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第21話・夏休み編。その7

前回位の長さですが後半軽く、戦闘シーンが入ります。評価して下さった方に、この場でお礼申し上げます。ありがとうございました! 

深雪

『ふぅ〜。相変わらず、ポーカーが、強いわね。総一郎』


深雪は、苦笑いしながらカードを床に置いた。


隆司

『って言うかさ…。強すぎだろ!あり得ないってロイヤルストレートフラッシュとか!』


隆司が、興奮気味に言った。


『麻雀に囲碁、将棋に、チェスも、全戦無敗…。強すぎる…』


舞が、ガックリと肩を、落としている。


香澄

『特に将棋や麻雀の駆け引きや読み合いは達人の領域に達してますね…。やはり一度、手合せを、お願いしたい』


っと香澄は総一郎に詰め寄るが何時もの様に作り笑いをしながら言った。


総一郎

『あの…麻雀とか将棋が強いからって喧嘩が強い訳じゃないんですよ?』


穏やかに、断る総一郎を無言で見つめる晶。


総一郎がシャドウ・ブレードである事を知っている晶だったが、やはり、晶も女の子で好きな男の子が他の女の子に笑い掛けて、居るのは気に入らない訳で無言、無表情のまま殺気だけで人を殺せそうな気を発している。


補足だが先程、総一郎が感じた殺気は晶が原因である(笑)


総一郎自身、常に死と隣合わせの戦場に身を置き続けて居るから殺気には反応するのだが女心など微塵も、察する事は出来ない。


総一郎は、殺気の感じた方向に、視線を向けたが一瞬で後悔した。


これ程の殺気は、今まで生きて来た中で感じた事の無い殺気だったからである。


室内の温度が数温下がって居るのに総一郎は額に冷汗を、垂らせて微妙に引き吊った作り笑いで、言った。


総一郎

『あの…天野さん?何を怒ってるんですか?俺…何かしました?』


総一郎は晶が怒っている事、自体は分かって居るのだが何故、晶が怒っているのかは分かっていない。


『別に…』


っとだけ言い総一郎を、見続ける。


多少、殺気は緩和されたが未だに総一郎と晶以外誰も喋らない。


否、喋れないと言うべきか(笑)


晶の、発している殺気は余計な口を、挟ませない程に強烈で今、何か喋る勇気は残念ながら誰にも無い。


固唾を飲み込んで状況を見守るしかない4名を、余所に、晶は相変わらず無言、無表情で総一郎に殺気を発している。


総一郎は何故晶が怒っているのか?思考し始めて居た。


何か自分に落ち度は無いか?


何か晶に失礼な事をしたのか?


自分が考えられる状況、及び自分の言動を第3者の目で見て晶を怒らせてしまった原因を探る。


しかし…。幾ら考えても分からない。


総一郎は根本的な間違いに気付ていない。


晶が嫉妬して怒っている事は4名共、何となく、理解して居る。


しかし…。総一郎は晶が自分に好意を抱いて居るとは夢にも思わない。


だから…嫉妬して怒っている等と考え付かないのである。


ある意味、救い様が無い朴念仁である(笑)


