表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/68

第21話・夏休み編その11。

中々、更新出来なくて、すみません。物語の都合上、もう少し夏休み編を続けます。申し訳ありませんが、もう少しお付き合い下さい!

会場には煌びやかな装飾があり、まるで映画の中の様だな〜。


周りを見渡し天野さん達を探しつつ、そんな事を考えていた。


深雪

『あっ!山村さ〜ん』


っと、一之瀬さんの声が聞こえて、声のした方へ顔を向けると綺麗にドレスアップした女性陣が!


隆司

『おお…。見てみろよ!井上!』


田中の言葉に僕は苦笑いしながらも、天野さんを見つめる。


ああ…。やっぱり綺麗だな…。


って!だから!ジロジロ見たらダメだろ!


しっかりしろ!井上総一郎!


ペシペシと、頬を叩いて気合いを入れたが、やっぱり見惚れてしまう。


天野さんを好きだと自覚してから何で普通に接する事が、出来ないんだろう?


軽く自己嫌悪に陥りかけて…。


深雪

『ちょっと!総一郎ぉ!聞いてるの!』


っと、一之瀬さんの声に我に返り…。


総一郎

『えっ?』


深雪

『えっ?じゃないわよ!アンタ!人の話し聞きなさいよね!』


プリプリ怒る一之瀬さんに、苦笑いしながら謝罪した。


総一郎

『ごめん…。僕はお腹が空いたんで食料を調達…ってあれ?皆は?』


天野さんと、一之瀬さん以外、居ないし!


深雪

『アンタねぇ…まあ良いわ!ほら!総一郎!ちゃんと天野さんをエスコートしなさいよ?』


総一郎

『え?エスコート!ちょちょっと!どういう事ですか!一之瀬さん!説明を求める!』


そう言うと一之瀬さんはニヤリ!っと笑うと僕に死刑宣告を告げた。


深雪

『総一郎…アンタは天野さんと一緒に居るのよ?因みに拒否は認めないしアンタがボンヤリしてるのが悪い!さあ!さっさと行ってこい!』


そう言われても…。無理だって!


『私じゃ駄目?』


天野さんは無表情を少しだけ、哀しげにしたので心がギシギシ痛む。


総一郎

『いや!そんな事は無いよ?あ〜。それじゃあ…宜しくお願いします…。天野さん…』


此処から晶視点に変わります。


井上君は頭を左手で掻きながら、そう言った。


深雪

『じゃあね!あっ!そうそう…。天野さん…ちょっと良い?』


『何?』


井上君に聞こえ無い様に小声で一之瀬さんがニヤニヤ笑って言った。


深雪

『天野さん…。総一郎の事、好き?』


えっ?今、何て?


驚いて固まる私を、見て一之瀬さんが、ニヤリと笑った。


深雪

『な・る・ほ・ど・ねぇ天野さんは総一郎の事が好きなのねぇ(笑)』


っ!しまった!一之瀬さんにカマを掛けられた…


赤面する私を見て一之瀬さんは驚いた顔をした。


深雪

『えっ?ちょ!ちょっと天野さん?ごっ!ごめん総一郎!ちょっとだけ、天野さんを借りるわね!ウロウロしないで近くに居なさいよ!』


総一郎

『分かりました』


井上君の言葉を、聞いて一之瀬さんは私の手を、引いて会場のテラスへ。


『あの一之瀬さん?私に何か?』


恐る恐る一之瀬さんに、聞くと一之瀬さんは真剣な顔をして言った。


深雪

『ねぇ…天野さん…貴女本気で総一郎の事、好きなの?』


その言葉に、私は驚いて一之瀬さんを見る。


一之瀬さんは引き吊った様な笑顔を浮かべて言った。


深雪

『何で総一郎な訳?天野さんなら、総一郎なんかよりも…』


此処から深雪視点に変わります。


良い男が居るわよ。っと言う前に…。


『貴女に、井上君の何が分かるの?』


っと、言われ私は驚いて天野さんを見る。


『貴女に、井上君の何が分かるって言うの?井上君の事を、何も知らない癖に…』


ムカ!ちょっと気分悪いなぁ〜。


深雪

『天野さんより、ずっと知ってるわよ?天野さんこそ…』


総一郎の事を知らない癖に!と言おうとした。


『確かに貴女は、きっと私より井上君の事を知っているのかも知れない…でも、やっぱり貴女は、井上君の事を分かっていない…』


『ううん。違う…。貴女はわかって無いんじゃない…分かろうとさえしてない…そんな貴女がどうして井上君を馬鹿にした様な発言をするの?』


『はっきり言って、不愉快だわ…』


天野さんは静かな口調で言い私は唖然とした。


怒りでも侮蔑でも無い。


天野さんの瞳は悲しみがあった。


何でそんなに悲しそうな瞳をするのよ?


