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第21話・夏休み編その6 

漸く書けました。楽しみに、している方が居ましたらお待たせしました。今回は、ちょっと長いです。

キャンピングカーの中はかなりの広さがある。


冷蔵庫や簡易キッチンにシャワー室やトイレまである。


深雪と香澄を除く3人は感嘆の溜息を洩らす。


深雪

『取り敢えず皆はジュースは何が良い?』


深雪の言葉に…。


総一郎

『何が、あるんですか?僕は出来れば、ポカリかアクエリアスが…』


香澄

『私も彼と同じ物を…』


っとポツリと言い…。


深雪『そう…。総一郎と香澄さんは同じので良いのね?』


その瞬間、何故か総一郎は、背筋が寒くなった。


凄まじい殺気が弾丸みたいに総一郎に突き刺さるのを感じたからだ。


最も殺気を感じた方向に視線を向けた途端に殺気が、消えた為に総一郎は気の所為か?っと、思い何時もの様に作り笑いをする事にした。


隆司

『俺はコーラが良い』


『私は午後の紅茶のミルクティー』


隆司と舞が、ジュースのリクエストをした。


深雪

『分かったわ!』


っとだけ言ってキッチンへと足を運ぶ。


隆司

『そう言えば井上が来るなんて珍しいよな。何時もなら用事が、あるからって、断るのによ。何でこの前といい今回といい来たんだ?』


隆司の疑問は、当然の事だった。


総一郎は自分自身、何故来たのか?この前は分からなかったが、今なら分かる。


しかし…。そんな事を、本人の目の前で言える程総一郎は素直には成れる訳が無い。


総一郎

『たまには皆と遊ぶのも良いかな?と思っただけですよ…』


っと、無難な返答をして話題を変える為に…。


総一郎

『そう言えば、文化祭の売り上げは、どうなったんだ?』


そう言うと隆司は満面の笑顔を向け…。


隆司

『去年の売り上げを超えたよ!』


っと、ハイテンションで答える。


舞は文化祭での事を思い出したのだろう。


笑いながら言った。


『田中君の、犬耳ウェイターは最高に面白かったよ。後、料理も滅茶苦茶美味しかったしね…』


っと言った。


隆司

『あの料理は井上が作ってたんですよ。俺も食ったけどあれは、ヤバイ位に旨かったよ』


それを聞いていた香澄が言った。


香澄

『ほう…。君は、料理が出来るのか?』


総一郎

『まあ…。それなりには出来ますよ』


深雪

『そうそう!総一郎の、料理の腕前は、相当な物よ?何せこの私を唸らせた程だしね』


っと深雪が、ジュースを両手で、抱えながら同意した。


香澄

『そうなのですか?ならば、今日の昼飯は、彼が作ると言うのはどうでしょう?』


その言葉に総一郎以外は全員、同意したのは言うまでも無いだろう。


総一郎は一瞬苦虫を噛み潰した顔をしたが文句を言った所で、意見が覆る訳が、無いのは火を見るより明らかだろう。


総一郎は大袈裟に溜息を漏らして言った。


総一郎

『分かりました。でも…僕一人で6人分作るのは時間が掛かるんで、誰か一人、手伝ってくれませんか?』


総一郎の言葉に、わざとらしく視線を背けた香澄隆司、深雪の3名。


晶は無言のまま総一郎の言動を見ている。


総一郎

『すみませんが…。天野さん。手伝って貰えませんか?』


そう言われた晶は無言で頷いた。


晶は内心、嬉しかったが顔には出さない。


総一郎はそんな晶の反応に、内心、首を傾げたが気にした所で分かる訳が無いなと自己完結した。


総一郎と晶が、キッチンへと足を運んだのを確認した深雪は二人に聞こえない様に、声を落としながら言った。


深雪

『近頃、あの二人…怪しくない?』


その言葉に…。


『そうね…文化祭だけじゃなくて、この前の遊園地の時も一緒に居たし、今回もあの子に手伝いを頼んでいたし…』


っと深雪の言葉に肯定した。


香澄

『でも、勘違いという線も、考えられませんか?ただ、付き合いが良いだけなのでは?』


その言葉に隆司は香澄の言葉を否定した。


隆司

『いや…。井上は小学校の頃から、知ってるけど初めてだよ。井上に遊びに、行こうと誘って来たのはね…』


隆司

『この前の遊園地の事もそうだけど文化祭だってあの井上が…自分から、天野さんを誘ったみたいだよ…』


隆司

『それを考えると井上が天野さんに、少なからず好意を、持ってるんじゃないかと俺は思ってる』


っと隆司は珍しく真剣な顔をして言う。


まさにその通りなのだがその言葉を聞いた3人の心境は複雑だった。


深雪

(ふ〜ん。総一郎がね…あれ?何でこんなに嫌な気分になるのよ!まるで嫉妬してるみたいじゃない!馬鹿みたい)