総一郎自身、気付いて、居ないが既に作り笑いはして居ない。


その表情は何時も笑顔を絶やす事が無い為、余り知られては、居ない事なのだが、意外に鋭い目をしており、今の総一郎の顔は完全に戦闘モードである。


何時もは、笑顔を絶やす事は無く穏やかな雰囲気を辺りに振りまく総一郎だが、今の総一郎は真逆である。


触れれば切れる様な鋭い刃物の様な気配を隠す事無く撒き散らす。


そう…。危険を、無事に乗り切る為に思考している時の表情である。


4名は何時もとは明らかに違う総一郎に戸惑いを感じた。


既に晶から殺気は出ていない事に総一郎は気付か無い程、深く思考を巡らせている。


益々、考え込む総一郎に4名は声を掛ける事が、出来ない。


何時もは話し掛けやすい雰囲気なのに今の総一郎は、近寄りがたい雰囲気を発している。


晶は溜息を吐き平然と…


『井上君…。何時までも考え込まない。もう…。怒ってないから…』


っと言いながら総一郎の肩を揺すり総一郎は漸く自分が、作り笑いをして居ない事に気付いた。


総一郎

『必死になって、考えたけど原因が、分からなかった…』


総一郎

『でも…。何の理由もなく天野さんが怒る訳が、無いし気付かない内に、君を怒らせてしまった。ゴメン…』


晶は、呆れた様に溜息を吐き言った。


『人の話をちゃんと聞いたら?』


っとジト目で、総一郎を見る。


総一郎は良く分からなかったが晶の機嫌が良くなった様子に、心の中で、ホッ!と胸を撫で下ろし笑う。


その瞬間、総一郎の纏う雰囲気は何時もの様な、穏やかな気配になった。


4名とも唖然としていたのは言うまでも無い。


『貴方は、もう少し人の気持ちを考えた方が良いわ…』


晶は呆れた声音で総一郎を睨みながら言い総一郎は、首を傾げた。


総一郎

『意味が分からないんだけど…』


総一郎は困った様に笑い晶は大袈裟に溜息を吐きジト目で総一郎を一瞥し総一郎から、離れて座り読みかけの小説を読み始める。


その様子は表面上は無表情であるが、拗ねてしまっている。


総一郎

(さっきまで、あんなに怒ってたのにな…まあ…機嫌が良くなって良かった…)


総一郎は、そんな事を、考えていると…。


『もうすぐ海に着きますよ』


っと、言う敦の声に皆が騒ぐ中、総一郎は何故か嫌な予感がした。


総一郎

(嫌な予感がする。何事も、無ければ良いんだがな…)


