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第21話・夏休み編その10。

中々、更新出来なくて、すみません。楽しみして頂いてる方が居るかは、分かりませんがお待たせ致しました!

何か、そう…。穏やかな気配を感じて僕は、目を覚ました。


っと言っても低血圧の為多少、ボンヤリと微睡みの中でポケットから携帯を取り出し時刻を見ると午後4時を、少し過ぎて居る。


未だ、完全に寝呆け眼のまま辺りを、見渡し左を見た途端、僕は一瞬で、目を覚ました。


何とか叫ぶ事はしなかったが、寧ろ叫ばなかった事を誉めて欲しい。


いや…。何で天野さんが横で寝てるんだ?


ってか!誰でも良いから状況を説明してくれ!


一体全体何がどうなって居るんだ?


今の僕の顔は相当、間抜けな顔だ。


開いた口が塞がらないというのを、実践する日が来るとは夢にも思わなかったぞ?


混乱している僕を余所に天野さんは眠っている。


夕日に、照らされ銀色の髪がキラキラ輝き天使みたいな寝顔をして居る。


綺麗だと純粋に思い僕は少しの間、天野さんの、寝顔を飽きる事無く見つめ続けて居た。


白いワンピースタイプの水着が天野さんに誂えた様に似合って居た。


っとイカンイカン。


余りジロジロ見るのは、駄目だな…。


えっ?何で、そう思ったのかって?


一々、聞かないでくれませんか?


男性諸君なら、分かると思います。


況してや好きな人が真横で、水着姿で寝てるんですよ?


僕も男なんです。っと、だけ言っときましょう。


取り敢えず起こさないといけませんが…。


幸せそうに寝ている天野さんを起こすのは可哀想ですね…。


でも、起こさないと風邪を引くかも知れませんし仕方ない…。


総一郎

『天野さん…。起きて下さい!天野さん!』


僕は天野さんに声を掛けた。


本当は、肩でも揺すった方が良いんですが余り、人に、触りたく無いのが本音だ。


僕の手は血で汚れて居るからね…。


こんなドス黒い手で天野さんに触ったら天野さんが汚れてしまう様な気がする。


いや…。天野さんに限った事じゃない。


僕は…。


『んっ…』


っと、言う呻き声が聞こえて思考を、中断し天野さんを見る。


天野さんは、ボンヤリとした無防備な顔をして、僕を見つめてくる。


自然と優しく暖かな感情が、胸に広がり何時もの作り笑いでは無く本当の笑顔を浮かべて…。


総一郎

『おはようございます』


っとおどけた様に言うと天野さんはビクリ!っと体を震わせて、ガバリ!と、素早く起き上がると何時もの無表情では無く焦った様な表情をして、無言で僕から距離を開け顔を俯けた。