深雪は自分の考えを否定した。


深雪自身、余り自覚は、無いが幼い時からずっと傍に居た総一郎に対して少なからず好意を抱いている。


もっとも、その感情が、親愛なのか?それとも、異性としての愛なのか?無意識に、その事に触れない様にしていた。


(なるほどね…。田中君の言う事は、的を得てるわね…)


(でも、諦める気は無いわよ?確かに、今はあの子が、リードしてる事は認める…)


(それなら、あの子よりも、好きになって貰えば良いのよ。私を本気に、させたんだから覚悟してよね♪)


舞は隆司の言葉を聞いてそう思っていた。


舞は最初は総一郎の反応が面白くて、からかって居たのだ。


しかし…。ある出来事がきっかけで舞は総一郎の事が、気になりだしたのだ。


しかし、舞は素直に好意を見せる事が出来ず何時も、からかってしまい、後になって後悔してしまうのだった。


香澄

(そうなのか?でも…。深雪お嬢様は平気なのだろうか?お嬢様は多分、あの人に、好意を抱いている。何事も、無ければ良いのだが…)


っと、香澄は深雪を心配して居た。


香澄は代々、一之瀬家を守護する家系に、生まれ一之瀬家の為に生き死ぬ事に文句は無いしそれを誇りにすら感じている。


長年、仕えてきた香澄には、深雪が、何か危険な事に首を突っ込むのではないか?