天野さんは静かに言葉を続ける。


『貴女が井上君の事を、どう思ってるのか?は、分からないし知りたくも無い…』


『ただ、これだけは覚えておいて…。貴女の不用意な言葉が井上君を傷付けてしまう事を…』


『それと、もう一つ…。さっきの続きだけど私は井上君の事…』


此処から晶視点に変わります。


一旦、言葉を切り私は、高鳴る胸に、手を当てて深呼吸し沸き上がる衝動のままに私は、この言葉を紡いだ。


『好きよ…。友達としてじゃなくて一人の異性として…』


その言葉を聞いた瞬間、一之瀬さんは唖然とした表情。


この言葉は私から一之瀬さん…貴女に向けた宣戦布告。


そして…。自らの想いの再確認も兼ねた言葉だとは、分からないかも知れない…。


でも…。言葉は人に自分の気持ちを伝える為に、あるから…。


だから、私は一之瀬さんに、この気持ちを伝えるべきだと思った。


深雪

『ねぇ…。天野さんは、総一郎の何処に惹かれたの?』


『さあ…。何処かしら?井上君を、待たせたく無いから又、後で…』


そう言って私はドレスの裾を翻して会場へと足を向けた。


此処から深雪視点に変わります。


颯爽と姿を消した天野さんに私は暫し茫然としてしまった。


総一郎を語る時の、天野さんは女の私から見てもハッ!っとさせる程に、綺麗で可愛かった。


本気で総一郎の事が好きなのね…。


あれ?何か胸の奥がモヤモヤする…。


なっ!何でこんなにモヤモヤするのよ…。


私は、別に総一郎なんか何とも思ってないし!


ただ、総一郎を好きだと言った天野さんが可哀想だと思っただけよ!


総一郎なんか頭は悪いし身長低いし運動音痴で、加えてカナズチだし!


それに引き換え天野さんは成績優秀・運動神経も抜群で綺麗で、可愛いしおまけにスタイルも良いし性格だって良い。


正直、総一郎なんかと、じゃあ釣り合わないんだから!


どうせ付き合ったて直ぐ天野さんが愛想尽かして別れるに決まってる。


『好きよ…。友達としてじゃなくて一人の異性として…』


天野さんの、言葉を思いだして天野さんは冗談や嘘を言わない子だから、天野さんは本気で総一郎の事が、好きなんだと、分かる一言ね…。


総一郎の何処を好きになったんじゃなくて総一郎自身を、好きになったのかも知れない。


私が総一郎なんかと言った時の天野さんは静かに怒ってたし…。


あんなに怒った天野さんを見たのは初めて…。


好きな人を貶されたり、馬鹿に、されたりすれば誰だって怒るわよね。


後でちゃんと天野さんに謝らないと!


私は、そう決心して山村さん達を探しに行く事にした。


此処から総一郎視点に、変わります。


う〜ん。相変わらず視線を感じるんだけど…。


やっぱり似合って無いのかな〜。


それにしても遅いな…。何、話してるんだろう?