そんな態度に益々笑いが止まらなくなった。


少しの間、笑い僕は何故天野さんが横に寝ているのか気になったが聞くのは、止めた方が良さそうだと思い…。


総一郎

『取り敢えず、皆の所に行きましょう!心配させているかも、知れませんから…』


『そうね…』


っとだけ言うと何時もの様に無表情でド〇クエの様に付いて来る。


僕も天野さんも余り話す方じゃないから、周りの喧騒位しか聞こえて来ない。


警察のパトカーが何台も止まって居るが既に奴らは僕が倒したし爆発して残骸すら、残っていないから証拠も無い。


調べたって、何も無いし言った所で信じる訳も、無い。


『井上君…。警察の人がこっちを見てるわ…』


微かに、不安そうな顔をする天野さんに僕は何時もの様に、作り笑いを、しつつ…。


総一郎

『大丈夫ですよ…。天野さん…』


っとだけ言い堂々と歩いていると…。


警察官

『君達…ちょっと聞きたい事があるんだけど?』


っと、警察の人が僕達を引き止めた。


総一郎

『何ですか?』


っと白々しく聞くと…。


警察官

『いや…。此処ら辺で、爆発が、起こったと通報があってね…』


っと言いながら不審そうな顔をして言うので僕は平然と言った。


総一郎

『僕達は、別に不審者は見てませんし、爆発したなら、普通は気付きますけど何もありませんでしたよ?』


それだけ言うと警察の人の横を、通り過ぎようとして…。


警察官

『ちょっと待ってくれるかな?』


っと言って引き止めようとしたので…。


総一郎

『もしかしてアンタ…。俺の事を疑ってます?』


そう言って睨んでやる。


警察官

『いや…。そう言う訳じゃないんだ…』


総一郎

『だったら…。もう良いだろ?こっちはアンタと違って忙しいんだよ…』


総一郎

『それと余りジロジロとこの人の事を見ないで、くれませんか?』


そう言って僕は天野さんを隠しつつ…。


総一郎

『目が、いやらしいんだよ…』


っと止めを刺してやったら、口をパクパクして、居たので僕は、無視してスタスタと歩く。


『良いの?放っておいても?』


天野さんの声に振り向かずに…。


総一郎

『まあ…。良いんじゃないんですか?別に、何かした訳じゃ無いですし…早く行かないと、一之瀬さん達に怒られそうですし…』


そう言いつつ、ふと携帯に電話すれば良いじゃんと思い携帯の、メモリーから田中の番号を検索し電話を掛ける。


プルプルプル!っと電話の呼び出し音が鳴る。


プツン!っと音が途切れた。


隆司

『もしもし!お前、今まで、何してたんだ?俺達滅茶苦茶、探してたんだぜ?天野さん迄、居なくなるしさ!』


田中の言葉に内心、驚いたが…。


総一郎

『ああ…。ちょっと寝てたんだよ。天野さんは今僕と一緒に居ますよ…』


総一郎

『田中は今、何処に居るんですか?』


隆司

『今、一之瀬さん達と、一緒に居るんだけど近くに白い看板が…あっ!』


何だ?っと思った時に…


隆司

『お〜い!天野さ〜ん!井上!』


っと田中の声が聞こえて振り向くと皆が手を振ってる。


僕は、何時もの様に作り笑いをしながら…。


総一郎

『よう!皆、揃ってますね』


此処から深雪視点に変わります。


総一郎は何時もの様に、ヘラヘラと笑い天野さんは、無表情のままだ。


深雪

『ちょっと!アンタさ…自分勝手な行動しないでよね!』


総一郎

『すみません…』


っと言ってるけど全然、悪いって思ってないみたいね!


私はさっきまで感じてた総一郎に対しての恐怖が消え怒りが沸き上がってくる。


人が心配してたのにヘラヘラ笑って!


深雪

『総一郎!アンタ!全然反省して無いじゃない!ヘラヘラ笑ってんじゃないわよ!』


私の怒りなんて何処吹く風の様に平然としている総一郎に益々、腹が立って来た!


『まあまあ…。深雪お嬢様…。井上様も天野様も無事で良かったじゃありませんか?』


っと山村さんが、にこやかに笑いながら言う。


深雪

『まあ…。良いわ!それより結局、遊べなかったし今日は近くにあるホテルに、泊まりましょう。皆も…それで、良いわよね!』


此処から晶視点に変わります。


っと一之瀬さんが拒否は認めない様な声音で言った。


総一郎

『泊まるのは、良いけど部屋とか空いてるんですか?それに…』


井上君が何か言い掛け…


深雪

『大丈夫よ!費用は、私持ちで構わないし既に、手配しといたから今更、泊まらないと、言っても無駄よ?』


一之瀬さんは笑いながら言い井上君は呆れた様に言った。


総一郎

『もしかして最初から…このつもりだったんですか?一之瀬さん…』


その言葉に一之瀬さんはピースサインを、出しながら…。


深雪

『勿論よ!』


っと笑顔を浮かべて言い井上君は溜息を洩らして言った。


総一郎

『拒否権は?』


深雪

『無いわよ?』


っと一之瀬さんは即答し井上君はガックリと肩を落とした。


何故、井上君は肩を落としたのだろう?


