愕然とした。


話を聞いた時は有り得ないと思っていた…。


しかし…。現実に怪物が存在して、それを倒す者の存在。


都市伝説として伝わっていた怪物とこの国を守る黒い戦士の話。


もし…彼が、そうならばお嬢様は、どうされるのだろうか?


お嬢様自身は御気付きになられて居ませんが彼を異性として、好きなのは明白。


多分、気付いて居ないのは…お嬢様と井上様だけだ。


とにかく…今は静観するより他は無し…。


そう判断して私はパーティー料理を満喫する事にした。


此処から、総一郎視点に変わります。


全く…何なんだ?さっきまで何とも無かったのに今は少し全体的に、締め付けられている。


サイズは少し大きめだった筈…。


なのに…。今は服も靴もキツイ…。


一体、何が起こってるんだ…。それに…やたらと お腹が空きやがる…。


ズキン!ズキン!っと、身体が、骨が軋んで来てる…。


ヤバイ…まさか…これがエボリューションの代償なのか?


此処から、説明に入ります!


何故、総一郎の身体が、痛み骨が、軋んで居るのか?


読者の方は御気付きかも知れませんが…。これは 成長痛です。


さて何故?成長痛が起こってるのかと言うと…。


総一郎は10歳の頃から今まで、ずっと悪の秘密結社・ゼノンの戦闘員や怪人達と戦い続けていた事が原因です。


ソウルクリスタルは体内にある栄養をエネルギーに変換している。


更に、エネルギーのコントロールの為に転身と、封身をし続けた…。


この事を考えると簡単な理屈です。


そう…。彼は、10歳の頃から必要最低限の栄養しか体内に残っていなかったのです。


本当に、生きて行く上で必要最低限の…。


その為、彼の肉体は小学4年生の頃から殆ど成長してません。


では…何故、今になって急に成長し始めたのか?


それは、天野晶の存在が総一郎の中で自身でも、気付かない内に大きくなったのが始まりでした。


クリムゾン・ヘッドとの戦いの時や自身の悪との戦い…。


そしてサンダーリキッドの戦いでエボリューションした事で自身の栄養をそれ程、使う事無く怪人を倒した事で、漸く…。


実に7年ぶりに栄養が、身体に行き届いた。


これにより今まで押さえ付けられて居た成長速度が一気に加速した。


それが、今回の成長痛に繋がる訳です。


しかし…。そんな事など気付く筈も無く総一郎は不安に押し潰されそうになりながらも…。


持ち前の強靭な精神力で不安を押さえ付けて…。


表面上…冷静を、装っているのが、実状だったりする。


長々と説明文…失礼しました。


此処から晶視点に変わります。


私は視線を感じて振り向くと、河野先輩と一之瀬さんがジト目で見ていて私は少し驚きつつも表情には出さずに言った。


『何ですか?』


すると一之瀬さんは明らかに不機嫌そうな表情で言った。


深雪

『一体、何がどうなってるの?』


その問いに、私は思わず毒気を込めて言った。


『何故…。貴女に、説明する必要があるの?貴女は井上君の何?』


此処から深雪視点に変わります。


天野さんの言葉に思わず私は黙り込んで、しまった…。


『それに…一之瀬さん…どうして井上君の襟首を掴んで、引きずったりしたの?』


その問いに私は答える事が出来なかった。


『一之瀬さんは井上君が無理矢理私に抱き着いたと思ったの?』


深雪

『うっ…それは…』


言葉に、詰まる私に天野さんは平然と爆弾発言をした。


『もし…仮にそうだったとしても私は別段気にしないわ…。だって…私は井上君の事が、好きだもの…』


その言葉に、山村さんと田中君が思わずジュースの入ったグラスを地面に落とした。


ガッシャ−ン!