一之瀬さんと天野さん…パーティー料理を、あらかた、食べ終わったんだけど…。


しかし…。流石は、高級ホテルの料理。


恐ろしい位、美味かったな…。


徹底した食材選びに卓越した料理技術。


まさに食の芸術と言った感じだ。


高級ホテルの名に、恥じない素晴らしい料理だ。ジュースにしても市販のジュースなんて目じゃない程、美味いし…。


オレンジジュースのグラスを片手に壁に凭れ掛かって居ると…。


『井上君…』


天野さんの声が聞こえて顔を向けると天野さんが走ってこちらに向かって来るのが見えた。


天野さんと、擦れ違った男性が、全員振り返って天野さんを見てるし…。


『待たせてしまって…。ごめんなさい…』


頭を下げる天野さんに、笑い掛けながら…。


総一郎

『別に、そんなに待ってませんよ…それより此処の料理、食べてみて…』


此処から晶視点に変わります。


井上君に勧められた料理を、一口食べたけど…。


無言の私に、井上君が、首を傾げる。


総一郎

『あれ?美味しくない?何か、微妙な顔してるけど…』


っと意外そうな顔を見せた。


正直、これなら井上君のオムライスの方が数倍は美味しいと思う。


『まあ…普通かしら…』


っと、無難な返答をしておいた。


総一郎

『う〜ん。美味しいと、思うんだけどなぁ〜』


っと、言いつつ井上君はオレンジジュースを一気に飲み干した。


その姿が様になっていてドキドキする。


井上君は黒いスーツ姿で普段とは違ってキッチリとしたこの人を、見ればクラスの女子達も惚れそうだわ…。


何て言うか…そう…ワイルドな感じで素敵だと、思っているのは、きっと私だけじゃないと思う。


今もチラチラと井上君を見て頬を赤く染めている女の人が沢山居る。


それに私に対する羨望と妬みの視線が痛い…。


井上君は、そんな視線に全く気付いて居ないからある意味、尊敬してしまう…。


苦笑いする私を見て井上君は首を傾げて疑問符を頭に浮かべている。


此処から総一郎視点に、変わります。


『そう言えば、さっき…誰かと、話して居たけど知り合い?』


天野さんは、他の人から見ると無表情のままだけど、何故か怒った様な顔をして詰問の視線を僕に向ける。


僕は、天野さんの視線に焦り視線を逸らしながら言った。


総一郎

『えっ?ええ…ちょっとした知り合いなんです。まあ…それ程、親しい訳じゃないんですが…』


まさか、ゼクロス関係者だとは口が裂けても言えないしなぁ(汗)


何故か益々、不機嫌そうな表情、相変わらず他人から見ると無表情のまま無言で、僕を見ると言うより既に睨んで居る様な気がするのは、きっと…きっと気の所為ですよね天野さん…。


あはははは。っと何時も以上に作り笑いをしつつ笑って誤魔化さざる終えない。


この人にだけは心配されたく無いしね…。


そんな事よりも僕は天野さんに、言わなきゃならない事があるのを思いだした。


総一郎

『天野さん…貴女に話があるんで、ちょっと場所を変えませんか?』


此処から晶視点に変わります。


井上君が、真っ直ぐ私の目を真剣な顔をして見て言ったのでドキッ!っとして何とか頷いた。


総一郎

『良かった…じゃあ行きましょうか…それでは、お嬢さん…。私の手を、お取り下さい』


っと、ニッコリと笑って井上君が手を出した。


私は笑い…。


『はい…』


っと、呟き井上君の手を取ると…。


ビクン!