不思議に、思い井上君を見る。


視線に気付いた井上君が振り向いたのだけど何故か苦虫を噛み潰した顔をしている。


私は首を傾げて問う。


『井上君…どうして…。そんな顔をしているの?何かあったの?』


そう言うと井上君は一瞬焦った表情をしたけど…


総一郎

『いや…。何でも無いんですよ』


っと、何時もの様に笑いながらを言うと…。


『っで!何処にあるんですか?そのホテルは?』


山村さんの言葉に一之瀬さんは…。


深雪

『ほら!あそこに見えてるでしょ?』


っと、指差した方に目を向けて私は唖然としてしまった。


だって…。明らかに高級ホテル!って感じの建物が…。


『ちょっと!あのホテルって、凄いお金持ちの人とか有名人が泊りに来るラッチェルトなんじゃ…はっはははは…』


河野先輩…。壊れた様に笑ってます…。


『おや…。ラッチェルトと言えば世界でもトップレベルの施設、接客を、誇るホテルでしたね…。流石は深雪お嬢様!お目が高い!』


香澄

『ふ〜む!どんな料理があるのか楽しみです…』


香澄さんは目をキラキラさせて言ってます。


隆司

『………』


田中君は、ポカーン!と大きく口を開けてるし…まあ…。私自身が、結構混乱してるし…。


深雪

『さっ!皆!早く行きましょう!っん?どうしたの?皆!』


一之瀬さんは不思議そうに首を傾げて皆に聞いて来てるんだけど…。


シ〜ン!と何故か静まり一之瀬さんは頭にクエスチョンマークを浮かべて居る。


総一郎

『はあ…。あのなぁ…。一之瀬さん…。あんな、高級そうなホテルに泊まる事に、なったんだから皆は、気後れしてるんだよ…』


呆れた声で井上君が言った。


総一郎

『ホラホラ!皆も惚けて無いで、早く行きましょう!お腹減って死にそうですよ…』


っと、言葉を言い終えた瞬間、グウ!っと井上君のお腹が計った様なタイミングで、鳴り私は吹き出し井上君以外は、皆、笑ってた…。


深雪

『アハハハハ!なっ何てタイミング!』


お腹を抱えて笑い続ける一之瀬さんを見て井上君は顔を赤くさせ…。


総一郎

『ちょっと!全く!笑い過ぎですよ!』


っと言い怒って競歩みたいな速度で歩いて行く。


深雪

『あっ!コラ!待ちなさいよ!』


一之瀬さんが笑ったまま走って井上君の隣に行くと、ああだこうだと言いながら、歩く二人を見て私は、羨ましいと思ってしまった。


私と井上君では、あんな風にはならない…。


ううん…。違う…。ならないんじゃなくて、なれないんだ。


私は口数が多い方じゃないから…。


どうしても沈黙が多くなってしまう…。


ああいう風に口喧嘩みたいなやり取りがしてみたいよ…。


私は、皆に気付かれない様に小さく溜息を吐いて遠ざかる井上君と一之瀬さんの背中を見て切なくなってしまった。


そんな事を、考えている内にラッチェルトと呼ばれるホテルの前に到着し余りの豪華さに私は眉をしかめた。


まさに高級ホテルっと、言った感じの建物に私は唖然と、するしかなかった。


深雪

『さっき予約した一之瀬だけど…』


一之瀬さんは、ホテルの前に立って居る人に話し掛けると…。


長瀬

『いらっしゃ…こっ!これは一之瀬様!ようこそいらっしゃいました…。私、当ホテルの支配人の長瀬と、申します…』


えっ?わざわざホテルの支配人が出迎え?