と音がしてグラスが割れる音に漸く思考停止から復活した私は唖然として天野さんを見た。


天野さんは恥ずかしそうに…でも、確固たる意志を瞳に写して言った。


隆司

『ちょ!ちょっと待て!マジか!それは、本気と書いてマジと読むのか!天野さん!』


何だか、やたらとハイテンションな田中君に驚きながらも、ハシャギたくなる気持ちが凄く分かるけど…。


田中君の言葉に山村さんは、しみじみと言った。


『いやはや…青春ですねぇ…。私も何だか、急に家内に会いたくなりましたよ…』


っと、遠い瞳をして言い河野先輩は珍しく無言。


何だか天野さん…総一郎を好きだと宣言してから更に、可愛くなった気がする。


無表情なのは余り変わらないけど何て言うか…。


そう!近寄りがたい雰囲気が消えている。


総一郎

『お〜い!皆〜何してるんだ?』


此処から総一郎視点に、変わります。


破けてしまったスーツを係りの人に手渡し変わりのスーツに、着替え僕は皆の所に向かった。


相変わらず擦れ違う人にチラチラ見られて居るが気にせず皆の元へ。


総一郎

『田中?山村さん?何故貴方達はニヤニヤしてるんですか?それと一之瀬さん?河野先輩?何故、無言で、睨んでるんですか?』


正直、かなり怖いんですが(汗)


『何でも無いわ…ねぇ…皆?』


何故、天野さんの言葉にわざとらしく顔を背けるんですか?


総一郎

『僕が居ない間に、何かあったんですか?』


僕の問いに、天野さんは珍しく微笑んだまま…。


『別に何も無かったわ…ねぇ?皆?』


だから…。どうして皆、わざとらしく目を逸らすかな〜。


何かあったのがモロバレですよ(笑)


まあ…良いか〜。別に、気にする事でも無いな…そう考え僕は空腹を満たすべくパーティー料理を食べ始める。


何だか食べる毎に体から力が湧き出て来る。


本当…どうなってるんだろね?僕の身体は…。


後で病院に検査しに行くとしよう…。


そんな事を考えて居るとふと優しい気配に、横を向くと何時の間にか…。


天野さんが真横に立って僕を見ていた。


何時もと様子が変だな?


総一郎

『どうかしたんですか?天野さん?』


僕の問いに、天野さんは見惚れる様な笑顔を向けて言った。


『動かないで…』


天野さんは一枚ナプキンを、取り僕の右頬を拭き出した。


いや…あの…これは一体どうなってるの?


固まる僕と僕の口を拭いて、誰もが見惚れる程の笑顔で言葉を紡ぐ。


『ふふふ…急いで食べなくても料理は逃げないわよ?井上君…』


余りの可愛さにクラリとしそうになった。


総一郎

『あ〜。その…ありがとう…天野さん…』


『どう致しまして…』


未だに笑ったままの天野さん…。


僕が、気絶している時に何か嬉しい事でも、あったんだろうか?


誰が見ても上機嫌の天野さんに首を傾げる。


好きな人と何かあったのかな?


ズキズキ!痛む胸を抑え僕は、何時も以上に作り笑いをする。


全く…どうしようも無いな…嫉妬なんてしたくないのに…。


『どうかしたの?』


総一郎

『何でもありませんよ…天野さん…僕、ちょっと疲れたんで、先に部屋で休んでます…』


『あの…井上君…』


呼び止める天野さんに、振り返りたい衝動に駆られたが、無理矢理、その思いを力ずくで捩伏せて僕は自分の部屋へ向かう事にした。


既に一之瀬さんが個別で部屋を借りてくれているので問題無い。


ズキズキと嫉妬によって痛む胸を無視して…。


天野さんの好きな人ってどんな人なんだろう…。


きっと…俺なんかよりも顔が良くて、背が高くて頭が良くて性格だって、良いんだろうな…。


その人と一度、会ってみたい気もする…。


あの天野さんが、好きになった人だ…。


きっと…友達になれると思うから…。


でも、天野さんが言ってた様な人物…。青嵐学院高校に居たかな…。


結構、規模が大きいからなぁ〜。


天野さんの、口ぶりから推測すると年上ぽいな…まあ…その内、会えるだろ…。


この時の、俺は天野さんの好きな人が自分だとは全く気付いちゃ居なかったんだ…。


居もしない人物に、嫉妬しているなんて、端から見れば何と滑稽な姿なのだろうか?


