第21話・夏休み編その4。
中々、更新が出来なくてすみません。楽しみにしている方が居てくれたら嬉しいです。
特訓を始めて早、5日目総一郎は未だに、エボリューションが、出来ずに居た。
総一郎
『クソ!何でだ!何で、エボリューションが出来ないんだ!』
頭痛と、吐き気を堪えながら総一郎は、苛立ちを押さえ切れず、座り込み地面に、拳を何度も叩き付ける。
自分に対する怒りと腑甲斐なさと、エボリューションが、出来ない焦りと不安が総一郎の心に影を落とした。
唇を、噛み締め拳を強く握り締めた総一郎だったが、何度か、深呼吸して心を落ち着かせると立ち上がり食料を調達しに、行く事にした。
持ってきたナイフを持ち総一郎は川へ。
気配を、消しながら川の中へ入った総一郎は川の冷たさに微かに眉を上げたが目を閉じた。
暖かい陽射しに生い茂る森林に綺麗な川。
総一郎は魚の気配を感じナイフを投げ付ける。
ヒュン!っと、風を切るナイフは見事に魚に命中して地面に、突き刺さり総一郎は、ナイフを地面から抜き総一郎は川から出ると父が作ったツリーハウスに向かって歩きだした。
一方、その頃、晶は悩んでいた。
っと言うのは、5日前に掛かってきた一本の電話が原因だった。
晶は何時ものように小説を、読みながらも殆ど、内容が入って来ない。
先程、隆司から電話が、あり一週間後に海に行かないかと、言われて更に総一郎も誘うから、もし総一郎がOKなら電話をすると言われ晶は、ドキドキして待っていた。
携帯の着信音が聞こえてきて、晶は慌てて、通話ボタンを押して、何度か深呼吸して…。
晶
『もしもし…』
っと、なるべく普段通りの声を出す。
隆司
『井上の奴、OKしたよそれじゃ、切るね』
隆司は、それだけ言うと電話を切った。
晶は、唖然としたものの総一郎が、来ると聞いて嬉しい反面、総一郎に、自分の水着姿を見られるのかと思うと微かに頬を赤く染め意味も無く部屋の中を、行ったり来たりしている。
晶は、明日にでも水着を買いに行こうと思い彼女は自分用の通帳を見ると残高が3万4千円。
これだけ、あれば足りるわね。
だが、晶は今まで水着を買いに、行った事が無かった事に気付きどうしようか?と悩んだ。
そこでふと晶は数少ない友人の一人、深雪が居るのを思い出した。
彼女に一緒に行って貰おう!
そう思い晶は深雪のプライベート・ナンバーに、電話を掛ける。
その頃、深雪は、一之瀬財閥の財力と技術の結晶であるスーパーコンピュータ・マザーにアクセスしていた。
あらゆるデータから回答を見つけ答えるコンピュータであるマザー。
この前現れた怪物の撮影写真を打ち込んだ深雪はマザーより衝撃の事実を聞かされる。
マザー
『この画像に写っている生命体は、この星の生態系の、どれにも当て填まりません…』
マザー
『異常な進化を、遂げた生命か或いは人為的に、作られた生命体で、ある可能性が大…』
マザー
『更に、隣に写っている生命体は過去に、撮影された事があり、この生命体は7体存在を確認…』
マザー
『その何れも先程の異質な生命体が出現時に現れています…』
マザー
『この生命体の正体は、不明であり国家機密事項に触れます…』
マザー
『これ以上の介入は不可能です』
無機質な声を、響かせてマザーは答える。
深雪
『マザー。どうして国家機密事項なの?』
深雪の言葉に…。
マザー
『この生命体が、世間に知られた場合、人類は、恐慌状態に、なるでしょう…』
マザー
『拳銃は、疎かミサイルや爆弾でさえ通用しない怪物が相手では、警察や軍隊も、役に立たないでしょう…』
更に、マザーは、言葉を続ける。
マザー
『この怪物が現実に存在して居る事は事実ですがもし…この怪物達の存在が世間に知られた場合…自衛隊や、警察の威信と誇り。そして、存在理由が、失われます…』
マザー
『対抗する術が、無いと言うのが現状です…これは、私の推測なのですがこの怪物に良く似た生命体が世界各地で発見されており、世界が危機に、瀕して居るようです…』
マザー
『このままでは、世界は怪物達に乗っ取られるのは時間の問題です…』
深雪は、嫌な汗が背中を流れていくのを感じた。
深雪
『何とか、成らないの?何か対抗する手段がある筈だわ』
そう言う深雪に…。
マザー
『今の地球の科学力では怪物達に、傷一つ付ける事は出来無いでしょう。唯一対抗出来るのは7体の生命体のみです』
深雪
『なら、その7体の生命体と接触する事は可能?何処に居るか分かる範囲で教えて』
マザー
『他の6体に、付いては不明ですが、先程の黒い生命体は、この市内に、存在しています…』
深雪
『嘘でしょ!近くに居るの!』
深雪は驚愕したがマザーの次の言葉に、驚く事になる。
マザー
『はい。この黒い生命体は、この人物です』
そう言ってマザーは映像を映し出す。
そこに映っていた人物は深雪が良く知る人物だった。
深雪
『この人は総一郎のお父さんじゃない!』
そう、映し出されている人物は井上修司だった。
深雪
『でも、総一郎のお父さんは7年前に死んだわ。なのに。っ!』
その時、ある可能性が、深雪の中で芽生えた。
更にマザーは深雪の考えを、確信にさせる言葉を告げる。
マザー
『通常、死亡し火葬された人間は、この世から、消える…』
マザー
『私の推測なのですが…この人物に子供が居て、この人物が亡くなって、2週間後に出てきた怪物を、倒した黒い生命体の事を考えると…』
マザー
『その子供が何らかの力を受け継いだと考えると説明は十分付きますが、確証が、ある訳では無いので…』
マザーの、言葉に深雪は何も言えなくなった。
自分の考えが正しいなら今まで、不思議に思っていた事に辻褄が合う。
総一郎が、遅刻してくる事、授業中の居眠り。
水泳授業に、出ない事や写真に、写りたがらない事も、何時も長袖の服を着ている事も、余り深く人と、関わりを持たない事も総一郎が、シャドウブレードなら辻褄が合うのだ。
戦って居るのなら傷付かない訳が無い。
その傷を隠す為に水泳の授業に出ないとしたら?その傷を隠す為に長袖の服を着ているとしたら?未だ、確証がある訳では無い。
自分の、推測でしかないのだ。
総一郎がシャドウ・ブレードである可能性があるだけに過ぎない。
そんな深雪の考えを遮る様に携帯電話が鳴る。
深雪は携帯を取り着信者を確認すると晶だった。
深雪
『もしもし。天野さん?珍しいわね。何か、私に用事?』
晶
『ええ…。実は頼みたい事があるの』
晶の言葉に…。
深雪
『私に出来る事ならね』
晶
『海に行く話しがあったから水着を買いに行こうと思ったんだけど一緒に行かない?』
晶の誘いに、深雪は二つ返事でOK。
その後、雑談を少しして深雪は携帯電話を、切りマザーのアクセスを切断して部屋を出た。
今回、深雪は、総一郎がシャドウ・ブレードでは無いのか?っという疑いを強める話でした。さて次は海での話しで戦闘もあります。それでは!