私が、首を傾げると山村さんが眉をしかめながら言った。


『ふぅ…どうやらあの男お嬢様に気に入られる様にしようとして居るのが直ぐに分かりますね…。浅はかな…』


香澄

『ええ…。でもお嬢様はそんな事には 気付いて居ますね…』


っと同意して私は益々、混乱してしまい、そんな私に気付いた山村さんが説明してくれた。


『お嬢様は一之瀬財閥の一人娘なのをご存じですよね…あの男は、あわよくば一之瀬財閥の権力のおこぼれを、預かろうとしているのです…』


っ!そんな…一之瀬財閥の一人娘だからって…。何で!


私は眉を、しかめながら一之瀬さんに媚を売ろうとする長瀬とかいう男を見る。


苛立って居る私に気付いた香澄さんが、私の肩に手を置いて…。


香澄

『ありがとうございます天野様…ですが…。これも一之瀬財閥に生まれた者の宿命なのです…あのような者達は掃いて捨てる程に居ますから…』


哀しげに、しかし何処か達観した様な言葉を紡ぐ香澄さんに私は何も言えなかった。


深雪

『ほら!早く行きましょう?そうそう山村さん!総一郎と田中君をお願いするわ!天野さん!河野先輩!香澄さん!早く、行きましょう!』


一之瀬さんは元気良く、そう言うとホテルの中へ歩きだした。


此処から、総一郎視点に変わります。


何か嫌な予感が一瞬頭を過ったものの正直、空腹が勝り僕はホテルの中へ歩きだした。


山村さんは見慣れているみたいだけど、一般的な庶民である僕と田中にはこんな高級ホテルは見るのも触れるのも、初めてである。


その為か、酷く場違いな感じがするぞ…。


隆司

『おいおい…俺達浮いてねぇ?』


田中の言葉に僕は無言で頷いた。


周りの人達はスーツとかドレスアップした人ばかりなのに、明らかに僕と田中の服装は不味い気がするぞ?


『お気になさる事はありませんよ?井上様、田中様…。スーツ等も、レンタル出来ますから』


その言葉に田中は笑いながら言った。


隆司

『それなら、安心だな!んっ?井上!どうしたんだ?顔色が、悪いみたいだけど?』


そんな田中の言葉に僕は苦笑いするしか無い。


ヤバイな…。えっ?何がヤバイって?他の人の前で着替えないと行けないだろうが!


『本当に、どうされたんですか?井上様?』


心配そうに、見る二人に言った。


総一郎

『ちょっと体調が、悪いから少しだけ休んでから行きますから二人は先にスーツをレンタルしてて下さい。ついでに、僕のスーツは黒で、お願いします…』


『分かりました。さっ…田中様…。早く行きましょう!』


隆司

『そうですね…。井上!先に行ってるからな?』


っと深くは、詮索せずに山村さんと田中は先に、スーツを、レンタルしに行った。


ふぅ〜。一之瀬さんが、居なくて助かった。


一之瀬さんが居たら間違いなく根掘り葉掘り聞いて来るからな…。


田中も山村さんも人の事余り深くは詮索しないしだからこそ、僕は田中と中学の頃から、つるんで居るんだよな…。


ふと、視線を感じて顔を向けると僕は驚いた。


文化祭に戻る時に会った亜依さんが居たからだ。


亜依

『あら?総一郎君?こんな所で、何をしているのかな?』


にこやかに、笑いながら言い亜衣さんが僕の傍に近付いて来る。


総一郎

『こんにちは。亜衣さん僕は友達と一緒に遊びに来たんですけど…』


ゼノンの奴らが…。っと言うのは止めた。


亜依

『ああ…。成る程…そう言う事ね…』


亜衣さんは僕の言わんとする事に気付いた。


あっ!そうだ!ついでに聞いておこう。


総一郎

『あの。すみません…。今、お時間ありますか?ちょっと話が、あるんですが…』


そう言うと亜衣さんは、にこやかに、笑いながら言った。


亜依

『あらあら…。こんな…おばさんを口説くのかしら?』


っと、わざとらしく頬を染めてモジモジするので僕は、溜息を吐きつつもあれ?こんな事が前にも合った様な?