まあ…。今となっては、良い思い出だ(苦笑)


此処から晶視点に変わります。


呼び止めた私に井上君は振り向く事さえせずに、右手を上に上げプラプラさせて歩き去る。


遠ざかって行く井上君に私は悲しくなった。


井上君は近付こうとすると、ああやって線を引き遠ざかる。


井上君は例えるなら触れる事の出来ない夜の闇に浮かぶ月の様なものだ。


何故、何時も一人なのかは、さっき出会った変な男性が、知ってるのかも知れない。


私に彼と同じ力をソウルクリスタルを渡した…。あの人なら…。


井上君と、同じ瞳をしたあの人なら…。


ふと視線を感じて振り向くと田中君と山村さん、香澄さんはニヤニヤ笑いながら…。


一之瀬さんと河野先輩はジト目で…。


更には会場に居た殆どの人の好奇の視線に曝され私は溜息を吐いた。


『ねぇ…天野さん…本当に…その…井上君の事が好きなの?』


河野先輩の言葉に、私は無言で頷く。


それを、見た河野先輩が言った。


『なら…私と恋敵ライバルね…』


その言葉に田中君が呆然としながら言った。


隆司

『マジで…ありえねぇ…河野先輩、何時もの悪ふざけじゃ…』


っと言いかけ河野先輩の表情に何かを感じ取ったのか黙り込んだ。


真剣な表情を、している河野先輩に私は微かに、微笑み伝える。


『ええ…お互い頑張りましょう』


微笑みあう私と河野先輩を見て一之瀬さんは複雑そうな表情をして居た。


『う〜ん…。モテモテですね…羨ましい〜』


山村さんはニコニコ笑いながら言っている。


隆司

『何で井上ばっかりモテるんだ…』


っと田中君は呟きイジケている。


香澄さんは、無言で何か考え込んで居る。


此処から深雪視点に変わります。


天野さんだけじゃなく、河野先輩まで、総一郎が好きなの?


河野先輩は、目茶苦茶、真剣な表情で天野さんを見ている。


天野さんは、天野さんで何だか余裕の表情だ。


あの総一郎が…。二人の美少女(客観的に見てもアイドル級)に、好意を持たれている。


普通なら幼なじみとして総一郎を、からかいつつ応援するべきなのに…。


あの時…。天野さんと、総一郎のやり取りを見た時、寂しかった…。


ハハハ…。っと、力無く笑いながら一人取り残された様な感覚に、陥って気が滅入ってしまった。


私は、そんな考えを振り払って言った。


深雪

『皆…これから、どうする?』


『私は、ちょっと所用がありまして失礼します…お嬢様方…』


そう言って、山村さんはパーティー会場から出て行く。


香澄

『私はジムに言って何時もの日課である自己鍛練をして来ます…』


香澄さんは、そう言うとジム施設へ。


『私は色々、見て回る事にするわ…こんな機会は滅多に無いし…』


そう言って、河野先輩は歩き去った。


『私は少し疲れたから、先に休むわ…』


天野さんは…それだけ、言うと振り返りもせずに歩き去る。


隆司

『なあ…。一之瀬さん…何か色々、施設があるみたいだし一緒に回らないか?』


田中君の誘いに私は一瞬考え込んだものの…たまには良いか…。


深雪

『そうね…たまには良いかも…行きましょうか?田中君…』


此処から隆司視点に変わります。


俺は内心、ガッツポーズを、して冷静さを装って一之瀬さんと一緒に施設を回る事にした。


この事が、きっかけで、俺と一之瀬さんは、たまに一緒に帰ったり二人で遊びに行ったりする事になるなんて夢にも思わなかったが…。


此処から晶視点に変わります。


私は自分の部屋へと足を進めて居ると…。


???

『貴女が天野晶さんね…ちょっと、貴女に話しがあるの…お時間は、あるかしら?』


後ろから誰かに声を掛けられ振り向くと、さっき井上君と話しをしていた綺麗な女の人が、人懐っこい笑みを浮かべて立っていた。


この人との出会いが私の人生に大きな変化を与える事に気付かずに…。



次回予告!部屋へ戻ろうとする晶に、亜依は呼び止めある話をする事に…勘違いから、更に晶から遠ざかろうとする総一郎に晶の思いは届くのか?これ以上、書いたらネタバレになりそうなので、書きません…。それでは失礼します!

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