っと、体を震わし驚いた表情を見せた。


此処から総一郎視点に、変わります。


冗談で、言ったのに天野さんは微かに、頬を赤く染めて微笑んで、躊躇う事さえせずに僕と手を、繋いだ。


僕は反射的に手を離そうとしたが天野さんの手が暖かくて…。


何より何時もの無表情では無く微かに、頬を赤く染め微笑む天野さんを、見て…。


僕は…壊れ物を扱う様に優しく彼女の手を、握り返していた…。


本当なら今、直ぐにでも手を離すべきなんだ…。


俺みたいな…血で汚れた人殺しが気安く天野さんに触れて良い筈が無い。


でも…それでも俺は天野さんの手を振り払えないんだ…。


神様…。どうか…どうか今だけは許して下さい…罪深い人殺しの俺が…。愛する人の手を、握る事を…。


此処から晶視点に変わります。


井上君は一瞬だけ悲しそうな顔をしたのを見逃さなかったので一瞬だけ、井上君の手を調子に乗って握った事に後悔した。


でも…。井上君は優しく私の手を、包み込む様に握り返して来てくれた。


ただ…ただ、それだけの事なのに泣きそうになる位に幸せだった。


何度か繋いだけど井上君の手は、ゴツゴツしてて豆だらけの手なのに不思議と嫌悪感も感じず寧ろ安心感さえ感じる。


きっと井上君だからこそ安心感を感じるんだと、私は思う。


私達は、手を繋いだままパーティー会場を抜け出した。


井上君の背中を見つめながら私は溢れだしそうな感情を、持て余し途方に暮れる。


中庭に出て人の居ないのを、確認した井上君は、そっと手を離し私を見つめる。


此処から総一郎視点に、変わります。


僕は深呼吸を何度か繰り返し言葉を紡ぐ。


総一郎

『何であの時、逃げなかったんだよ?もし…もしあの時…』


総一郎

『あの力が発動して無かったら死んでたかも知れないんだぞ!何を考えてるんだよ!』


僕は最初は冷静な言葉を紡いでいたが、途中からあの時、エボリューション出来なかったら…。


天野さんは確実に死んでいた…。


そんな考えが、頭を過り僕は冷静さを失い声を、荒げる。


『確かに…確かに…そうかも知れない…だけど、私は…』


天野さんが、悲しそうな瞳をして居た事に、気付かず僕は天野さんの言葉を遮る様に僕は苛立って叫ぶ。


総一郎

『俺は死んだって構わない!だけど…』


天野さんは死なせたくないと言う前に天野さんは一瞬表情が、青ざめ怒りの表情を見せた途端!


パンッ!


っと言う小気味良い音を響かせ天野さんは、僕の頬に、ビンタを食らわした。


総一郎

『っ!何す…』


んだよ!っと言う言葉を思わず飲み込んだ。


天野さんが怒りの表情のまま、静かに涙を流して居たから…。


総一郎

『天野さん…』


ジンジン痛む頬を抑えながら掛ける言葉が見つからず口籠もる。


何故、天野さんが怒って居るのか?分からない…ただ、分かって居る事は天野さんが本気で怒って居る事だけだ…。


何故、怒って居るのか?っと言おうとした瞬間、全身に激痛が走った。


余りの苦痛に俺は思わずしゃがみ込む。


此処から晶視点に変わります。


総一郎

『ぐっ…』


井上君が、呻き声を上げ自身の身体を、抱き絞めうずくまる。


脂汗を流して顔面蒼白な井上君を見て焦った。


『井上君!大丈夫!』


総一郎

『ぐっ!いっいや…大…丈夫だ…よ…うぐ!ぐあああ!』


此処から、総一郎視点に変わります。


ぐっ!動く度に骨がギシギシいってやがる…。


大概の痛みなら、耐えられる俺が思わず悲鳴を、上げる程、キツイ。


一体、俺の身体に何が、起こった!


それに、さっき食べ物を結構食べた筈なのにお腹が空いてきてる…。


『井上君!大丈夫!井上君!』


天野さんが真っ青な顔をして言ってくるが、正直大丈夫じゃない…。


何とか大丈夫だと言おうとした瞬間、俺は急激に襲い掛かって来た睡魔に意識を保てず地面に崩れ落ちた。


此処から昌視点に変わります。


まるでスローモーションを、見る様に井上君が、ゆっくりと地面に倒れて行くのを見て私は慌てて井上君の身体を抱き留めた。


『井上君!井上君!しっかりして!井上君!目を覚まして!』


私は必死に井上君を支えながら声を掛ける。


私は…。私は…何て無力なのだろう…。


こんな時、何時も何時も痛感する。井上君に危ない所を、助けられて居るのに私は何も出来ない!


力が欲しい!井上君を、助ける力が欲しい!


???

『力が欲しい?』


えっ?何?この声?


???

『力が欲しいの?』


誰?誰なの!


???

『私の事なんか今はどうでも、良いでしょ?もう一度だけ聞くわよ…力が欲しい?』


欲しい!力が欲しい!


???

『なら…貴女は何の為に力を欲するの?その力で何を望むの?』


私は井上君を助けたい!


井上君が私を助けてくれた様に私も井上君を助けたい!


だから!だから!


???

『そう…。でも、何かを得るには何かを犠牲に、しなくては、ならない…貴女にその覚悟はある?自分の全てを命を捨てる覚悟と命を奪う覚悟が、貴女にある?』


どう言う意味?


???

『貴女には2つの選択肢があるわ…。一つは彼を忘れて、平凡で、穏やかな道を歩くという選択肢…』


???

『もう一つは彼と、共に苦難の道を歩み彼と共に戦う道を歩くという選択肢…』


???

『この2つの選択肢が、あるわ…私は無理強いはしないわ…。貴女自身が決めなさい…』


私は…私は井上君を忘れるなんて出来ない!


例え、自分の全てを命を捨て去る事になっても…例え命を奪う事になっても…私は後悔しない。


もう…目の前で大好きな人が傷付き倒れて行くのを見るのは嫌!