少し考え、ふと河野先輩を思い出した。


総一郎

『もしかして亜衣さんの名字って河野ですか?』


亜依

『あら?どうして、私の結婚前の名字を?』


驚く亜衣さんに僕は何時もの作り笑いをしながら言った。


総一郎

『河野先輩と同じ雰囲気を持ってるし顔も似てるから親戚かなっと思ったんですよ…』


よく見ると河野先輩の顔に、結構、似てるし河野先輩が年齢を、重ねたらこんな感じかな?


っと言うと益々、亜衣さんは驚き言った。


亜依

『あら?って言う事は…もしかして、舞ちゃんも居るの?』


総一郎

『ええ…居ますよ。それよりも、あの人達と連絡取りたいんですが?』


亜依

『ああ…。成る程ね…。少し待ってね』


っと言い亜衣さんはスーツのポケットから手帳を取り出し一枚破くと黒のボールペンで素早く書き僕に手渡しながら…。


亜依

『はい。後、言い訳は、考えておいた方が良いわよ?じゃあね…』


言い訳?はて?何でそんなに笑ってるんですか?亜衣さん。


疑問に感じて居ると背筋が、ゾクリとして後ろを振り向き僕は何故、亜衣さんが笑って居たのかを理解した。


此処から晶視点に変わります。


私は井上君達と別れた後一之瀬さんと香澄さんと河野先輩に半ば無理矢理衣服を脱がされ、白色のパーティードレスを着せられ化粧まで、されてしまった。


正直、余りにも落ち着かないけど、井上君に見せたいと思い井上君を探しに行ったんだけど…。


直ぐに、井上君は見つかったけど井上君に声を、掛けようとして私は声を掛ける事を躊躇ってしまった。


井上君は知らない綺麗な女の人と何か話しをしていたから…。


それに井上君に、ちぎった紙に何か書いてそれを渡しているのを見て私は苛ついた…。


凄くイライラして悲しくて、ちょっと泣きそうになった。


井上君も何で、そんなに笑っているの?


私は井上君に当たるのはいけない事だとは分かっているけど、それでも…八つ当たりだとは分かっているけど、それでも、井上君を睨まずにはいられない。


ふと見ると知らない女の人が私に気付きクスクス笑いだした。


そして井上君に何か言うと離れて行った。


ジーっと、井上君の頭を見続けて居ると井上君が振り向いた。


私は無言で井上君を非難したんだけど、井上君の様子が変だ。


何時もなら、直ぐに声を掛ける筈の井上君が何も言わずに黙ったまま私の顔を見つめている。


何か顔に付いてる?っと聞く前に…。


総一郎

『綺麗だ…』


っと、井上君が呟くのを聞いて私は我が耳を疑った。


えっ?えっ?えっ?


今、何て言ったの?井上君?


さっきまでの憂鬱な気分が井上君の言葉で一瞬にして吹き飛んだ。


今、私を見て綺麗だって言ってくれたよね?


どうしよう?凄く…凄く嬉しいよ…。


『あっ…。あの…井上君その…』


ありがとうと、言う前に井上君は慌てた様に…


総一郎

『ごっ!ごめん…。山村さんと田中を待たせてるんだ。じゃあ…』


それだけ言うと井上君は走って行ってしまい私はやっぱり避けられてるのかな?


去って行く井上君の背中を見つめ溜息を一つ溢した。


此処から、総一郎視点に変わります。


ちょ!ちょっと、アレは反則だろ!


何なんだよ…。天野さんって、あんなに…あんなに綺麗な人だったのか?白いパーティードレスに身を包んで化粧までした天野さんは正直、滅茶苦茶綺麗だった。


思わず見惚れてしまったしかも…。バカ面下げてバカみたいにつっ立って綺麗だって?


あり得ないだろ!バカか俺は!天野さんも驚いてたし…。


天野さんの姿が、頭から焼き付いて離れない。


俺は、猛ダッシュで天野さんから離れたのは込み上げてきた感情が、抑え切れなくなったからだ。


天野さんに見惚れて俺はあの時、天野さんに触れたいと思ったんだ。


こんな…。こんな血で、汚れた手で!