総一郎はポケットに入れてあるソウルクリスタルに触れた。


総一郎の意志に、ソウルクリスタルは、一瞬だけ反応し光った。


隆司

『なぁ…。井上…。ちょっと良いか?』


隆司が総一郎の肩を抱きながら言い総一郎はゲンナリした顔をして…。


総一郎

『鬱陶しいな…何だよ?田中…』


っと言いながら、隆司の手を振り払う。


隆司

『まあ、良いからさ…。ちょっと来いよ』


そう言うと隆司は総一郎を引きずり車を降りる。


総一郎は、訳が分からず隆司に問う。


総一郎

『ちょっと待てよ!何なんだよ!説明しろ!』


っと、混乱する総一郎を見事にスルーして…。


隆司

『良いから!良いから!黙って付いて来いよ』


っと言って、総一郎を車から、離すと漸く隆司は総一郎の服の袖を離して言った。


隆司

『あのまま車内に残って居ると不味いんだよ…。かなり…』


そんな隆司の言葉に益々訳が分からない総一郎は隆司に問う。


総一郎

『いや…。意味が分からないんだけど?』


っと困惑した表情で言い隆司は呆れた様に総一郎に言った。


隆司

『オイオイ!今日は何をしに来たのかな?』


総一郎

『何って泳ぎに来たんだろ?』


隆司

『そこまで、分かってるなら、最後まで言わなくても分かるよな?』


そこまで言われて分からない総一郎では無い。


総一郎

『そうか…。そう言う事だったのか…』


総一郎は漸く隆司が自分を車から外へ連れ出したか分かった。


隆司

『そう言う事幾ら何でもあのまま居座るのは出来ないしね…』


隆司は溜息を吐きながら苦笑混じりに呟き…。


『いやぁ〜。私も逃げて来ましたよ…』


っと、何時の間にか敦が背後に立って居た。


総一郎は敦が少し前から居る事に気付いて居たので、驚きはしなかったが隆司は、飛び上がる程、驚き慌てた。


総一郎

『オイオイ…。驚き過ぎだろ。山村さん…傷付いてるぞ』


呆れ顔で総一郎は言い…


『驚かせて申し訳ありません。田中様』


微妙に傷付いた顔をしながら敦は言った。


隆司は慌てて…。


隆司

『突然現れたんで…本当に驚きましたよ』


っと、フォローになっていない事を言ってる事に気付かず敦は、苦笑いしながらも総一郎を、観察する。


総一郎を、観察しながら幼い頃から深雪の護衛兼運転手てして、傍に居る敦だったが井上総一郎と呼ばれる少年は謎が多すぎると考えていた。


一之瀬財閥の力を最大限に、使っても、住んでる場所や血液型、誕生日に身体的な、プロフィールさえも分からないのだ。


敦は自分の子供位の少年にある種の恐怖さえ感じていた。


目の前に、居る筈なのに酷く存在が気薄で総一郎が、居なくなっても誰も気付かないのでは?っと感じる程だ。


敦がそんな事を考えていると…。


総一郎

『じゃあ…。僕は其処ら辺をウロウロしてるから用事があったら電話してくれれば良いから』


それだけ言うと総一郎は歩いていく。


隆司

『オ〜イ!井上!カムバ〜〜ック!』


芝居がかった隆司の言葉を、聞きながら総一郎は微かに、笑いながら手を振り、そのまま人込みの中へと消える。


隆司にも敦にも総一郎を追い掛ける事は、出来ず唖然としながら見送りながら立って居ると…。


深雪

『あれぇ?総一郎は?』


深雪の声に二人は明らかに動揺して振り返る。


其処で二人は完全に停止してしまった。


さて…。此処から女性陣の水着姿を紹介します。


先ずは、深雪から彼女はスタンダードに、黒のビキニに下は、セパレートタイプの物。


香澄はオレンジ色のワンピースタイプの水着。


舞は紺色のビキニ。


晶は白いワンピースタイプの水着。


各自、かなり魅力的な、姿である。


二人共、開いた口が塞がらず馬鹿みたいに立って居るのは仕方ない。


香澄

『どうかしました?』


香澄は訝しげな顔をして問い舞は、ニヤニヤ笑いながら無言で二人を見て居る。


晶は、相変わらず無言、無表情である。


深雪は、総一郎が居ない事に気付き言った。


深雪

『全く!総一郎の奴…又勝手に!単独行動してるのね?』


顔は笑ってるが額に青筋が浮かびかなり怖い。


香澄

『まあ…。良いではありませんか…。彼らしいと言うべきでしょう…』


香澄は深雪の反応に苦笑しながら、総一郎のフォローをしている。


『全くこ〜んなに可愛い女の子達の水着姿が見られるのにねぇ…』


舞は内心、総一郎が居ない事に、がっかりしながらも表面上は、何時もと変わらず、おどけた様な口調で言った。


(井上君に見て欲しかった…。井上君が居なきゃ意味が無いのに…)