???

『その選択に後悔は無いのね?嫌だと、思ってもこの運命から逃げる事は出来なくなるわ…。それでも貴女は戦う事を選ぶのね?』


ええ!私は井上君と一緒に居たい…。


???

『なら…私の持てる力…その全てを貴女にあげるわ…』


シオン

『受け取りなさい!天野晶…。私の…シオンの血を引きし者よ!』


その瞬間、私の血が細胞が入れ代わる様な喜びと興奮に襲われ思考や視界が広がった。


身体が、凄く軽くなって何だか空さえ飛べそうな気がする。


ふと視線を感じてそちらを向くと見知らぬ30歳位の男性が歩いてくる。


此処から、シオン視点に変わります。


強い力を…エネルギーを感じた為、私はそのエネルギーを放つ存在を確認しに来たのだが…。


っ!あの銀色の髪は…。何と言う事だ…。


こんな奇跡が起こるとは予想だにしなかった。


まさか…。総一郎君以外にも『適格者』がこんなに近くに居たとは!


私は内心、驚きつつも、だから私の持つソウル・クリスタルが、光を放ち続けて居たのか…。


本来の持ち主である彼女と共鳴して居る様だね。


シオン

『どうやら…。君が私の後継者の様だね』


その少女は、総一郎君を庇う様にしながら、鋭い眼差しを向けて言った。


『貴方は誰?それに後継者とは、どう言う意味?もし、この人に、危害を加えるつもりなら…』


的外れな言葉に、思わず笑ってしまった。


そんな私を見て少女は、怒りを向ける。


『っ!何が可笑しいの!私は…』


ああ…。この子は総一郎君の事が本当に大事なんだなと理解し私は、胸を熱くさせた。


シオン

『ふふふ…私は総一郎君の味方だよ…それよりも君に渡したい物があるんだよ…』


『渡したい物?』


怪訝そうな顔をして問う少女に私は笑いながら、言葉を続ける。


シオン

『君に総一郎君と同じ力を…ソウルクリスタルを譲るよ…』


シオン

『この力があれば総一郎君を手助け出来るけど…総一郎君は必ず反対するだろう…』


シオン

『だから…しっかり総一郎君と話し合いなさい…初めて会った君に頼むのも可笑しいかも知れないけど、総一郎君を支えてあげて欲しいんだ…』


シオン

『この子は強い…。でもその強さは危ういんだ…この子が、自分と他の人の命、どちらか…。一方確実に失わなければ助からないと判断したら…。この子は、何の躊躇いも迷いも無く笑って自分を犠牲にしてしまう…』


その言葉に、少女が一瞬驚愕した表情を見せたが直ぐに彼女は納得した様な表情を見せた。


此処から晶視点に変わります。


私は何故か、この男の人の言葉に納得した。


それに…。この男の人の瞳は井上君が時々見せる凄く優しくて悲しい瞳と似ていた。


もしかしたら…この人は井上君と同じ様に戦って居るのかも知れない。


『貴方…一体何者なの?井上君の事を、知ってるの?』


すると、その男の人は、優しい眼差しを向けつつ言った。


シオン

『ああ…知って居るともそら!』


突然、投げ付けられた何かを胸で受け止め私は、何するの!っと言う前に突然、その男の人が目の前から消えた。


一体何者なの?あの人…それにしても…コレって井上君の持ってる水晶と似てる?


紫色の水晶である以外に井上君が変身する時に、左手に嵌める黒い水晶の物と同じ物よね…。


さっき…あの人は、私を自分の後継者だと言ってたけど一体?


それにさっきの不思議な声の主も気になる。


シオンって言ってたけど何処かで聞いた様な…。


私は、そんな事を考えて居ると…。


深雪

『ちょ!ちょっと!天野さん!総一郎!なっ何で二人が、抱き合ってるのよぉぉぉぉ!』


辺りに響く一之瀬さんの声に一瞬、驚いたものの私は井上君を抱き留めたまま言うべき言葉が出ず頭の何処かで私の人生の中で、BEST3に入る程に焦ってると現実逃避してしまった。



次回予告!シオンの言う『適格者』とは!そして抱き合ってる所を深雪に見られてしまった総一郎と晶!交錯する!思いの行く末は…。これ以上、書いたらネタバレしそうなので次回をお楽しみにしてくれると、嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