ギリギリと歯を噛み締め血が出る程に、拳を強く強く握り締めた…。


何を、考えてるんだよ!井上総一郎!


何様のつもりなんだよ!バカじゃないのか!


下らねぇ事、考える前にやる事があるだろう。


自己嫌悪に胸がムカムカする。


深呼吸を何度かして気持ちを静め僕は、何時もの様に作り笑いをしながら山村さんと、田中が待つ場所に行かなくちゃ…。


ぐぅぅぅぅ!ハアァ〜。腹減ったな…。


意識すると余計にお腹が空いてきて頭がクラクラしやがる…。


とにかく早く行かないとな!


僕は、スーツのレンタル受付の窓口を探していると…。


隆司

『お〜い!井上!こっちだぞ!』


っと田中の声が聞こえて前を向くと田中は、紺のスーツで山村さんは灰色のスーツ姿だ。


総一郎

『へぇ〜!山村さんだけじゃなくて田中もスーツ似合うんだな…』


隆司

『えっ?あっ…。そっ!そうか?』


『ありがとうございます井上様。さっ…井上様も早くお着替えになられて下さい…』


田中の奴が珍しく照れてやがる…。


総一郎

『そうですね…。そうさせて貰います』


僕はそう言って更衣室の中へ。


中に入った僕は、ホッと胸を撫で下ろした。


なんだ…。ちゃんと個別の更衣室があるじゃないか!


これなら一緒に行っても良かったな…。


まあ…。亜依さんに会えたから良いか…。


素早く黒い上下のスーツとYシャツと、黒のネクタイとネクタイピンを、取り更衣室の中へ。


服を脱ぎYシャツを着てジーパンを脱ぎズボンに履き替えネクタイを締めネクタイピンで止め上着を着て脱いだ服を綺麗に畳みソウルクリスタルと携帯と財布をポケットに突っ込み服を、衣装ロッカーに入れ500円を、入れて鍵を閉めた。


僕が戻って来ると二人共ポカン!っとした顔を、してつっ立って居るので疑問に感じた。


総一郎

『あの…。どうしたんですか?早く行かないと、皆が怒りますよ?』


そう言いながら歩きだしたんだけど、さっきから凄く視線を感じるなぁ〜もしかして似合ってないのかな?


此処から隆司視点に変わります。


出てきた井上は男の俺が言うのも変だが滅茶苦茶格好良いって!


ヤバイ位に色気があるし何で男に見惚れるんだよしっかりしろよ!


ペシペシと頬を叩き気合いを入れ直す。


総一郎

『あっ…。そう言えば、田中!皆は…ってどうしたんですか?』


深呼吸して前を見たら、まともに井上の顔を見てしまい心臓が止まるかと思った。


だから!何で男に、ドキドキしなきゃならないんだよ!


隆司

『いっ!いや…何でもない…。確か会場の所に、居るって言ってた…』


慌てて言うと井上は笑って…。


総一郎

『そうか…。それじゃあ早く行かないとね…お腹も空きましたし…』


そう言って井上は、前を向いて歩き出した。


俺は、井上に聞こえない様に小声で、山村さんに言った。


隆司

『あの…山村さん…何か井上の奴、変わりましたね?』


『はい…。井上様は気付いて居られませんが井上様とすれ違った女性だけでは無く男性まで振り返って、井上様を見てますね…』


穏やかに笑いながら山村さんは答え俺はこう言った。


隆司

『まあ…早く行かないと一之瀬さん達に怒られそうですし早く行きましょう!』


俺はそう言って山村さんと井上を追い越して一之瀬さん達の待つ会場へと急いだのだった。

次回予告!漸く夏休み編終了です。次回はバトルシーンは無しで総一郎と晶が…。っと此処で書くと、ネタバレになるので書きません(笑)それでは又!

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