晶は内心、かなり落胆していたが、何時もの様にポーカーフェイスで誤魔化す。


『皆様、とてもお似合いですよ』


敦は瞬時に何時もの大人の対応が、出来るのは、やはり酸いも甘いも噛み尽くした大人だから出来るのかも知れない。


隆司は、未だに何も言う事が出来ず深雪に見惚れていた。


深雪

『その内、総一郎も来るだろうし私達だけで遊んでましょう』


深雪が、そう言うと晶は言った。


『私は遠慮する…。先に冷たい物が欲しいから…私は後から行く…』


それだけ言うと晶は人込みの中へ。


深雪

『それじゃあ後でね!』


深雪の言葉に、晶は振り向き…。


『分かった…』


っと言うと晶はその場を立ち去った。


晶視点に変わります。


冷たい物なんか別に欲しくは無かった…。


ただ、私は井上君を探しに行きたかったから皆に嘘を吐いただけ。


歩いていると視線を感じる。


特に男の人の視線が…。


水着姿の女の人なら沢山居る筈なのに…。


ナンパ男

『ねぇ!俺と遊ばない?ねぇってば!』


髪を金色に染め首に銀のネックレスをしたチャラチャラした男が私に声を掛けてきた。


ナンパして来た男から、キツイ香水の匂いがして眉を潜める。


彼とは、大違いだわ…。


この男が、こんな事が、出来るのも井上君が人知れず、ゼノンと呼ばれる怪物達と命懸けで戦ってくれて居るからだ。


『ナンパなら、他の人にして…』


内心、苛立っていたが、私は出来るだけ、平淡な声を心掛ける。


ナンパ男

『えぇぇ!良いじゃん!俺と遊ぼうよ!』


人の話を聞く気が、無い様だ。


私は段々と腹が立ってきた。


私が、無言で居ると男が調子に乗りだし…。


ナンパ男

『ねぇ!あそこに良い店が、あるんだぁ〜。行こうよ♪』


っと言って私の肩に男の手が置かれた瞬間、私は気持ち悪さと、怒りが、混ざりプチ!っと何かが切れた音がした。


バシッ!っと、男の手を叩き落とし…。


『私は、貴方みたいな、チャラチャラした男が、大嫌いなのよ。私に気安く…触らないで!気持ち悪い…』


っと吐き捨てる様に言い男を睨む。


私達を近くで傍観してる人達も、このチャラチャラした男も自分の事しか頭に無いの?


自分さえ良ければ、それで良いの?


誰一人、助けてくれる様な人間は居ない。


自分じゃないから?他人なんて、どうなろうと、知った事じゃないと思っているから?


『誰か助けてやれよ!』


しか思わないの?


ナンパ男

『このアマ!人が折角、誘ってやってるのによ!オラ!来いよ!』


男が私の手を掴もうとした瞬間、男の手首を掴み私と男の間に割り込んだ人が居た。


夏なのに、長袖の茶色のジャンパーを、着て黒い帽子を被った男よりも、頭一つ分位、小さいけどあんなチャラチャラした男より、千倍以上は格好良いし頼りになる人。


井上君が来てくれた。


井上君は男の手首を掴んだまま見上げて言った。


総一郎

『僕の友達に何をしようとしてるんですか?』


穏やか声で、告げている筈なのに私は冷汗が止まらない。


井上君の発する威圧感に寒気すら感じる。


男は面白い位、顔面蒼白で、無言のままだ。


総一郎

『黙ってないで何か言って、下さいよ。超能力者じゃないんですから…。思うだけじゃ分かりませんよ?』


そう言いながらクスクスと声を出して笑う井上君は、かなり怖い。


総一郎

『何しようと、してるのかは、知らないけど無理矢理、連れて行こうと、するのは犯罪だよ?』


総一郎

『それとナンパするならもっと自分を研いたら?そんな恰好じゃ誰も引っ掛からないよ…』


そう言うと井上君は男の手首を離すと何を思ったのか私の手を握り私は、混乱した。


井上君は平然とした顔のまま、私から、男を引き離し私を引き擦る様に、歩く。


私は、未だに茫然自失で混乱している。


井上君の手の温もりを、感じて嬉しいやら恥ずかしいやら…感情がゴチャ混ぜで訳が分からない。


ただ、確実に言える事は嫌じゃない事と井上君とずっとこのままで居たい事。


でも、幸せな時間は長くは続かず、井上君は私の手を離して言った。


総一郎

『此処まで来れば安心ですね…。それと駄目ですよ。天野さん…。一人で歩いてたら声を掛けてくれと言ってる様な物ですよ?それに…』


まで、聞こえたけど最後の方は聞こえず私は微かに、首を傾げて井上君に問う。


『最後の方が聞こえなかった…』


私がそう言うと井上君は珍しく、怯んだ様な顔をして言った。


総一郎

『いや…。その…。何て言うか…ははは』


っと明らかに動揺し笑って誤魔化そうとしている井上君に無言で抗議。


ひとしきり誤魔化し笑いをして居たが、井上君は諦めた様に溜息を吐いて数秒目を閉じて目を見開いた時、真剣な表情に、なり私はドクン!っと、一際大きく心臓が鳴る。


総一郎

『その…。天野さん…。綺麗だから…』


『っ!』


井上君の言葉に心臓が、止まるかと思った。


今、彼は私に何て言ったの?