と懸念して居た…そしてそれは直ぐに現実になるのを神ならぬ香澄には、分かる筈も無かった。


その頃、総一郎と、晶は必要最低限の言葉以外、言葉を交わさず、無言で調理をしていた。


何か話そうと思うのだが総一郎は自分の気持ちに気付いてしまって、緊張するなんて柄にも無いと自分自身、思っているが好きな人と一緒に居るのだから、緊張して当然である。


もっとも物心、付いた時から鍛練やら父との組み手やらに時間を裂かれてしまって、異性に対して総一郎は余り、免疫が、無いのだ。


その為、総一郎は異性が苦手である。


でも…。不思議な事に、総一郎は晶に対して緊張は、しなかったのだ。


初めて見た筈の晶に総一郎は、何故か懐かしさを感じたのだ。


昔から知ってる様な不思議な感覚に捉われたのだった。


一方、晶も初めて会う筈なのに何処かで、会った様な感覚を感じて居た。晶も総一郎と同じく異性が、苦手である。


内気な性格もあるが幼い時から髪の色が他の人と違うのを理由に、イジメられて居たのだ。


その所為で、晶は益々、人と接する事が、苦手になってしまった。


元々、観察力や洞察力が人より優れている晶は、自分に対する視線や態度で、自分に対する感情が分かってしまう。


しかし…。総一郎の視線や態度は、他の人と違っていた。


まあ、目の前で、全身が輝いて黒い鎧に身を包む総一郎を見れば明らかに異常事態であり頭が変になっても、おかしくは、無いだろう。


しかも、腕が折れても、平然と折れた腕で、敵を殴り倒す程である。


晶は唖然としてしまったのを今でも思い出す。


しかも、総一郎は、礼を言う晶に言った。


総一郎

『アンタがお礼を、言う必要もない…お礼を言われる為に戦った訳じゃない…』


総一郎

『それに…。この怪我も俺が、弱かっただけの話だ…。アンタが気にする事は無い…』


っと言う総一郎の表情は穏やかに微笑んでいた。


その微笑みは、君が無事なら、それで良いと語っていた。


その微笑みは晶にとって衝撃だった。


穏やかで力強く、そして清々しささえも、感じる微笑みを向けられて驚き戸惑う。


こんな微笑みを浮かべて居るのに、瞳だけ哀しい光を宿していた。


今も総一郎は笑顔を浮かべて居るのに哀しい瞳をしている。


もっとも、その事に気付いて居るのは、晶だけだった。


本当に、微かな変化で、気付ける人は中々居ないだろう。


ジッ!見つめてくる晶の視線に総一郎は耐え切れずに…。


総一郎

『あの…何か顔に付いてますか?』


っと顔を向けて言うが…


『何でも無い…』


っとだけ言うと又、調理に戻る。


総一郎は晶の様子が変である事には気付いていたが、言わない事にした。


自分の勘違いかも、知れないしな…。っと、自己完結したが、眠気が襲い大きな欠伸を一つすると晶が問う。


『余り寝てないみたいだけど、大丈夫?』


心配そうに見つめる晶に総一郎は作り笑いをしながら言った。


総一郎

『実は昨日、楽しみで、余り眠れなかったんですよ…』


そう言うと晶は少しの間唖然として居たが微かに笑いだした。


総一郎

『何で其処で笑うんですか?ちょっと笑い過ぎですよ。天野さん!』


若干、照れながら怒って言う総一郎に晶は益々、笑いが、止まらなくなり次第に総一郎まで笑いだしてしまった。


作り笑いでは無く本当の笑顔を総一郎は久し振りに浮かべた。


晶は総一郎の笑顔が何時もと違うのを感じた。


笑いの波が、収まり晶は総一郎の微笑みを見る。


見惚れてしまいそうな、笑顔に、晶は微かに頬を赤く染める。


ひとしきり笑った総一郎は、晶の頬が赤くなって居るのに気付き…。


総一郎

『どうしたの?顔が赤いみたいだけど熱でもあるの?』


言うが早いか、総一郎は反射的に、晶の額に手を置き晶は固まった。


今、何が起きているのか理解出来ない晶。


総一郎

『熱は無いみたいだけど大丈夫?』


総一郎は晶の額に左手を触れさせたまま声を掛ける。


何の反応も無い晶に不安に、なった総一郎は晶の肩を揺すると、漸く晶は意識を取り戻した。


『えっ?あっ!うん…。大丈夫だから…』


そう言うが晶は少しの間茫然としていた。


突然、自分の額に感じた手の温もりと、ゴツゴツした感触。


その事を思い出し益々、顔を、赤くさせる晶に、総一郎は不安になった。


熱が上がっている!っと勘違いした総一郎は晶に言った。


総一郎

『手伝いは良いから休んだ方が良い』


その言われたが晶は総一郎の役に立ちたいと思い言った。


『大丈夫だから…』


しかし…総一郎は完全に晶が体調を崩していると勘違いしている。


総一郎

『俺の事は別にどうでも良い…。休め』


有無を言わさず晶の背を押して簡易キッチンから退場させた。


総一郎は晶が去った後、晶の肩に、触れた左手を見る。


少し力を、入れただけで壊れてしまいそうな細い肩。


総一郎は今更、恥ずかしくなり赤面した。


深呼吸を何度かして気持ちを落ち着かせ総一郎はもう殆ど完成に近い料理に、ちょっとしたアレンジをして更に盛り付けていく。


因みに今回の料理はオムライスである。


幸い食材は沢山、あったので、オムライスにしたのだった。


総一郎は、ふと晶が飲み物を頼んで、居ない事に気付き冷蔵庫からポカリスエットを2本取り出した。


もう1本は自分用であるが…。


一方、晶が戻ってくると3人の周りの空気が重い事に、気付き微かに眉を潜める晶。


しかし…。気にする事も無く晶は座り小説を読み始める。


深雪の視線に気付き晶は本を閉じて言った。


『何か用?』


微かに、首を傾げながら問う晶に、深雪は一瞬、躊躇ったが、意を決して口を開き掛けた時、まるで、測った様なタイミングで総一郎が、キッチンから顔を出し言った。


総一郎

『今回は、オムライスにしてみましたよ…。そう言えば天野さんはジュース頼んで無いよね。ポカリスエットで良い?』


いきなり出鼻を挫かれた深雪は沈黙せざる終えなかった。


3人の視線に責める様な感じを受けたが総一郎は内心、冷汗を掻きながら作り笑いを、しながら、言った。


総一郎

『どうかしました?』


っと首を傾げながらポカリスエットを晶に渡す。


『ありがとう』


晶が礼を言うと…。


総一郎

『どういたしまして』


っと、何時もの様に作り笑いをしながら言う総一郎に舞と深雪はジト目で見る。


そんな視線に、総一郎は全く気付かずに…。


総一郎

『山村さんも車を止めて下さい。食事の準備が、出来ましたよ!』


作り笑いを浮かべたまま総一郎は言う。


キャンピングカーはハザードを、出しながら停車させた。


因みに、運転手の名前は山村敦(やまむら、おさむ)と言う。


敦は総一郎の言葉を聞き付けた。


『井上様の料理ですか!これは楽しみです』


っと心底、嬉しそうな顔をして言う敦に、深雪は苦笑した。


全員

『いただきます!』


っと7名が、声を揃えて言い総一郎を除く6名は一口食べた瞬間、完全に沈黙した。


総一郎は、どうしたのかな?っと思いもしかして失敗したのか?