井上君の方を見ると微かに頬が赤く染まってる。


私は、それを見た瞬間、私も顔が、熱くなり二人して顔を赤くして数秒、停止。


突然、携帯の着歌が大音量で流れて井上君は硬直から抜け出して…。


総一郎

『天野さん…ゴメン…。電話に出るね…』


っと言うと井上君は未だに大音量で流れる着歌を切るべく電話に出る。


此処から、総一郎視点に変わります。


誰かは知らないが助かった。


ええっと…。着信は田中か…。


総一郎

『はい。何か様か?』


っと、言ったが何か嫌な予感がして携帯を耳から離した途端、大音量で…


深雪

『何か様か?じゃないわよ!馬鹿総一郎!何で、勝手に単独行動してるのよ!』


っと言う深雪の怒鳴り声が、響き歩いてる人が、何事!みたいな顔をして立ち止まり僕達を見ている。


未だに喚いている深雪にゲンナリしながらも巧い言い訳を考えた。


深雪が息を整えるタイミングで…。


総一郎

『いや…。余りにも暑かったんで、カキ氷を買いに、行ってたんだよ』


そう言うと…。


深雪

『その割りに、遅いじゃない…』


っと、一之瀬さんは落ち着いて来た様だな…。


しかし…。一之瀬さんが、そう言うのは、読んでいたので…。


総一郎

『いや〜。迷ってしまってね…。今、天野さんと一緒に居るんですけど、一之瀬さん達は、何処に居ます?』


そう言うと一之瀬さんが言った。


深雪

『ふ〜ん。天野さんと、居るんだ…。へぇ〜』


っと、何故か怒っている様な一之瀬さんに、僕は言った。


総一郎

『何か怒ってない?一之瀬さん?』


深雪

『煩いわね!怒ってないわよ!今、私達は海の家に居るわ!早く来なさいよ!』


一方的に、言うと一之瀬さんは電話を切り僕は、溜息を吐いて携帯の電源を切る。


『どうしたの?』


天野さんは何時もの様な他人から見ると無表情に見えるが微かに心配そうな顔をして、言ってきたので…。


総一郎

『いや…。何か皆、海の家に、居るみたいだから一緒に…』


行こうと言う前に背筋がゾクリ!っとした瞬間、三百メートル先の、海岸から5メートルの水柱が立ち中からゼノンの赤い戦闘員が十名と、全身がクリスタルの見た目は、クラゲの怪人が、二体も出現した。


ちっ!こんな時に!


内心、舌打ちしながらもゼノンの戦闘員と、怪人達が現れた事に海に居た人達が悲鳴を上げて逃げ出す中…。


総一郎

『天野さんも、皆と一緒に逃げろ!』


そうだけ言うと俺はポケットからソウル・クリスタルを、取り出し左手に装着すると、人が居ない所まで行くべく、走りだした。


人込みを器用に擦り抜けながら俺は周りを観察しながら走る。


ただでさえ、一之瀬さんには俺が『シャドウブレード』なんじゃないのかと疑われて居るのだ。


転身するにも細心の注意が必要だ。


テトラポットを飛び越え奥に行けば誰にも見られる事も無い。


雲一つ無い綺麗な青空に綺麗な海。


全く、俺には休みが無いのかよ?


内心、ゼノンの奴等に、腹を立てたが心を落ち着かせ精神を集中させ左手を強く握り締め気合いを込めて…。


総一郎

『転身!』


魂の底からの声にソウルクリスタルが、光り輝いて、俺は井上総一郎からシャドウブレードに転身した。


俺は、悲鳴のする方へと走りだした。


既に海岸では人は殆んど居ない。


しかし、良く見ると赤い鎧を着た女の人が一人の男を庇いながら、戦闘員達に囲まれていた。


あれ?あの女の人は…。レイチェルじゃないか!俺は驚いたがレイチェルの、庇っている男は田中だ!


何やってるんだよ!あの馬鹿!


まあ、どうせ顔は分からないし大丈夫か。


俺は猛ダッシュで戦闘員達に近付き右の拳を赤い戦闘員の顔面に叩き込み吹き飛ばしてやった。


此処からレイチェル視点に変わります。


ちっ!数が多すぎる!