っと焦りだした時…。


深雪

『ちょっとぉ!何なの!何で、こんなに美味しいのよ!』


隆司

『いや…。期待はしてたけど、これは…』


『はあ〜。これは、もう溜息しか出ないわ』


香澄

『むう〜。素晴らしい。お嬢様から話しは聞いて居ましたが…。これ程の腕前とは…』


『又、一段と腕を上げられましたね…。これ程のオムライスには、中々、出会えませんよ』


『美味しい…』


上から順に深雪、隆司、舞、香澄、敦、晶の感想である。


総一郎も一口、食べると思わずこう言った。


総一郎

『何これ!どんだけ美味いねん!』


思わず、関西弁で叫んだ総一郎。


10分も掛からずに食べ終えた7名。


『さて…。私は運転に、戻ります』


敦は笑いながら運転席へ向かい6人は、海に着くまでの間、ゲームやトランプで、時間を潰す事にした。


その頃、総一郎達が向かっている海では、灰色のマントで全身を覆い隠している者が、海面の上を歩いていた。


そう、少し前に総一郎と死闘を繰り広げたクリムゾン・ヘッドである。


総一郎から、受けた傷も大分、良くなりリハビリを、兼ねてダークウルフとの戦いに赴いていた。


クリムゾンヘッドは無言のまま、歩き続ける。


前方に小さな島を見つけたクリムゾン・ヘッドは足早に小島へ向かった。


小島に、上陸したクリムゾン・ヘッドは殺気を、感じ取り右に大きくステップ移動をする。


クリムゾンヘッド

『ふん!不意討ちか…。そんな攻撃など、当たらんよ』


クリムゾンヘッドは不敵に笑いながら言う。


クリムゾンヘッドが居た場所に直径、1メートル程の石があった。


クリムゾンヘッドの目の前に全長2メートル位の黒い体毛に赤い眼を殺意の光を、灯した狼が直立不動で立って居た。


???

『くっくっくっ!貴様を殺せば、俺様も幹部だ!俺様の出世の為に死ね!クリムゾンヘッド!』


巨大な口を開け笑うダーク・ウルフ。


クリムゾン・ヘッドは、冷たい瞳をダーク・ウルフに向けて言った。


クリムゾンヘッド

『貴様など…私の敵では無い…。死ぬのは、貴様だ!』


クリムゾン・ヘッドは、一気に間合いを詰めるとダークウルフの腹に左の拳を打ち込む。


ドガ!っと凄まじい音が辺りに響く。


ダークウルフは悲鳴すら上げられずに体を、くの字に、曲げクリムゾン・ヘッドは、すかさず右のアッパーをダークウルフの顎に命中。


その瞬間、ダークウルフの口から歯が、数本飛び散る。


しかし、ダークウルフはお返しとばかりにクリムゾンヘッドの頭を右手で掴み地面に叩き付け更に倒れたクリムゾンヘッドの腹を、左足で蹴り上げ吹き飛ばす。


吹き飛ばされたクリムゾンヘッドは、木に当たり勢い余って、3本もヘシ折れた。


普通の人間なら内蔵破裂背骨を骨折する様な衝撃であるが、クリムゾン・ヘッドは平然と立ち上がるとペッ!っと、口から血の混じった唾を地面に吐き掛ける。


クリムゾン・ヘッドも、ダーク・ウルフも無言のまま両者は相手に向かって、突進して行く。


ダークウルフの右フックを、しゃがんで、躱してそのまま、回転して左の回し蹴りを繰り出すが、ダークウルフは、それを読んでいたのか?飛び上がり、ドロップキックを繰り出す。


クリムゾンヘッドは冷静に、しゃがんだまま両手を交差させて、防御。


1メートル程、後退したクリムゾンヘッド。


そのままダークウルフの両足を掴んで、力任せに剣を振る様に地面に叩き付ける!


ドガン!っと、凄い音がして砂浜が、ごっそりと抉られる。


クリムゾンヘッドは無表情のまま、無言で何度も何度も叩き付ける。


その都度、ダークウルフは、悲鳴を上げる。


しかし、一方的やられるダーク・ウルフでは無かった。


自身を振り上げたクリムゾン・ヘッドの両手に、伸ばした爪を突き刺す。ザシュ!っと、肉を切り裂く音が響きクリムゾンヘッドは、悲鳴を上げてダークウルフを離す。


ダークウルフは更に強靱な爪でクリムゾンヘッドの首を刈り取る為に右手を横に振る。


だが、クリムゾンヘッドは、右足でダークウルフの腹を蹴り吹き飛ばして首刈りを回避。


両手から、おびただしい血が流れ砂浜は真っ黒に染まる。


クリムゾンヘッド

『ちっ!仕方ないな…。Dr・クロウから戴いたコレを使うか…』


痛む腕を無理矢理動かし懐から小さな黒い小瓶を取り出して蓋を開け中にあった液体を飲み込む。


余りの不味さに吐き出しそうになるのを、堪えて居ると、体が熱くなり みるみる傷が塞がりクリムゾン・ヘッドは呆れた様に…。


クリムゾンヘッド

『良薬口に苦し…。言い得て妙だな』


っと一言、呟く様に言った。


ダークウルフは、両手の爪を1メートル程伸ばしクリムゾンヘッドを睨み付ける。


クリムゾンヘッドは懐から灰色の『ソウルクリスタル』を取り出した。


そう…。このソウルクリスタルは元々は風間聖児が、持って居たのだが…一時期、クリムゾンヘッドに預けていた。


因みにソウルクリスタルには、一つずつ色がありライトは青色、レイスは緑色、レイチェルは赤色エンジェルは白色、シャドウは黒色、シオンは、紫色をしている。


しかもソウルクリスタルには、少しずつだが特性が違う。


例えば、ライトの場合は他のソウル・クリスタルよりも『速度』がある等細かな違いでは、あるが大まかな違いは無い。


但し、戦いとなれば話は違う。ほんの僅かな違いが勝敗を分ける事もあるからだ。


クリムゾンヘッドは右手に、ソウルクリスタルを装着させると意識を集中させる。


その瞬間、クリムゾン・ヘッドは激しい嘔吐感と頭痛に襲われる。


これはソウルクリスタルを、使用する者の宿命である。


意識を、集中させる事によりソウルクリスタルが脳に干渉する。


普通、人間は異物が体内に入ると、それを、外に出そうとする。


くしゃみ等が、良い例であろう。


『ソウルクリスタル』が使用者の精神力を、増幅させて脳に干渉し脳内にあるリミッターを強制的に解除させる信号を脳に送る。


その信号とは人間が危機的状況に見舞われた時に起こる潜在意識の爆発。


簡単に説明すると必死な思いが自分の能力以上の力を、発揮させる時に、脳に送られる信号の事である。


それを容易にさせるのがソウルクリスタルの力である。


しかし…。それは自然に発生させた物では、無く人為的に、しかも増幅させて送られる事になる。


その為、普通では考えられない程の負担が、脳に掛かってしまう。


その為、脳は危機感を、感じ痛みを与える事で、その行為を止めさせようとする。


それを、無視して意識を集中させるとリミッターを、強制的に解除させて更に自分の中にある一番強いと感じるイメージがソウルクリスタルの力によって具現化させる。


人それぞれ違いはあるが一般的なイメージは巨大ロボットやテレビや小説漫画等に出てくる英雄をイメージすると思う。


それを具現化させる為にエネルギーが、必要なのだが、それが人間の中にある栄養である。


体を構成する栄養をエネルギーにして、ソウル・クリスタルは脳内のイメージを具現化させる。


訓練すれば、ある程度はエネルギーの消費を抑える事は可能だが総一郎の様に変身した後にエネルギーを、最小限に抑えるのは至難の技だろう。


それは…。まさに神技と呼ぶに相応しい。


根気と苦痛に耐えられる精神力がいる。


総一郎は、6歳の時からソウル・クリスタルで、転身と封身を幾度も繰り返し更に10歳の時から戦闘員や怪人達と、戦い何度も苦痛を感じて居る為に、痛みに耐性が付いている。


死線を何度も潜り抜けた総一郎だからこそ感じる何かがエネルギーの操作を可能にして居るのかも知れない。


光が収まりクリムゾン・ヘッドは頭部が紅い事を除けばシャドウブレードに、酷似して居るのは、もしかすると、シャドウブレードを、真似ているのかも知れない。


しかし…。それはクリムゾンヘッド以外は分からない事だ。


ダークウルフも、クリムゾンヘッドも自身の周りの空間を、歪ませる程の殺気を発し両者は、相手に向かって突進して行く。


常人には見えない速度でぶつかり合ってガシン!ガシン!っと、金属音を鳴らし火花が散る。


何時果てる共、分からない死闘が続いていた。



漸く、クリムゾンヘッドVSダークウルフが書けました。それとソウル・クリスタルの説明です。あくまで、これは作者の想像で人体に関する知識は、ありませんので…。全然、違うとかは眼を瞑って頂きたいです。さて次回は、海での話にする予定です。それでは…。 

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