俺一人なら切り抜けられるが今はコイツを庇いながらだ。


戦闘員の奴らも、俺よりコイツを狙ってきやがるしよ!


ん!何だ!凄まじいエネルギーを感じるぞ?


何か、とてつもない奴が来る!


そう思った時、黒い風が戦闘員の1人を吹き飛ばしていた。


黒いメタリックな鎧を身に纏い左手から淡い光が漏れ出ている。


吹っ飛ばされた奴は起き上がれずに、そのまま、爆発した。


総一郎

『よお!レイチェルさん久しぶりだな』


シャドウブレードが言い俺は…。


レイチェル

『ああ…久しぶりだな。元気そうで何よりだ!』


そう言いながら戦闘員達の攻撃を躱し殴り飛ばしてやった。


シャドウは、素早く敵の懐に、飛び込み戦闘員の顔面に頭突きを、入れ更に左のボディブローが、突き刺さり敵の右手を両手で、掴み投げ飛ばして3人を爆発に巻き込ませて倒した。


シャドウの背後に回って右の回し蹴りを繰り出した戦闘員だったが、シャドウは平然としゃがんで躱しやがった!


シャドウは、そのままの体勢で左の足で戦闘員の軸足を刈り空中に浮いた敵の脇腹に両足の爪先がめり込み吹き飛ばす。


3人の戦闘員が、同時にシャドウに、襲い掛かるが、シャドウは…。


総一郎

『はああああ!』


気合いと共に、ソウル・クリスタルが光り輝いて両手を足みたいに使ってジャンプして攻撃を躱した。


凄いジャンプ力だ!俺よりも飛んでやがる。


3人の戦闘員は、目標が突然消えた為、互いに、相討ちして自爆。


総一郎

『はあああああ!!』


シャドウの気合いに反応し、ソウルクリスタルはその輝きを、更に増していく。


赤い戦闘員は、黒い戦闘員と、比べると行動パターンも多彩で、パワーもスピードも耐久力も桁違いだ。


その為、殆んどの攻撃が通用せず倒される仲間も結構、居るのだ。


なのに…。シャドウは、簡単にしかも、殆んどが一撃で、行動不能に追いやる。


素早く敵の懐に飛び込み敵の攻撃を紙一重で躱し圧倒的な力で残りの戦闘員を沈黙させたシャドウに、俺も庇っていた男も見ているだけしか出来なかった。


総一郎

『っ!レイチェル!その男を抱えて飛べ!』


シャドウが、叫びながら突然、バク転して俺は、言われた通りに、すると俺とシャドウと男が居た所に、1メートル位の、巨大な槍みたいな物が、突き出ていた。


俺は冷汗を掻いた。もしシャドウが、叫ばなかったら俺も庇っている男も槍が突き刺さり確実に絶命していた筈だ。


総一郎

『先ず惚けてるその男を安全な場所まで、連れて行け!』


だけど、そんな事をしたら彼一人で、怪人を二体相手にする事になる。


そんな俺の考えを読んで居たのか?


総一郎

『良いから!早く行け!ソイツが、居ると足手纏いになるだけだ!俺が、時間を稼ぐから…早く、ソイツを安全な場所まで連れて行け!』


砂浜から出てきた二体の怪人を油断無く、睨みながら彼は怪人達の注意を引くべく怪人達の所へと走りだした。


俺は迷う事無く男の手を取ると、安全な場所まで避難させに、行く事にした。


背後から何度も爆発音が響いて振り返りたくなる衝動を、歯を食い縛って堪え男が何か言ってるが無視だ。


答えてる時間すら、勿体ない!


俺が行くまで耐えろよ!総一郎!


俺は不安な気持ちを必死に押し殺し走っていると黒い戦闘員が3名、襲い掛かってきた。


レイチェル

『お前等の、相手なんかしてる暇は無いんだよ!消えろ!』


私の気合いに、ソウル・クリスタルが反応し光を放ち始める!



海の話なのに結局は戦闘に…。実は未だ夏休み編は、続きます。もう少しお付き合い下さい。次回は、登場キャラがアンケートに、答える話になる予定です。 

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